山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月22日

(平成25年11月22日(金) 8:53~9:16  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、今日は特に御報告することはありません。
 今日は、領土・主権をめぐる内外発信の強化に向けたイニシアティブについて御説明をしたいと思います。
 領土担当大臣になって、間もなく11か月になろうとしています。
 領土担当大臣は、ここでも何度も申し上げたとおり、なかなかバランス感覚を要求されるポストで、一方では、やはり安倍総理の考え方をしっかりと踏まえなければいけないと、同時に当然ですが、外交政策との整合性も図っていかなければいけない、これはしっかり考えていかなければいけないのですが、私は、初代の領土担当大臣ですから、安倍内閣が領土・主権の問題については、断固としてこれを守っていくと、こういうこともアピールをしなければいけないと、この二つのことをしっかり進めなければいけないということで、いろいろバランスを考えて行ってまいりました。
 念のために言っておきますが、安倍総理の外交姿勢、例えば、中国と韓国に対しても首脳会談のためのドアは開かれていると、日・中はやはり戦略的互恵関係を目指していくべきで、更には韓国は価値観を共有する大事な戦略的なパートナーだと、こういう姿勢を当然踏まえていかなければいけないと思いますが、同時に、この11か月間で随分領土・主権をめぐる状況も変わったと認識しています。中国・韓国、この2国から領土をめぐる問題、尖閣には領土問題はありませんが、尖閣諸島をめぐる問題か、あるいは竹島の問題について、かなり積極的に情報発信が行われていると、こういうことを踏まえて、そこに対しては領土担当大臣としてしっかり対応していかなければいけないと、今、やはり領土と主権をめぐる内外発信、特に対外発信を強めていかなければいけないタイミングだと、このことを勘案して、領土・主権をめぐる内外発信の強化に向けたイニシアティブというものを打ち出したいと思っています。
 ギアを一段上げたいと思います。
 簡単に言うと五つのコンポーネントからなっていまして、これは何度も申し上げましたが、領土・主権をめぐる内外発信に関する総合調整会議を開催したい、作りたいと思っていまして、領土・主権対策企画調整室の機能を一段上げて、新しい協議機関を作って、そこに各省からしっかりと情報を集めて企画調整、戦略を考えるという体制を作りたいと思います。
 二つ目は、有識者懇ですが、後で説明しますが、報告書を提出していただいた後、休止をしていましたが、これはやはり継続したいと、メンバーも非常によいということで、これを再開していきたいということ。
 三つ目は、有識者懇の報告書の中にもあったと思いますが、いろいろな各界に領土問題、主権をめぐる問題の重要性を訴えて認識を高めてもらうということを行わなければいけない。
 四つ目は、領土・主権対策企画調整室の独自のウェブサイトを立ち上げるということ。
 それから、五つ目ですが、領土担当大臣として、既に先般フィリピンに行きましたが、この海外出張を活用した対外発信というものを行っていきたいと。
 この五つで少しレベルを上げていきたいと思います。
 この領土・主権をめぐる内外発信に関する総合調整会議を開催したいと思います。
 第1回目は11月29日に決まりました。
 ここに書いてありますが、領土・主権をめぐる内外発信の強化を目的として、領土担当大臣の下で、政府全体の内外発信に係る諸課題に関する総合調整を行うということで、これは私が主宰をします。関係省庁の幹部を集めて議論するということになります。内閣広報室とか官邸の広報室とは、きちんといろいろと連携をとりながら行っていきたいと思います。今までは企画調整室の方がいろいろな会議に参加していましたが、領土担当大臣である私の下に各省の関係の幹部を集めて、そこで企画調整の機能をより高めていきたいと思います。
 それから、内外発信に関する有識者懇ですが、先程申し上げたとおり、報告書は7月2日に取りまとめました。5回懇談会を行って報告書を取りまとめてもらいました。
 いろいろな考え方の方々が入っていますが、私は非常によいメンバーだったと、それぞれの分野のスペシャリストの方々、ベストメンバーだと思っていますので、これを続けたいと思います。12月3日に懇談会を再開して、報告書の中身のフォローアップ等々もありますので、ここでいろいろな議論を続けていきたいと思います。
 三つ目は、経済界等への働きかけと書いてありますが、やはり政府だけではなくて、海外で在住したり活躍している民間人の存在が重要だと、これはおそらく確か内閣の広報チームも同じコンセプトで活動していると思いますが、特に影響力の大きい個人とか団体に対して、領土・主権をめぐる問題について正確な情報を持ってもらうということが大事ではないかということで、経済界等への働きかけを具体的に行っていきたいと思います。まだ細かいことは詰まっていませんが、経済関係の組織、団体等と私がいろいろな発信をするということを考えていきたいと思います。
 それから、独自のウェブサイト、これは独自のということがポイントで、各省に、外務省はもちろんですが、領土・主権をめぐる関係のいろいろなウェブサイトがあり、当たり前ですが、領土・主権をめぐる問題をメインに扱うウェブサイトを独自に作りたいと、例えば、外務省のホームページには、領土・主権をめぐる問題について、いろいろな記載がありますが、これはこれで文章が載っていますが、やはり今回我々が立ち上げるウェブサイトは動画を活用した情報発信をし、独自のコンテンツを作りたいと思います。
 今、検討中ですが、私自身がメッセージを発信するとか、領土、主権に関する講演とか各種事業の様子をライブの動画でしっかり発信すると、例えば、英語の対談もそのまま入れていくと、やはり英語で発信するということは一つのポイントだと思いますので、もちろん日本語でも発信しますが、やはり英語の発信ということも、詳細はこれから詰めていきますが検討していきたいと思います。領土・主権の解説、これも例えばライブで行う。こういう取組も動画を使っていく、解説もわかりやすく解説をしていくという、もう一回言いますが、独自の手法といいましょうか、そのようなことを考えていきたいと思います。
 海外出張を活用した対外発信ですけれども、9月4日と5日にフィリピンの外務大臣と国防大臣とお目にかかって、とにかく力を背景した現状変更の試みは許されない、法の支配が早期に確立されることが大事だというメッセージを発信しまして、かなりよい感触を得ました。これは不断に領土・主権をめぐる情勢について我が国の立場を説明していく必要があると思います。来年、1月の国会の日程が許せば、状況を見ながらですが、ASEANに行きたいと、この準備を事務方には私の方から指示しましたので、国会の日程を見ながら、もちろん国会中というわけにはいかないと思いますが、来年の1月にASEAN諸国にまいりたいということで、今、事務方に準備を指示しております。
 それから、今日どこかの新聞の一面に掲載をされていたと思いますが、IT戦略本部の下でパーソナルデータの検討会をずっと続けてきました。私も何度も出席して議論を聞かせてもらいましたが、段々と方向性が固まってきました。パーソナルデータについても、今日の会合で確か事務局案が出てくると思いますが、更にもう一回行って事務局案をブラッシュアップしていくということだったと思いますが、年内には見直しの方向性を出していくということにしたいと思いますし、それに伴って法改正、現実的に言うと2015年ぐらいの再来年の通常国会ぐらいに出すようなペースできちんと議論していきたいと思います。
 何か御質問があればお受けしたいと思います・

2.質疑応答

(問)時事通信の浅見です。いくつかお伺いしたいのですが、今、おっしゃったイニシアティブの対象を確認したいのですけれども、領土・主権はあくまでも尖閣とか竹島が中心だったと思うんですが、北方領土も入るのか教えてください。
(答)もちろん対外発信には北方領土問題も入ります。ただ、北方領土問題については、既に北方対策本部で国内啓発も既にいろいろ行っていますから、もちろんそこもしっかり含めて領土担当大臣として全体を見ていきたいと思いますが、既に始まっているので、連携していくという形になると思います。
 ホームページというか、独自のサイトについても、今、北方対策本部の方でサイトが立ち上がっていますから、しっかり連携をとって、全体を把握しながら進めていきたいと思います。
(問)例えば、以前おっしゃっていた北方領土についても、竹島、尖閣みたいな動画とかフライヤーを作られるといったのは、こちらの部屋のイニシアティブに入っていくのですか、それとも北方対策本部でやられること。
(答)動画、フライヤーというのは、少し事実関係を確かめたいと思いますが、外務省の方で作って公開をしましたから、その時に北方領土についても準備をしていると理解しています。いつ、どう掲載するかというのはともかくとして、これは作っていますから、どこかで発信をされるのだろうと思っています。
 そういうことも含めて、今度の総合調整会議できちんと最初から関与していきたいと思います。
 今度の外務省のホームページにも掲載されたフライヤーと動画、これは領土担当大臣としてはしっかり相談を受けて意見を言っていますが、もう一回言いますが、今度総合調整会議を作りますから、そういうことについても、やはり企画調整はしっかり領土・主権対策企画調整室がもっと前面に出て行っていきたいと思います。
(問)最後に、有識者懇談会を再開されるということなのですけれども、何かまた報告書みたいなのを作られる御予定はあるのでしょうか。
(答)現時点では、次の報告書という計画はないのですが、第1回目の報告書を出していただいて、これからこのようなイニシアティブを進めていくためにも、あるいは報告書の中でいろいろと提言が出たので、それをフォローアップしていくためにも、必要に応じて有識者会議を開いてアドバイスをいただきたいと思います。
(問)関連です。NHKの高野ですが、目的としては、中国・韓国の発信に対抗するものというふうに考えてよろしいでしょうか。
(答)対抗するというワードは適切かどうか分かりませんが、領土担当大臣になって1年間近く経ちますが、国際情勢は大きく変わってきて、日本の主張を正しく国際社会に理解してもらうと、その必要性はすごく増してしていると思うのです。おっしゃったように、他のプレイヤーからの情報発信がどんどん増えていると、それに対する危機感はきちんと持っていなければいけないということで、そのような状況に対応するために、領土・主権をめぐる対外発信を強化すると、一段ギアを上げるということです。
(問)もう一点、ホームページで、外務省のホームページにはない、内容的なものとしてはどういうものが考えられるのでしょうか。
(答)情報は外務省のホームページでも、これまでの経緯等々というのは出てきていますから、その主張をいかに分かりやすく発信するかということになると思うのです。
 ただ、文章をざっと並べるというのはもちろん大事なのですが、SNSとかネットの特徴というのは、ライブ感なのだと思うのです。そこにプレイヤーが出てきて発信をすると、例えば、領土担当大臣が行うのかどうか、まだ検討しなければいけませんが、私がそこに出ていって英語と日本語で発信するとか、あるいは有識者の人を集めてきちんとしたライブの動画を作って、その議論を発信するとか、その議論を英語でやるとか、あるいは同じように日本の立場を伝える。100%国際法上も歴史的にも日本の領土ですから、それを発信するやり方ですよね。多くの人に届くような手法、分かりやすい発信の仕方、そのようなことを工夫するべきだと思います。
(問)共同、野見山です。
 独自のウェブサイトの立ち上げは、大体メドとしてはいつ頃を想定。
(答)それはまだはっきり決まっていませんが、年内ぐらいをメドに努力をしたいと思います。
 コンテンツの中身にもよるので、今、あくまでも構想の段階ですから、このコンテンツを作っていくのに、どのくらい時間がかかるかということもありますし、予算の問題もありますから、できるだけ早く開きたいなと思っています。
(問)もう一点、総合調整会議ですが、他の省庁の出席者というか担当者はどのクラスの方々が集まるイメージでしょうか。
(答)どのクラスということはともかくとして、対外広報については、主要なこの人が行っているというキーパーソンに集まってもらうことになると思います。
 省庁も外務省、それから国土交通省、防衛省、文科省が入っていたでしょうか。必要に応じて他の関係省庁との連携が必要になったら、順次そこは考えて出席をお願いしようと思っています。
(問)科学新聞の中村です。いくつか教えていただきたいのです。
 まず、IT戦略のパーソナルデータなのですけれども、出す法案というのは、個人情報保護法の改正案を含むいろんな個別の改正案なのか、それとも一段上の大枠の法案なのでしょうか。
(答)その辺はこれから少し議論させていただこうと思います。
 いずれにせよデータの利活用をしっかり推進していくためにルールをきちんと決めなければいけないと思っていまして、一方で、個人情報保護ということを担保しながら、いかにビッグデータが経済活性化につながるような仕組みを考えていくかということで、随分論点が整理されてきたので、それをしっかりたたき台にして法改正に向けていきたいと思うのですが、相当急いでも、かなりペースを早く行っていきたいと思いますが、現実的に言うとおそらく再来年の通常国会ぐらいが現実的だろうと思います。
(問)また別の話なのですけれども、自民党の方で研究開発力強化法の改正案がまとまったかと思うのですけれども、大臣としてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)研究開発の議員立法、これは世界最先端IT国家創造宣言を閣議決定した。あの中身をかなり踏まえて作られていると思うんで、私の感覚で言うと、是非これは成立、もちろん成立に努力をしていただきたいと思いますし、要は、閣議決定した世界最先端IT国家創造宣言、科学技術イノベーション総合戦略の道筋を更に法律というものによって強化するという流れではないかと思っていますので、是非この法案については頑張っていただきたいと担当大臣としては思っています。
(問)もう一つまた別の話なのですけれども、予算編成も大詰めにきて、先日の行政事業レビューと総合科学技術会議のアクションプランとの間に祖語(そご)があるのではないかという指摘もあるかと思うのですけれども、それについてはどのように。
(答)まず、行政レビューの結果は真摯に受け止めなければいけないと思うのです。
 その上で、少し事務方でもいろいろな議論をしてもらおうと思っていて、我々から見て、少し分かってもらいたいところもありますから、そこはまず担当同士で少し今意見交換をしてもらっています。
 我々がアクションプランで選んだ施策というのは、府省横断型だったり、あるいは連携を推進していたり、ある意味で言うと、その段階で重複をずっと排除してきたものなので、そのような意味では、自信を持ってという言い方はおかしいのですが、きちんとそのような配慮の下に作られてきたものなので、分かっていただくところは是非分かっていただきたいなと思っています。
(問)日本経済新聞の白岩です。
 1点伺いたいのですけれども、領土・主権の総合調整会議についてなのですけれども、大臣先日、関係閣僚、菅長官ですとか外務大臣等々を巻き込んで、その会議を、話し合いをしたいというようなことをおっしゃられていましたけれども、この会議というのは基本的には省庁がメインになる。
(答)私が主宰して、関係各省の担当の幹部に集まってもらうということにしたいと思います。今いくつか内閣広報室とか官邸とか、いわゆる対外発信に関する仕組みというのがあります。
 例えば、官房長官の下に対外広報戦略に関する連絡会議のようなものがあって、しかし観光戦略も含めた大きなアイテムを議論しているので、それは領土・主権に特化したものではありません。
 それから、官房副長官の下に、確か対外広報チームにあるのですが、これももちろん観光戦略から始まっていろんな多分コンテンツがあって、その中に領土・主権もあるのですが、これは領土・主権対策企画調整室で行ってきたことをカセットではめているような形で、これはこれで大事だと思うのですが、我々はあくまでも領土・主権対策企画調整室ですから、ここをメインに、領土・主権に対する発信をメインに行っていくという意味で言うと、二つの会議体とは、特にリダンダントではないしオーバーラップはしないと思っています。
 必要があれば、いろいろな連携、特に官邸とは連携をしていきたいと思いますので、そのような意味でこの間申し上げたのは、今、総合調整会議を作って、必要に応じて官房長官に報告するとか、相談するとかという必要があれば、何らかの定期的に議論する枠組みを作るというのも一つの考え方だなと思っています。
 今は、関係閣僚の連絡会議のようなものではなくて、私の下に関係省庁の幹部を集めるという形でスタートさせたいと思います。
 現段階で関係閣僚会議のようなものは考えていません。
(問)NHKの高野です。この前の記者会見の時に、IT総合戦略本部の下で対面・書面交付原則に関する会議体を立ち上げたいということでしたが、時期やどういうメンバーにするか、どんな内容でやるか、少し決まったものが具体的に出てきましたでしょうか。
(答)今、議論しています。
 時期は11月中と言いかけたのですが、考えたら11月はすぐ終わってしまうので、現実的には難しいのかもしれませんが、とにかく今どういう形で行うのかという制度設計について事務方に検討してもらっていますから、できるだけ早く、しかしながら、総理からの指示を受けたので、いつになるということは今はっきり申し上げませんが、できるだけ早く担当大臣としてはIT戦略本部の下に立ち上げたいと、今、制度設計も行っていますが、おそらくIT戦略本部の下に立ち上げると、どちらかというとIT担当大臣直轄のような形になるのではないかなと思います。
 どうもありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:286KB)

(以上)