山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月3日

(平成25年9月3日(火) 11:10~11:34  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日は、閣議後の閣僚懇談会で発言をいたしました。
 平成26年度科学技術関係予算の概算要求についてですが、「日本再興戦略」等に基づいて、総合科学技術会議の司令塔機能を抜本的に強化するために新たに創設する戦略的イノベーション創造プログラムの財源、人員の確保等に当たり、関係閣僚に全面的に御協力いただくよう安倍総理から御指示があったというお話をさせていただいて、これを受けて、厳しい予算の調整にもかかわらず、関係府省から全面的な御協力をいただき、内閣府に計上する科学技術イノベーション創造推進費517億円を要求することができたと、このことについて改めて感謝を申し上げました。
 これは御存じのとおり、府省の枠を超えて基礎研究から出口、実用化、事業化までを見据えた研究開発等を推進する画期的な取組であって、「日本再興戦略」の要である科学技術イノベーション関連予算の充実も引き続き取り組んでいく所存だということで、関係閣僚において引き続き御協力をいただきますようお願いしたいと、このような発言を閣僚懇でさせていただいたということを報告をしたいと思います。
 今日もお知らせがあるんですが、9月3日本日から9月5日までの間、フィリピンを訪問いたします。訪問の主な目的は、沖縄担当大臣として、米海軍のスービック基地の跡地及び米空軍クラーク基地跡地の視察と、領土担当大臣としてのデル・ロサリオ外務大臣及びガズミン国防大臣との会談でございます。視察では、両基地の跡地における跡地の利用状況を確認したいと思いますし、また、各基地跡に進出している日系企業の訪問なども考えております。
 今般の基地跡地の視察は、沖縄における米軍基地返還後の跡地利用計画を考える上で大きな意味があると考えています。
 更に、デル・ロサリオ外務大臣、それからガズミン国防大臣との会談では、領土主権をめぐる情勢に対する我が国の立場について、フィリピンにおいても正確な理解が浸透されるよう領土担当大臣として発信をさせていただこうと思っております。
 フィリピンの大統領が中国行きを中止いたしました。日本とフィリピンは同じような問題を抱えているということで、このタイミングで情報交換をする、領土担当大臣として発信をするということには、私は大きな意味があると思っております。少なくとも尖閣における日本の立場についてしっかりと正しい認識を持っていただけるように発信をさせていただきたいと考えております。
 さて、今日のお知らせはその二つなんですが、前回に引き続きましてプレゼンをさせていただきたいと思っています。
 8月30日に、皆さん御存じのとおり、各府省が概算要求を提出いたしました。これについて、総合科学技術会議がどのように司令塔機能を発揮したかということを説明させていただきたいと思います。
 今日はスライドの一部が内閣府スタッフの努力によってちょっとだけ動きますので。
 平成25年7月31日の総合科学技術会議で、平成26年度科学技術重要施策のアクションプランを決定いたしました。その際、総理の方から、「科学技術イノベーション政策の司令塔として、各省の要求を精査して予算重点化の対象とすべき施策を特定してほしい」と、こういう指示をいただいたところでございます。
 この平成26年度のアクションプランの進化点について皆さんにお話をさせていただきたいと思うんですが、アクションプランというのは、御存じのとおり、概算要求前に各省の施策を誘導し予算の重点化を図ると、こういうものなんですが、今までは、これを見てください。何か虫歯のバイ菌みたいな感じに見えますけど、とにかく各省と司令塔が一緒になって、このようにいろいろなところに努力をしながら概算要求に結びつけていくという、その流れを一応アニメとしてここにつけたんですが、この五つの政策課題について、課題解決型で取り組むということで、一番のポイント、この進化点というのは、工程表を示したということだと思うんです。過去のアクションプランは、これとこういう政策が重要ですよと、それについて、財務省にもしっかりと話をしていったわけなんですが、実は、この五つの課題について工程表もしっかりと提示すると、どういう各省の施策が目標に向けて具体的に取り組むべきかというところまでをしっかり概算要求に結びつけていくというところが、これは26年度のアクションプランの進化点だと思います。
 もう一つ大きな進化点がありまして、これは、予算戦略会議ですね。これはシーリング前に予算戦略会議を2回開催いたしました。これは、大臣と関係各省の幹部が意識を合わせるということで、私の下に各省の科学技術担当の幹部を集めて「スピード感、実行性、一体感を持って予算重点化に取り組む」と、この試みを2回開催いたしまして、シーリング前から予算編成を主導した。これは、今までのアクションプランとかなり違うというところだと思っています。具体的な工程を示して、課題達成に向けた各府省の取組を促進する。特に、各府省施策の積極的なプログラム化、各府省の関連施策を大括り化をするということを促進いたしました。それから、社会実装に向けたマネジメント体制の明確化ということもありまして、予算重点化の対象とすべき施策の特定を図ってきたということです。
 これは、施策のプログラム化に向けた取組ということで、関係府省を一堂に介して大括り化を行いました。今までなかったことです。とにかくお互いの施策をここで見せ合うので一目瞭然ですから、これは逃げられないということで、喧々諤々(けんけんがくがく)議論したという、その喧々諤々の雰囲気を出してみたんですが、これも原始的なアニメでございますが、喧々諤々、もう一回動かしてください。喧々諤々行っているんですね、今ここで。という感じで、責任府省の特定、それから連携方策の助言を行うということでプログラム化を強力に推進してまいりました。こういう状況は、今までに、各府省がこのように全員ここに集まっていただいて、事務局、有識者議員、外部有識者とこのように議論をする、こういうやり方というのは初めてのことだと思っています。かなり変わったと思います。
 こういう経過を経て、8月30日のアクションプランの対象施策(案)というのを取りまとめて、概算要求を各省から提出をしたということなんですが、実は、9月に予定されている本会議でアクションプラン対象施策を最終決定するということなので、これはまだ完全に決まったわけではないのであまり細かくは言えませんが、ざっと言うと、240あった各省から出てきた、ヒアリングをした施策の中から、130施策を40にプログラム化して、大括り化をいたしました。これも事務局に精力的に各省と議論を行ってもらいました。大括り化を含む100の施策をアクションプラン対象施策として案として取りまとめています。この特定施策を踏まえた工程表を、先程みんなが動いているシーンがありましたが、この詳細な工程表を作成したということで、もう一回言いますが、9月の総合科学技術会議、財務大臣にも御出席いただきますが、アクションプラン対象施策の決定をする予定です。
 まだ最終決定していないんですが、いくつか大まかに紹介をしたいと思います。
 一つは、例えば一例として、「クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現」ということで、これはエネルギー分野で洋上風力発電を取り上げるということなんですね。これもアニメーションがあるんですが、海は常に風が吹いているということで、風力発電に絶好の場所なんです。回りました。今常に風が吹いているんですね。なぜ飛行機が回っているのかよくわからないんですが、これは大体大きさ、エアバスがこのくらいの大きさだということなんですね、それを比較するために今ちょっと回しているんです。
 風力発電は、皆さん御存じのとおり欧州勢に先行されていますが、建設が楽な遠浅の海岸で着工しているので、適用場所が限られているんです。でも、日本は遠浅でなくてもどこでも適用できる浮体式洋上風力発電を目指しております。しかも、構成の部品がとにかく多いので、周辺産業の広がりも広いということで、実用化すれば海外売込みにもつながっていくのではないかと考えています。
 各省の連携でいうと、浮体式システムの先鞭をつけた環境省のプロジェクトと、それから大型化、電力産業への組込みを行う経産省が連携して実施すると、こういう形になると思います。
 それから、これも一例なんですが、「世界に先駆けた次世代インフラの整備」ということで、高度成長時代に集中的に整備された社会インフラが今高齢化をしているということで、IT技術を使って厳しい財政状況の中でも効率・効果的にインフラ整備をしていく、守っていくというプランなんですが、守りだけではなくてインフラ輸出に大きなアドバンテージをつけて攻めの経済外交につなげるということで、何か雰囲気だけ、このような感じで、攻めていくという感じですね。他は動かないんでしょうかね。これだけなんですが、攻めてとにかくガンガンいくという雰囲気を出してみました。
 社会インフラ整備費、年間約20兆円規模なんですが、うち維持管理・更新に年間、皆さん御存じのとおり9兆円いります。それから、2030年には維持管理・更新費用が18兆円になるだろうと。今後50年間では190兆円が必要だという試算がありますので、こうした次世代インフラの整備は非常に大事になってくるということです。
 各省連携で言いますと、構造材料、診断ロボット、これは文科省、超低消費電力センサーの経産省、それから効率的なデータ収集ネットワークの総務省、インフラを実際にマネジメントしている国交省・農水省の5省が連携することで、確実に社会実装できる体制となっていると、こういうことです。
 最後にもう一つ紹介したいと思います。これが私は一番気に入っているので、これは皆さん誰だか御存じだと思うんですが、これは私にあまり似ていない気もするんですけど、髪形だけは非常に似ている感じがするんですが、これは、「地域資源を‘強み’とした地域の再生」ということで、「IT・ロボット技術等による生産・流通システム等の高度化」なんですね。
 攻めの農業を実現するために、科学技術を用いて農業の生産システムの高度化を行うと、これは人工衛星ですが、具体的に言うと、IT技術を用いた農業の自動化、私が動いているんですが、今動き始めましたけど。
 匠の技を継承するデータベースとか、あるいは100マイクロメートル以下の大変微細な気泡であるファインバブル技術というのがあるんですが、その生育の促進とか、こういうものをいろいろ、これファインバブルですね、こういうものを匠の技、匠の技もきちんと動いていますから、ファインバブルも今ちょっとお見せしていますが、こういうものをしっかり組み合わせて高効率あるいは高収量を実現するということです。
 各省連携でいうと、IT・ロボット技術を生産現場に導入してコストの低減、収益向上を目指す農水省と、ファインバブル技術ですね、これを応用して農作物の生育促進を目指す経産省が連携をするということになっております。
 ちなみにこのトラクターなんですが、GPS制御による自動化の例ですが、このアニメーションのとおりきちんと畑のふちで折り返すと、これが一番のポイントです。ここに来たらきちんと折り返していくということで、これをずっと見ていてもしようがないんですが、これが一番私は気に入っております。
 ということで、最後、9月にアクションプラン対象施策を決定いたします。PDCAサイクルを回すための詳細工程表も併せて決定をいたしますので、是非御期待をいただきたいと思います。
 ここまで今回アクションプランを進化させて、関係各省にも協力をしてもらって、新しい形で進めてきましたので、やはり総合科学技術会議がしっかりと認定をしたアクションプラン対象施策については、これはできるだけ予算をつけてもらいたいと思いますし、我々としても、しっかりそこは財務当局、財政当局にも働きかけていきたいと思いますし、ありとあらゆる機会を通じて、こういうアクションプランなんだということを内外にアピールをしていきたいと思っております。
 ということで、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの高野です。フィリピン訪問についてお伺いします。領土担当大臣として行かれることで、何か向こうの大臣と合意に達したいとお考えになっていることはありますか。若しくは、日本とこういう日中関係、もしくはフィリピンと中国の関係が難しい状況の中で、今後フィリピンとの何か連携、具体的な連携に向けたものに結びつけたい、どんな連携に結びつけたいと、そういうふうに考えていますか。
(答)連携ということになると、おそらく外交交渉等々の部分も入ってくると思うので、これは外務省の所掌、外務大臣の所掌だと思っています。ただ、私は領土担当大臣として領土問題を対外発信するという、そういう役目を担っていますから、少なくともフィリピンの外務大臣と国防大臣に、例えば尖閣をめぐる正しい正確な状況、なぜ日本の固有の領土なのかということ、それからやはり現状を力で変えようとしているのは中国政府だということはしっかりお伝えをしていきたいと思います。おそらく外務大臣や国務大臣からも、フィリピンの対応についてのお話があると思いますから、それはしっかりと受け止めて、やはり連携をしていく。連携というのは、有識者の懇談会の報告書の中にもあるように、やはり関係国との連携をしっかりしていくというのがありますから、それを踏まえて外務大臣と国防大臣とお話をしたい。タイミング的には非常にタイムリーではないかと、そう思っています。
(問)科学新聞の中村です。アクションプランの対象施策なんですが、予算的にはどのぐらいの規模感になった感じなのでしょうか。
(答)どのくらいですかね、正確に。まだ最終決定していないんですけど。

(事務方)全体的に3,000億円を超える額で。

(答)3,000億円は確実に超えるんですかね。

(事務方)はい。

(答)まだ正確には。

(事務方)最終的には決まっていない。要望額など。
(問)あと、これを決定する本会議なんですが、いつ頃の予定でしょうか。
(答)9月だと思います。9月中に行うということになると思います。
(問)前半後半とかいろいろありますが。
(答)前半だと思います。前半ぐらいだそうです。総理もおられますし、財務大臣もおられますし、そこで総合科学技術会議として自信を持って推薦したアクションプランを、まずそこでしっかりアピールしたいと思います。これは、是非予算をつけてもらいたいということをはっきり申し上げたいと思います。
(問)あと、FIRST(最先端研究開発支援プログラム)の後継施策なんですが、それはこのアクションプランには入ってこないのでしょうか。
(答)それは入っていないと思うんですけどね。FIRSTの後継プログラムについても、昨日の産業競争力会議でも発言をいたしましたが、これは今一生懸命骨格を固めているというところなんですね。前回の記者会見でも少しお話ししたと思うんですが、まだどこに計上するかとか財源をどうするかという問題もありますので、あるいはPM(プロジェクトマネージャー)の扱いとかいろいろなことがあるので、まだ今議論しているんですが、少なくともあらゆる手段で、様々なあらゆる手段を使って何とかこれは形にしたいと思っていますし、そういう方針は打ち出しています。
(問)あと、今回、予算要求が1割減で要望が多い中で科学技術予算を確保するためには、ある程度補正予算というのも念頭にあるんじゃないのかなと勝手に推測しているんですが、補正予算についてはどうなんでしょうか。
(答)現段階で補正予算のことについてはコメントできないと思うんですが、とにかくあらゆる手段を使って必要な額を確保したいと思いますし、先程も申し上げましたが、ちょっと手前みそで申しわけないんですが、500億円を超える枠、これは総合科学技術会議の目利きで、もちろん各省ときちんと協議しながらですが、決められる枠を作ったSIP、戦略的イノベーション創造プログラム、これは画期的だと思うんですね。昨日、産業競争力会議でも何度かこの話が出てきて、これは画期的だと民間議員の方々からもお話をいただいているので、これは総合科学技術会議の司令塔機能強化の柱の一つとしてしっかり活用していきたいと思いますし、それと同時に、これも何度も言っていますが、総合科学技術会議の抜本的な機能強化の一環としてFIRSTの後継プログラムというのもあるので、これも、あらゆる方策で頑張っていきたいと思いますし、最後に、質問の根本ですが、科学技術関係予算、これは全体のパイを増やしていくというのはもちろん簡単ではないと思いますが、これは下村大臣を始め関係の閣僚とスクラムを組んで最大限の努力をしていきたいと思います。
(問)ライターしています藤井と申します。昨日のパーソナルデータに関する検討会、私も傍聴させていただきました。信頼性のある第三者機関の検討というふうなところが焦点になると思うんですけれども、とはいえ、前回の会見で、Suicaのデータ販売についても触れられていらっしゃったと思うんですけれども、ユーザーの間で不信感が根強いのも現状だと思います。これを払拭するために、検討会でも「啓発」という言葉が使われていましたけれども、国としてどのような発信が必要なのかお考えいただければと思います。
(答)それは今意見として承っておきたいと思います。今の第三者機関の話も含めて現状の問題をしっかり踏まえて、これから有識者の皆さんに議論をしていただいて方向性を出していきたいと思います。
(問)時事通信の浅見です。フィリピンの件なんですが、国防大臣と外務大臣とお話される時に、尖閣以外で発信したいこと、また協議したいことというのはあるのでしょうか。
(答)それは外務大臣と国防大臣に会うときは、やはり領土担当大臣、海洋政策担当大臣として会うということだと思います。ただ、基地の跡地利用の話で会いますから、これは国防大臣の所管に関わるところなんでしょうかね、フィリピンの。関連しているところもあると思うので、そこは全体の話になるところもあるのかなと思います。基本的には、領土担当大臣として、海洋政策担当大臣としてお目にかかりたいなと思っています。
 あと、まだわかりませんが、科学技術担当大臣にも会える可能性があるので、そこはやはり科学技術政策について意見交換をするということはあるかもしれません。まだ現時点では固まっていません。外務大臣と国防大臣にはお目にかかれると思います。
(問)関連ですが、フィリピンの大臣と会うということで、対中国の包囲網のようなものを築きたいというお考えはあるのでしょうか。
(答)そういう特に特定の国を意識したアプローチはしないつもりです。ただ、もう一回言いますが、こういうタイミングで日本の領土問題に対する立場、尖閣における日本の主張の正当性、これは間違いなく日本の固有の領土であって、なおかつ、日本は常に対話で平和的な解決を望んでいるにもかかわらず、力で現状を変更しているのは中国だということはしっかりと説明をして日本の立場をわかっていただくと、こういうことがやはり一番のポイントだと思います。
 よろしいですか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:1,009KB)

(以上)