山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年4月23日

(平成25年4月23日(火) 20:45~21:04  於:本府庁舎5階522会見室)

1.発言要旨

 今日も正確な発信を心がけたいと思いますので、メモを片手に記者会見をさせていただきます。
 本日午後5時10分から総合科学技術会議の本会議を開催いたしました。民主党政権時代にほとんど行われていなかったということを考えれば、総理のご協力もいただいて、相当のペースでやっているのではないかなというふうに思います。
 会議には臨時議員として甘利大臣、それから稲田大臣をお招きしました。新藤総務大臣の代理で柴山副大臣、麻生財務大臣の代理として小渕副大臣、茂木経産大臣の代理として菅原副大臣にもご出席をいただきました。官房長官と平野議員は今回は欠席ということでした。
 本日開催された総合科学技術会議で取り上げた議題は4件。一つ目の議題である科学技術イノベーション環境創出に関する集中審議については、原山議員から有識者議員提出資料についての説明があって、その後議論を行いました。二つ目の議題は、第1次安倍内閣でやった「イノベーション25」、長期戦略指針ですね、このフォローアップということで、私からフォローアップの結果を説明をさせていただきました。三つ目の議題である、今日のメインテーマと言っていいと思いますが、司令塔機能の強化に関する集中審議については、久間議員から有識者議員提出資料について説明があって議論を行いました。四つ目の議題、これは科学技術イノベーション総合戦略(仮称)構成(案)ですけれども、これにおいては原案を簡単に説明をいたしました。これについては次回また、きちっと議論させていただこうというふうに思っています。
 議論の場において出席議員からあった主な発言だけささっと紹介をさせていただきたいと思います。まず、イノベーション環境創出に関する主な意見ですが、橋本議員から、人材の流動化に関して大学、独法は重要な場所だと。流動化の手段として給与制度の抜本的改革が必要であり、産業競争力会議でも年俸制の導入を訴えたということで、これは大学で非常に反対の声が多いので相当踏み込んで話されたなという気がいたしました。
 大西議員からは、都市のインフラを産業にしていきたいと。途上国はこれからなので、マーケットにどんどん取り込んでいくことが重要だという発言がありました。
 内山田議員からは、イノベーションの中で大学の果たす役割が大きいと。日本の大学は規模が小さくて産業界が連携しようとすると産学学連携になってしまうという指摘がありました。
 下村大臣からも発言があって、研究開発法人の成果を最大化するための新たな制度の創設についてはしっかりと検討する必要があるという話がありました。
 さらに、稲田大臣からも発言があって、この研究開発法人、文科大臣からもお話のあった研究開発法人の運用については、これをできる限り柔軟なものにすることについては行革担当大臣としても関わると。本日の議論も踏まえながら全体の整合を図りつつ検討をしてまいりたいという話でありました。
 柴山総務副大臣からは、ICT成長戦略を立ち上げてICT利活用の具体的プロジェクトについて検討を行っていますと。5月中旬を目途に提言をとりまとめる予定なので、総合戦略の策定に活かしてほしいという話がありました。
 続いて司令塔機能強化に関する主な意見を簡単に紹介します。橋本議員からは、府省横断型プログラムの創設については前向きに検討していただけるだろうと思っていますと。中身をどうするかが最も重要だという話がありました。
 それと、この橋本議員の発言ですが、FIRSTは世界トップレベルの成果を出していると。財務大臣の方からも2,000億円の補正予算等の使い道をしっかり検討するように宿題をいただいているが、出資金はリターンが得られるものを対象とせざるを得ないので、他方FIRSTでは短期的成果は期待できないとしても、将来的な成果や産業活性化に役立つものを対象としており、目的が違うと。ぜひ後継予算の措置を期待したいというお話がありました。
 さらに甘利大臣からもご発言があって、甘利大臣からは、科学技術イノベーション総合戦略、これが安倍内閣の科学技術イノベーション戦略の根幹、柱になるわけですが、5月中にとりまとめるというスケジュールでぜひ検討を進めてほしいということでした。
 中鉢議員からも、FIRSTの後継についても成功すればインパクトが大きい研究も重要だという話がありました。新たなイノベーションを生み出し続けるようなイノベーションの連打が必要だという話もありました。
 そして菅原経産副大臣からは、府省の縦割りを排除するこのプログラム予算、これは不可欠だということで、大変な応援演説をいただきました。
 それから、柴山総務副大臣からは、現時点でどのようなリターンが見込まれるかという発想ではイノベーションは生まれないと。総合科学技術会議がリーダーシップをしっかりとってほしいということで、今日、出席をした総務省、それから経産省の二人の副大臣は、大変私に対して温かいエールを送ってくれました。
 原山議員からは、司令塔は単なるトップダウンじゃないと。優秀なオーケストラの指揮者だって優秀なミュージシャンの能力を引き出すことが求められている、みたいな発言もありました。
 そして、今日は麻生大臣は出席されていないのですが、小渕副大臣の方から、先般、産業競争力会議で麻生大臣からお話のあった趣旨の話が、FIRSTの後継プロジェクトについてはいろいろな状況、効果を見ていくわけであって、中期財政計画などとも検討しているものであって、今、現時点で特定分野の扱いに言及する段階ではないのではないかと、そんな話がありました。これについては前回、産業競争力会議で麻生大臣のおっしゃった趣旨とほとんど同じだと思います。
 内山田議員からは、これまでのプログラムはチェック機能が弱いという指摘があったり、あるいは久間議員の方からDARPA型、ありますね、アメリカの。FIRSTの関係で言うとDARPA型が成功した理由はPDの権限が強かったと。DARPAではプログラムダイレクターではなくてプログラムマネージャーでPMだったと思いますが、とにかくすごい権限が強いらしくて、プログラムの設計から予算確保、実施、広報などを担うからだということで、とにかくPDをちゃんとした人を選びましょうと。企業や大学の人事でしっかり身分保証して、大学の人だけではなくて企業の人でもいいのではないかという話がありました。
 そこで、一応、私からも発言をさせていただいて、私から申し上げたのは、安倍総理からご指示をいただいた総合科学技術会議の予算、権限両面における抜本的な強化の方策は大きく言って三つではないか。一つ目はいつも申し上げているとおり、総合科学技術会議が決定できる予算枠の確保です。二つ目が、科学技術予算の戦略策定プロセスの改革。三つ目がFIRSTの後継プログラムの検討だということをお話をして、第1の予算枠については府省横断型の研究開発プログラムの創設を検討するという方針がもう総理から示されていますが、進化した総合科学技術会議が自らの判断で戦略的に決められる予算枠をつくることは非常に重要で、ぜひ実現してほしいというふうに申し上げました。
 第2の科学技術予算の戦略策定プロセスの改革は、科学技術予算検討の最初の段階から省庁にも参画をしてもらうということで、これは責任を持って実行していただくという新しい政策決定プロセスの流れをつくるものであって、これは政府全体の予算配分の重点化を強化するために必要だということを申し上げました。
 第3のFIRST後継プログラムについては、麻生財務大臣の方からも21年度の補正予算の中身をまずよく検証してくれというふうに言われていますが、財務大臣のこの問題提起にしっかり答えられるようにきちっと対応しながら、政策上の必要性や妥当性をしっかり議論し、何とか実現したいということも申し上げました。
 加えて、科学技術イノベーション総合戦略(仮称)のとりまとめ、これは総合科学技術会議にとっては極めて重要な役割だと思いますが、この中でしっかり司令塔機能を位置づけていくというお話をいたしました。
 そして最後に総理からの発言、皆さんお聞きになっていたと思うんですけれども、総理からの発言を改めてご紹介しますと、「イノベーション25」のフォローアップについては何がうまくいって何がうまくいかなかったのか、「イノベーション25」は私の第1次安倍内閣のときにつくったものだが、私が政権に返ってきたからフォローアップできたのかもしれない、というふうにまず総理はおっしゃっていました。
 総合科学技術会議の閉会に当たり4点申し上げるということで言葉をいただきました。これが今回の会議の最大の成果だと思います。4点申し上げます。総理はこうおっしゃいました。先日の産業競争力会議において、府省横断型の研究開発プログラムの創設の検討を指示した。このプログラムの制度設計は、その対象や配分の仕組みを含め、総合科学技術会議で行うこととなる。関係閣僚にもご協力をいただきたいということで。私が先ほど申し上げた第1番目の矢についてはかなり道筋が整ったのではないかということで、担当大臣として申し上げますと、少なくとも500億円ぐらいの枠は総合科学技術会議にきちっと戦略的に配分をしていただきたいと思いますし、その流れをこの総理の一言でつくっていただいたと言っていいと思います。もう一回言いますが、このプログラムの制度設計は、その対象や配分の仕組みを含め、総合科学技術会議で行うこととなる。関係閣僚にもご協力いただきたいという指示をいただきました。
 さらに2点目として、科学技術予算戦略の策定において総合科学技術会議の主導のもとで関係省庁が企画段階からより深く関与し、責任を持って実行していただきたいと、これは第2番目の矢で、戦略会議という名前にするかどうかわかりませんけれども、各省の少なくとも局長クラスの方々が予算編成の前に総合科学技術会議に集まってきて、そこから予算編成がスタートするみたいな仕組みをぜひ、この総理の言葉をしっかりと胸に置いてつくっていきたいと思います。
 さらに総理がおっしゃったのは、新たな科学技術イノベーションの政策のいわば骨太の方針である「科学技術イノベーション総合戦略(仮称)」については、来月を目途にとりまとめると。関係閣僚や有識者議員の皆様におかれては、本日行われた司令塔機能強化の議論を含め、引き続き議論を尽くしてとりまとめに向けて協力をお願いしたいと。
 前回までの総合科学技術会議にて議論してもらった4分野に関する議論の中身は、今後策定する成長戦略に役立てていただくように甘利大臣にお願いしたいと、こういうことでした。
 この総理から最後にご発言をいただいた4点が今日の総合科学技術会議の最大の成果ではなかったかなというふうに思っております。
 領土と主権の例の発信の懇談会にいく前に、一回ここで切ってご質問を受けたいと思います。総合科学技術会議の件についてご質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)(山本大臣)どうぞ、中村さん。
稲田大臣や下村大臣から出た研究開発法人の制度については、今後どういうふうなスケジュールで進められていくのでしょうか。
(答)これはまだ今の総合科学技術会議のメンバーとしてきちっと議論していないのですけれども、これはやはり議論の中に入れていかなきゃいけないんじゃないかなと思っていますが、よく有識者議員の方々とも相談して、どこでどういう議論するかというのを決めていきたいと思います。
 やはり研究開発法人というか、やはり研究開発の性質から考えて、いわゆる今までというか、ほかと横並びの組織でいいのかという議論とか、報酬というか給与の決め方も今のままでいいのかとか、そういう問題意識はもう既に過去いろいろと議論されていますから、これはどこかでやはり議論しなきゃいけないと思いますけれども、今どういう段取りでというのは決まってません。
(問)あともう一つ、FIRSTの後継施策なのですが、大臣のイメージとして、例えば基金でやるのか、基金でやるとしたらまた法律が必要になるとかいろいろなことがあるかと思うんですけれども、どんなやり方を考えて。
(答)まず、先般の記者会見でも申し上げましたけれども、FIRSTの後継プログラム、きちっと予算措置をするというのはそんなに簡単ではないと思っています。それはやはり当然財務当局に対しても、補正もあれだけついたわけですから、補正予算の中身についてもまずきちっと説明をし、財務省側から出た例の出資のプログラムをもっと活用したらどうかという話も出ていますから、もちろん出資のプログラムを活用しなければいけないのですけれども、やはりいろいろな状況があっても、やはりFIRSTの後継プログラムとしてきちっと予算措置をつけることが必要だという、説得力のあるきちっと議論をつくって、それを財政当局にぶつけていかなければいけないと思いますし。これはかなりFIRSTの後継プログラムをつくるということになると、政治的な決断が必要だと思いますから、この間も申し上げたとおり、ちゃんとやはり財務当局に説得力のあるきちっとした我々も検証をやり、材料をそろえていかなければいけないと思っています。それがそろった時点で麻生大臣のところをお尋ねをして、そんな1回でうまくいくとも思えませんけれども、とにかくしっかり通ってよくご説明をして、何とか後継プログラムをつくれるような環境整備を担当大臣としては一生懸命やっていきたいと思います。
 一つポジティブな面があるとすると、産業競争力会議でも民間議員の人たちの方から、FIRSTの後継プログラムの必要性については強く応援をしていただいていますから、そういうことも含めて努力をしていきたいというふうに思います。
 いろいろ見方あると思いますけれども、私はFIRST、第1段階FIRSTは、やはりかなり成果を上げたのではないかと。世界トップレベルというかトップの研究が幾つもできたんじゃないかなと思っています。
(問)もう1点。司令塔機能の強化について、今現在でもできる大臣が持ってる各省大臣への勧告権、今まで使ったことないんですけれども、大臣としては必要があれば使う覚悟はある。
(答)覚悟はいつもあるんですけれども、だけれども、今まで使ったことないし、いわゆる勧告権はなかなか急に勧告したらみんなびっくりするし。総務大臣みたいに行政評価とかそういう権限があればともかく、覚悟というか、それは本当に司令塔機能強化できるんだったら何でも使っていきたいと思いますが、それにはやはり環境整備も必要なので、今のところ、じゃあ明日勧告権を出すみたいなことは考えていません。ただ、特命担当大臣として勧告権があるということはちゃんと頭に置いておきたいと思います。
 ほかにありますか。
 これだと総合科学技術会議は中村さんが全て質問したみたいになったんですけれども。どうぞ。
(問)共同通信の深谷ですが。先ほど最後の総理の挨拶の発言を取り上げたときに、総合科学技術会議が持つ予算枠が少なくとも500億円。
(答)いや、500億円というのは私の個人的な考えですから。
(問)それについては今日の会議では特に何か議論したりとかは。
(答)500億円という数字は別に出てません。ただ、府省横断型の研究開発プログラムの必要性というのはいろいろと議論もありましたし、甘利大臣の方からもサポートしていただきましたし、最後の総理の指示で、その立てつけについては配分も含めて総合科学技術会議で決めると言っていただいてますから、流れはできたと思います。総理から指示が出ているのに、やらないわけにはいきませんから。だから、その予算の配分の枠とかやり方は総合科学技術会議で決めるということです。
 私は何度も言いますけれども、枠をとる、配分枠をとる、いろいろな多分考え方があると思いますけれども、少なくとも500億円ぐらいないとそれはインパクトがないと思っていますから、ぜひそのぐらいの枠を実現したいと思います。

(以上)