山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月18日

(平成25年6月18日(火) 9:16~9:43  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日はまず閣議で発言をしました。それは、日本学術会議が平成26年度に共同開催する国際会議について、日本学術会議は、学術の振興と科学的諸問題の解決促進等が期待される国際会議を、国内学術研究団体と共同して毎年開催しています。26年度については、第34回の国際眼科学会を始めとして7件の国際会議を開催することといたしたいということを申し上げて、その御了解をお願いいたしました。
 閣議については以上です。
 それから、この間、藤井さん(ライター)の方から質問があったACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)の件ですが、改めてまた状況を調べたんですが、ACTAは2005年に我が国が提唱した知的財産権侵害物品の拡散防止のための新たな国際的な法的枠組みということで、これまで10カ国・地域が署名しています。昨年10月に、我が国が最初の締結国になったということなんですが、他方、昨年7月に、欧州議会がACTAの批准を反対多数で否決したと、これは御存じだと思います。
 これはいろいろなことが言われているんですが、一つの原因として、EUの一部加盟国で、ACTAがインターネットの自由とか基本的人権を侵害するといった批判が広がったことが指摘をされています。しかし、ACTAは表現の自由、公正な手続、プライバシーその他の基本原則を各国の法令に従って維持することを繰り返し規定しておりまして、個人の正当なインターネット利用を制限したり、プロバイダーに対してインターネットの利用の監視を義務付ける規定は存在していないということを改めて確認をいたしました。政府としては、ACTAを重視するという立場は変わりません。今後、既署名国を中心としてハイレベルを含めた働きかけをより積極的に進めていきたいと思います。引き続き本協定の早期発効及び参加拡大に努めてまいります。確か6カ国で発効すると思うので、日本が最初に先陣を切りましたから、あと5カ国ということですが、アメリカとか韓国とかシンガポールは批准の手続が要らないと思いますので、この状況も見ながらしっかりと進めていきたいと思いますし、藤井さんから質問がありましたけれども、ACTAをめぐる誤解、これもやはり政府として、これを解くようにしっかりやっていくべきだと考えております。
 それで、今日から少し記者会見をギアチェンジして、発信する記者会見にしたいと思います。第一弾は、研究開発法人の改革について、科学技術担当大臣としての所見を述べたいと思います。
 「科学技術イノベーション総合戦略」、これは安倍総理につけていただいたんですが、「新次元日本創造への挑戦」、これは副題が6月7日に閣議決定されました。これは総理からの指示ということなんですが、研究開発法人制度の見直しは、研究開発の現場の目線に立って、関係府省が連携し早急に検討せよと、こういう指示を総理からいただきました。
 この科学技術イノベーション総合戦略の哲学は、「INNOVATE OR DIE」と書きましたけれども、これはやはり科学技術イノベーションなくしては日本は浮上しない。イノベーションをやるか、それとも、このまま衰退してしまうか、そのぐらい実は科学技術イノベーションが重要だということで、ここからが実行の正念場です。報告書といいますか総合戦略をまとめるところまではいいんですけれども、これをどうやって実現するかということが最も重要だと考えています。
 研究開発法人改革、今日取り上げる研究開発法人改革の目的はただ一つ、世界最高水準の新たな制度、研究開発法人の制度を作るということだと思っています。
 この研究開発法人制度検討の方向性について申し上げたいと思いますが、二つあります。一つは、「世界で最もイノベーションに適した国」を実現するために抜本的に機能強化すると、研究開発法人を。もう一つ、研究開発の特性ですね、長期性、不確実性、予見不可能性及び専門性、こういうものを十分に踏まえて研究開発の成果を最大化していく。後に出てきますが、やはり評価の基準、いわゆる業務の効率化だけではなくて、研究開発成果を中心に考えるべきだと思います。
 では、世界最高水準の研究開発法人をどうやって実現していくのか、五つの観点から考えていきたい。一つはインフラ、人材、ガバナンス、それから研究開発資金、研究開発期間、こういうことについていろいろ今の基準を少し見直して、こういう観点でしっかりと水準を達成して世界最高水準の研究開発法人の実現に結びつけていきたいと思っています。
 この「新たな研究開発法人が目指すべき姿」五つ挙げたいと思うんです。
 一つ目は「人材」ですよね。頭脳獲得競争に勝ち残るためにトップレベルの研究者等の処遇を大幅に改善をする。今の制度のままだと、なかなかトップレベルの人材が集まらない。国際競争力の高い人材の確保ですね。今ははっきり言って優秀な人材、世界で取り合いになっています。OIST(沖縄科学技術大学院大学)に優秀な学長、ノーベル賞級の人達を集めることができたのは、やはり待遇面で思い切ったことができたからですから、まず、人材確保のためには、研究者等の処遇改善が必要だと思っています。
 次は、「インフラ」、世界最高水準の成果を生み出すための研究設備の迅速な整備。これもOIST、私、沖縄担当大臣なので挙げさせていただきますが、最新の設備が入っているということは非常に大事だと思うんです。これがポイントなんですけど、国際的な競争循環にある研究の実態に合わせた柔軟な調達。一般競争入札、この原則は大事なんですが、機器によっては、本当に世界最先端の機器は、やはり作っているところは少ないですから、こういうことをきちっと柔軟に対応できるような制度にしてほしいと思っています。
 三つ目です、「研究開発資金」。これは、「情勢の変化に応じた機動的な研究開発の推進」と書いてあります。今の制度だと、イノベーションを促進するための自己収入の扱いが、個々の研究開発法人にインセンティブを与えるようになっていないんです。一生懸命頑張って収入を上げても、例えば国からのお金を減らされてしまうということではインセンティブが生まれない。やはり経営努力認定基準の見直しをやってもらいたい。一応あるんですけれども、実質的には極めて難しいという状況になっています。それから、中期目標期間を超える予算の繰越しの柔軟化。これも、研究開発ということの性質から考えると、柔軟性というのは必要だと思うんです。それから、効率化目標の在り方の見直し。先程申し上げました、効率化で研究開発法人を見るのではなくて、どうやったら最大の研究成果を出せるかと、こういう視点からしっかり見られるような仕組みにしてほしいと思っています。
 次は、「研究開発期間」、研究開発の長期性を踏まえた目標期間の達成。例えばビッグプロジェクトだったら、大きな機材が入るまでに何年もかかりますから、今の現行の独法制度だと、中期目標は確か3年から5年となっています。大学法人だと、確か6年だと思うんですけれども、ここはやはり長期化をしてもらわないといけないと思います。
 五つ目です、「ガバナンス」。これは国際水準を踏まえた、高い専門性に裏付けられた研究成果の適切な評価の実施。先程の業務効率化の視点というところにも絡みますが、やはり評価をきちんとやってもらいたい。ノーベル賞級の委員の参画による質の向上を促す評価への転換。外国人が入っていいと思うんですね。国際水準を踏まえた評価指針の下で研究開発成果の適切な評価を導入してもらいたい。新しい、例えば外国人も入った評価委員会を作るとか、こういう制度を立ち上げる必要があると思っています。
 それから、国の科学技術戦略に沿った業務運営の確保。主務大臣による国益を最大化するための即応体制の整備、これはやはりいろいろなことが起きた時に、柔軟に対応できないといけない。例えば、東日本大震災のような国難に直面した時とか、iPS細胞のような画期的な研究が出てきた時とか、そういう時に、主務大臣がかなり即応的に対応する。例えば、中期目標の中身を変えるとか、目的のフォーカスを少しチェンジするとか、そういうことが必要だと思っています。
 今後の対応ですが、新たな研究開発法人制度が目指すべき姿、具体的な対応方針等について総合科学技術会議の下で議論をスタートいたしました。その際は、研究開発の現場の目線に立って、文科省を始めとする関係府省と連携し、早急に検討をしたいと思っています。
 これは、いろいろな関係府省と議論をしていかなければいけないと思います。もちろん行革本部、行革推進会議とも議論をしなければいけないし、おそらく総務省とか財務当局ともしっかり議論をしていかなければいけないと思っているんですね。おそらく選挙が終わると、かなり早いペースでこの話が俎上(そじょう)に上ってきて、大きな、特に科学技術分野においては大きな議論の一つになってくると思うんですね。所定の自民党内のきちっとした手続、あるいは政府内のいろいろな手続を踏まえて、オープンに徹底的に議論して、いろいろな角度から議論して結論を出せばいいと思っています。現時点では決まっていません。結論が出たら、やはりそこは政府も一体、党も一体になってその政策を推し進めていく、これが自民党であり安倍政権だと思います。
 これについては、下村大臣とは完全に連携ができていまして、これはがっちり握手をしているんですが、下村文科大臣と山本一太科学技術担当大臣と全く同じ目的の下に新しい研究開発法人を作るためにスクラムを組んでいきたい。これは何かというと、これは内閣府の職員、こちらは文科省の職員ということで、いろいろな方がいるということで、特に説明する必要もなかったかもしれません。
 「科学技術イノベーション総合戦略~新次元日本創造への挑戦~」、総理につけていただいた副題、ここにしっかり書かせていただきました。このイノベーションに適した環境創出の中の重点的取組として、大学・研究開発法人をイノベーションハブとして強化する。主な施策の中にいろいろ書いてありますが、「世界最高水準の新たな制度を創設」すると、はっきりここに書かせていただきました。閣議決定の文章です。
 「日本再興戦略-JAPAN is BACK」です。これももちろん閣議決定をされているわけですが、これは成長戦略ですが、ここにも「世界最高水準の法人運営を可能とする新たな制度を創設する」と、この閣議決定文書にも書かせていただいて、具体的な改善事項への対応ということで、「法的措置が必要なものと運用によって十分に改善が可能なものを早急にしゅん別」するということもここで書かせていただきました。
 これが、いわゆる「骨太の方針」というものでございますが、これは6月14日に閣議決定されました。その中の第2章の「強い日本、強い経済、豊かで安全・安心な生活の実現」という中に、研究開発法人については二つのことが並べてというか、同じ所に書いてあります。ここでは1と6ですけど。
 一つは、「研究開発法人について、関係府省が一体となって、独立行政法人全体の制度・組織の見直しを踏まえつつ、研究開発の特性を踏まえた世界最高水準の法人運営を可能とする新たな制度を創設する。」というのが入りました。
 そこで、ここの2章の6に、「独立行政法人改革については、行政改革推進会議における中間的整理を踏まえ、各法人の共通の規律を前提としつつ、」と書いてありまして、二つとも、こちらは行革の観点から書かれたということなんですが、何となくこの二つはこれからいろいろと整理が必要な問題かなと思っていますが、ここに「各法人の共通の規律を前提にしつつ」と書かれていても、これはあくまで独法改革、いわゆる独法について言っているのであって、こちらも総理から指示のあった「世界最高水準の法人運営を可能とする新たな制度を創設する」というところは縛られないと私は思っています。
 これは、事務方の方から、今日の記者会見では使うのはどうかと言われたんですが、事務方のアドバイスを無視して私が使わせていただきますけれども、これは、この文章を、健全ないろいろな議論をして行革本部等々とも詰める中で、事務的に確認したものです。これは、「各法人の共通の規律を前提としつつ」というところが当然問題になりました。これから議論していく上での一つのベースになりますから、この意味は何かということを正式に内閣府科技部局から問い合わせいたしまして、行革推進本部事務局からこういう回答が返ってきました。何度も言いますが、総合科学技術会議の事務局の方は、これは使わないでくれと言っていましたので、私がそれを無視してこれを使うということです。
 一つ、本表現は、独立行政法人制度における一般論・原則論を述べたものであり、独立行政法人について共通の規律を前提とするのは当然だと。
 この2番がポイントです。「研究開発法人も含めた個別法人の在り方については、今後の検討結果によっては、民営化、特殊会社化、国戻し等といった独立行政法人以外の組織になることも考えられ、こうした取扱いとなる法人については、独立行政法人通則法に基づく共通の規律が課せられるわけではない。」と書いてありまして、文章で取ってあります。
 何度も言いますが、事務方はこれは今日は出さない方がよいと言ったんですけど、私がそれをオーバーライドしてここに出させていただきました。
 なお、ここについては、先程申し上げた「骨太の方針」に二つのことが並べられてありまして、少なくとも「共通の規律を前提としつつ」ということと、新しい法人を作るという議論、これは前者は後者を縛るものではないということは甘利大臣にもどこかできちっと発言をしていただけると思っていますし、大臣もそういう解釈だとおっしゃっていましたし、先ほど握手をしていた、私と下村文部科学大臣も全く同じ見方をしております。
 もう一回言いますが、議論はこれから本格化します。今のところどちらの方向に行くかというのは決まっていません。皆さん御存じのとおり、二つの考え方があって、一つは、通則法の下で制度を作ろうという考え方と、もう一つは、やはり今の通則法に縛られない形で新しい研究開発法人を作るべきだという、この二つの考え方がありますから、関係部局といろいろな議論をして結論を出していきたい。今のところ、先程申し上げたとおり二つの文章がありますけれども、新しい世界最高水準の研究開発法人の設立については、特に縛られているものはありませんので、ここからしっかり議論をしていきたいと思います。
 もう一回言いますが、健全にオープンに議論をして方向性を出していけばいいと。科学技術担当大臣と下村文部科学大臣は全く同じ方向性で、成長戦略の中心に科学技術イノベーションというものを位置付けるのであれば、これはやはり通則法を飛び越えた、通則法に縛られないスーパー研究開発法人というものを作るべきだと、これは成長戦略の、まさに科学技術イノベーションが要だということを立証することにもなるのではないかということでございます。
 ということで、今日は少しギアチェンジした最初の記者会見をやらせていただきましたが、何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。具体的な検討の場というのは、総合科学技術会議の下に何か会議を設けるということなのでしょうか。
(答)いや、総合科学技術会議の下に会議を設けるというか、これからきちんと、今の総合科学技術会議でも議論をしていただかなくてはいけないと思いますし、下村大臣とは、場合によっては研究開発法人に関する大臣同士の懇談、この間、宇宙と安全保障の懇談を作りましたけれども、あのようなものを作ってもいいかなという話はしています。まだ決まっていませんけれども、いろいろな場面で議論をしていきたいと思います。総合科学技術会議は、今の枠組みの中でもしっかり議論してもらおうと思っています。
(問)今の有識者会合と本会議両方で議論すると、あと大臣の懇談会。
(答)はい。これはまだ決まっていませんが、できれば下村大臣と、研究開発法人については少し閣僚間の勉強会を作りたいと思います。
(問)それはもうオープンでやっていくという。
(答)オープンということは少しあれですけど、きちんとそのときはブリーフィングもするようにしますけど。まだこれは私自身のアイデアなので、がっちりスクラムを組んだ下村大臣とまだ相談していませんから。でも、そのくらいやっぱり我々もきちっと議論していかなければいけないと思いますし、これはもちろん与党の中でもいろいろな議論があると思うので、全体としてやはりしっかり方向性を出していく。先ほど申し上げたとおり、総理からの指示ですから、世界最高水準の研究開発法人を作っていくという方向性は、閣議決定された指針ですから、それをどのように実現するかということは政府としてもしっかり結論を出していくということです。出していかなければいけないということです。
(問)読売新聞の岡部と申します。研究開発法人の関係なんですけれども、稲田大臣は、制度の改善の必要性は認めながらも、やはり一定の「規律」が必要だということで、通則法の下で柔軟な運用で対応できるんではないかということを従来述べていらっしゃると思うんですけれども、それに対してどう考えられるかということと、これ結論としては、やはり行革推進本部の年末の取りまとめというのは、独法改革をやっているのは行革推進本部だと思うんですけれども、その議論の結論が出てくるスケジュール感といいますか、そういったものはどうなっているのかという2点。
(答)まず、稲田大臣には稲田大臣の考え方があって、これはやはり行革の立場から言うと、それはそれなりに理由があるんだと思うんですね。稲田大臣は大事な同志だし、大変尊敬している仲間の閣僚ですから、稲田大臣の考え方は、稲田大臣の考え方で、私と下村大臣の考え方とは違います。ですから、それは違う考え方をどうやって調整していくのかということをきちっとやっていくと、こういうことに尽きると思うんですね。
 それから、スケジュール感はわかりません、やはり政治の流れなので。もしかすると、選挙の後、思ったよりも早く方向性が出るのかなと思います。行革推進本部が全て決めるわけではありませんから。だって、行革推進本部には全閣僚入っているでしょう、確か。しかも、これはやはり総理の方から、「世界最高水準の研究開発法人の創設を目指す」という言葉が出てきたわけですから、それはもちろん政府の中できちっと議論をしていくということで、行革推進本部の中には、私も下村大臣も入っていますから、その中で議論をして結論を出していくということだと思います。
(問)朝日新聞の瀬川です。総合戦略が発表されてからこの間まで、現場からの声というのは届いているのでしょうか、現場がどうしたいかという声は。
(答)現場がどうしたいかというか、一応総合戦略を作っていく過程で、いろいろ現場の声も参考にしていろいろなことを練り上げてきたと思います。例えば、研究開発法人の問題についても、これも今始まったことではなくて、いわゆる現場の若手の研究者とか、そういう方々からのいろいろな意見も踏まえてこういう方向性を打ち出しているということだと思います。私自身も車座ふるさとトークで京都に行って、若手の研究者の方々といろいろとお話をしてきましたが、やはりこういう若い人たちに活躍をしてもらう、本当に才能のある人たちにやる気を持って研究をしてもらうためにも、今のやや硬直的といいますか、ちょっと言葉を選ばなければいけないんですが、やはり今の独法の中にある制度では、なかなかそういう環境は生まれないのではないかと、つまりレイバーからリーダーを作るという野依先生(野依良治理化学研究所理事長)の言葉ではないですけれども、そういう環境を作るためにも、新しい研究開発法人が必要だと思っています。
(問)ライターをしています藤井と申します。1点御確認なんですけれども、下村大臣と山本大臣の中では、独法の通則法を外すべきというふうなところはほぼ御意見の方は一致しているというふうな、そういうふうな認識で大丈夫でしょうか。
(答)もう完全に一致しています。ただ、通則法の下でいろいろ柔軟に対応するというよりも、やはりそこは通則法に縛られない研究開発法人を作ると。これはなぜかというと、先程申し上げたとおり、科学技術イノベーションを成長戦略の柱に位置付けたわけですから。だけど、例えばどのくらいの法人を出すのかとか、どういう形でやるのかという具体的なところについてはよく詳細を詰めなければいけませんし、議論の中でいろいろ出てくると思います。もう一回言いますが、今の通則法の下で何となく柔軟な制度にすると、これは稲田大臣の考え方として一つあると思うんですけれども、私と下村大臣は、やはり科学技術イノベーションの突破口を作るという意味でも、通則法に縛られない研究開発法人を作るべきだと思っています。これは2人とも完全に一致しています。だから、あの絵を素案にいたしました。
(問)先程ACTAに関する御見解ありがとうございます。それで、ACTAの方には、例えば中国であるとかロシアでというのは、批准もしていないし、まだACTAの方に参加するかどうかというふうなことも議論等が進んでいないかと思います。そうなると、海賊版の防止とか、そういうふうなACTAそのものの意義というふうなところでは、ちょっと不完全なところもあるかと思うんですけれども、そこのところ、大臣の御見解をいただきたい。
(答)それはやはりできるだけ多くの国に参加してもらうということが大事だと思うんですね。ただ、偽造品の取引の防止に関する協定が、とにかく10カ国ぐらいの国で合意をされたということはものすごく大きいと思いますし、ACTAは、いわゆるWTOの協定よりも一歩踏み込んでいるわけですよね。確か輸出の方にも規制がかかるということで、やはり今の模造品、偽造品をめぐる状況を考えれば、こういう協定が発効するということは、それだけですごく意味があると思いますし、きちっと発効した後で広げていけばいいんだと思います。
(問)日刊工業の小川と申します。研究開発法人なんですが、財務当局などから、通則法から外れると財政規律が緩むなどの指摘が一部ありますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
(答)財政規律の話というのは大事だと思うんですよね。やはり効率化だけの観点から研究開発法人を見てほしくないという考え方がある一方で、野放図にやっていいのか、それはあり得ないですよね。だから、例えばスーパー研究開発法人みたいなものを作る時には、その効率化を担保するような仕組みはもちろん必要だと思います。ただ、効率化の観点だけから、今の評価のやり方でやるということについては、やはりこれは変える必要があると思っていますから、財政規律の問題を全く外して適当に何でもやらせてくれという意味ではありません。ただ、先程申し上げたとおり、中期目標の話とか、あるいは機材の調達の話とか、こういうものをきちっと縛られないでやることによって、世界最高水準の研究成果を出せるような環境を整えられると思っています。
 よろしいでしょうか。ここから少し攻めの記者会見に、十二分に、危険なんですけど、十二分に気をつけながら真面目な政策議論を発信していきたいと思いますので、またここでいろいろ議論をさせていただければと思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:396KB)

(以上)