甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月17日

(平成26年7月17日(木) 18:01~18:14  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を、報告申し上げます。
 景気は、「緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動も和らぎつつある」とし、先月から判断を上方に変更いたしております。これは、個人消費は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きが見られること、そして、企業の業況判断にはなお慎重さが見られるものの、改善の兆しも出てきていること等を踏まえたものであります。先行きにつきましては、当面、駆け込み需要の反動により、一部に弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現をする中で、緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっています。
 政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針2014」、いわゆる「骨太方針2014」でありますが、これに基づき経済財政運営を進めるとともに、引き続き、好循環実現のための経済対策を含めた、経済政策パッケージを着実に実行し、平成26年度予算の早期実施に努めてまいります。
 日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、増税後初めて上方修正をしたわけですけれども、駆け込み需要の反動が底を打ったという理解でよろしいのでしょうか。  
 また、かねてより大臣は、4~6月期は落ち込むけれども、7~9月期にかけては早期に成長軌道に戻っていくというお話をされていましたけれども、そのシナリオどおりに進んでいるというお考えでしょうか。
(答)反動減については、底を打って、収束しつつあると思います。これは、内閣府が47都道府県に反動減の状況について調査をいたしました。都道府県は、都道府県下の商工会議所だとか商工会を通じて、参加事業者等々から情報を聴取した結果を報告しているわけでありますけれども、反動減が想定を超えたという報告は一県もありませんでした。想定より小さかったというところが4カ所。それ以外は想定の範囲内ということでありました。ですから、前回消費税率を引き上げたときよりも、駆け込みも反動も、もちろん幅が大きいだけ大きかったわけでけれども、地域の受け止めは、反動減は想定内。想定を超えるという回答は一県もなかったというところでございます。
 個人消費も、心配された自動車が戻りつつある。それ以外については、かなり回復をしている。外食等においては、前年比をずっと上回る数字が続いている。注視していくのは住宅であると思います。住宅がなかなか、戻る気配がまだ見えてきません。ただし、前回消費税率を引き上げたときも、住宅について同じような軌跡をたどっているわけでありますから、そこは少し注視をしていきたいと思っております。
 申し上げましたように、企業の業況判断も改善の兆しが出てきているということでありますので、前回に比べて上方修正をしたというところであります。
(問)景気とエネルギー価格の関係についてお伺いしたいのですけれども、足元のガソリン価格が上がっておりまして、これは家計の負担になってくると思いますけれども、原子力発電所の再稼働がなかなかできないということを受けて、これから電気代を値上げしなければならないのではないかという見方もありますが、増税後の景気回復を考えると、できる限り電気代の値上げは望ましくないと政府は望むことになるのかどうか。この辺りを教えてください。
(答)産業用電力料金が3割ぐらい上がっています。これは、企業経営にとっては、かなり負担となっていることは事実です。しかも、現在の改定価格が一部、原発が既に再稼働したということを前提に料金を設定しています。例えば北海道電力などは、もうこの時点では泊原発は再稼働しているということを織り込んだ料金設定になっています。しかし、現実には再稼働していないわけでありますから、ですから、ずっと各電力会社は赤字経営が続いているわけであります。北海道電力や関西電力や九州電力というのは、3期連続赤字でありますから、放置しておけば債務超過になってしまうわけであります。当然、債務超過企業が倒れてしまうということになりますから、それを防ぐために料金を上げざるを得ないということになります。上げ幅が次第に大きくなってくるということになりますから、これは成長戦略にとってはマイナス要因であることは間違いありません。
 とにかく安全第一でありますから、安全をしっかり確認していただいて、安全のお墨付きが出たものについては、地域の理解を得つつ、迅速に再稼働することが経済成長にとって極めて重要であることは御指摘のとおりです。
(問)月例経済報告の基調判断としては引上げだったのですが、個人消費は先ほどもお話にあったのですが、一方で設備投資は今回19カ月ぶりに下方修正しているということで、少しまばらなところがあると思うのですが、大臣としては今回引き上げているということは、設備投資は少し一時的に落ち込んでいますけれども、消費などが戻っているから回復基調に戻りつつあるという認識なのか、お聞かせください。
(答)設備投資に関しても、日銀短観によると、設備投資計画、今後の見通しについては、プラスに出ているわけでありますから、一時的な落ち込みが継続するということではないと思っております。設備投資も今回以降の見通しについては、明るい兆しになってくるというふうに判断をいたしております。ですから、反動減を克服しつつあると思っております。
(問)先日、日本銀行の黒田総裁が今後の物価について1%を割る可能性はないと発言がありましたけれども、政府としてデフレ脱却に向けた進捗状況について、どのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)物価安定目標2%については、日本銀行に主体的に取り組んでいただいているところであります。これは黒田総裁いわく、順調に進んでいると理解しておりますし、シナリオに大きな狂いが生じるときには、日本銀行がそれなりの判断と対応をとるとおっしゃっているわけでありますから、そこに期待したいと思います。
(問)先ほど反動減は底を打って収束しつつあるのではないかという評価をされました。いわゆる消費増税前、駆け込み需要とその後の反動減、これが今のところ想定内で済んでいる要因は、現段階ではどんなところにあるとお考えでしょうか。
(答)いろいろなアベノミクス、一の矢、二の矢、三の矢が実行されるにつれて、経済の基本的な要素がよくなりつつある。失業率も十数年ぶりの改善、有効求人倍率も極めて久しぶりのいい数字、賃金も、月例賃金もボーナスも十数年ぶりであるとか、何十年ぶりの改善ということで、好循環が回りつつあるということであると思います。一過性の要素でないというところから、将来にわたって景気が回復をし、賃金の改善も見込まれるという見通しが立ちつつあることから、この消費も想定内という回答になっているのではないかと思っております。

(以上)