甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月15日

(平成26年7月15日(火) 8:56~9:17  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)先週オタワで開かれていたTPPの首席交渉官会合ですけれども、当初は閣僚会合のめどを立てることが大きな目標の一つだったかと思いますが、結果的には会合を開くめどは立ちませんでした。十分な進展ができなかった、果たせなかった理由についてどうお考えでいらっしゃいますか。
(答)CN(首席交渉官)会合でできる限り未解決部分を少なくし、後は閣僚会議で政治判断としてなされる部分だけが残れば、CN会合の後、閣僚会合を開くめどが立ってくるわけでありますけれども、元々かなり厳しいという観測がありました。CN会合はルール分野を中心に詰めていくと、環境、知財、国有企業といった難航3分野は、事務的調整では合意が難しいと当初から言われていましたから、それ以外の分野での作業を中心に行ったわけであります。詳細はこれから報告を受けますけれども、今までのCN会合よりは大きな前進が図られたという報告を受けております。関税交渉については、関心項目が全て一緒というわけではありませんので、二国間を中心に精力的に取り組んできたわけであります。関税交渉についてもかなり前進が見られたという報告はありますけれども、もちろん必要な部分が全て解決したわけではありません。
 当初から私は、大臣会合の間にもう一度、それら事務作業が必要となってくるのではないかと予測しておりましたけれども、まさにそのとおりになっているわけであります。今後、関税交渉を二国間で詰めるだけ詰めて、各国ともできるだけクローズする国数を増やしていくことが大事だと思います。ルール分野については、市場アクセスも含めて、できる限り閣僚からCNにマンデートを与えて、残されている項目を少なくすることが大事だと思っております。
(問)今後、どのようなスケジュール、どういうふうに今おっしゃられた課題を詰めていくのか。交渉を更に加速していく必要があるかと思いますけれども、そのために何が必要か教えていただけますか。
(答)個々には既に表明している国がありますけれども、まず12カ国首脳が、とにかく年内の妥結に向けて最大努力をするという、共通の認識を持つことが大事です。年を越えていきますと、一番の主要国たるアメリカが次第に大統領選のモードに入り、交渉どころではないという感じになってしまうわけであります。そうしますと、それから先の交渉ということになると、新しい大統領の下でという話になってしまうわけであります。交渉が長期間漂流をすることは好ましいことではありません。でありますから、アメリカはもちろんのこと、関係各国が政治スケジュールをにらみながら、何としてもまとめていくという強い決意を持つということがまず第一。その決意を持った上で、CN会合、二国間協議、そして閣僚会議を開催するというスケジュール感を共有することが必要だと思っております。
(問)足元の景気について教えてください。本日、一部報道で、今週公表される月例経済報告で景気判断を上方修正するという報道もありましたけれども、事実関係と足元の認識について教えてください。
(答)月例経済報告に関する関係閣僚会議の席上で正式にお話させていただきたいと思います。景気が反動減をどう克服できるかということに一番注目が集まっているわけでありますけれども、どうやら順調に反動減を克服しつつあるという状況が次第に明らかになってきたと思います。
(問)TPPに戻ってしまうのですけれども、先ほど大臣は、12カ国の首脳が年内の妥結に向けて最大の努力をするという共通認識を持つことが重要と御発言されたと思いますが、現状では、まだ12か国間でそういうスケジュール感の共通認識は持てていないということでしょうか。
(答)アメリカの大統領も、そして我が国、安倍総理も、そういう認識を持って我々に指示を出されているわけでありますけれども、国によっては、そのスケジュールの中でおさまり切れないのではないかという心配をしている国もあると思います。心配は心配として、要は12カ国の首脳が一致してそういう方向で行くのだと決意するところから、そのスケジュールに対する信頼度が高まってくるのだと思います。でありますから、もう一度ここで12カ国の首脳が年内に何としてもまとめるという決意を示すということが一番必要だと思っています。
(問)今のTPPの話ですけれども、年内の妥結という表現を使われましたけれども、この妥結というのはどういう意味なのでしょうか。これまでも基本合意や大筋合意という言葉を使われていますけれども、基本的に年内に目指すのは大筋での合意なのか、どのような妥結なのでしょうか。また、昨日から日米の事務レベルでの協議も再開されていますけれども、これについての期待感をお願いします。
(答)年内妥結というのは、それから先の手続として、いろいろな手続をして議会に諮っていく、それに足り得る合意が必要だと思っております。ですから、いわゆる巷間言われている大筋合意より、もう少し精緻な合意が必要だと思います。
 それから、日米間で協議が事務レベルで引き続き行われていくわけであります。これは残されている課題について、まず日米でしっかり合意を作っていく。それに従って、それ以外の国との関係にもしっかり当てはめることができると思います。ですから、物品については日米でしっかりとした合意を作るということが何よりも大事だと思っております。
 もちろん、それ以外の二国間関係が日米協議の進展をただ手をこまねいて待っているということではなくて、同時進行で進めていく。日米以外の日本と他国との二国間の協議を進めることが日米を加速させるという相乗効果という意味もありますから、そこは同時進行で進めていきたいと思っています。
(問)所管外のことをお聞きして恐縮ですが、本日、オスプレイが厚木基地の方に飛来する可能性があるということで、かねて在日米軍から伝えられています。今後、横田などへの飛行も予定されているということですけれども、東日本へは初めての飛来になります。可能性の段階だと思いますが、安全性への懸念や、あるいは情報提供がなされていないということで、大臣の地元の自治体や住民からも飛行中止を求める声も上がっていますけれども、地元選出の代議士として、また政権の幹部として、今回のオスプレイの飛来をどのように受けとめていらっしゃいますか。
(答)最新のものはそれ以前のものよりも性能や安全性ですぐれているということは製品開発の基本になります。安全性や性能、あるいは静粛性においてどこがどう優れているかということを、きちんと、より具体的に関係地域の住民の方々にお伝えすることが、不安を払拭する第一であると思っております。
 その前提の上で、後は沖縄に過度に負担をかけている、これを1億2,000万人の国民が、一極集中の負担を減らすために負担の共有をどうしていくかということだと思います。日本の国土の安全保障は1億2,000万人の国民の命と財産を守ることでありますから、全ての国民が大小の差はあれ負担を共有するという協力の精神が必要であります。もちろん沖縄に過剰な負担がかかっているという現状は、沖縄の位置する地政学的なポジションもあることから、全く他県と同等というわけにはいかないのは事実でありますけれども、できるだけ沖縄県民の気持ちに思いをはせて、沖縄以外の都道府県全てが少しでも負担軽減に協力するという姿勢が日本国民として大事だと思っております。
 でありますから、当初申し上げましたように、まずは地域の皆さんが抱いていらっしゃる不安を適切な情報提供で取り除くということ、沖縄以外の46都道府県が、沖縄の負担を減らすために自分たちに何ができるかということと向かい合うという2つが必要だと思っております。
(問)TPPの話題で、関税協議についてかなり進んだというお話がありましたが、農産物では米国以外でも日本のセンシティブ品目について輸出大国がありますが、その前進というのは、アメリカと同じようにセーフガードのような方程式を構築するということで認識を共有したということなのか、重要5品目などについて具体的な数字が決まった部分というのがあるのでしょうか。また、具体的には少し難しいと思いますが、残された課題について御所見をお伺いします。
(答)日米がTPPの経済エリアのGDPの8割を占めるということでありますから、核となる日米が決まらないと、縦軸、横軸、基本軸が決まってこないということで、まずはアメリカとの関係に注力しているわけであります。そこで今作業を進めているわけでありますが、同時に、その方程式の枠内で他の国とグレーゾーンをより明確にしていく作業が可能であります。そういう作業も今進めているというところであります。決着するには、細目にわたって他の11カ国との関係をセットする必要があるわけであります。なかなか難しい交渉ですけれども、アメリカと時差が余りないような作業工程にしていかなければならないということで、日米の終結を横にらみしながら、その他の国とも決着していくための努力をしているところであります。
 具体的な中身の詳細については、ここでは控えさせていただきたいと思っています。
(問)昨日総理から、来週の経済財政諮問会議で来年度の予算の全体像をというお話がありましたが、現時点で大臣の方で概算要求について、どのようなお考えでいらっしゃるのか。
 また、地方創生本部ということで地方に焦点が当たっていますが、一部報道で地方の特別枠という話も出たと思いますが、このあたり、地方についてはどのようなお考えで臨まれますか。
(答)まず全体像で大事なことは、予算の生産性を引き上げるということであります。極めて効果的に、政策効果の高い予算の使い方をするということです。成長に資する、成長に貢献する予算にしていくことが大事です。
 それから、無駄を省くことに関して言えば、例えば社会保障で自然増はもういたし方がないもの、毎年1兆円を超える自然増については、聖域であって誰もさわれないという認識があるとしたら、これは間違いであります。その間違いは何かといえば、かつてのように強引に2,200億円ずつ有無を言わさず切り出していくという考え方ではなく、IT化を通じて重複を省き、より効果的な対応も可能なわけであります。そういう手法を通じて、自然増といえども聖域という見方ではなく、自然増の中に工夫の余地はないかということも含めて取り組んでいくということであると思います。
 地方については、総理は内閣改造の際に地方創生本部を作るという宣言をされています。既に五、六十人規模で事務方を構成するという水面下の作業を進めているところです。地方創生担当大臣も決まるということでありますから、アベノミクスの次なるステージは、アベノミクスの地方展開をどうしていくかということであります。その際に、アベノミクスの基本は民間活力の活用でありますから、その環境整備ということであります。民間活力の活用というのは、基本は規制緩和、あるいは税制によるものだと思っております。その上で、どのように最も効果的に予算を使うかということであります。まだこの時点で地方枠云々という議論にはなっておりませんが、アベノミクスをローカル展開していくということについては、本部を作って、それに従って展開をしていくという、そういう強い決意でありますから、予算という限定はできませんけれども、効果的に地方創生が進んでいくように、いろいろと取組みがなされていくのではないかと思っております。
(問)法人税について伺います。昨日、茂木大臣が講演で、法人税について3年で20%台後半、5年で20%台半ばという御発言をされておりますけれども、この2段階の引下げ案と、それから20%台半ばという数字に対する大臣の受けとめをお願いします。
(答)茂木大臣は担当大臣として産業界の希望をお伝えになったのだと思います。基本は、毎回申し上げておりますとおり、「数年」というのは日本では5年基軸であろうと思っております。私自身、5年基軸である「数年」を10年に向かって足を伸ばしていくことはしないつもりです。ただ、5年基軸をどれだけ短縮できるかは経済状況にもよると思っております。基本は5年基軸で実効税率30%を切るということであります。

(以上)