山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年12月10日

(平成25年12月10日(火) 11:29~11:50  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 まず、沖縄担当大臣として一言、申し上げたいと思います。
 本日の閣議において沖縄振興開発金融公庫法施行令の一部改正が決定されました。日本政策金融公庫並びの改正で、本年6月のHACCP支援法(食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法)の改正を受けて、沖縄振興開発金融公庫の貸付資金の対象範囲を拡大するものです。
 それから、領土担当大臣として一言、コメントを申し上げたいと思います。
 8日に韓国政府が防空識別圏を南方に拡大する旨を発表いたしました。同措置については、事前に韓国政府から我が方に対して外交ルートを通して内報があったものと承知しております。我が国としては、今回の韓国による防空識別圏の拡大が先般の中国の措置のように国際法上の一般原則である公海上空における飛行の自由を不当に侵害することにつながらないことが重要との考えを踏まえ、事前に日韓で意思疎通を図り、こうした我が国の考えを韓国側に伝えてきたところだと承知しております。今回、韓国政府が発表した措置は、中国政府のものとは異なり、我が国との関係で直ちに問題になるものではないと、このように承知をしております。
 我が国のロケットについて、簡単にプレゼンをさせていただきたいと思います。
 イプシロンロケット、皆さん御存じのとおり、9月14日に打上げ成功いたしました。これは固体燃料ロケットの技術、これまで日本の強みである固体燃料ロケットの技術を継承したものです。低コスト化、モバイル化、作業時間の短縮化、優れた能力を実現していまして、この低コスト化、打上げ費用がM-Ⅴの約半分になって、30億円以下を目標にしているとか、モバイル化で、パソコンで管制ができるという形になっていくということと、それから作業時間も射場の作業時間を、M-Ⅴロケットだと42日なんですが、これを7日に短縮が可能だということで、2号機の打上げは平成27年度を予定しています。
 H-ⅡAとH-ⅡBロケット、これは我が国の液体燃料ロケットの主力ですが、H-ⅡAは22機打ち上げています。H-ⅡBはこれまで4機を打ち上げていて、打上げ成功率が96%、これは世界最高水準の信頼性を保っていると言っていいと思います。
 年明けの平成26年度には全球降水観測衛星、それから「だいち2号」等々、H-ⅡAロケットで上げることになっております。「こうのとり5号機」はH-ⅡBロケットでそれぞれ打ち上げることになっています。
 ここからH-ⅡAロケットの発射の模様をお見せしたいと思います。私、アメリカの大学にいたときに、毎週のように、ワシントンのエアロスペースミュージアム、宇宙航空博物館に通っていまして、ロケットが本当に好きなので、個人的な趣味も含めてこの動画を本当に見たいと思いました。これはH-ⅡBロケット、私が視察に行った時のものです。
 この日はものすごく晴れていて、かなり長い間、ロケットが見えたと。製作担当者に聞いたら、このようなことは非常に珍しいということでした。飛んでいって、フェアリングがはずれるところまで見えたんですね。非常に珍しい現象なので動画に残したんだと思います。
 それとイプシロンロケット、非常にシンプルでいい形だと思います。これは残念ながら、イプシロンロケットの発射は現地まで行ったんですが、直前で延期になったということがありましたけれども、ロケットの成功はこれから日本の宇宙産業、競争力強化という点では非常に大きいと思います。きれいな弾道で飛んでいます。
 ということで、もう一つ、新型の基幹ロケット、第15回の宇宙政策委員会で開発着手が決定されました。10月の宇宙輸送システム部会でもいろいろ整理すべき事項を取りまとめておりまして、いくつかポイントがあるんですが、三つ申し上げたいと思います。運用コストを現状から半減する。それから、多様な機体のラインナップでニーズへの柔軟な対応を図っていくということと、信頼性の向上をしっかりと図っていくということで、機体のラインナップのイメージがここに書かれています。
 平成32年、2020年の初号機の打ち上げを目指しておりますが、これはちょうどオリンピックの開催年に当たっているということで、非常にタイムリーといいますか、いいなと思っています。
 まとめて言いますが、今、我が国ではH-ⅡAロケット、H-ⅡB、イプシロン、これらをしっかり運用しているということと、これは宇宙基本計画でもしっかり明言していますが、自律性の確保、宇宙利用の拡大、特に自律性の確保の観点からは宇宙輸送システムの保持が大事だと、非常に重要だということです。
 それから、この宇宙政策委員会の決定を踏まえて、平成26年度の概算要求で、これは文科省から新型基幹ロケットの関係予算を要求していますので、私の方もこれは後押しをしていきたいと思います。以上です。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。先日、宇宙政策委員会で、資源配分方針を決定したかと思うんですが、その中でちょっと見ていると、ちょっと不思議だったので聞きたいんですけれども、GOSAT-2(温室効果ガス観測技術衛星2号)とかGCOM-C(気候変動観測衛星)がちょっと低い評価で、一方で、総合科学技術会議のアクションプランでは高い評価だと。同じ山本大臣の下の司令塔で、別々の評価をしているのは何となく変だなと思ったんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか
(答)総合科学技術会議とそれから部会、委員会、メンバーが違うので、それぞれきちんとした観点から議論していると思いますが、評価に差が出るということはあり得る話だと思って、この二つをよくきちんと比較して、実際のところはどうなのかということをきちんと勘案していきたいと思いますが、例えば中村さんが何度もここでおっしゃっている行政レビュー、この評価は私は何度も言うように真摯に受け止めなければいけないし、反省すべきところは反省して、しっかりきちんとやり直すべきところはやり直したいと思いますが、宇宙政策委員会はかなり高い評価を与えているわけですよね。衛星のコンステレーションなどについては。両方をきちんと見て、調整をしていくことは大事だと思います。
(問)司令塔間での調整というのは行われないんでしょうか。
(答)司令塔間の調整は、道半ばと言いますか、はっきり言うと。今、私が持っている司令塔、日本版NIH、これは官房長官ですが、それを除くと全部私の担当で、おそらく初めてのことだと思うので、今まで司令塔間の連携が十分だったかと言うと、十分に行われていなかったこともあるので、司令塔連携調整会議を作って、3回行いました。これは続けていきたいと思うので、全体の流れとして、司令塔間をどのような形で、どのような連携が可能かということは議論を始めているので、そのような大きな流れの中で今おっしゃったような調整がよりスムーズにいくような形にはしていきたいと思います。
(問)同じ予算の話なんですけれども、GOSAT-2のところを見たら、先日の総合科学技術会議後の会見でも攻めの温暖化対策ということで、重要課題だというふうに総合科学技術会議、政府全体としても温暖化対策本部でも言っている。こっちの評価を見ると、環境省分が割とよくて、文科省分はすごい低い。よくよく文部科学省と環境省に聞いてみたんですけれども、元々折半しようと言っただけで、一応分けてあるんだけれども、一体的なものだから、そもそも切り分けて評価すること自体できないはずだけど、という話だったんです。でも、分かれて評価結果が違うのは、何でこういうことが起こるのかなというのがちょっと不思議だったんですけれども。
(答)宇宙政策委員会は、宇宙分野の一線級の有識者の方々を集めて作っているんです。そこで自由闊達(かったつ)に率直に議論していただいているので、これはきちんとした審議だと思っています。あまり中村さんが言うように、細かい点については、いちいち大臣として意見を言うようなことはしていませんが、あれだけの専門家が集まってきちんと議論していただいているので、それは専門的な観点も十分入っていると思います。結果として、今おっしゃったように、違う司令塔、部局で議論があって、多少差が出てくるということは、これはあり得ることだと思います。委員も違いますから。だからそれをきちんと担当大臣としてどう調整していくか。両方見ながら、どのような対応が正しいのかということを考えていきたいと思いますが、どの省庁をどう切り分けたかという細かい議論には入りませんが、宇宙政策委員会、もちろん何度も出ていますが、かなり独立した立場できちんと議論していただいていると思います。
(問)例えば、総合科学技術会議だったら、有識者議員、常勤で2人いますよね。IT戦略本部だったら遠藤さん(遠藤紘一内閣情報通信政策監)とか、向井さん(向井浩紀IT総合戦略室副室長)とかいますよね。司令塔というのはそれなりに常勤の有識者がいて、それでちゃんと手綱を引っ張るということがあるんですけれども、宇宙政策委員会はそういう人は、たまに1カ月に一遍とか数週間に一遍集まるだけで、いないんですけれども、そういう人は必要ではないという判断ですか。
(答)短く言いますが、宇宙戦略室が去年できて、私は宇宙政策担当大臣として宇宙政策委員会に行き、委員の方々とも何度も懇談しましたが、相当、成果を上げていると思っているんです。戦略的予算配分の中身も含めて、フォローアップもきちんと行っていて、やはり宇宙政策にも横串を刺していくことはすごく大変なので試行錯誤でこれから進んでいかなければいけないんですが、それぞれの司令塔によって、調整機能の果たし方が違うので、一律にまず比べられないと思います。宇宙政策委員会は今のやり方で、相当の成果を上げてきていると思っています。常勤がいるかいないかとか、他の司令塔に比べていないから、うまく議論が行われていないとか、そのように比較するということは必ずしも適切ではないのではないかと思います。
(問)沖縄タイムズの吉川ですが、沖縄振興関係の税制6項目なんですけれども、この前知事ともお会いして、昨日は小委員会である程度お話が出たと思うんですが、今週中にも決定されると思うんですけれども、今具体的に進捗、実現性、可能性をどう感じているかというところを。
(答)大変申し訳ないんですが、まだ最終決定していないので、その段階で議論のプロセスの中身を申し上げることは控えたいと思います。ただ、沖縄知事と一昨日会談をして、今の予算の状況、税制改正要望の状況について、いろいろと突っ込んだ議論をさせていただきましたので、沖縄担当大臣としては、予算、これはできる限り要望額に近づけるように、厳しい状況ですが、全力を尽くしていきたいと。
 税制改正要望についても沖縄側の要望はしっかり受け止めましたので、それについて、できる限り応えられるように努力していきたいと思います。どの項目がどうなっているかというのは、申し訳ないんですが、まだ議論の段階なので、コメントは差し控えさせていだきたいと思います。
(問)その上で一つ聞きたいんですが、特に金融特区の部分で、知事からかなり強い要望もあると思うんですが、状況を聞いてみるとかなり厳しい状況があるという、いろいろ周りから聞こえてくるんですけれども、話せるところだけでいいんですが、具体的にどの辺が難しいのかと。
(答)それは話せないんですが、金融特区を含めて、税制改正要望、沖縄全体の振興につながるという観点から是非よい答えを出したいと思います。
(問)NHKの小暮です。宇宙政策委員会の関連で、先程の資源配分もそうなんですけれども、2回目で、去年もありまして、去年もA、B、C、Dの評価で、一番最低評価の見直し評価が十数個ありましたが、いずれも全て文部科学省で、今年も全て見直しのものが複数個あって、それも今回全部文部科学省でした。一部私も周辺取材をすると、ちょっと偏っているのではないかという意見もありますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)それは結論から言うと偏っていないと思います。それはどこの省庁の予算かということは二の次であって、まず宇宙政策委員会としてコストパフォーマンスを含めて、それぞれのプロジェクトの意義とか中身をきちんと議論してもらい、そこで評価を出しているということに尽きると思います。どこかの特定の省庁を考えてみてという話はないと思います。
(問)もう1点、宇宙政策委員会なんですけれども、ちょっと関連して、昨今特定秘密法案が成立しまして、今はもう宇宙政策委員会は非公開でされていますが、今後、この法案が通ったことによって、私たちの宇宙の取材とかそれからいろいろな会議があると思うんですけれども、何か変わるとか、山本大臣の思いとしてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
(答)それは基本的に変わらないと思います。宇宙政策委員会の運用というのはいつも申し上げているとおりですが、きちんと必要なことはブリーフィングさせていただきたいと思いますし、また、西本(宇宙戦略室)室長に少し記者の方々との懇談も続けてもらいたいと思っていますので、この法案が通ったことによって、何か影響が出るということはないと思います。
(問)共同の野見山です。沖縄の西普天間住宅地区の拠点返還地の指定について、先日、日曜日に沖縄に出張されて言及があったと思いますけれども、実際に指定するのは総理大臣かと思うんですけれども実際に指定の目途と言いますか、スケジュール感みたいなものはあったんでしょうか。
(答)それは現段階でこの日とは言えませんが、できるだけ早く進めたいということだけ申し上げておきたいと思います。これは佐喜眞(宜野湾市)市長を始め、現場からの要望も強いですし、前回も沖縄に関する会議でいろいろと関係者からも要望をいただいていましたので、今回決断をさせていただきました。できるだけ早くと思っています。
(問)関連して、来年度末の返還の前にしかるべき時期に指定して、取組方針を定めていくという、そういうイメージでしょうか。
(答)取組方針もきちんと検討していかなければいけないと思うんですが、今、時期をはっきり言うわけにはいかないと思うんですが、もう一回言いますが、できるだけ早くできるように努力したいと思います。
(問)共同通信の須江と申します。宇宙の関係でお伺いしたいんですけれども、先週の宇宙政策委員会の時に質問させていただいたことで、広域災害監視衛星の話で、行政レビューの話で質問させていただきまして、そのときのブリーフィングで委員長からは議論が煮詰まっていないという指摘もあって、それは来年度までなのでこれからやっていけばいいというお答えも頂戴したわけですけれども、そうしますと今回、80億という規模感に対して、なかなか財政当局の理解を得るのは難しいかなというような、これから煮詰めるという言い方ですと、という印象も受けるわけですけれども、大臣として現在の状況とか今後の見通しはどのようにお考えでしょうか。
(答)先程中村さんの質問にもお答えしたんですが、行政レビューが厳しい結果だったということは、真摯に受け止めなければいけないと思います。
 他方、宇宙政策委員会はきちんと審議をしていただいて、かなり前向きな評価をしているということなので、これはやはり二つの評価に差がありますから、これに基づいて、中身を見直すように私の方から事務方に指示をしてありますので、そこで中身を見直してもらうということだと思います。
 それから、災害監視ネットワーク、コンステレーション、これは私は必要だと思っているんですが、大臣として反省すべき点は、もう少し説明が必要だったというところもありますから、この見直しの中身がどうなるか分かりませんが、いずれにせよ、理解してもらえるように、きちんと委員長が来年とおっしゃったのかどうか分かりませんが、そこはきちんと順序立てて、もう一度努力していきたいと思います。このプロジェクトの必要性、重要性は理解してもらえるように担当大臣としても努力していきたいと思います。
(問)関連して、今おっしゃった中身を見直すようにというのは、例えば方向性として、プロジェクト全体の方向性をまた考え直す、もしくはまず来年度予算の確保に向けて財政当局の理解を得られるように、固められる部分だけまず固めてしまうとか、どういった方向性ですか。
(答)それはいろいろな見方があると思うんですが、とりあえずやはり評価が異なっている部分がありますから、それを受けて見直していくということだと思います。
(問)宇宙ではなくて、パーソナルデータの利活用に関する制度見直し方針が先程決定されたかと思うんですが、それについての受け止めを。
(答)IT総合戦略本部の下に、「パーソナルデータに関する検討会」を作るということは、私の強い要望だったんです。これは事務局の方でしっかり受け止めていただいて、本当によいメンバーの方々を集めて議論を重ねてきました。元々規制改革会議の後、少し背中を押すとか、総務省でもきちんとした議論がありますから、それについてサポートしたい、こういう気持ちもありましたけれども、結果として言うと、パーソナルデータ活用に関しては、ここは政府内の議論の中心になっているわけです。
 この間も申し上げたとおり、必要によって、きちんと必要性を踏まえての話ですが、法制化も考えていく、このロードマップもパーソナルデータに関する検討会で示している。ここまで議論できたことは非常に意味があったと思いますし、やはりIT利活用、IT戦略の根幹の一つである利活用を拡大していくということで言うと、これは世界各国どこもそうだと思いますが、パーソナルデータをどう活用するかというところに行きつくので、そういう意味では、IT総合戦略本部が今行っているプロジェクトの中では、非常に意味のあるものになってきたなと思います。よいものをまとめて、これを法制化につなげていきたいと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:165KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)