山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年2月5日

(平成25年2月5日(火) 10:51~11:16  於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日はまず三つ最初に御報告をしようと思います。
 一つは、2月7日は北方領土の日ということで、例年大きなイベントがありまして、これには安倍総理には御参加をいただくということになってはいますが、これから国会日程がどうなるかということにもよるんですけれども、私が伺えない場合には伊達副大臣に出ていただこうと思っています。いずれにせよ、この日を中心にこれからいろいろなイベントを各地で展開していくことになるので、関係各省にもよくその点については御協力を求めていきたいと思います。それが一つです。
 二つ目は、安倍総理に同行して沖縄に行ってまいりました。日帰りの大変分刻みの忙しいスケジュールだったんですけれども、お昼過ぎから安倍総理と、それから仲井眞知事の懇談がありまして、非常に率直でいい雰囲気の中で行われたというふうに思います。
 今回の安倍総理の訪問の目的は、これは第2次安倍政権ができてから初めての沖縄訪問だったんですけれども、まずとにかく過去何年間かでがたがたになってしまった信頼関係を再構築をするということだったので、その最初の一歩にするという意味でいうと、私は非常に意味のある訪問だったのではないかというふうに思っています。
 それから三つ目なんですが、前回の記者会見、前々回ですか、申し上げたとおり、領土担当大臣としての大体役割について一定の結論が出ました。その山本チームの体制についても大体流れができましたので、御報告をしたいと思います。
 今日をもって内閣官房に領土・主権対策企画調整室というものを設置をさせていただきたいというふうに思っています。この任務ですけども、領土についての様々な状況を調査・検証するということ、更には、日本の立場についての国内啓発と、もうちょっと正確に言うと、同室の任務は、これ正確に言います、竹島及び尖閣諸島について領土・主権に関する国民世論の啓発等に係る企画及び立案並びに総合調整に関する事務を処理すると、これが最も正確な日本語だと思うんですが、プラス内閣府の北方対策本部との連携を図ると、こういう役割になりました。私は内閣の一員ですから、外務大臣等の関係閣僚と緊密に連携をして、領土担当大臣として今後同室を活用して領土について、ここに書いてあるとおりのことをしっかりやっていきたいと。国内啓発等となっていますけれども、この中には、内外発信という役目もあります。内外に発信するということについて言うと、これはしっかりと外務大臣と調整をしながらやっていこうというふうに考えております。こういう役目を果たしていくに際しては、ここで何度か申し上げましたけれども、有識者のチームを作ると、有識者の方々の御協力をいただくということもこれから考えていきたいというふうに思っています。
 組織図は、審議官を室長に、参事官、そこに総務班、それから国内広報班、調査・対外広報班という形で三つの部署を置くということになると思います。メンバーは11人で、当面、内閣官房の審議官に併任という形で室長をやっていただきますが、近いうちに常駐の審議官の方にこのポストに来てもらおうというふうに思っていまして、常駐のスタッフは11名、北方対策本部、内閣府の北方対策本部は、これはこれできちっと置いたまま、この北方対策本部と内閣官房、内閣府の下でしっかり連携をしていくということなんですが、北方対策本部のほうも審議官、参事官、それから主査みたいな形で4人は併任をさせていただこうと。これは常勤というか非常駐なんですが、つまり全体でいうと15名のチームと、こういうことになると思います。
 それから、領土担当大臣としての所掌、それから陣容、これはほとんど私が考えていたとおりのものになりました。ただし、この領土問題、尖閣には領土問題はないんですが、領土に係るいろいろな話はいろいろ機微なところもありますので、ここは総理の外交、安倍総理の外交政策の選択肢の幅を縮めるようなことがないように、そこはバランス感覚を持って発信をしていきたいというふうに考えております。ここでも何度も言いましたが、外交交渉は外務大臣にしっかりやっていただく、全体の戦略は総理の構想の中で進んでいく。総理は、各国との間ではもちろん国益をめぐる、あるいは主権をめぐるいろいろな交渉とかせめぎ合いというのがあるかもしれませんが、中国に対しては戦略的互恵関係の再構築を目指している。あるいは韓国についても極めて重要な戦略的なパートナーだというふうにも明言もされている。ロシアについては、これからおそらく首脳会談もどこかであるんだと思いますが、そういう総理の大きな戦略をしっかり踏まえながらこの領土、名前が長いんですね、内閣官房領土・主権対策企画調整室、これちょっとなんかアブリベーションでもっと短いのを考えようと思いますけど、内閣官房領土・主権対策企画調整室の運営を図っていきたいというふうに思っています。
 ちょっと長くなりましたが、以上の3点について何か、ほかのことでも結構ですが、御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)TBSの加古と申します。この企画調整室についてなんですけれども、総理あるいは大臣の強い要望があって設置されたのかということについて、繰返しで申し訳ないんですけれども、その経緯とねらいについてもう一度お願いします。
(答)この記者会見でも申し上げたとおり、領土担当大臣に任命をされたと、これは歴代内閣で初めてできた領土担当大臣なんですね。ですから、領土担当になったからには、やはりそれなりのしっかりしたメッセージを発信しなければいけないというふうに思っていましたし、このことについては、官房長官にも総理にもお話をいたしましたし、2人の御了解も得た上で外務省等としっかりいろいろな調整をして、こういう役割になったと、こういうことです。私のもちろん要望もありましたし、総理や官房長官の後押しもあったと、外務省側の理解もいただいたと、こういうことです。
(問)朝日新聞の二階堂です。この関係なんですけれども、これは内閣府でなくて内閣官房に置かれる理由とねらいというのがもしあればというのと、先ほど15人とおっしゃったのは、この室長を含めて15人ということでよろしかったでしょうか。
(答)そうです、含めて15人。そのうち常駐が11人、非常駐、言い方はちょっとおかしいんですけれども、北方対策本部と兼務の方が4人で、それで15人ということです。組織というのは大体作るときにいろいろなことを考えるんですが、どうやったらやはり人員を配置しやすいかとか、そんなことを全体的に勘案して内閣官房に置いたということです。内閣府と内閣官房の役割分担というのも、内閣府は内閣官房を補佐するみたいになっていて、各省よりも1段高いところで総合調整をするということになっていますから、そういう中で最も組織として組みやすい形にしたと、こういうことです。
(問)これまで外務省がやってきたようなことがあると思うんですけれども、そういった業務も、もうこの組織に一元化するという理解でよろしいんでしょうか。それとも、外務省は外務省でこれまでどおりやるということなんでしょうか。
(答)外務省は外交を担当していますから、外交交渉はもう一義的に外務大臣がやると。それについて、これも前の会見で申し上げた覚えがありますけれども、グループインタビューか何かで。例えばそれと矛盾したことを領土担当大臣がやるということは、これはもう考えられないし、やるべきでもないし、そこは外交政策についてはしっかりと外務省の政策を踏まえてやっていくということだと思います。
 国内をまずしっかり啓発をしていく。それから領土問題、あるいは領土に関する問題についてのいろいろな検証、例えば新しい証拠が出てくるとか、新しい文献が見つかるということもあると思いますし、そういうことはやはりこの領土担当室、長いんだ、名前が、領土・主権対策企画調整室でしっかりやっていくということになっています。プラスアルファ内外に対する発信、これは外務省と調整しなければいけないところはあると思います。外務省ももちろん対外発信をしっかり今までやってきましたし、ここでも申し上げたことがあると思うんですが、例えば領土の問題についても、各大使館がそれぞれの国のオピニオンリーダーにいろいろと働きかけたりとか、あまり詳しいことは外務大臣じゃないので言いませんけれども、それなりにやってこられた。しかし、やはりなかなか集中的にできないところがあるので、そこはこの企画調整室でしっかり材料を作って、それを総理とか外務大臣の外交交渉を後押しできるみたいな形で提供できればいいなと、そういういろいろな材料を提供できればいいなと、ちょっとしたシンクタンク機能みたいなものも出したいと思っています。プラスアルファ対外発信もやりたいと。この対外発信は、これは外務大臣と十分調整をしながらやっていきたいと思います。
(問)総理の指示で作ったということなのでしょうか、この室、新しい組織というのは、それとも大臣の最初の着想でもってということなのか、そこをもう一度確認したい。
(答)まず、領土担当大臣を設けたのは、これは安倍総理の意思です、初めての領土担当大臣。領土担当大臣として何をやるかというのは、当然任命された私がいろいろ事務方とも相談しながら考えなければいけないことだと思います。でも、総理といろいろとお話をしましたけれども、了解をいただきましたので、領土担当大臣としての所掌としては非常に適切であるというふうに総理も御判断をされているんだと思います。ただ、領土担当大臣というものを新しく任命をしたと、それについて私がしっかり発信をしていくということと、それからバランスを持ってやっていくということがもう一つあるんだと思うんです。つまり外交は生きていますから、先ほども申し上げたとおり、それぞれいろいろな国との交渉等々が始まりますので、そこは十分踏まえながら少し慎重に、また慎重にと言うと、安全運転と書かれちゃうかもしれませんけれども、そこは慎重に進めていきたいと思います。とりあえずしかし、日本の主張はしっかりと発信していかないといけないので、そこは領土担当大臣として、外務大臣とも調整の上でやっていきたいと思います。
(問)すみません、既存の組織との関係を二つ教えていただきたいんですが、まず一つは、内閣官房にあります竹島の昨年11月にできたばかりですかね、竹島問題対策準備チームとの関係、もう一つは、外務省内にある広報文化戦略課との関係について教えてください。
(答)最初の質問なんですけれども、これは去年、竹島対策チームができたわけなんですが、一言で言うと、発展的に解消するという感じでしょうか。あのチームのいろいろな目的とか活動も含めて、もう少し幅を広くして発展的に解消したと、こういう関係だと、一言で言うとそういうことだと思います。
 それからもう一つ何だっけ。
(問)広報文化戦略課
(答)外務省のね。ここはだからさっき申し上げたように、対外発信ということについて言うと、少し外務省とオーバーラップするところはあるかもしれません。でも、そこは外務大臣と外務省と十分調整しながら私もやっていきたいと思います。やはり海外広報というか領土に関する問題について発信するというところを強化していかなきゃいけないので、そこはもう一度言いますが、十分外務省と調整の上、私も発信をしていきたいと、領土担当大臣として、そう思います。
(問)すみません、発展的に解消というのは、いつかなくなるわけですか、この竹島のチームというのは。
(答)この竹島チーム、一回立ち上がっているんですね。だから、一応改組するということですから、なくなると思います。
(問)今日なくなって。
(答)ここに全体が入ったということで。
(問)外務省で新しくできた広報文化戦略課については、連携しながらやっていくという。
(答)連携というか調整しながら。
(問)調整しながらやっていくと。
(答)はい。基本的に内閣の外交方針と違うところでやっていくということはあり得ないので、外務大臣と全く違う方針でやるということもあり得ないので、そこは必ず調整をしながらやっていくということになると思います。
(問)共同通信の大澤です。新しくできた室と北方対策本部の関係がちょっといまいち役割分担がどう違うのかなというところがあるんですけれども。
(答)北方対策本部は国内世論の啓発だけじゃなくて、ほかにもいろいろなことをやっているわけですよね。旧島民の方々に対する例えば融資とかいろいろなこともやっている。これはこれで歴史もあるし大事な役目なので、これはこれでしっかりやってもらうということで、ですから、連携という形にさせていただきました。ただ、緊密に連携していくために、やはり併任をかけさせていただいたほうがいいと思って、それで4人の方は、これは併任ということで一応非常駐という形で、がちゃっとかませていただいたということです。北方対策本部自体はそのまま残していきたいと思います。
(問)毎日新聞の飼手と申します。常駐、非常駐合わせて15人ということですが、これは前の状態から比べると何人の増員になるのでしょうか。
(答)前の状態というと。
(問)北方対策本部と竹島の準備チーム。
(答)北方対策本部は十何人だったでしょうかね、チームとしてはね。

(事務方)十数名おります。

(答)十数名ですね。北方対策本部自体は十数名、これは残ります、そのまま。これはそのまま残って、そのうちの4人に併任として連携をするためにこちらにも加わってもらうということになります。
 それから、竹島チームは何人ですか。

(事務方)常駐3名、非常駐9名。

(答)そちらは12名ということですね、それをどういうふうに見るかですけども。しかし、こうやって全体をしっかり俯瞰(ふかん)した領土についていろいろ検証し発信するという機関ができたと、それについてどのくらいの人数が必要かということで一応考えて出した規模ですから、それはそれできちっと機能させていかなきゃいけないと思います。
(問)対外発信の機能を強化するということなんですけれども、具体的にはどのような方法と手段を考えて。
(答)それはいろいろな考え方があると思いますけれども、今日初めて立ち上がったので、これから具体的な施策は考えていきたいと思います。どういうふうにやったらいいのかということはこれから、私の中では幾つかアイデアがありますけれども、それは具体的な施策はこれからよく相談をして決めていきたいと思います。
(問)すみません、あと1点いいでしょうか。シンクタンク機能も果たしたいということなんですが、以前の会見で、有識者の方に協力をということだったんですが、この組織の中のどこかにそういう有識者の。
(答)それもだから先ほど申し上げたとおりまだ決まっていないので、あくまでまだ有識者というのは、以前から申し上げているのは私の考え方なので、これはだから具体的にどうするかというのはこれから決めていきます。でも、やはり有識者の、担当大臣の希望というか感覚として言うと、やはり有識者に議論をしていただくメカニズムはどこかに作りたいなと思っています。具体的にはこれからどういう組織にしていくかというのは検討したいと思います。
(問)産経新聞の峯です。2月7日が北方領土の日ということなので、改めて所見をお聞きしたいんですが。
(答)この間初めて北方対策担当大臣として根室に足を運んで、しかも、そこから貝殻島、水晶島、秋勇留島がくっきり見えて、北方領土問題については、やはり元島民の方々、もうすごく高齢化していますし、これは一刻も早く先に進めなければいけないという、そういう強い気持ちを持っています。この2月7日のイベントはそういう意味でも、この問題を政府としてやはり本当に進めていかなければいけないと、関係者の方々が一堂に会してそのことをある意味でいうと誓い合う日だと思っていますので、とても重要なイベントだと思いますし、これからこれを皮切りにいろいろなメディアへのキャンペーンとかが始まりますけれども、担当大臣としては特に若い人たちに北方領土問題について興味を持ってもらう、これについてどうしたらいいかということを少し知恵を絞ってやっていきたいというふうに思います。
(問)TBSテレビの加古です。対外発信の仕方は具体的にお決めになっていないというお話でしたけれども、直近の北方領土の日に向けて、この調整室としてどのようにPRしていくおつもりなのでしょうか。
(答)その直近の北方領土の日とかというのはあまり意識していないので、とにかく今日できたので、これからどういうふうに発信をしていくかということは、そこはこれから具体的に決めたいと思います。
(問)一応確認ですけれども、新しいところで担当するというのは、北方領土と竹島と尖閣の国内外への発信について担当するということで。
(答)国内外の発信。啓発、検証、それから内外への発信ということです。今おっしゃったように、ここにももう書いてありますけれども、竹島及び尖閣諸島、もちろんだから北方領土も入りますけれども、こういうことについて世論の啓発等に係る、領土・主権に関する国民世論の啓発等に係る企画及び立案並びに総合調整に関する事務を処理すると、こういうことです。尖閣は領土問題はありませんので、これはどう見ても日本固有の領土なんですけれども、日本固有の領土である尖閣について事実と違ういろいろな発信がいろいろなところからあるわけですから、広報がいろいろなところからですね、そういうことについてはしっかりやはり日本としても物を言っていかなければいけない、発信をしていかなければいけないと、こういうことだと思います。あまり特定の国がどうのということは言わないようにしたいと思います。
(問)有識者会議というのはこれからだと思うんですが、これまでおっしゃっていたように、領土権をめぐる歴史を検証するようなものというふうに理解してもよろしいでしょうか。
(答)そうですね、だから、それはこれから考えます。どういう知恵をもらうのかというのは、これから考えたいと思いますが、少なくとも今言ったこれまでの議論の検証、これはやはりこれについては助けていただきたいなというふうに思っています。具体的なことはまだ決まっていません。
(問)あと職員の方15人の方というのは、北方対策本部の方が一部兼ねるというふうに理解してよろしいんですか。
(答)そうです、兼任、併任をかけるということです、4人の方。ちゃんと部屋ができて主権対策企画調整室ができて、そこにちゃんと11名の方には常駐してもらうということです。4人の方は北方対策本部のほうでやってもらう、そのまま頑張っていただいて、しかし併任をかけさせてもらうと、こういうことです。
(問)すみません、もう1点お願いします。既に出ていたら申し訳ありません。中国と韓国が国際広報に関してはかなりリードして積極的にされています。日本に足りないものや、中国や韓国に対して発信すべきことというのはどんなふうに思われますか。
(答)あまり特定の国に対して発信するという、あまり特定の国のことはここで申し上げるのは控えたいと思いますが、全体として、例えば領土問題みたいなことについて、もちろん政府として努力はしてきたんだと思うんですね。外務省もそれなりにきちっとやっているんだと思いますが、やはりそこは補強する必要があるんじゃないかと、領土担当大臣としてはそう思っていまして、その対外、内外、内に対しても外に対しても、こういう日本の主張、考え方、こういうものを発信していくツールは増やしていかなきゃいけないし、そこの力はやはり補強していく必要があるんだと思います。これまでもやってきていますけれども、それは領土の問題について、領土について企画調整するところができたわけですから、そこを補強するという機能を果たしていかなきゃいけないと思っています。
(問)すみません、細かいんですけれども、竹島と尖閣についてということでよろしいですか。二つ限定ということでよろしいんでしょうか。
(答)だから、竹島及び尖閣諸島についてということですね。内閣府の北方対策本部との連携も図ると、こういうことです、正確に言うと。
 ちょっと時間がなくてあまり記者会見で言えなかったんですが、総合科学技術会議についていろいろと議論をしているんですけれども、これまでの予算について、いろいろ課題はあるんですけれども、やはり1年ごとに進化しているという感じがするんですが、その総合科学技術会議で重要な政策だというふうに認定をした、後押しをしたものがかなり科学技術の予算に反映されたと、そういう感触を持っているということだけはちょっと申し添えておきたいと思います。
 よろしいでしょうか、ありがとうございました。

(以上)