山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月28日

(平成25年6月28日(金) 9:27~9:51  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 まず、閣議ですが、今日は閣僚懇で遠藤CIO(内閣情報通信政策監)、新しいCIOによる情報通信技術、IT関係施策に関する平成26年度の戦略的予算重点方針が決定されたということを報告を申し上げ、各府省に対して、この方針を踏まえた概算要求を検討いただきたいということをお願いさせていただきました。
 閣議についての報告は以上です。
 それから、閣議の後に、先程、小野寺防衛大臣が私の大臣室に来られて、フィリピン出張に関する意見交換をいたしました。具体的に言うと、小野寺大臣、今回、フィリピンに行って、ルソン島にあるスービック海軍基地跡地の開発状況等を視察されたということで、これはよく跡地利用の成功例として挙げられる話だと思うんですが、これは、やはり沖縄における跡地利用を進めていく上で参考になるのではないかという、こういう話がありました。多くの企業が進出している様子、なぜ、スービックがあの大きな雇用を生み出したのかということについても説明をいただいて、大変興味深く話を伺いました。
 いずれにせよ、跡地利用の推進は重要な課題ですから、引き続き沖縄県及び関係市町村と連携して取り組んでまいりたいと思いますし、夏の戦いを乗り切ったらということなんですが、やはり沖縄担当大臣としては、夏以降できるだけ早く、スービックとクラーク、フィリピンの基地の跡地利用は視察をさせていただきたいと考えております。
 それから、領土担当大臣として、やはり一言申し上げなければいけないと思うんですが、鳩山元総理が、昨日、北京の清華大学でどうも講演をされたということで、その中で、またカイロ宣言のことに触れて、何か日本が盗んだ所は返さなくてはいけないようなお話をされて、中国の主張も否定しないようなことをおっしゃいました。つまり、日本の元総理が、尖閣は日本が清国から盗んだという、この中国の主張に対して理解を示したと、こうとられても仕方がないと思うんですが、一言で言うと、言語道断だと思いますね。私も今までずっと我慢してきましたが、日中の戦略的互恵関係を作ることを視野に、国益をかけてせめぎ合い、交渉していくという、こういうことをしなければいけない中で、中国に呼ばれて、中国政府のまるで意図に沿ったかのような発言をするという、この流れ、何で利用されるのかなと、ちょっと理解もできませんし、是非これは領土担当大臣としては、こういう言動は慎んでいただきたいし、やめていただきたいと心から切に願っております。
 今はもう政治の世界におられるわけじゃないので、一々抗議をするというのもおかしいと思うんですが、領土担当大臣としては強い怒りを感じますし、憤りも感じます。こういうことは是非やめていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
 水曜日に、海洋政策担当大臣の下に設けた「国境離島の保全、管理及び振興に関する有識者懇談会」の中間提言が出されました。それについて昨日、総理の所に御説明に行きましたので、その中間提言の中身についてプレゼンをさせていただきたいと思います。
 海上に存在する離島について、一つは、これまでのいろいろな日本政府の政策について確認をすると同時に、この海上に存在する離島の意義ですね、これは海洋資源の活用基盤だったり、安全保障上の拠点だったり、海洋環境の適切な保全、あるいは広大な管轄海域の根拠ということで、海上にまず存在する離島の役割というものを明確にすると、保全管理を行うことが重要な課題だということを、まずこの中間提言の中で再確認をいたしました。
 もう皆さん、釈迦(しゃか)に説法ですけど、我が国の管轄領域はものすごく広いです。日本は国土面積だけなら世界で61番目ですが、この排他的経済水域を入れると、何と12倍、13倍、世界で第6位ということになります。まさに海洋立国だと思うんですが、これは排他的経済水域で南鳥島とかこの辺が非常に重要な役割を負っているということを、この地図を見れば一目でわかっていただけると思います。
 ここは接続水域で12海里以内、これが領海ということになります。
 有識者懇談会を開催いたしました。
 検討事項は、国境離島の保全、管理、振興の政策の実施状況並びにその評価ということで、この位置を踏まえた国境離島に関する政策の検討ということで、先程申し上げたとおり、中間提言を取りまとめました。
 開催実績、これまで4月から5回集中的に行っていただきました。
 いろいろ動画にしてと言ったので、海洋政策本部もいろいろ苦労して、矢印が急に出たり、星が出たりしているという、こういう1センチでも先に進もうという我々の努力を皆さんに認めていただきたいと思います。
 委員の方々、座長は奥脇先生にお願いして、なかなか多分野から、非常に良いメンバーの方々に集まっていただいたのではないかと思います。
 中間提言の中身ですが、先程簡単に言いましたが、まず、離島を巡る情勢について確認をさせていただき、既存の離島政策の点検・評価、そして今の地域の課題ですね、これは振興協議会からもきちんとヒアリングをいたしました。検討対象とする離島、離島の役割、対象離島についてはっきりさせて、5番が一番大事なんですが、今後の検討の方向性ということで、直ちに実施すべき事項と、最終提言に向けて更に検討する事項に分けて報告書に盛り込みました。
 ちなみにこれは、中間提言でございますので、中間提言があれば最終提言があるということで、このメンバーの方々には引き続きこの懇談会にとどまっていただいて、夏以降も、私が生き残ればの話ですが、夏以降もしっかりと検討していただきたいと思っています。
 今後施策を講ずべき離島ということで、領海外縁を根拠付ける低潮線を有する離島ということです。ここには、この星印を見ていただきたいんですが、対象とする離島、星印は、皆さん、この努力はわかっていただきたいんです。この星が、もう一回星を動かしてください。ということで、こういう星が動いているということで、今まではEEZ(排他的経済水域)の外縁を根拠付ける離島についていろいろと調べてきたんですが、今回はやはり領海外縁を根拠付ける離島というところにしっかりスポットを当てようと提言をしています。
 これを見てください。今も矢印が急に出ました。今、これらの島、先程申し上げたとおりですね、EEZ外縁を根拠付ける低潮線を有する離島について、こういう領海の外縁を位置付ける島にどんな措置が必要かを検討するということです。
 今後の検討の方向性ですが、直ちに実施すべき事項として、まず、保全、管理すべき離島の基本情報の収集。これは細かく出ていますが、今まではEEZ外縁を根拠付ける島についていろいろ調査をしてきました。100弱あると思うんですが、EEZ外縁を根拠付ける離島については、島の名前も全部付けました。更には、皆さん御存じのとおり低潮線保全法等々で、行為規制なんかも含めて対策をとっている。ところが、これはもちろん作業のプライオリティの問題もありますし、いろいろ国土地理院の地図と海図との整合性を図るということが意外と難しかったということもありますけれども、12海里の領海の外縁を根拠付ける島については、なかなか調査がまだ及んでいないということで、これは質問もされましたので、ここを把握しなければいけないというのは国家として当然ですから、私の方から強く指示をして、事務方にもこれはやるべきではないかと言ったんですが、この提言の中でも、とにかく急いで調査をする。しかも、外縁を位置付ける領海ですね、所有者も把握をしなければいけない。所有者情報を有する関係省庁による連絡会議というのも設置をしてもらうことになりました。設置をするべきだということで提言されています。
 それから、名称のない離島の名称付与、これも直ちにやらなければいけない。地図との整合性を図り、名前を付け、海図に記載するということです。
 そして、もう一つの大事なことが今後の検討の方向性。最終提言に向けて、更に検討していくということで、土地の所有者は、これは連続できちんと継続的に把握をしていかなければいけないということなんですが、国境離島、EEZ外縁を根拠付ける島と同様に、領海の外縁を根拠付ける島についても、やはりきちんと保全、管理を強化していこうということで、見回り、看板の設置等の措置を検討するということ。
 それから、無主の土地の国有化、これもEEZの方ではやっていますけれども、これもやはり領海の外縁を根拠付ける島についてもしっかりやっていこうと、土地の台帳への登録を検討する。
 それから、土地の保全、管理に必要な仕組みについての検討で、これは所有者に対して適切に保全するための行為規制、これは多分低潮線保全法でEEZの外縁を根拠付ける島についてはもう既にやっていますけれども、土地の取引規制等の仕組み、これもいろいろな議論があると思いますけど、これも検討するべきだ。行為規制等を課す場合には新たな法制化が必要。
 ここもポイントなんですが、今行う国境離島を巡る法制化については、御存じのとおり、自民党の方から議員立法が過去にも出ていますけれども、この流れもいろいろ見ながらですけれども、一応中間提言の中では、こういう規制が出た場合には、新たな法制を開始しようということで、大きな方向性としてはきちんと法制化も考えるというメッセージを出していただいたと、これは一つの方向性として海洋政策担当大臣としてしっかり踏まえて政策に反映をさせていきたいと思っています。
 ということで、だんだん記者会見も慣れてきたんですが、こういう時こそ本当に注意して発言をしなければいけないと自分に言い聞かせつつ、何か皆さんから御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)時事通信の浅見です。国境離島の関係でいくつかお伺いしたいんですが、まず、直ちに実施すべき事項の一つとして、名称を付けるというお話があったと思うんですけど、それを具体的にどのような形で名称を付けていくお考えかということと、あと、昨日、総理に御報告された際に、総理から具体的にどういうお話があったのかお伺いできますか。
(答)名称を付けるためには、まずやはり島の調査をしなければいけないので、行かなければいけないですよね。未だ99ぐらいついていない所があるので、これは調査しなければいけないですよね。

(事務方)半分ぐらいが名前が付いていませんので、それを。

(答)調査はどうするかといったら、やはり行かないといけないでしょう。

(事務方)市町村等にも確認するということです。

(答)それと、昨日、総理に御報告したのは、どちらかというと大きな流れで、やはり国境離島の管理はものすごく重要であって、法制化についても、例えば、EEZ、じゃなくて領海の外縁の根拠となる離島についても、やはりある程度いろいろな行為規制をしていかなければいけないということをやるとなると、やはり法制化が必要なんじゃないかという提言になっています。だから、方向性としては、ある程度これをしっかり踏まえてやっていかなければいけないということを申し上げました。
 総理も、やはり領海の外縁を位置付ける島、これはきちんと把握した方が良いという、こういう問題意識を持っておられました。
 それから、これとどう絡んでいくのかということはあるんですが、新しい海洋基本計画の中で、記者会見でも申し上げましたが、「EEZの包括法を進める」と書いてあるんですね。これは結構実は大きな話なんです。EEZの包括法を「検討する」ではなくて「進める」と書いてありますから。だから、このEEZの包括法を考えていく中で、いろいろまた離島の役割等々とも関連があるので、そこら辺も最終提言に向けてもしかすると議論の一部として入ってくるのかなという気がしております。
(問)共同通信の野見山です。沖縄の米軍基地の跡地利用の関係で、今日、小野寺大臣との会談で、経済特区の活用についてお話があったのかどうか。その特区についての大臣のお考えをよろしくお願いします。
(答)経済特区というよりも、小野寺大臣に私が質問したのは、スービックベイ、スービックの基地が跡地利用の例として成功していると周りから見られている。その原因は何なのかということを小野寺大臣にお聞きをしたら、これは別に秘密ではないから言ってもいいと思うんですが、既存の施設を上手く利用している、基地の施設を上手くインフラとして利用しているということと、やはり何と言っても特区にして税金を下げたと、これがやはりいろいろな民間企業が入ってきていると、この二つがスービックベイの跡地利用が上手くいっていると言われている原因ではないかと。ですから、必ずしも全部沖縄の状況と当てはまるわけではないんですが、これはやはり一つの参考になるのではないかなという気がしました。
 いずれにせよ、今回、小野寺大臣は、クラークは行っていないと言ったので、夏以降、私が生き残ればの話ですが、クラークとスービックは是非沖縄担当大臣として跡地利用の観点から、もう一回言いますが、跡地利用の観点から視察をさせていただこうと思っています。
 それから、かりゆし、結構着ているんですけど、今日もクールビズでかりゆしを着てこようと思ったんですが、地元に行く日程もあったりして、なかなか思ったようにかりゆしが着られなくて残念に思っていますが、これからも機会を狙ってかりゆしを着たいと。本当に昨日かな、一昨日かな、ずっとかりゆしだったんですが、本会議等々もあるので、その状況を見ながら、もう一回言いますが、できるだけまた機会を見つけて、かりゆしクールビズで、かりゆしウェアというものを広めていきたいと思います。なかなか上手くタイミングが合わないので。
(問)今日の戦略的予算配分方針、遠藤CIO、政府CIOができて初めての方針だということで、改めてここら辺でどういうふうにこの予算は組んでいきたいというのを大臣として。
(答)戦略的重点予算配分の話、今、紙を見ながら言ってもいいんですが、BPRをきちっときかせるとか、多分いろいろな注文をつけることになると思うんですね。あまり細かいことを言ってもしようがないんですが、例えば、創造宣言(世界最先端IT国家創造宣言)及び工程表関連の施策に重点を置いてもらう。これは当然だと思うんです。それから、重複を排する、効率的な分担、連携を図る。関係各府省の間の重複を排していく。それから、業務改革、BPRを徹底して投資対効果を明確にしてもらう。こういったことの基準を示すということだと思うんです。
 今、中村さんがおっしゃったように、これは非常に重要で、今までIT政策の横串というのはなかったわけで、私はほとんどの内閣府の戦略本部を担当しているんですが、例えば、宇宙戦略本部だったら宇宙政策委員会があって戦略的予算配分というものを出している。総合科学技術会議であればアクションプラン等々、あるいは総合海洋政策本部だったら海洋基本計画とか、こういう中でIT戦略の横串を刺す初めての試みなんだと思うんですね。ですから、これは遠藤CIOの法律で位置付けられた権限をしっかり使って、やはり各省を上手くリードしてもらいたいと思います。
 これは岡田元副総理からも予算委員会か内閣委員会でアドバイスをいただいて、すぐに実行したんですが、今の既存の各府省のCIOの方々を、この間も集めました。もう3回ぐらい行ったでしょうか、官房長クラスの人も出てきてくれたんですが、今回は少し人事の関係もあって本人出席がやや低かったんですが、低かったといってももちろん5割以上ですが、CIO連絡会議も昨日やって、一昨日かな、数日前にCIO連絡会議もやって、関係各省にも十分協力をお願いしました。何度も言いますが、法律の立てつけでは、政府CIOの権限はかなり強力なんですが、やはり実際にこれから総合調整をしてもらうためには、安倍総理と私のバックアップが欠かせないと思っておりますし、この間、論説委員クラスの方々との懇談を行ったんですが、事あるごとにやはりメディアの皆さんにも少し、IT戦略の進捗状況を少しいろいろわかっていただいて、情報交換をする中でいろいろ政治とメディアの関係は常に緊張関係がなければいけないんですが、後押ししていただけるところは後押ししていただけるような流れを担当大臣として作っていきたいと思います。
(問)NHKの内田です。先程の小野寺さんとの関連なんですが、特区の話なんですけれども、今は国際戦略特区ということで沖縄、科学技術を利用した特区については検討されていると思いますが、その検討の中でといいますか別にでもいいんですけど、今回のこの会談を受けて、基地の負担軽減に向けたこういう科学技術とは別の特区というんですかね、そういったものに関して実際に大臣としては検討していくお考えというのはあるのでしょうか。
(答)これも内田さんはよく御存じだと思うんですが、国家戦略特区はまだあまり具体的に全体が詰まっていないと思うんですね。ただ、沖縄に関して言うと、成長戦略、それから骨太の方針でもそうなんですが、ある意味で言うと、国家戦略の一環として振興を行っていくと、そういう位置付けがきちんと文書に入ったということなので、それを踏まえてこれからいろいろな振興策を作っていくことになると思うんです。ですから、国家戦略特区についてはまだはっきり具体化していないので、それはどういう関連になっていくかというのはよくわからないと思っていまして、これからのいろいろな議論だと思います。
 いずれにしても、もう一回言いますが、沖縄の振興全体を国家戦略の一部として位置付けたと、これは成長戦略と骨太方針の中でできたのではないかと、沖縄担当大臣としてはそう思っています。
(問)琉球新報の松堂です。今の跡地利用に関してなんですが、西普天間地区で何らかの特区を活用してまちづくりをするお考えがあるのか。
(答)これもこれからの議論ですね。いろいろ跡地利用の話については、とにかく県側、市町村側とよく相談をしていくということに尽きると思います。先程言ったように、国家戦略特区もまだどういう形になっていくかというのは具体的に、例えば地域も出ていませんから。
(問)小野寺さんと会談したということでちょっと思い出したんですけれども、前回、小野寺さんと会談したとき、宇宙と安全保障、安全保障と科学技術に関するデュアルユースの問題について問題提起があったかと思うんですけれども、その後検討は進んだんでしょうか。
(答)これは2回目を行いたいと思いますし、これももう一回言いますが、夏が終わらないとメドがつかないものですから、私が生き残れば早々に2回目を行いたいと思います。非常に良い意見交換だったので、この間申し上げたとおり、最初の懇談で2人が共有したのは、やはり安全保障は非常に大事であって、安全保障とは切り離させない。やはり民生と安全保障と両方やらなければいけないということと、それから、やはり安全保障の研究。いわゆる学問の自由についてどうこう言うつもりは全くないんですね。だけど、もしそういう研究をしたいという人がいれば、それは妨げるような雰囲気はない方がいいなというところは2人で認識を一(いつ)にしたので、これを踏まえて第2回目にもう少しいろいろな議論を行っていきたいと思いますし、必要があればまた下村文部科学大臣にも報告をしたり、あるいは少しいろいろ議論の幅を広げたりしようと思っています。2回目は夏以降、私が生き残ったら必ず開催したいと思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:845KB)

(以上)