山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年4月5日

(平成25年4月5日(金) 9:06~9:23  於:合同庁舎4号館2階220会議室)

1.発言要旨

 今日は、閣議の中身については特に御報告することはありません。
 ということで、アザラシ型セラピーロボット・パロの紹介を今日はさせていただこうと思っています。
 アザラシ型ロボット・パロは、産総研(産業技術総合研究所)が開発したのですが、アザラシの赤ちゃんをモデルにして大きなセラピー効果を提供しているということで、もう二千体ぐらい、大体国内で二千体ぐらい使われていまして、世界でも30カ国ぐらいで五百、六百体使われているんでしょうか、いろいろなところにセラピー効果を提供しています。
 実は、見た目はともかくとして、大変なハイテクの塊で、これを支えているのは最先端の製造技術ということで、今日は開発者の柴田さん(柴田崇徳産業技術総合研究所上席主任研究員)に来ていただいたので、ちょっとパロの話をしてもらおうと思うのですけれども、その前に皆さんに実際のパロをお見せしたいと思います。
 もう御覧になった方も多いと思いますが、これがパロですね。ひげを触ると嫌がったりしてですね、これ、ちょっと解説していただけますか、パロ。
(柴田氏)産業技術総合研究所の柴田と申します。
 これはアザラシの形をしたロボットのパロですけれども、たくさんのセンサーが入っていまして、例えば、全身を覆う毛皮の下に触覚センサーがあって、人がなでたりすると喜んだり、それから気分が良くなっていく。ひげもセンサーになっていて、嫌がったりします。また、視線を感じたり、それから音を聞いて、例えば言葉を認識して、さらに、人工知能で学習機能がありまして、人との触れ合いの中から、飼い主の好みの性格に徐々に変わっていきます。また、名前も学習することができます。
(大臣)名前も学習するというのは、どういうことなんですか。
(柴田氏)これは、例えば今はパロですけれども、ポチとか名前をつけてかわいがってポチと呼んでいると、だんだん自分がポチだと。
(大臣)ポチだと思うようになるんですか。
(柴田氏)それでポチに反応していくというふうになります。
(大臣)ということは、パロという音にも反応しているんですね。
(柴田氏)そうですね。
(大臣)なるほど。どうぞ、続けてください。
(柴田氏)あとは、目的としては、一般家庭でのペットもあるんですけれども、医療福祉施設のセラピーということで、大臣からお話しいただきましたけれども、ちょうど今、写真にも出ておりますけれども、国内外の医療福祉施設で今、利用が始まっています。
 特に認知症であるとか、それから発達障害、それから精神障害、また交通事故などで高次脳機能障害といった障害者の方などにパロと触れ合っていただくと、例えば鬱が改善するとか、それから、不安が低減する、また気分がよくなるということで、例えば認知症の方であれば周辺症状、例えば徘徊するとか、また暴れるとか叫ぶとか、そういったことが低減化していくということがあります。
 通常はそういうものを抑えるために、抗精神病薬などをたくさん使うんですけれども、そういったものは低減化するというメリットがあります。また、介護する人が負担が非常に大きいんですけれども、接触しやすくなる、介護の負担が大きく低減化するというメリットがあります。
 例えば認知症の方であれば、在宅で介護がしやすくなるということで家族の負担が減るものですから、それで、例えば次の施設に移らないといけないという、それを1カ月でも2カ月でも、あるいは1年、2年と遅らせることができる。それによって社会のコストを大幅に低減化するということは期待できます。
(大臣)柴田さん、この声は、実際のアザラシに似せているんですか。
(柴田氏)カナダまで行きまして、本物のアザラシと触れ合いまして、そのときの映像で録音した音をサンプリングしてパロに使っています。
(大臣)さっき言った学習効果というのは、例えば、パロのひげを触ると本当に嫌がるでしょう。こうやって嫌がりますよね。
(柴田氏)はい。
(大臣)そうすると、学習効果というのは、例えばこういうところをこうやって触っていたりすると気持ち良くなったりとか、よくここを触っていたりすると、気持ち良くなったりとかだんだん変わっていくということですか。
(柴田氏)そうですね。強化学習という言い方をするんですが、なでられると心地よいとか、叩かれると嫌という、そういう価値観を持っていまして、飼い主になでられたりしながら触れ合っていくと、そのときに出した行動が、飼い主の好みの行動なんだなということを理解して、次に似たような状況があったときには、それを出すように学習をして、徐々に性格を変える。
(大臣)分かりました。
 ということで、皆さん、何でこれを紹介したかというと、これはやはり一種のクールジャパンなんですよ。まず、こういうふうにセラピーをしようということを考えつくというのは、いかにも日本人だという感じがしていまして、今度また少しずつ違う技術も紹介していきたいと思いますが、せっかくパロを何台か持ってきたので、パロを試していただきたいと思うんですね。誰に試してもらったらいいかな。NHKの方いますから、ちょっとパロを。ちょっと、ひげ触って。目つぶると嫌がるということなんですよ。かわいいでしょう、なかなか。
 これは電池ですか。
(柴田氏)内部にバッテリーが入っていまして、充電、おしゃぶりを口にくわえる形で充電ができるんですけれども。
(大臣)充電がまたおしゃぶりというのも日本人しか考えつかないでしょう、こういう細かいセンスというか。
(柴田氏)今、外務省さんでは、文化啓発用品というふうに認定されておりまして、在外公館に今15カ所ぐらい、大使館とか総領事館とか、そういったところで日本の科学技術、それから文化というものを紹介するツールとして使っていただいています。
(大臣)分かりました。皆さん、パロに注目をしていただいて、パロもまた進化していくのかな。これは一体一体手作りですか、パロは。
(柴田氏)手作りで作っています。ですから、顔つきも一体一体少しずつ違うものになります。
(大臣)そうすると、顔も変えられるわけですね、場合によっては。
(柴田氏)そうですね。
(大臣)好みのパロに。
(柴田氏)好みの。だから、女の子っぽいとか、男の子っぽいとかですね。
(大臣)女の子っぽいパロとか、男っぽいパロとかできるわけですね。
(柴田氏)そうですね。
 あとは、セラピーの道具という観点で言いますと、効果と同時に安全性というものが非常に重要になりますので、例えば、この毛皮というのは、隔離病棟などでも使えるようなレベルで、今は制菌加工という菌を減らしていくといいますか、そういう材料といいますか、科学的な抗菌をした、そういう毛皮を使ってやっています。
(大臣)なるほど。ただ、一つ言うと、パロは毛がつきますね。昨日、パロをずっといじっていたら、ここら辺が毛だらけになっちゃって、パロにもいろいろ開発上の課題があるということで。
 ありがとうございました。
(柴田氏)どうもありがとうございます。
(大臣)是非また第二、進化したパロがあったらまた。
 お尻で、ここがしかもスイッチになっているという。これでね、パロは完全に寝るわけですよ、お尻のスイッチで。
 ということで、今日の一口科学技術紹介はパロでした。何か御質問があれば、パロの件でも、ほかの件でも結構です。

2.質疑応答

(問)朝日新聞の瀬川ですけれども、昨日、総合科学技術会議の委員の方々とお話し合いがあったと思うんですけれども、どのようなことを話し合われたんでしょうか。
(答)お配りした議事次第にあったと思うのですけれども、一つは、第一次安倍政権のときのイノベーション25のフォローアップについて議論させていただきました。それから二つぐらい個別の課題があったと思うのですけれども、個別の政策分野についても議論させていただきました。最後の30分ぐらいは、総合科学技術会議の機能強化について議論させていただきました。私も担当大臣として、1時間半たっぷり議論につき合わせていただきました。既に発言した時間数ということでは、歴代の科学技術担当特命大臣としては新記録だと言っていましたけれども、非常に率直ないい意見交換ができたと思っています。
(問)具体的にはどういうような件を。
(答)イノベーション25についてはしっかり結果を検証してフォローアップしていこうと。イノベーション25で達成したことと、それから将来の課題というのについても改めて有識者議員の間で議論しましたし、一つの課題としては、それを話し合った司令塔強化というのがありましたけれども、イノベーション25についてはきちっとその精神を検証していこうということになりました。あと二つの個別の政策分野の話については、あまり細かい議論はいいと思うのですが、最後の機能強化については、有識者議員の方に論点整理したペーパーを出していただいて、それについていろいろな議論をさせていただきました。
 私の方からは、ほかの議員の方々の発言は一応非公開だったので申し上げることは控えたいと思いますけれども、私の方から申し上げたのは、今の政府の雰囲気、それから大臣としての感覚ということで、簡単に言うと、これも記者会見で申し上げているからいいと思うんですが、司令塔機能強化現象がいい意味でも広がっていまして、とにかく司令塔を作らなきゃいけないという雰囲気が今あって、特に総合科学技術会議については、安倍総理が、これまでにない予算、組織、機能も含めた抜本的な機能強化をやってくれという指示を受けた。つまり、この言葉をしっかり体現して改革というか総合科学技術会議の機能強化をやらなくてはいけないと、それも中途半端な話ではないという話をさせていただきました。
 安倍政権としては、いろいろな言い方はありますけれども、やはり科学技術イノベーションを出口に結びつけていくと、経済活性化に結びつけていくというのが、これがやはり主眼だということを申し上げた上で、現時点での議論で言うと、皆さん御存じだと思いますが、総合科学技術会議に予算の枠というものをきちっと割り当てるという議論があったり、実施についてはいろいろなオプションがあると思うのですが、そういう議論がある話とか、あるいはFIRST(最先端研究開発支援プログラム)の後継プログラム、これについては非常に意味があるので、何らかの形でこれをやるべきではないかとか、大臣個人の意見、それから今の政府の議論、それから党本部、与党の考え方なんかを少し意見として述べさせていただきました。それについてまたいろいろな議論がありました。
(問)沖縄タイムズの吉川です。すみません、パロの話ではないんですが、昨日、大臣、宜野湾市長にお会いしていると思うんですが、普天間の問題とか、その辺でいろいろな意見交換をしていると思うんですが、どういう話があったのかということを教えていただけますか。
(答)あまり細かいことを申し上げることは控えたいと思いますが、宜野湾市長はやはりもちろん普天間のことを非常に気にされていて、やはり宜野湾市をこれからどうやって発展させていくか、こういうところに非常に、当然ですけど、関心をお持ちでした。ですから、沖縄振興担当大臣として、そこのことに少し意見交換をさせていただきました。
(問)あと、それに関連してなんですが、今日、嘉手納以南の返還計画が出されるという話があるんですけれども、実際、普天間の辺野古への移設が難しいというお話が県内で話されている中で、その計画の実効性はどうなのか。それは返還されることで沖縄の経済とか発展に繋がるとは思うんですけれども、計画の実効性というのはどう考えているかということをお聞かせいただけますか。
(答)毎回ちゃんと質問していただいて、本当に期待されるような答えができなくて本当に申しわけないのですけれども、この基地の話というのは、私の所掌ではないということなので、そこは具体的に申し上げる立場にありません。しかし、日米合意に基づいて沖縄の方々の理解を得ながら、やはり粛々と進んでほしいなと思っています。
(問)朝日新聞の大野と申します。米軍基地の嘉手納以南の計画が発表された後、沖縄担当大臣として沖縄入りして地元首長ですとか理解を求めることとか、お会いになる御予定というのはありますでしょうか。
(答)それは具体的に決まっていませんけれども、基本的に私の仕事は沖縄の心に寄り添ってしっかり振興を考えていくということですから、今までもそうでしたし、これからも状況に応じて沖縄にはできるだけ足を運びたいと思いますし、今、沖縄で行きたいなと思っているのは与那国で、やはり国境離島は見なきゃいけないなと思っているので、これからも、時期はともかくとして、日程の調整がついて、必要性があれば沖縄にはしっかり足を運んで、沖縄振興のことについてはいろいろと、また地元の御要望も聞きたいし、議論もさせていただきたいと思っています。
(問)確認なんですが、現時点では計画は、その予定は現時点ではないんですか。
(答)国会の予定もあるので、今のところ具体的にはないのですが、これからも同じように、できるだけ足を運んでいきたいと思っています。
 よろしいでしょうか、これで終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:103KB)

(以上)