山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年7月31日

(平成25年7月31日(水) 18:25~18:45  於:合同庁舎4号館6階 605会見室)

1.発言要旨

 本日17時から総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。まず皆さんに申し上げたいのは、昨年の12月に科学技術担当大臣に任命された時に安倍総理から、総合科学技術会議をもう一回輝かせてほしいと、再活性化してほしいというお話がありました。それを踏まえて、もちろんその機能強化等々もやってきたわけですけれども、前政権下では1年間に数回しか行われなかったということですが、今日をもって7回目ということです。3月に今の総合科学技術会議の新メンバーのもとで新しい体制がスタートしましたから、4、5、6、7月と、5カ月で7回目ということで、そういう意味で言うと、科学技術イノベーション総合戦略の前に少し集中的になりましたけれども、選挙も終わって、新しい体制になって、さらに総理出席のもとで総合科学技術会議が行われたということには意味があると非常に思います。5カ月間で7回というペースは今までなかったのではないかなと思っていますし、こういう形で必要に応じてしっかり本会議をこれからも開いて、成長戦略のコアである科学技術政策、科学技術イノベーション政策を議論していきたいと思います。
 今日の本会議の御報告をしたいと思いますが、会議には臨時議員として甘利大臣、稲田大臣をお招きいたしました。麻生大臣の代理で山口副大臣と、それから茂木大臣の代理で佐藤政務官が出席をされています。環境エネルギー技術革新計画の改定の方の審議時には、鈴木外務副大臣と田中環境副大臣にも審議に加わっていただきました。
 今日は平成26年度科学技術に対する予算等の資源配分方針を決定していただきました。このほか国家的に重要な研究開発の評価結果についても決定をいただきました。ご存じのとおり国家的に重要な研究開発の評価というのは、総合科学技術会議の重要な機能の一つになっています。
 議論の場で、出席議員からあった主な御発言を紹介したいと思います。まず、資源配分方針について、民間議員の原山議員の方から、資源配分方針が既に実践に入っており、アクションプランを作るプロセスで各省と対話して府省連携を進めているので、これを継続しながら、さらに実効性あるものにしていきたいと。
 橋本議員からは、今、アクションプラン対象施策の特定に向けてヒアリングをやっていると。昨年に比べ今年は各省庁の連携がしっかり行われているというお話がありました。
 久間議員の方から、去年と今年は全然違うと。総理の御指示による司令塔機能強化、あるいは私のイニシアチブで進めてきた3つの施策が大きな効果をあらわしているのではないかと。誘導の仕方としてのプログラム化というものが初めて行われて、各省の似たようなテーマを1つにまとめて連携が加速していると。次のステップとしては、省庁の連携の中で、リーダー省庁というものを作って、全体を束ねるというやり方も大事なのではないかというお話もありました。
 平野議員からは、健康長寿分野についての日本版NIHをやっていくことについて、これはもちろん前向きに捉えているが、作るからには本当にいいものにしてほしいと。アカデミアの意見も取り入れてほしいということがありまして、総合科学技術会議の戦略的イノベーション創造プログラムでもこれに貢献できるのではないかというお話がありました。
 内山田議員からは、今回の戦略的イノベーション創造プログラム、これは独自の予算で作るわけですが、これまでと違う点は、決定された予算を単に配分して実行されるということだったけれども、今度はプロジェクトマネージャーとか、プログラムダイレクターとか、こういうものを設けて運営するということで、日本では初めての試みであって、そういうPMとかPDにふさわしい人材を産官学から探す必要があって、ぜひ各方面から御協力をいただきたいという話がありました。
 中鉢議員の方からは、アクションプランの目的は各省の重複、分散の無駄を省くということ、今回は各省の重複、分散がどうなっているのか捉えられるようになってきたと。最初のチャレンジですけれども、成果が出るように頑張りたいという話がありました。
 大西議員からも、資源配分方針とアクションプラン、今年は去年と違う実感があって、スピーディーかつ強力に推進されているというお話がありました。イノベーションのためには政府だけではなくて、企業等の担い手が活躍することが大事であって、多様な担い手と交流して、議題をつかんで組み込んだ取組が必要だという話がありました。
 青木議員の方からは資源配分方針について、科学技術イノベーションに適した環境を創出するため、これまでの取り組みの効果を高め、組織や仕組みの改革にしっかり取り組んでいく必要があるので、ぜひ今後とも総理、行革担当相、よろしくお願いしますと。こんな話がありました。
 ここまでは民間議員の方々の御意見ですが、総理が最後、プレスを入れて、総理の方からお話がありましたけれども、総理の方からは、カメラが入っていましたけれども、いつも大体お叱りを受けている中で、今日はいろいろとお褒めの言葉をいただいたという話があって、いろんな会議でいろんな多分、注文がそれぞれ委員や議員の方々からあるんだと思いますが、今回は先ほど申し上げたとおり、総合科学技術会議にかかわってきた経験のある議員の方々から、やっぱり去年と今年は全然違うと。よりスピーディーに動いているという、そういう意見が相当出されまして、本当に総理のリーダーシップのおかげだという話もありましたし、科学技術担当大臣もしっかり頑張っているというお言葉もあったので、そういう議論が総理の頭の中にあって、ああいう御発言になったのかなと思っています。
 その他、資源配分方針について、主な発言、大臣からの発言についてもちょっと御紹介させていただきたいと思いますが、下村大臣から、民主党政権下で削減された科学技術予算を抜本的に増額させるなど、十分な予算を確保することが大事だということと、戦略的イノベーション創造プログラムは規制改革などの他の政策手段と連動して、研究開発を推進する新たな施策だと。内閣府に必要な要求枠を設けてもらうことが大事だという話がありました。
 甘利大臣からは、資源配分方針、これは司令塔機能強化の実現に重要であって、戦略的イノベーション創造プログラムは特に大事だと、改めて後押しをいただきました。総合科学技術会議においては、予算を重点化する研究開発課題を主体的に定めて、各省が一体的に取り組む体制を作ってもらいたいと。特に戦略的イノベーション創造プログラムについては、国全体の研究開発予算を見直し、内閣府に計上するということが決まったわけですから、これは山本大臣が中心となって着実にやってほしいと。こんな話がありました。
 山口財務副大臣の方からは、下村大臣とちょっと方向がやや違いますけれども、戦略的イノベーション創造プログラムの予算については、効率化、効果の最大化を図る観点から、既存の研究開発予算の見直しを行った上で、確保するとされているというお話がありまして、既存の研究開発予算からの財源の捻出について、関係各省においてはしっかり取り組んでほしいと、これはやっぱり財務省の考え方ということだと思います。
 その他、佐藤政務官から、資源配分方針について、予算の重点化が図られるように、しっかり総合科学技術会議、頑張ってくださいというようなお話もありました。資源配分方針については、そんな形だったと思います。
 それで、二つ目の議題、国家的に重要な研究開発の評価のほうでは、後で事務方の方から動画も皆さんにお見せしたいと思うのですが、今日初めて総合科学技術会議のプレゼンの中で動画を使わせていただきました。スーパーコンピュータ京を通じて行ったシミュレーションです。一つは心臓の血流のシミュレーションと、もう一つは津波のシミュレーションなんですけれども、これを今日は紹介をさせていただいたので、この後でちょっと、この私の記者会見の後で、もし御興味があれば、ここでお見せしたいと思います。
 下村大臣の方からはスパコン京について、これは社会的、科学的課題の解決に資する画期的な成果が創出されていると。産業政策や安心・安全のためにもこれは国家的に大事な基幹技術だというお話がありました。2020年ごろまでに京の100倍の性能を有するスーパーコンピュータの開発の実現を目指して、文科省としても取り組んでいくという話がありました。ターゲットタンパクプログラムについては、研究成果の実用化に向けて取り組んでいきたいと。こういう話がありました。
 それから、課題の3つ目の環境エネルギー技術の革新計画の方ですが、これについても下村大臣から発言がありました。再生可能エネルギーの技術開発は、府省の枠組みを超えた連携が必要だと。成果を社会改革に結びつけるために、新たな取り組みに関する議論がなされており、具体的な対応策を検討することが大事だという話がありました。
 その他、佐藤政務官とか、田中環境副大臣からもいろいろとお話がありましたが、これはもし御興味があれば、少し事務方の方からまた説明をしてもらえればと思います。
 総理の発言メモはここにありますけれども、テレビとカメラとペンの前で総理のされた御発言ですから、皆さんご存じだと思います。私としては、この資源配分方針について、総理がきちっと山本大臣に協力をするようにという指示を出していただいたことは非常に意味があったと思いますし、科学技術イノベーション政策の司令塔として、しっかり各省の要求を精査して、予算重点化の対象とすべき施策を特定してほしいというお話もありましたし、何よりもありがたかったのは、この戦略的イノベーション創造プログラムについて、これから対象課題、推進体制、財源、人員の確保、こういう作業をやっていくわけで、これについて、やはり関係閣僚にしっかり協力をしてほしいと、こう言っていただいたのは非常に意味があったのではないかと思っております。
 科学技術予算の確保については、予算戦略会議の方でも、各省からなされましたし、今日、下村文科大臣からもお話があって、私も科学技術政策担当大臣ですから、当然予算確保に努力をしっかりしていきたいと思いますが、この戦略的イノベーション創造プログラムについては、もうご存じのとおり、内閣府にしっかり予算を計上するという仕組みになりましたので、いかなることがあっても、いかなる状況があっても、これは内閣府でしっかりと、もう当然ですけれども、最低500億のプログラムを作ると、その方針を堅持していきたいと思っています。
 何か御質問があれば、お受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の瀬川ですけれども、その予算の面なんですけれども、財源をどうするかという問題は、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
(答)これは今までいろんな議論を重ねてきましたけれども、それは科学技術予算を確保する中で、ほかのプログラムを削るという発想よりは、やはりそれは科学技術予算を確保する中で実現できれば一番いいと思っています。しかし、確保できようができまいが、こういう言い方をするとあれなんですけれども、いかなる財源であろうと、総合科学技術会議がきちっとその目利きで決められる府省横断のプログラムを作るということが国益ですから、そこの意義は全く変わらないと思っています。さっき申し上げたとおり、科学技術政策担当大臣としては、科学技術予算の確保については、これは努力をしていきたいと思います。
(問)ほかの科学予算を削るという……
(答)削るという発想ではないと思うんです。削るのではなくて、やはりある程度の予算配分というものをきちっと総合科学技術会議が決めることが、やはり科学技術政策のためになるし、国益になるということだと思います。削るというよりも、発想としてはやはり科学技術予算を増やすという方向が、これが望ましいことは間違いないと思います。ただ、もう一回言いますけれども、いかなる形になっても、これは財源がどうあろうと、これはやはり総合科学技術会議で持つということに意味があるので、これはもう実現が決まっていますから、予算計上すると。それはもう100%進めていきたいと思います。
(問)日経BPの河野です。
 プログラムでPMとかPDを作るという話が出ていますけれども、これは多分1つの課題について、1つの例えばPMとかいう話なんですけれども、課題の数としてはどれぐらい、どの程度見ていらっしゃいますか。
(答)それはまだはっきり決まっていないので、先ほど申し上げた戦略的イノベーション創造プログラムも、それからFIRSTの後継の方もそうですけれども、今これはしっかり議論しています。FIRSTの後継プログラムについては、推進会議があって、その下にきちっとした検討チームを作っていますから、そこでもうそれぞれ5,6回開催して、きちんと議論していますので、これもしっかり、今、中身を詰めているところ。戦略的イノベーション創造プログラムも随分、何か各省庁と議論しながら、方向性が決まってきましたから、今言った課題の数とか、そういうのも含めて、これからしっかり議論していくということになります。
(問)そうなると、1課題についてどれぐらい金額があったほうがいいというのも、まだ検討課題ということなんですか。
(答)いろんな考え方がありますね。私も自分の感覚がありますけれども、今はちょっと議論している最中だから、あえて幾つとかいうことはちょっと差し控えたいと思います。
(問)あと創造プログラムについて、創造プログラムはライフサイエンス分野にもかかわると思うんですが、日本版NIHとの役割分担については、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
(答)それは前回の記者会見でも申し上げたとおり、総合科学技術会議が全体を俯瞰する役割というものが、まずすごく重要だということが一方であって、他方でNIHがライフサイエンス分野、この健康・医療戦略室というのができましたけれども、これを中心にイニシアチブをとってやっていくということも、これも非常に大事だし、前向きに捉えているので、その中でどうやってスムーズな連携を図っていくというのを今、議論しています。
(問)これもまだ検討課題。
(答)まだ今のところ、どういう形になるかというのを議論しています。でも多分、きちっと連携、いい意味での連携ができるようなところに落ち着くと思っています。
(問)すみません、科学新聞の中村です。
 FIRSTの後継についてなんですけれども、8月末の概算要求までにある程度まとめると。それで、実際の予算については、例えば内閣府で要求するのか、例えば、最初、今回みたいに文科省に計上してどうするのかとか、そこら辺についてどのように。
(答)そこも今、ちょっと検討中ですね。今、おっしゃったように、8月までにはきちっと決めなければいけないので、それは推進会議と検討チームをそれぞれ5,6回開催していて、今、議論している最中なので、どういうスキームにするのかというのは、その中でしっかり決めていきたいと思います。
(問)もう一つは、科学技術予算全体なんですけれども、先ほどから増えたほうがいいよねという話もあるんですけれども、来週にはシーリングも出てくるかと思うんですけれども、それについて、大臣としてはどのように取り組んで。
(答)科学技術予算は増えた方がいいに決まっているので、それについてはもちろん努力をしていきたいと思います。これは財務当局とのいろいろな、多分、議論もしなければいけないと思いますけれども、科学技術予算自体は民主党政権時代に削られていますから、それは全体としてやはり関係各省とも連携をしながら増やす努力をしなければならないと思います。
(問)あともう一つ、戦略的イノベーション創造プログラムなんですけれども、これの考え方が、目未定経費で内閣府で計上して、予算原案がついてから、ある程度配分をすると。そうすると、今までの戦略推進費、昔の科学技術振興調整費と何が違うのか、もちろん計上しているのが文科省と内閣府で違いますけれども、従来と大きく何が違うのかということについては、どのようにお考えでしょうか。
(答)まず、今言った仕組みについてはちょっと、これも戦略的なものですから、今、検討しています。何が違うかというと、まず、総合科学技術会議自体が全然違いますよね。まず、総合科学技術会議の機能強化、抜本的機能強化ということで、もう7回やっています。いろんな意味で総合科学技術会議の機能強化をしていますから、この総合科学技術会議の目利きとリーダーシップが、実はこのプログラムを作っていく上で物すごく重要だと思いますね。それは過去にはなかったことだから、さっき申し上げたとおり、何度も言っているように、何でこの戦略イノベーションプログラムを作ったかというと、これが国益だと信じているからであって、科学技術イノベーション政策を進めていく上で、今の総合科学技術会議の力を使って、機能強化した総合科学技術会議でしっかり目利きをして、戦略的に資源を配分していくということが国益に資すると思ってやっているわけですよね。当時はそういう仕組みがないですから、総合科学技術会議はかなり生まれ変わって、少しずつまさに成長しているということだと思います。だから、今日も民間議員の方々から、去年と全然違うという話が出てきたので、しっかり総合科学技術会議を機能強化して、総合科学技術会議の主導で決めるということが、もう既に全然違うと思います。
(問)あともう一つ、これは全体というか、アクションプランについてなんですけれども、去年のように重点施策パッケージはなくしたと、去年あった。そうすることによって、各省としては、言い訳できないというか、これに出てこないものについて、要するにアクションプランの対象となっていない政策のプログラムを各省が要求してきた場合、総合科学技術会議としては、もうバツをつけるというような覚悟のあらわれなんでしょうか。
(答)そこら辺の感触はちょっと事務方に聞いてもらえればと思うんですが、要はアクションプランをより効果的なものにするためにはどうするかという発想から多分いろんなことが来ているんだと思うんですけれども、前回も申し上げたとおり、予算戦略会議、これが大きな、多分、鍵になるのではないかと思うんです。今日も会議の中で関係閣僚と総理にお礼を申し上げたんだけれども、総理の強力なバックアップがあって、この予算戦略会議は各省の科学技術政策の本当にメインストリームで、担当者が出てきているわけですよ、局長級クラスの人たちが。だから、ここでしっかり流れを作っていくということで、アクションプランのプロセスもさらにブラッシュアップされていくのではないかと思うし、今、各省といろいろ協議をやっていると思いますが、課長レベルでいろんなヒアリングを多分やっていると思いますが、これも去年と全然違うということになっていると思うので、だから、予算戦略会議を活用していきたいと思います、特に。今言った覚悟どうの云々、現場の感覚も少し直接聞いてもらった方がいいと思いますので。

(以上)