甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月18日

(平成26年7月18日(金) 10:28:10:53  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から1点報告がございます。
 経済の好循環の拡大に向けて、経済の現状と見通し、これは定点観測でありますが、そして、経済財政政策に係るその時々の重要課題について、各界の有識者の意見を幅広く定期的に収集、集約し、経済財政諮問会議の議論の参考としてそれを活用する、そういう仕組みを構築したいと考えております。
 具体的には、例えば民間シンクタンクや大学、経営者、あるいは地方等の有識者、総計で40~50名程度でありますが、それらの方々に、「政策コメンテーター」として御活躍いただくことを考えております。経済情勢やその時々の重要課題への政策対応のあり方等について、定期的に、例えば月1回、その40~50名の方からメールで意見の提出をお願いしようと考えております。
 そして、その際の課題の選定、それからいただいた意見の集約等を行うために、経済財政諮問会議の下に、専門調査会、これは10名強程度でありますが、設置することを考えております。
 来週の経済財政諮問会議で了承を得まして、なるべく早期に立ち上げ、まずは4-6月期のQEが出た後、経済状況の判断等について意見を聞いてみたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今の発言に関しまして、どうしてこういう場を作ろうと考えたのかもう少し詳しく御説明いただけますか。
(答)経済財政諮問会議には、民間議員4名の方に出ていただいて、政府側と議論をするわけであります。私が大臣に就任してから、民間議員の補佐がしっかりできるように、民間議員室を作り、民間議員の方に自身のスタッフを連れてきていただいて、それを補完する体制も作りましたけども、これはまだ数名の陣容です。景気の現状等々を定点的に観測し、課題についての提言を常時していただけるような体制があれば、言ってみれば、経済財政諮問会議のインフラになるわけであります。常設ということではなくて、景気ウォッチャーの専門家版みたいなものになるのでしょうか、40~50人の方々に定点観測、それから課題に対する意見を定期的にいただく。そして、それをまとめて分析・消化し、経済財政諮問会議に上げていくための専門調査会を置くことを考えております。それについても10名強の民間の方になっていただいて、定期的に集まっていただくことになろうかと思います。これはメールで打ち合わせるわけにもなかなかいきませんから、そのメンバーには集まっていただいて、数十名の政策コメンテーターの方々から上がってきたものの分析や、あるいは政策コメンテーターの方々にどういう問いかけをするのか、そういうことを決めていくことになろうかと思います。そこには経済財政諮問会議の民間メンバーの一人に入っていただいて座長役をしていただくというのがいいと考えています。
(問)秋には消費税の増税の判断も控えていると思いますが、今回のこの景気ウォッチャー専門家版の方々がその判断に何か関連するようなことはあるのでしょうか。
(答)基本的には、消費税増税の判断は総理がされるのでありますが、総理が判断されるのにできるだけ多くの識者の分析、助言が揃うようにしたいと思います。前回5%から8%に引き上げる際には集中点検会合を行い、相当幅広く、1週間ほど、私と財務大臣がかかりきりで、連日議論しまして、それが総理の御判断に、大変役に立ったと思います。今回も総理の判断は、総理御自身が各種経済データを基に、御自身で判断されるということと、それから期間がそう前回ほど余裕がありませんから短くはなると思いますが、それでも、前回の集中点検会合に近いようなことをやって総理の判断の材料にしていただきたいと思います。経済財政諮問会議の下に行う今回のメンバー構成が、それを直に判断するということではありません。ありませんけれども、経済財政諮問会議の下に集中点検会合を行ったわけでありますから、基本的には集中点検会合が主になると思いますが、何らかの参考にはされるかとも思います。
(問)民間の方々の人選ですけれども、結構な人数になられるということですが、どうやって選ぶのか、甘利大臣が選んでいくのか、選定の方法はどのようにされるのですか。 政策コメンテーターと専門調査会のメンバーは重複するのでしょうか。
(答)基本的には別だと思いますが、中には重複する人がいるかもしれません。その人選は、幅広くやりたいと思います。申し上げたように、その40~50名の構成は、お忙しい方でもメールで月に一回ぐらいは、定点観測あるいはこちらからの問い合わせに対して御回答はいただけると思いますので、シンクタンクの方や大学の関係者、経営に携わっていらっしゃる方、あるいは地方の有識者の方々の中から役所のメンバーとよく打ち合わせしながら、適切な人選をしたいと思っています。
(問)専門調査会という位置づけということですが、今日も開催されている「選択する未来」委員会も専門調査会だと思いますが、今回のこの専門調査会は、年末とか年度末に中間報告したりとか何か……。
(答)今申し上げているのは、景気ウォッチャーみたいに定期的に景気経済の状況を定点観測することと、それからその時の課題についてどう思うかという投げ掛けに対する回答をメールでいただくということ、インターバルは月に1回ぐらいだと思います。でありますから、この「選択する未来委員会」とは全然別立ての話です。
 「選択する未来委員会」は、50年先の日本を見通して、いい未来が選択できるように今から何を準備するかということで取り組んでいただきました。今回後半戦がスタートいたしましたが、その中間報告で提示した最大の課題というのは、人口が減って高齢化が加速度を増していく。放っておくと自治体によっては運営ができなくなるところが多数出てくるという警鐘を鳴らしました。それとあわせて、日本創成会議の増田座長が、地方消滅という衝撃的な試算を発表したわけであります。ちょうど「選択する未来」委員会が問題提起をしたのと、それから、それを具体的にどの箇所がこうなるというのが連続して出たものでありますから、まさに増田ショックということになり、その増田ショック、三村リポートと、それからアベノミクスの地方展開等々をあわせて今日の地方創生に向けた本部設定に向けて総理指示が出たわけであります。
(問)先ほどの政策コメンテーターの関連で、これはまずは4-6月期の景気点検からというお話でしたけども、そうすると、この政策コメンテーターの方の人選、あるいは最初の質問の投げ掛けというのは、月内にも行われるという理解でよろしいのでしょうか。
(答)そうですね、4-6月期のQEが出た後にすぐ対応ができるように、それに間に合うようにしたいと思います。
(問)この政策コメンテーターの仕組みですけども、基本的には短期的な景気の話が中心になるのか、成長戦略とか中長期的な課題についても意見を聞かれるのか、そのあたりどうでしょうか。あと、基本的には公開するのでしょうか。
(答)これは基本的に景気の現状判断を定点観測していくということと、定点観測時点で課題があれば、それに対する解決の意見等々を聴取したいと思います。余り中長期に構えて何をするということではなくて、現状の判断と課題をできるだけリアルタイムで聴取して対応を組むことができるようにしたいと思っています。
 別に隠すようなことではないですから、必要に応じて公開します。
(問)仕組みの話で恐縮なのですが、10人の方々というのは、それは事務方の方になるのでしょうか。
(答)これは民間です。
(問)40~50人はいろいろな方ですよね。
(答)40~50人は今申し上げたシンクタンク、大学、地方、経営者等から。これは来ていただく必要がない、メールで定点観測状況を教えていただく。また、こちらから投げ掛けるテーマもありますから、それについてどう思いますかということにも回答していただく。そういう定点観測の分析とか投げ掛けるテーマをどうしますかということを議論して決めるのが専門調査会で、それは規模を10人プラスアルファぐらいで絞ってやる。その中には、経済財政諮問会議の民間メンバーに入っていただいて座長のような形でまとめていただく。これは、電話でやりとりするというわけにはいきませんから、月1回定点観測するなら月に1回以上は集まっていただかなくてはならないという関係になります。
(問)これも民間有識者で作るということですか。
(答)はい。
(問)今日、総理が地方創生本部の準備室の立ち上げを指示いたしまして、同じ日に、「選択する未来」委員会が議論の後半戦を再開しました。テーマが結構重なるというか、同じような議題について話をすることになると思うのですけれども、この二つの会議体の連携やすみ分けはどうなっているのでしょうか。
(答)「選択する未来」委員会は、年内に最終報告をするということになっています。この「まち・ひと・しごと創生本部」は、総理が本部長で、全大臣が本部員でありますけども、恐らく内閣改造にあわせて担当大臣が決まるのであろうと思います。その時から本格的な作業がスタートするわけです。「選択する未来」委員会が今まで提案してきたことを織り込んでいくという形になろうかと思います。未来委員会は11月から12月にかけて最終答申をする。年明けに向けて本部の方は何らかの提言を出すということになりますから、途中からそれが「まち・ひと・しごと創生本部」に折り込まれていくという関係になっていくと思います。
(問)今日、ウクライナでマレーシア航空機が撃墜されたのではないかとのニュースが出ています。それで東京市場が先ほど大体200円ぐらい下がっているのですけれど、今までに入っている御存じの事実関係と、今後の株価への影響を一言いただけますか。
(答)安全保障会議が開かれたようですが、開かれたのはそれがあるからかと思いましたけども、私はメンバーではないので、どういう情報が入って、どういう議論が行われたかは承知しておりません。とにかく事故への対処ですね、高高度の飛行機を仮に地対空ミサイルで打ち落としたテロであるとしたならば、それは極めて特殊な兵器でしょうから、その管理をしっかりするとか、国連の安全保障理事会等が開かれて、こういう国際不安に対する対処が示されるのではないかと思います。日本が一国でどうこうできるということではないので、国連等を通じて不安の払拭、事故防止に努めてもらいたいと思います。
(問)ワシントンでTPPの日米の関税協議が終わって、大江代理は、「建設的な協議ができて頂上が見えてきた」と話す一方で、「隔たりが多い部分も依然まだある」というお話をしております。今回の日米協議に関する大臣の評価と残されている課題、それから方程式ですね、関税率やセーフガードなどの方程式に当てはめる係数というのはかなり具体的に決まりつつあるのでしょうか。
(答)具体的に未解決の部分が日米間で決着したということではないと思います。ただ、大江代理の言によると、8合目までは来たけれども、雲がかかって見えなかったのが、霧が晴れてきて頂上が見えるようになったと。頂上が見えるようになったということと、8合目から9合目へ移動したということは別問題であります。居場所は8合目であるけど、景色が変わったということだと思います。つまり登頂ルート、頂上に向けてどこから上がっていくのかが見えたということであって、9合目まで達したということではないと思います。今までは雲がかかって道が見えなかったということだと思います。
(問)川内原発の再稼働に関連しまして、今後の展望につきまして、昨日の大臣のお話では、再稼働については安全性等を確認して、地元の理解を得つつ迅速にというお話でしたが、原発の新増設や更新、リプレイスについてはどういうお考えでいらっしゃいますでしょうか。
(答)エネルギー政策については私の所管するところではありませんので、経済産業大臣に聞いていただきたいと思います。ただ、私が申し上げましたのは、政府の大方針として、安全が確認されない限り動かすということはない。安全が確認されれば、安全だけれども放っておくという選択肢もない。安全が確認されたものについては、地域の理解を得ながら再稼働させていく。そのこと自身の評価を経済政策担当大臣として問われれば、それは外国投資家の中で心配なことの三つのうちの一つがエネルギー価格がどうなるのか、安定的に低廉で供給できるのかということが投資判断の重要な三つの要素の一つになっているということでありますから、それが解決されることが投資の拡大、雇用の拡大、景気を引き上げていくということに資することになるということであります。
 それ以外のことについて、リプレイスの政策云々については、担当大臣にお聞きになるのがよろしいかと思います。

(以上)