山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月8日

(平成25年11月8日(金) 9:18~9:38  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 閣議については、特に今日は御報告することはありません。
 いくつか最初に申し上げたいことがありますが、一つは若田光一宇宙飛行士搭乗のロシア・ソユーズロケットの打上げについてですが、御存じのとおり、昨日、若田光一宇宙飛行士を始めとする3名が搭乗したソユーズロケットの打上げが無事に成功して、ISS(国際宇宙ステーション)とのドッキングを完了したとの報告を受けております。若田さん、今回で4回目の宇宙への滞在ということで、その豊富な経験と仲間の厚い信頼を得て、今般の滞在期間中に日本人として初めてISSコマンダーとして指揮をとられる予定だと聞いております。
 若田さんとはこれまで2回ぐらいお目にかかった記憶がありますが、7月末にも大臣室で意見交換をしました。多国籍のクルーをまとめていくグローバルな感覚、それから人間力、このようなものを持った方だと思っていますし、同じ日本人として誇りに思いますし、若田さん自身もおっしゃっているように、これから第2、第3のコマンダーが出てくればいいなと、宇宙担当大臣としてそう考えております。若田さんの活躍がますます我が国の宇宙開発事業の推進に資するということを祈念をしております。
 もう一つは、北方領土問題に関する特別世論調査の公表についてです。
 昨日公表されたと思いますが、年齢別の細かな集計はまだ行っておりまして、判明次第報告をしたいと思いますが、一つは、北方領土問題に対する認知度は高いということがわかったということ。もう一つの大きな特徴として、参加したいという意欲を持った方、参加意欲はやはりなかなか高くないといいますか、6割の方がこのような運動に参加するということについて積極的ではないというような結果が出ました。このようなことを踏まえて、これからの啓発運動、対外発信に生かしていきたいと考えております。
 今日、北方領土のお話をいたしましたが、年齢別のいろいろな統計、これから出てくると思うんですが、一つはっきりしていることは、元島民の方々は非常に高齢化をしているということで、やはりこの問題が風化をしないように、次世代にいかに伝えていくかということが大事だと思っています。ですから、毎回言っているように、若い世代に対する啓発・発信、これを強化をしていかなければいけないということで、その一環として、ゆるキャラ、エリカちゃん、これは前政権でできたキャラクターですが、各地のいろいろなイベント等々から、エリカちゃんが非常に子供にも人気があるということで、このようなわかりやすいアプローチで、この北方領土問題を特に若い世代に伝えていきたいと考えております。そのような意味で、SNSを私になってから活用するということでツイッターにもアカウントを設けましたし、フェイスブックのアカウントも作りました。エリカちゃんの動画も、第1弾、第2弾、本当によちよち歩きで始まって、シンプルなところから少しずつ事務局の努力で進化をしてきまして、今日、2分間ですけれども、新しい3弾目の動画をここで皆さんにお見せしたいと思います。少しずつ進化しているんです。シンプルですが、エリカちゃんが夢の中でニュースキャスターになって北方領土のことを発信するという、シンプルなんですが、少しそのような作りになっていまして、新しいキャラクターのキタキツネというのも出てきますので、それを皆さんにご覧いただきたいと思います。

 

(動画上映)

 

 ということで、「ピィー」と「コン」しか言わないんですが、これをしゃべらせるかどうかでいろいろ議論があるんですが、いずれにしても、できるだけ若い人たちが興味を持ってくれるような形に少しずつ進化させていきますので、4弾目もここで発表させていただきたいと思いますが、真面目な取組みですので、それを改めて強調させていただきたいと思います。
 このフェイスブックとツイッターの中身も、今回の世論調査の中身をしっかり踏まえて、これも進化をさせていければなと考えております。
 何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信の浅見です。この関係でちょっとお伺いしたいんですけれども、フェイスブックは、確か「いいね!」を押している人が600人超ということで、そこまで多くない人数だとは思うんですけれども、今後、要するに見ている人は動画も見るかもしれないんですけれども、ここにアクセスするための、そこまでの道のりというのがちょっとあるかなという気もするんですけれども、どういうふうにやっていこうとお考えでしょうか。
(答)SNSで視聴者を増やすというのはそんなに簡単ではないと思うんですが、おっしゃったように、あの数字を見ながら、まだまだ不十分なので、例えばこの動画をもっと進化させていくとか、これから国内啓発のイベントがいろいろ始まります。特に来年の4月以降は予算がつきますから。予算がついた時点で、おそらく北方領土、竹島、それから尖閣諸島を巡る問題、このようなことについての国内啓発、いろいろやることになると思うんですね。セミナーなのかシンポジウムなのか、これから検討したいと思いますが、例えばこのような動画、SNSの発信をより普及させていくとか、そのようなことを行っていきたいと思います。まず話題を作らなければいけない。しかし、真面目な視点でなければいけないので、このバランスは大事だと思うんですが、おっしゃったとおり、とにかく視聴者を増やしていかなければいけないと思っていますので、頑張ります。ここで、時々フォロワーとか視聴者を発表していきたいと思うんですね。目標も立てようと思います。
(問)テレビ朝日の高松と申します。冒頭の大臣の発言とちょっと離れてしまうんですが、昨日、アントニオ猪木議員が北朝鮮から帰国をされたりだとか、あと、山本太郎議員に対する処分内容について今日発表の予定であったりとか、そういった一連の動きについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)あまり他の政治家のことを個人的にコメントはしたくないんですが、やはり国会には国会のルールというものがあるので、そのようなものを踏まえた上で個々にいろいろと発信をされた方がいいのかなと、そう思います。
(問)ロイター通信の竹中と申します。この時期、改めてという質問になってしまうと申しわけないんですが、総合科学技術会議の下のImPACT(革新的開発推進プログラム)、この新しく作られるプログラムですが、あのテーマの中にはデュアルユースのものも含むということが明記されておりますが、改めて今、日本の安全保障環境が厳しさを増していく中で、あのプログラムによって、日本の防衛技術とか安全保障に資する技術というのがどういうふうに開発を助けることができるのか。どういうふうに推進していくのを目指すのか、そのあたりを、改めてなんですが教えていただければ。
(答)まず、ImPACTの目的は、前回ここで記者会見の時にプロジェクター、プレゼンの中身をしっかり作って行わせていただいたので、是非それを見ていただければと思いますが、ImPACT自体はアメリカのDARPAプログラムがイメージにあって、DARPAをそのまま行うわけではないんですが、ハイリスク・ハイリターンのプロジェクトをしっかりと発見をしていく。これが実は安倍総理が目指す、世界で最も起業しやすい国、科学技術イノベーションを起こして、そういう知恵がどんどん産業化していく、そのためのアントレプレナーがどんどん生まれていく、そういう土壌を作るための触媒だという形で紹介をさせていただきました。何か一部マスコミの報道で、ImPACTはDARPA型であると。確かにDARPAはもちろん頭に置いているんですが、今のところ、政府の中にDARPAのような組織を作るという話はまだありません。これからいろいろな中身についても詰めていくところです。
 それから、安全保障の分野を排除する必要は私はないと思っているんですが、このImPACTは防衛技術のために作るというわけではありません。ただ、おっしゃったとおり、デュアルユースということは総合科学技術会議の中でも議論して入っていますから、それは防衛省の方も何かよいプロジェクトがあれば出していただきたいと思いますし、安全保障の分野も含めて、それが目的ではないんですが、幅広い分野で科学技術イノベーションを起こせる非連続的なブレークスルーを起こせるようなものをサポートできる仕組みになればいいかなと思います。
 それから、加えて言うと、創設はもう決定していますので、閣議決定で。SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とImPACT、目的は違いますが、これは創設は決定していますから、今プロジェクトマネジャーも含めて制度の詳細をいろいろと議論していただいていますが、これはきちんとしたプログラムになるように、予算の規模とかは敢えて申し上げません、ここでは。けれども、それはやはり総合科学技術会議司令塔機能強化の一環として担当大臣として打ち出したので、SIPとImPACTができなければ、もう科学技術担当大臣として失格だと思っていますから。特にSIPは、各省から4%拠出してもらったわけですよ。閣議決定があって総理の指示があったとはいえ、それぞれの各省に全面的に協力してもらったと。これを受けて出発して要望したわけですから、これは各省協力していただいた方のためにも相当の覚悟で実現をしなければいけないと思っています。
 ImPACT、これは、今、創設が決まって中身を詰めているんですが、もう一回言いますが、いちいち予算の規模とかを言うのは不適切だと思いますが、ある程度きちんとしたインパクトのある、正にImPACTですから、ものにしていきたいと思います。
(問)科学新聞の中村です。関連して、ImPACTの詳細を今設計されていると思うんですけれども、いつ頃までに詳細設計を終えられるんでしょうか。
(答)それは、いつまでということは今ここでは申し上げられませんけれども、いずれにせよ、そこはどのようにして財源のメカニズムを作るか。例えば中身を作っても財源がなければしようがないので、それをどうするかということとも関わってくると思います。今、予算のことは言わない方がよいと思うので、そのようないろいろな方向をにらみながら、中身をしっかり今詰めているところです。
(問)あと、もう一つ、先程若田さんのISSコマンダー、これが第2、第3のISSコマンダーを作っていく。一方では、日本政府が保障している期間、ISSにコミットする期間が決まっているんだと思うんですけれども、その先どうするかというのは、前も質問が出たかと思うんですが、改めて。
(答)ISSへの協力は、記者会見でも前に申し上げたと思いますが、もちろん意義があると思うんですね。まず国民に夢とロマンを与えるということもあるし、それだけではなくて、教育の面もあるし、あるいは人類の科学技術の進歩というところにも関わってくるし、それからもう一つは、各国の政府と協力するということから言えば国際協力という観点からも意味があると思います。
 他方、ここでも何度も言いましたが、新しい宇宙基本計画で、昨日どこかでも報道していましたが、安倍内閣の方針は、やはり先端的な科学技術をいかに経済成長に結びつけるか、成長力強化に結びつけるかということが哲学ですから、ISSは意義があると思います。これまで年間300億円から400億円ぐらい出して8,000億円ぐらいになっていると思うんですね。その中で、産業競争力に結びつくような成果が出ているかというと、まだまだそこは曖昧なところがあるわけであって、2020年までは、それはしっかり行わなければいけないと思うんですが、今、この限られた財源の中で、実験棟「きぼう」もいい仕事をたくさん行っていると思いますが、これについてもやはり経費の削減ということも頭に入れながら行っていくと。
 2020年以降については、よく長期ビジョンを作るとか言う人もいますが、これはいろいろな要素を勘案しながら総合的に判断していくという方がよいと思うんですね。国際協力の在り方とか、外交、安全保障、科学技術、いろいろな観点から総合的に2020年以降は判断していくということだと思います。もう細かなことは言いませんが、2016年以降の協力の仕方も、それぞれの国で違うわけですよね。そんなに簡単にみんなで協力していきましょうとか、もちろん協力していくんですが、それぞれ協力の仕方が違う。いちいち言いませんが、EUはどちらかというとマルチパーパスビークルの一部を開発するというところで貢献しようとしているし、いろいろ日本にも、どういう貢献をするのかというのは、これから2016年以降考えていかなければいけないということもあるので、そんなに単純ではないと思います。
 もう一回言いますが、ISSはとても意義があると思います。ただ、2020年以降の協力については、様々な要素を勘案して決めていくべきだと思います。
 それから、この動画、今お見せしたんですが、北方領土についてのフライヤーと動画のことについても一部記事がありましたが、動画とフライヤーは北方領土についても作成中ですので、いつの段階で公表するのかわかりませんが、それについて、やめるとか、そういう方針が決まったようなことはありません。それは領土・主権対策企画調整室を作った担当大臣として申し上げておきたいと思います。
 それから、前々回の記者会見でも申し上げましたが、領土担当大臣として、この11カ月間、慎重に行ってきました。領土・主権対策企画調整室は、総理と官房長官のバックアップをいただいて、かなり私の強いイニシアチブで設置をさせていただきました。領土担当大臣は、何でも、例えばとがったメッセージを出せばいいというものではありません。一方では安倍内閣がいかに領土・主権を重要視しているかということをアピールしつつ、他方では常に総理の外交戦略とか、あるいは外務省の外交戦略とか、このようなものと整合性を図りつつ発信していかなければいけないということだと思っていますし、それが安倍総理から期待されている、難しいですが、私は役割だと思っています。
 それを踏まえた上で言いますが、11カ月経って、特に領土・主権対策企画調整室ができて半年以上になりましたので、少なくとも領土・主権問題についての内外発信、特に発信、対外発信については、領土・主権対策企画調整室の機能をそろそろ高めていかなければいけない。きちんともう一歩踏み込んで、動画とフライヤーの話も出ましたが、発信については領土・主権対策企画調整室がしっかり中心となって行っていかなければいけないと、そういう時期だと思っておりますので、そのイニシアチブは大臣としてしっかり考えていきたいと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:461KB)


(会見では一部動画を使用しています。)

(以上)