山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月13日

(平成25年9月13日(金) 15:43~16:00  於:中央合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 それでは、第114回総合科学技術会議についての記者会見をさせていただきます。
 会議の中でも、最後に申し上げたのですが、安倍政権が誕生してから8回目の総合科学技術会議ということで、3月に最初の会合を開催してから7カ月経ちますが、この間、今日で8回目ということで、前政権の批判をするつもりはないのですが、前政権は1年間で3回ぐらいしか開催していませんので、総合科学技術会議を活性化せよという総理の大臣就任時にいただいたミッションはしっかり果たせているのではないかと思います。それだけ安倍総理がこの総合科学技術会議をバックアップしていただいているということだと思います。
 今日、2時からの総合科学技術会議の本会議では平成25年度の科学技術重要施策アクションプラン対象施策の特定、それから平成26年度科学技術イノベーションに適した環境創出のための重点施策、それから重要課題等の専門調査会の設置、環境エネルギー技術革新計画の改定について、決定をいただきました。同時に総合科学技術会議の今後の進め方について、議論をしていただきました。議論の場における出席議員からの主な発言をあまり細かくは言いませんが紹介させていただきたいと思います。
 まず、民間議員の橋本議員の方から総合科学政策会議の「三本の矢」、これは私がずっと言っていることですが、一つが施策の大括り化、二つ目がSIP、戦略的イノベーション創造プログラム、この二つについては形が見えてきたと。三つ目がFIRSTの後継、ImPACTだということで、FIRSTは本当に素晴らしいものだった、明るい展望を開く原動力になったと。しかし、次の種も必要なので、ImPACTが重要だと。これは麻生政権の時にFIRSTは立ち上げたので、そのこともちょっと言及しながらImPACTはお金ももちろんかかるけれども、将来の投資だと思って取り組んでほしいというお話がありまして、ImPACTには新しい仕組みも盛り込んである。例えば、DARPA型とか、プロジェクトマネージャーへの権限付与などがあるというお話がありました。
 民間議員の方でいうと、例えば久間議員からImPACTについて、これはプログラム・マネージャー、企業では事業をよく知っている者がプログラム・マネージャーとして研究開発プロジェクトをやっている。これを国レベルで初めてやったのが米国のDARPAなんだと。その仕組みを今回、我が国でも採用しようとしているということで、特にImPACTの中心コンセプトになってくるプログラム・マネージャーについては産官学から優秀な人材を幅広く結集したいという話がありました。
 下村文科大臣からは、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPとも言いますが、その予算拡充を実現していきたい。とにかく研究開発の成果をイノベーションにつなげていくための施策を合わせて進めていくべきだという話がありまして、研究現場の考えなどを適確に吸い上げるのが大事だと。同時にイノベーション実現の隘路を解消するためには、規制改革とか他の政策者とも相談できるように関係閣僚が協力すべきだという話がありました。
 甘利大臣からもSIPについて言及があり、SIPは総合科学技術会議の司令塔機能強化として極めて重要。これは高く評価したいというお言葉をいただきました。
 これからImPACTといいますから、FIRSTの後継プログラムですけれども、ImPACTはいかにプログラム・マネージャーなる人を見つけるかが大事だということで、やはり文科大臣と経産大臣に人材発掘の御協力をいただくことが必要なのではないかという話がありました。
 麻生大臣からも発言があって、ImPACTというのは橋本議員からのお話があったように、FIRSTの後継と位置づけたとすると、24年度の補正予算、25年度の本予算でも相当の額をFIRSTの後継策に使っている。そこをちゃんと理解してほしい。その上で、それに加えて新しいコンセプトのプロジェクトをやろうということだと思うが、とにかくテーマ設定に十分費用対効果を考えてほしい。(テーマを)どう絞り込むのか、あるいはガバナンスをどうするのかが重要。非常に鋭い御指摘だと思います。とにかく誰が責任をもつのか、誰がやるのかが大きいので、人選にはとにかく英知を集めてやってほしい。こういう発言がありました。それから、いろいろとあったのですが、簡単に言うと発言はそのような状況です。
 その後、総合科学技術会議の今後の進め方について、久間議員から工程表を更に充実していきたいという話、それから規制改革とか国際標準化についてもあわせて取り組んでいきたいという話がありました。総合科学技術会議の今後の進め方は、内山田議員から総合科学技術会議の今後の進め方についてプレゼンをしてもらい、それについて今、久間議員からの発言を御紹介しましたが、この中に、世界最高水準の研究開発法人をしっかりと実現していくという方針が盛り込まれていますので、そういうようなことについて、稲田大臣から御発言があって、とにかく総合科学技術会議と連携して規制改革に取り組んでいきたいということで、研究開発法人を含めた独法全体の改革は、一応、行革担当大臣として6月の中間取りまとめをもとに議論しているということで、研究開発法人について、例えば年内に総合科学技術会議で議論するということであれば、よく連携をお願いしたいという話がありました。
 この稲田大臣の発言の前に、下村文科大臣の方からは、研究開発法人のことについては山本大臣と協力して研究開発の特性を踏まえた、世界最高水準の運営を可能とする新たな研究開発法人制度のあり方についての検討を早急にやりたいと、こういう話がありました。それを受けて、稲田大臣から行革の話が出たということです。
 それから、研究開発法人制度については、民間議員の橋本議員からも意見が出て、世界最高水準にするということについては、これは閣議決定されている。今後はまず私の方で、総合科学技術会議担当大臣として論点を詰めてもらって、制度設計のたたき台を作ってもらいたいと。理想的な科学技術イノベーションを起こすための制度設計は何なのかということを少し大臣の方で考えてくださいと。その上で、総合科学技術会議でも議論したらどうかというお話がありました。これについては、私の方でそれを受けて、そういった論点をこちらでまとめて、どこかのタイミングで総合科学技術会議に付議したいと思いますし、そのように発言をいたしました。
 あと環境エネルギー技術の革新計画についても説明をしていただいて、石原環境大臣から長崎県の商用スケールの浮体式洋上風力の話とか、潮流発電とか地熱の有効利用等々について話がありました。大体、そのような流れだと思います。
 総理からは、4点あって、これはもうカメラの前で発言されていたので、皆さん御存じだと思いますが、とにかく今回26年度の科学技術関係予算についての重点化の対策とすべき施策を特定してもらったということで、この成果を来年度予算の編成課題できちんと反映させ、メリハリのある予算づくりに役立てていきたいということ。SIPの話。ImPACTの話。この2大事業は強力に推進していきたいということを総理から言ってもらいました。更にイノベーションに適した国づくりについては、これもしっかり精力的な審議をやってほしいと。
 本日決定した環境エネルギー技術革新計画、これは攻めの地球温暖化外交戦略を展開していくための支柱だと、これを是非我が国の外交展開にも役立ててもらいたいと、このような話がありました。大体、流れとしてはそういう形です。
 私の方からは、アクションプラン、それから重要施策については、特に今回関係各省から協力をいただいたということなので、このアクションプランに位置づけられたプログラムについては、できる限り予算を確保していただきたいということで、麻生財務大臣もおられたので、是非お願いをしますということは強調させていただきました。大体そのような感じです。流れとしては。
 何か御質問はありますか。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村ですけれども、先程大臣がおっしゃった研究開発法人の論点を整理して、CSTPに付議すると。いつごろまでに、目途というか。
(答)やはり今日有識者の方から意見が出ましたし、今後の総合科学技術会議の議論の方向性の中でもちゃんと文章として入っているので、できるだけ早く論点を整理して、総合科学技術会議に付議できるようにしたいと思います。しかし、ある程度時間も必要なので、今月中ぐらいからきちんとそういう議論を始めて、タイミングが遅くならないところで総合科学技術会議にもう一回正式に持っていこうと思います。
(問)そうなると来月の中ごろとか、そんな遅くない時期ですか。
(答)いずれにせよ今月中には議論をちゃんと、この取りまとめ議論も始めたいというふうに思いますし、どういう形になるかまだわかりませんけれども、下村文科大臣の方からもしっかり大臣同士でも検討したいという御発言がありましたから、この下村文科大臣の発言も受け、あるいは民間議員の方々の意見も踏まえてどういう形で総合科学技術会議に流れを付議していくかというプロセスをちょっと具体的に考えたいと思いますが、あまり遅くない時点で議論していきたいと思います。
(問)あとImPACTなんですけれども、なかなか財政状況厳しい中、どう予算を確保するか。事項要求になっているものですから、どのぐらいの予算がいつ確保できるのか。
(答)これは現時点ではまだどういう形になるかというのはわからないんですけれども、今日も有識者議員の方からも強い要望が出ていましたし、総理の方からもこの二つのプロジェクトは是非推進したいということですから、それを受けて、どういう形で実現できるかというのはこれから模索していきたいと思います。この創設は強くいろいろなところに働きかけていきたいと思います。
(問)例えば、消費税導入に伴う景気対策に絡む話とか、そういうところには絡んでくるんですか。
(答)そういうことはまだ全然議論になっていません。ただ一つ言うならば、下村文科大臣のほうから2020年のオリンピックの件についてちょっと話があって、一言で言うと2020年にオリンピックがある。これは日本をアピールするチャンスだから、科学技術イノベーションもしっかりここと平仄を合わせてしっかり発信していくべきではないかという趣旨の発言がありました。
 まだまだ、点数をつけにくいんですけれども、予算戦略会議がちゃんと創設できて、アクションプランの議論は今日もパワーポイントを使って、総合科学技術会議の本会議で私が説明したんですけれども、アクションプラン、いわゆる策定のプロセスも相当進化して、ここでもやりましたけれども、各省庁とこれだけ内閣府の事務局も頑張ってヒアリングをやり、総合科学技術会議の有識者議員の方もそうですけれども、相当喧々諤々やり、今までと比べるとやはり工程表を作るというところまで踏み込み、しかももう一回申し上げますけれども、各省の予算関係者、局長クラスの方々を集めた予算戦略会議も有効に進めながら、政策決定プロセスに総合科学技術会議のいろいろな意見を反映するというものは一本筋が通ったのではないかと思います。
 二つ目のSIP、これももちろん予算要求の段階ですから油断できませんが、一応基礎額として、要望額ではなくて、積み上げられた500億以上、これも全く油断はできませんが、実現の目途が付きつつあるのだろうと。何があってもこれをやらなければいけないと思いますが、最初の二つの矢は実現しつつあると思います。三本目のFIRST後継、FIRST後継という言い方はあまりよくないのですが、ImPACT、これがきちんと仕上がれば、何とか総合科学技術会議の活性化の時に随分前ですけれども、この記者会見で申し上げた総合科学技術会議機能強化のための三つの柱は揃うのかなと思っています。ですから、とにかくImPACTの方も頑張りたいと思います。
(問)日刊工業の小川と申します。
 先程の麻生大臣の発言趣旨を聞きますと、ImPACTの件で、あまり大規模な財政出動というか、盛り込みというのは何となく否定的なニュアンスなのかなという気はしたんですけれども。
(答)それは麻生大臣に聞いてみないとわかりませんけれども、私はそんなに否定的なニュアンスには取らなかったので、補正予算と本予算で、これだけつけているというのはもともと財務当局の元来の主張なので、それはともかくFIRSTとImPACTは違いますから、もちろんFIRSTの流れを引き継いでいる部分もありますけれども、基本的にはImPACTはまた違いますので、それについて、麻生大臣は認識していただいているようでしたし、やはり特定、費用対効果を考えてくれと。そのImPACTの存在とかImPACTの意義そのものを否定するような発言はなかったので、私はそんなネガティブな印象は持ちませんでした。いずれにせよ、この財政状況の中で予算確保をしていくというのは大変ですから、これからの我々の頑張り次第だと思います。
 是非、麻生大臣が言ったような、費用対効果のある本当にこれから日本の科学技術イノベーションを引っ張っていく上で、必要なプログラムに仕上げていくということが大事だと思っています。
(問)ImPACTについてなんですけれども、費用対効果を考えた場合、事前にある程度プログラム・マネージャーだとかテーマとかを決めないとそもそも費用対効果は出せないですよね。来年度予算案としては、来年の初めにはできてないといけない。ということになると年内にはある程度そういうものも決めなければいけないという、逆算するとそうなるんですか。
(答)ImPACTの中身については、いろいろ濃密な議論をしながら詰めていますから、やはりプログラム・マネージャーの問題もそうですし、費用対効果というか、科学技術イノベーションに役に立つプログラムに仕上げる努力をしていますから。それを実現するためのタイムテーブルにきちんと間に合わせて実現するということですから、そういう全体の流れを見ながら、しっかり詰めていきたいと思います。

(以上)