山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年3月15日

(平成25年3月15日(金) 9:23~9:48  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日の閣議については、特に御報告することはありません。
 まず、今日は一つ申し上げたいことがあります。昨日、東京女子医科大学の先端生命科学研究所で細胞シートによる再生医療の研究、これを見てきました。岡野副学長の研究ですけれども、これはやはりFIRST(最先端研究開発支援プログラム)の大きな成果の一つで、この研究には本当に感銘を受けまして、総合科学技術会議のプレゼンとしてまた成立するかどうか分かりませんけれども、こういうものも是非いろいろなところで科学技術政策担当大臣として紹介をさせていただきたいと思っています。細胞シートの研究は非常に画期的だなと思ったのは、中身もそうですけれども、これが非常に事業化につながるという視点でやっている。今の最先端の医療機器というのは、ほとんど輸入ですから。しかし、日本発の、日本でしかできない技術、研究というものは、いわゆる日本発の、例えば医療機器の開発にも結び付くということで非常に大きな可能性を感じました。これはおそらく一つの視点として、山中先生(山中伸弥京都大学教授)のiPS細胞のような本当に重要な研究についてもきちっと予算をつけていくということで政府としてもバックアップするのは当然だと思いますけれども、例えば、そういう技術が成熟した、安全性が確認されたときに、これを実際に治療として使っていく、あるいは産業に結びつけていくというときに、その道筋というものはつけていかなくてはいけないので、こういう細胞シートみたいな研究にも予算をつけていく必要があるということを大変強く感じた、ということを申し上げておきたいと思います。
 それから今週末、京都のパルスプラザで行われる「科学・技術フェスタ」に出席をいたします。夜遅く京都に入って、次の日のフェスタで大臣として挨拶をして、少しフェスタを見て、そのまま、また戻ってこなくてはいけないという、ちょっと、せわしい日程ですけれども。これは皆さん御存じだと思いますが、若者を対象に、科学技術のすばらしさというか意義というか魅力を若者に伝えようというイベントですけれども、メインホールで宇宙とそれから再生医療の2分野をテーマにいろいろなことをやっています。世界的権威と呼ばれる岡野先生を含めたいろいろな人たちの講演があったりとか、あるいは展示会場で大学、研究機関によるいろいろな化学実験があったりとか、是非一人でも多くの方に、これは無料なので来ていただきたいと思っています。私が非常に興味を持っているのは、アメリカのイグノーベル賞は御存じでしょうか。イグノーベル賞という人々を笑わせ考えさせる研究に賞を贈っているのですね、風変わりな研究というか。そのイグノーベル賞は昨年は日本人の研究者2人が、音響学賞というのを受賞していまして、産総研(産業技術総合研究所)と科学技術振興機構の2人の方が「スピーチ・ジャマー」という装置で賞を取りました。スピーチ・ジャマーという名前は、日本の「邪魔」とアメリカの「ジャム」「ジャミング」というか邪魔と両方かけている、このネーミングのセンスにはびっくりなんですけど。スピーチ・ジャマーは、人間はこうやってしゃべっていると自分の声が聞こえているのですけど、その声を0.2秒遅らせて送るとしゃべれなくなるという、おしゃべりな人を黙らせるという機械です。これの実演もやるということなので、スピーチ・ジャマーが本当におもしろかったら研究者お二人に頼んで、ここで是非、実演をしていただこうかなと思っていますので、スピーチ・ジャマー、皆さん、楽しみにしてください。ご了解を取れるのか、本当にここでやっていいのかどうか分からないんですけれど、是非スピーチ・ジャマーはですね、科学技術のおもしろさを伝えるという意味では非常にいいのではないかとに思っています。
 それから、3月13日に官邸で、官房長官を議長とする第1回の経協インフラ戦略会議が安倍総理出席の下で開催されました。非常に意味があると思います。第1回目はミャンマーでしたけれども、私も宇宙政策担当大臣として出席をして、いわゆるASEAN防災ネットワーク構築構想ですね、例の衛星を活用した国土基盤整備の重要性について話をさせていただきました。ミャンマーにはいろいろな可能性があると思いますが、短期的にすごく役に立つものと、少し長期的に持続的な成長に資するものと二つ分けて考えなくてはいけないと思うのですけれども、やはり衛星、準天頂衛星みたいなものは非常に経済活性化に資するものですし、あるいは経協インフラのようなパッケージインフラの輸出についても非常に可能性があるということを申し上げました。この経協インフラ戦略会議、また必要があれば是非、出席をしていろいろな意見を言わせていただこうと思っております。
 それから、今日はせっかくなので、久々にやりたいと思うのですが、リモートセンシング衛星データの拡大を図るために、複数の衛星のこのアーカイブのデータの総合検索をやるための衛星データ利用促進プラットフォームというものを開発いたしました。いろいろな衛星のいろいろなデータを組み合わせて見られるということですけれども、これは、試験運用を3月1日から3月31日までの間実施しています。試験運用が終わるとまた研究に入ってしまうので、また閉じてしまうのですが、是非皆さんにこれを検索していただきたいと思っています。24年度から3カ年で段階的に開発、試験運用をやっていきますので、本格運用は平成27年度以降ということになります。
 リモートセンシング衛星データというのはいろいろな産業、行政、生活の高度化、効率化に非常に寄与していますが、例えば安全航行ですとか災害対応などでも、衛星に光学とかレーダーのセンサーを搭載して、宇宙空間から地球上を観測して得られたデータということですけれども、いろいろなことに使われているということで、これまでは各機関で衛星データをばらばらに管理していました。とにかく、いろいろな省庁が、いろいろな衛星を持っているものですから、しかも、一部の専門家は、それぞれの機関に個別にやっていたのですね、文科省、経産省ですけれど。一般の利用者には、どこにアクセスすればいいか分かりにくかったので、これはなかなか利用されていなかったのですが、これをプラットフォームを作って統一しようということです。
 こういう形で衛星データの利用促進プラットフォームを作る。一般の利用者でも、異なる種類の衛星データを区別なく統合的に検索可能だということで、こういうプラットフォームを開発したという話です。
 このまま、検索結果からデータ提供の元のウェブサイトへリンクして、提供元が非常に明確化されるということですけれども、民間事業者の衛星データ利用促進、プラットフォームの運用を前提として、今、実験的にやっていますから、必要な機能の向上を図っていこうということで、これによって衛星データ利用の利便性が向上すると我々は期待しております。
 利用の一例ですけれども、これは時系列表示機能という衛星データを、撮影したゾーンの時期の順に提示させるという機能があります。例えば、羽田空港の拡張工事の完成までの変化を複数の衛星データを検索して表現してみました。これは1枚目は、アメリカの商用イコノス衛星の画像です。これはちょっと古いのですが、2008年5月の画像です。羽田空港の滑走路の南方、多摩川の河口のところに拡張工事が開始されている様子というのが分かります。
 2枚目、これテラ・アスター衛星の画像です。2009年12月ですけれども、拡張部分の埋立てとか桟橋の様子が分かります。二つを組み合わせることによっていろいろなことが分かる。こんなことができるということで、是非皆さんにこれを検索していただきたいのです。
 一度利用していただけるとすごくおもしろいと思います。
 昨日、群馬県の草津温泉あたりをやってみて映像を組み合わせてみて、なかなかおもしろかったので、詳しい画像が必要だということになるとお金を払わなくてはいけないのですが、今のところ実験的にいろいろなことができるので、是非アクセスをしていただければと思います。
 以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村ですけれども、今の衛星の話なんですけれども、情報収集衛星のデータというのはどうなるんでしょうか。
(事務方)情報収集衛星のデータは入る予定はございません。

(答)ないですね。それは実験なので、いろいろ少し選んで。
(問)あと、昨日ブログに書いてあったんですけれども、国務省の科学技術顧問が昨日いらっしゃったということで、それでどのようなお話を。
(答)一応ブログを書いた後で思ったんですが、あまり詳しいことを書いたらまずいなと思ったんですが、あのくらいは書いてもいいだろうと。つまり省庁の縦割りの問題があるではないですか。総合科学技術会議を機能強化していくための大きな課題の一つは、省庁の縦割りをどう乗り越えていくかということですよね。
 そのような中でいろいろな案が出ていて、一つは科学技術顧問みたいなものを、アメリカにある大統領補佐官、科学技術担当の大統領補佐官みたいなものを作るという考え方も一つあるわけです。昨日来られた方は国務省の科学技術アドバイザーだったのですが、この方は、いわゆる大統領補佐官とも連携をとっておられるので、アメリカではどうやって科学技術というものを国家戦略として練り上げているんだろうかと。日本は各省のいろいろな縦割りと言うとちょっとよくないのですが、まとめていくのはなかなか難しいと言ったら、アメリカでも同じような問題があると。これは別に特に機密でもないから、そういう雰囲気だったので、表現にも気をつけながら、「らしい」とか「ようだ」という感じで書いたのですけれども、アメリカの中でもいろいろな各省の思惑というのはあるようなので、いろいろ苦労してやっておられるようで、そこには大統領補佐官だったら予算とか、あるいは規制改革の権限とか、そういうものも使いながらうまくやっているのだと。あのくらいの表現だったら書いても差し支えはないのではないかと思いましたので、書けるところだけ書きましたと、こういうことです。
 それから、5月にもし国会がなければ、日米の科学技術協力合同高級会議があるので、日程が許せば出席をしたいと思っています、科学技術政策担当大臣としては。そのときに、たぶんお目にかかれるかもしれないので、その時にどういう議論をしたらいいのかなみたいな話で、非常に充実した、大変有意義な意見交換でした。
(問)日刊工業新聞天野です。昨日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の立川理事長が定例会見の席上、任期切れとなる3月末で退任するという意向を表明されたわけなんですが、大臣、この受け止めと、後任人事についてどのようにお考えになっておられるでしょうか。
(答)全く後任人事については話もないので、そこについてはよく分からないですね。どちらかというと文部科学大臣に聞いていただいた方がいいのではないかと思います。
 一言で言えば、JAXAはとても大事なので、科学技術担当大臣としては、やはり(後任の方は)本当にいい方になっていただきたいなということです。
(問)時事通信の片川と申しますが、原子力委員会の見直しなんですけれども、大臣、先月の国会でゼロベースで見直すとすれば秋の臨時国会くらいまでに法案を出したいとおっしゃられていますが、この見直しというのをどのような場で、どのような検討を進めていくのかということと、前政権の有識者会議で組織と機能の選択肢を示すところまではやっているんですが、この扱いというか位置づけはどうなるのかということを教えてください。
(答)まず一つ、見直しをするという方向性は決まったので、どのような形でやっていくのか、どのような組織でやっていくのかということを今、検討中です。できるだけ早くそのような形を作りたいと、今、検討中です。
 それから、前政権で見直しの方針を作ったわけですが、これは参考にできるところは参考にしていきたいと思っていますが、見直すという方針はこの政権でもしっかりやっていきたいと思っています。ただ、細かいところまでは全くまだ議論されていないので、ただ考えられる選択肢を提示したというところだと思うのですね、あの報告書は。だから、本当に見直しを考えていくということになると、やはりいろいろな議論をしなきゃいけないし、それはやはりある程度時間がかかりますから、答弁したように、できる限り、できればそこら辺を目途にやっていきたいなと、おそらくこれは私が担当することになる可能性がありますから、そのように思っています。
(問)関連してなんですけれども、先日、委員の尾本委員が辞任されましたが、これは同じ国会で総理が委員に適しない非行ということではなくても、東電から顧問料をもらっていることに関して、国民の理解を得るのは難しいだろうということをおっしゃったんですが、この発言を踏まえて辞任なさったということなんでしょうか。
(答)それは直接はお聞きしていないのですけれども、おそらくそういうことも勘案されたのかもしれません。尾本委員は尾本委員として一生懸命やっていただいたなと思っておりますが、委員(本人)の御判断なんだろうなと、そう思っています。
(問)NHK内田と申します。改めてですけれども、離島国境を保全する法案に関連しまして、去年、自民党はまとめていたと思うんですが、それに関して政府のほうでも検討していく有識者会議みたいなものを設置するという一部報道がありますが、その辺の事実関係と、今後の進め方は今どのようにお考えでしょうか。
(答)海洋政策担当大臣として、今おっしゃったような、一部報道に出たようですが、国境離島の問題も含めたいろいろな問題について検討する有識者会議は立ち上げる方向で検討したいと思っています。ですから、その中でこの国境離島に関する法案については、例えば閣法(内閣提出法律案)でやるのか、あるいは議員立法にお任せしたらいいのかということもおそらく検討項目の一つに入ると思いますし、海洋政策としてこういう問題にどう対応していくのかということについても議論をすることになるだろうなと。例えば、いつまでに報告書を出すとか提言をまとめるとか、まだそういう具体的なところまでは固まっておりません。ただ、有識者会議を立ち上げる方向で検討したいと思っています。
(問)それで、その有識者会議での議論の中身ですけれども、去年の法案の中では、国境の離島に、日本の領土である標識を設置したりとか、あとは公共施設を建設したりとか、そういったことが盛り込まれていましたし、あとは日本の領土を守るために有益な離島については国土にするというような中身も入っていたんですけれども、そういう点を踏まえて、今言ったようなことが有識者会議の中でも議論のコアといいますか柱になっていく形になるとお考えですか。
(答)それはこれからの議論だと思うんですけれども、いずれにせよ、法案化、例えば閣法でやるのかやらないのか、まず法案化するかどうかどういうことを議論しなくてはいけないので、中身の話というのは、もし法案化みたいな流れになってくれば、議論が出てくると思いますけれど、まだ今の段階ではよく分からないと思います。ただ、有識者会議が立ち上がるとすると、その有識者会議での議論は、例えば先般、予算委員会の質問で出たEEZ(排他的経済水域)に関する包括法の話というのが武見委員のほうから出ましたよね、武見先生から。そういうようないろいろな議論にも影響を与えていくのではないかなと、そのような気はしています。
(問)共同通信の大澤です。これもちょっと一部報道であったんですけれども、沖縄の基地問題に関する閣僚の少人数で集まって話し合うという会合を立ち上げる予定みたいな話があったんですけれども、基地問題なんですけれども、こういうところに大臣が関わっていくということはあり得るんでしょうか。
(答)まず、一部報道ありましたけれども、政策協議会の件についてはまだ検討中ということではっきり決まっていないと思います。それから、これも報道に出た小委員会みたいな話、これもまだはっきり決まっていないということだと思います。
 いずれにせよ、沖縄に関するいろいろな政策協議会、政策を検討する協議会みたいなことがあれば、私は沖縄振興担当大臣ですから、メンバーになる可能性は十分あるだろうなと、そう思っています。
(問)大臣もう一つ、すみません。今日の閣議とか閣僚懇で、総理が今日中にTPPについて決断を下すというようなことを言っておられますけれども、閣議や閣僚懇の場でそういうことは話題になったのかどうか。
(答)いや、それは一切なかったと思います。
(問)また話は全く変わるんですが、今日、参院本会議で日銀の総裁、副総裁の人事が同意されると思いますが、安倍内閣の一員として一言コメントをお願いします。
(答)いずれにせよ、安倍総理が明言している「3本の矢」、これでしっかり強い経済を立て直すための体制をとにかく一日も早く作っていただきたいなと、閣僚の一人としてはそう思っていますし、強い経済を作るという使命の中で、自分にできることを精いっぱいやりたいなと、このように考えております。
(問))岡野先生の視察をされたということですけれども、ああいう再生医療製品の規制がまだ追いついていない実態がありますけれども、そういう全く新しい規制について総合科学技術会議としても検討をされるんでしょうか。
(答)総合科学技術会議というか、既に産業競争力会議の私、正式なメンバーになって、その総合科学技術会議と産業競争力会議と規制改革会議と、これが横軸でつながるような形になったわけですよね。当然、科学技術イノベーションを進めていくためには、規制改革がすごく重要であって、もう既にそれは連携していくという仕組みはできているのであって、それがまさに安倍総理の意図だと思っています。
 これも慎重に言わなきゃいけないので、自分の担当分野から離れないようにとは思うのですが、例えば、昨日、岡野先生の研究を見ましたけれども、これをしっかり進めていくためには、制度を変えていくということは大事だと思うんですね。それは規制改革であり、あまり細かいことは言えませんけど、薬事法みたいなものであり、こういうものについては私も科学技術政策担当大臣として、よく事務方からもレクを受け、よく情報公開しながら事務方とも、ちょっと研究していきたいと思います。自民党には再生医療関係の、たしか議員連盟もありますよね。だから、ここでどういう動きになっているのかということも、政府の一員としてはきちっと情報収集しようと思っていますし、今日閣議の前に田村厚労大臣とも話をしたんですけれども、非公式にも田村大臣とは、この岡野先生のプロジェクトについてちょっと議論したいと思っていますし、できるなら稲田大臣とも3人で、全然まだ約束も取っていませんから、あくまでも私の感覚ですけど、できるならば3人で集まって、こういうプロジェクトをどう進めていこうかというのを大臣レベルで少し個人的にも話合いできればと希望を持っています。まだ約束もしていませんから。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:851KB)

(以上)