山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年6月7日

(平成25年6月7日(金) 10:21~10:41  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日は少し早口でやらせていただきたいと思います、盛りだくさんなので。来週ぐらいから、だんだん記者会見のギアを慎重に上げていきたいと思います。
 できれば研究開発法人について、今日、下村大臣とも作戦会議がありますが、その件について来週は発信をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、本日の閣議で、科学技術イノベーション総合戦略と知的財産に関する基本方針が決定されました。私から閣議で発言をさせていただいて、関係閣僚の方々に御協力をいただくようお願いしました。今日はこの場で、後程それぞれの内容について、簡潔にプレゼンテーションをさせていただきたいと思っています。
 それから、「領土・主権をめぐる内外発信に関する有識者懇談会」、これは第4回開催ですけれども、来週10日の月曜日にやりたいと思います。これまでの会合では、尖閣をめぐる情勢、竹島等々、個別の問題に関して内外発信の中身について活発な御議論をいただきましたが、次回の4回の会合では、いよいよ内外発信のあり方、手段、これをテーマに御議論いただくこととしております。中身の濃い議論をしていただいて、7月上旬、初旬の報告書作成につなげていただけるものと思っています。これについては、外務大臣、総理には私の方からきちっと、報告書が出たら手渡しをさせていただきたいと思っています。
 それから、領土担当大臣として、やはり一言言っておかなければいけないと思うんですが、先般、野中元官房長官が訪中して、中国側要人と会談を行って、1972年の国交正常化の際に、当時の田中総理と周恩来総理との間で、尖閣諸島をめぐり棚上げすることとした旨を述べたと承知をしています。この発言、一個人の立場で述べたものであったとしても、中身は明らかに事実と異なるということで、これは我が国の立場を損なうおそれもあると考えていまして、領土担当大臣の立場としては遺憾と言わざるを得ません。本当に立派な大先輩だと思いますけれども、こうやって日本と中国がぎりぎりせめぎ合って、大きな観点からいけば戦略的互恵関係を作っていかなければいけないということですけれども、中国に招待されてこういう発言をされたと。これは日本の国益にとって極めてマイナスだし、領土担当大臣としては大変残念だったと。こういう御発言をやはり政府の要職にいた人には是非控えていただきたいなと、率直にこう思っておりますので、一言申し上げておきたいと思います。
 それから、橋下大阪市長と松井大阪府知事の例のオスプレイの飛行訓練の話で、私、沖縄振興担当大臣なので、この件について細かくコメントすることは避けたいと思いますが、安倍政権の閣僚の一人として、申し上げられることを申し上げたいと思います。昨日、橋下大阪市長と松井大阪府知事が総理と官房長官に面会をされたと。大阪府が八尾空港でMV-22のオスプレイの飛行訓練を受け入れる用意がある旨を提案されたと伺っています。沖縄以外の場所でオスプレイが飛行訓練を行うことについては、その可能性を検討することを、昨年9月の日米合同委員会において日米間で合意をしていると、このように承知をしています。政府としては、沖縄の基地負担を軽減するため、全国で負担を分かち合うという観点から、本土の自治体からも御理解を得られるように引き続き努力をしていくことが必要だと。政府全体の立場だけ申し上げておきたいと思います。
 それから、昨日の経済財政諮問会議で骨太方針の素案が出され、議論されました。沖縄県からの要望も踏まえて、沖縄が日本のフロントランナーとなるように、国家戦略として沖縄振興策を総合的・積極的に推進する旨を盛り込んだということです。これは、沖縄が成長するアジアへの玄関口として位置付けられると、沖縄科学技術大学院大学が開学したこと等々、大きな可能性と潜在力を秘めていると、沖縄を今後イノベーションの拠点としていくことが日本再生の原動力につながるという観点から、国家戦略として、沖縄の優位性、潜在力を生かした振興策を講じようとするものであります。私の方からも総理や官房長官には、沖縄アズ・ア・ホールできちっと振興していくと、これがやはり日本の経済活性化につながっていくという視点を、是非ともこれは打ち出していくべきではないかというお話をさせていただいております。骨太方針にはそういう形で入る可能性が高いと思います。
 さらにもう一つ申し上げますが、昨日ちょっといろいろオスプレイの話もありましたので、あまり報道はされなかったんですけれども、実は昨日、小野寺防衛大臣を訪問いたしまして、「宇宙と安全保障を考える意見交換」、第1回をやらせていただきました。これは大変大事だと思っています。
 会合では、まず小野寺大臣から、防衛省における宇宙分野の取組、説明を受けて、私の方からは、宇宙基本計画の改めて中身について説明を行うということで、日米同盟の観点からも宇宙状況監視(SSA)とか、宇宙を利用した海洋監査(MDA)と言っていますけれども、この重要性について説明しました。両大臣間では、以下の点についての意見の一致を見ました。宇宙と安全保障は密接に連携を図る必要から、防衛大臣と宇宙政策担当大臣の連携は重要だという点で一致いたしました。それから、日米協力の観点からも、安全保障政策と宇宙政策の連携を推進していく必要があると、このことについても認識が一致いたしました。また、小野寺大臣の方からありましたが、我が国の大学等における研究について、宇宙の技術を防衛分野に広げることになかなか積極的ではないと。どうも一つの壁を感じていると。一方、海外の大学や研究機関では、安全保障と民生の両用の研究を行っており、我が国の状況に危機感を持つとの認識が示されて、これは私も全く同感でございます。
 こういうテーマを始めとして、今後、場合によっては他省の大臣の参加とか、総理大臣への報告も行っていきたいと考えております。少しやはり宇宙政策におけるマインドセットを変えていかなければいけないと。安全保障の観点というものをきちっと織り込んでいかなければいけない。この宇宙担当大臣と防衛大臣との懇談、意見交換会は、これから定例化をしていきたいと思います。
 それでは、続きまして、科学技術イノベーション総合戦略についての話をさせていただきたいと思いますが、本日閣議決定されました。これはもう経済再生元年ということで、とにかく科学技術イノベーションというものをしっかり経済再生につなげていくということが、大きな哲学としてあると思います。
 もう一言で言うと、「INNOVATE OR DIE」だと。つまり、イノベーション、科学技術イノベーションなくしては日本の経済再生はないと。「INNOVATE OR DIE」と、イノベーションやっていくのか、それとも沈んでしまうのかと、こういう覚悟で臨むべきだと思っています。
 実は、この総合戦略は、安倍総理に副題として、「新次元日本創造への挑戦」と決めさせていただきました。ここに書いてあるとおりです。世界一のイノベーション、世界一を目指すと。何といってもイノベーションが必要だということで、総合戦略の策定の指示があって、これは新たな科学技術イノベーションの、いわば骨太の方針だと私たちは考えています。
 科学技術イノベーションが取り組むべき五つの課題ということで、いろいろ書いてありますけれども、ここの五つの課題は、基本的には成長戦略のいろんな分野に合わせました。プラス、この東日本大震災からの早期の経済復興ということで、ここにも書いてありますけれども、再生医療、ロボット。まず、次世代パワー半導体の技術開発とか、クリーンで経済的なエネルギーシステムという点で言うと、こんな話もありますし、また、健康長寿社会の実現ということでは、再生医療とかロボット介護の話もありますし、世界に先駆けた次世代インフラということでは、維持管理ロボットによる省力化とか、自己修復材料による耐久性の向上等々もあります。地域資源で言うと、ゲノム情報の話もあります。
 ポイント2として、とにかくイノベーションを結実させる、イノベーションの芽を育む、イノベーションシステムを駆動すると、こういうことで合わせてイノベーションに挑戦するリスク・コストを社会全体として許容すると。こういういい流れを作っていきたいと思います。
 そして、研究開発法人の改革については、研究開発の特性、長期性、不確実性、予見不可能性、それから専門性等を十分に踏まえた法人制度の改革が必要だということで、世界最高水準の新たな制度を創設するとうたってありまして、総理からもこういう指示がありました。来週、記者会見でやらせていただきますが、これから研究開発法人の話を始めたいと思うんですけれども、私は、独法の通則法から外すべきだと思っています。少なくとも本当に代表的な研究開発法人については、科学技術イノベーションが成長の中核だというのであれば、それは研究開発法人、どういう形で例えばどうするのかというのは、どのくらいのものをどうするのかというのは、これから議論すればいいと思いますけれども、ずっと通則法の下に縛られているような発想では、やはり科学技術イノベーションを成長戦略の中核に位置付けたということにはならないので、これは文科省と連携をしながら、下村大臣としっかりスクラムを組んで、これを実現させていきたいと思います。
 それから、総合科学技術会議の司令塔機能強化、これについてもきちっと閣議決定をさせていただきました。
 一つは、あまり特に注目をされていないところもあるんですけれども、実は、この科学技術関係予算戦略会議、これはものすごく大事なんです。なぜなら、総合科学技術会議は、予算編成プロセスで、初期の段階から影響力を行使すると。そのための一つの、私は、ブレークスルーになっていく、そのように育てないといけないと思っています。6月中にどこかで第1回をやりたいと思います。私が総合科学技術会議の大臣として出る。そこに各省の科学技術予算の担当者、責任者に集まってもらって、とにかくまず、科学技術関連の予算はこの戦略会議の議論から始まると、こういう流れを是非定着させていきたいと思っています。
 二つ目、戦略的イノベーション創造プログラムです。ずっと申し上げていた最低でも500億円。これは内閣府に計上すると書かれましたから、もうこの創設は決まったと思いますが、お金の枠はこれから決まってくることなんですが、最低でも500億円ぐらい必要だと思っていまして、戦略的イノベーション、創造できるようなものについて、総合科学技術会議の判断できちっとつけていく。前から言っている機能強化の2本目の柱です。
 3本目、革新的研究開発支援プログラム。これはFIRST(最先端研究開発支援プログラム)の後継施策のことで、これについても安倍総理の方から、これをしっかり創設して、具体的な建付けについてはしっかり総合科学技術会議で考えるように言われました。
 総理から、総合科学技術会議の予算、それから機能、両面で抜本的な機能強化をやれということで、少なくとも担当大臣として、この三つを中心にやると申し上げますけれども、三つともメドがついたと。これはまだまだですけれども、ここはしっかりとまた議論していかなければいけませんけれども、大きな方向性は打ち出したんじゃないかと。閣議決定でございますので、これを踏まえてしっかり進めさせていただきたいと思います。
 総理発言の要旨です。大事なところですよね。今回創設する革新的研究開発プログラムや戦略的イノベーション創造プログラムの速やかな具現化。もう一回言います。今回創設すると総理が。これは総理指示ですから、これを速やかに具現化せよと。これを総合科学技術会議でしっかりやれということでございまして、要は実行が課題だと。予算や事務局体制の充実に向けて関係閣僚の御協力をお願いしたいということですので、これは戦略会議においてですね。まず最初の試みですから、どういう議論になっていくかというのはこれからですけれども、少なくとも、もう一回言います、予算の最初の段階から各省の関係者を全部集めてやるというスタイルは今までありませんので、アクションプラン等々としっかり組合せをしながら、総合科学技術会議が予算を決めていくプロセスで、影響力をしっかり発揮できるようにやっていきたいと思います。
 次にいきたいと思います。知的財産政策に対する基本方針です。
 今から10年前、覚えていらっしゃるでしょうか。総理による知的財産立国宣言がありました。これに基づいて知財の基本法というものが制定をされました。平成15年に。それを受けて知的財産戦略本部が発足いたしまして、とにかく知財先進国に追いつく、追い越すと、こういうことを目標にしていたということです。
 それから10年経ちました。気がついてみたら、新興国がどんどん台頭してきたということで、国際知財競争も激化しています。アップルとサムスンのいろんな競争、対決。これは皆さん御存じのとおりです。他方、日本はコンテンツ国内市場も伸び悩んでいまして、2005年13兆円だったのに、2010年12兆円。このコンテンツこそ、まさにこれも成長戦略の源になるものなのに、今こういう厳しい状況にあります。
 今後10年で目指す国の姿。まず、今度のビジョンは、最初の前書きといいますか、理念のところで、このままでは日本は本当に知財の競争から脱落してしまうという危機感をにじませてまいりました。
 三つの目標を立てました。まず、他国からユーザーやイノベーション投資を呼び込む魅力のある知財システムを作る。二つ目、我が国の知財システムをアジアと新興国のスタンダードとする。これはものすごく大事です。任期付き特許審査官をどんどんアジアに送って、日本のスタンダードにする。これがすごく大事だと思います。それから、創造性と戦略性を持ったグローバル知財人材というものを継続的に輩出する、いろんな仕組みを考えなければいけない。
 知財で世界のリーダーシップをとる国を目指していきたいと思います。
 これが閣議決定。これは初めての閣議決定。今までは本部決定でした。私の強い希望で、これは閣議決定をさせていただく。そのくらい私たちは知財戦略が大事だと思っていますし、これが内外に対するメッセージになると思っています。
 先程申し上げました四つの柱、先程とももちろん関連しますが、企業の海外での事業活動を支援するグローバル知財システムの構築ということで、これですね。アジアへ審査官の長期派遣。日本のしっかりとしたスタンダードを作って採用してもらうということです。それから職務発明制度の抜本的見直し。どこかちょっとメディアで取り上げているところはありますが、これはやはり経済成長に結びつくような形で抜本的に変えたいと。これも実は知財担当大臣の強い要望で、かなり踏み込んで書かせていただきました。
 それから、中小・ベンチャー企業の知財マネジメント強化支援。今、知財相談は結構いろんな評価は高いんですけれども、それから特許料減免制度、これはやはり欧米に比べて遅れているところはしっかり直していきたいと思います。
 それから、デジタル・ネットワーク社会に対応した環境整備ということで、これも大事です。放送番組の海外展開の促進、権利処理手続窓口の一元化ということです。
 それから、コンテンツを中心としたソフトパワーの強化。クールジャパンファンドの設置、クリエイターの育成。稲田大臣のクールジャパン、しっかり後押しをしていきたいと思いますし、もう最初からずっとお願いしているんですが、やはり総理が、コンテンツで世の中に出ていくと。ITは一応宣言していただきましたけれども、やはりコンテンツ大国、コンテンツ立国、特にクールジャパン立国であるということを是非、稲田大臣を中心に発信をしてまいりたい。総理に発信をしてもらいたいということで、もう相当前にブログに書いて、みんなにお願いしているんですけれども、クールジャパンはこれからしっかりと結果が出たら、それを何とか稲田大臣を中心にやっていただきたいと思っています。
 ということで、今後の実行ということで、知財政策ビジョン、本部決定を、10年後をにらんでいます。ただ、知財は、皆さん御存じのとおり、あまりにもグローバルな中で変化が激しいので、10年といっても、どんどん変わっていきますから、今までどおり知財の推進計画は1年ごとに、2013ということで決定をして、この中でしっかりロードマップを作って、中期、短期に分けてやっていくということで、工程表を作成して、着実に実行するということになります。

2.質疑応答

(問)毎日新聞の野田と申しますが、先程、宇宙と安全保障の点で御発言ありましたけれども、安全保障の観点を織り込んでいかなきゃいけないというのは、これは誰がということ。大学の研究者がということで。
(答)いや、それは、大学の研究者みたいな話はただ一つの例であって、たまたま、例えば日本の研究とか、研究機関とか大学で、そういう研究について、どうもなかなか積極的にやっていないという問題意識が出たんですよ。
 全体として、宇宙は民生とやはり安全保障と両方あるわけであって、両方やっていかなければいけないと。特に日米同盟強化みたいなものにもしっかり結びついていくと。両方大事なんですけれども、特に安全保障の観点というのは織り込んでいかなければいけないということで、とにかく小野寺大臣と私で、このことについてはいろいろ議論をして、意見交換をしていくと。必要に応じて、例えば関係各省といろいろと議論することもあると思いますし、2人のいろんな議論というのは、これからは関係各省の大臣とか総理にはその都度伝えたいと思いますし、今日は下村大臣と作戦会議もありますから、昨日の2人の議論の、特に今言った大学・研究機関のことについては、大臣に我々の意見として、私がお伝えをしたいと思います。
(問)研究者の人が何を研究するかというのは、これは自由が保障されていると思うんですけれども、憲法は。それを政府の方から安全保障の方にシフトしなさいというのは、ちょっと何か問題があるような気もするんですが。
(答)別にそれで政府が強要するわけではありませんから、全く。それはやはり安全保障、宇宙の中で安全保障は必要だということをメッセージとして出していくということであって、それを例えば大学に強要するということはもちろん、おっしゃったとおり、それはできませんから。ただ、そういうやはりマインドを持ってもらうということは、政府の方からしっかり発信していくということです。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:290KB)

(以上)