甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月11日

(平成26年7月11日(金) 10:36~10:50  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)経済財政諮問会議の在り方について聞かせてください。先日、「骨太の方針」がまとまりました。経済財政諮問会議が平成13年に発足してから、その提言内容等についても性格が少しずつ変わり始めている面もあるかと思います。改めて会議の存在意義について教えてください。
(答)経済財政諮問会議は、政府の正式な機関として位置づけられていて、次年度に向けて経済財政運営の大枠の方針、それから構造改革に関する方向性を示すものであります。その枠に従って予算編成、税制改正、そして構造改革が行われていきます。その具体的な実施設計を図っていくのが産業競争力会議であります。この両者は緊密に連携をとっていて、節目ごとに共同の会議を開くということになっております。これからも政府としての大きな方向性を示していく。日本はこういう方向に向かっていくということについて重要な提言をし、先導役を果たしていくものと思っております。
(問)関連して、産業競争力会議の方ですが、今年に入ってから経済財政諮問会議との合同会議や、昨年から課題別会合のような形で開かれており、単独で開かれる機会というのが少なかったように思います。秋以降、産業競争力会議の在り方についてどのように進められるのか教えてください。
(答)産業競争力会議が成長戦略の改訂版を示した時に、その会議で総理は、「いよいよゴールに向かって具体的な姿が見えてきた。ゴールしたら次なるゴールが待っている」ということを話されました。経済財政諮問会議と競争力会議の今後の関係、それから設置については、これから総理と相談していきます。経済財政諮問会議は、法律で設置が決まっておりますが、産業競争力会議は閣議決定をベースに設置されていると承知しております。ですから、法律によって存置が決まっている存在は別として、閣議決定をベースとして存置されているものについては、先般の総理のお話ですと、次なるゴールに向けて新しいスタートを切るということですから、引き続き設置していくという御意向だと思いますが、総理に今後どういうふうに取り扱っていくか今後、両者の関係について相談を申し上げたいと思っています。
(問)法人税改革につきまして、政府税制調査会の方で外形標準課税の対象拡大や租税特別措置の見直しが、代替財源のメニューとして挙がっていると思うのですが、これまでの大臣の発言からすると、中小企業への対象拡大については非常に慎重であり、更に租税特別措置については、競争力の部分についてはやめた方がいいというお考えだと受け止めておるのですが、挙がっている代替財源のメニューの中で、これは前向きに検討すべきであると大臣が思われるようなものがございましたら、ぜひ御指摘いただきたいのですが。
(答)租税特別措置について全般を見直すということについて否定しているわけではありません。租税特別措置の中にも歴史的使命を果たし終えたものや、あるいは費用対効果が全く確認されないもの等は、見直す必要があると思います。ただ、私が申し上げたのは、今回の法人税改革は、競争力を強化する、つまり成長指向型の法人税改革と言っているわけであります。つまり成長力、国際競争力を高めていくための改革です。そうしますと、研究開発を促進していくための税制度、あるいはビンテージの古い設備から競争力を強化する最新の設備に入れ替えるといった、生産性を上げるための設備を導入するための税制、これはまさに成長指向型そのものであります。
 法人税改革を事前に野田税制調査会長と相談してすり合わせをしていた時にも、野田税制調査会長からは、研究開発減税のような競争力とダイレクトに結びついているものは、むしろ強化してもいいと思うというような御発言もありましたから、そこの点は自民党税制調査会の主要メンバー、コアメンバーと私の思いは共通していると思っております。その上でどう課税ベースを拡大していくかということ、それから党税制調査会がお考えの外形標準課税について見直しを行うということについて、議論の上で合理性が確保されるものについて拒むつもりはありません。
 いずれにしても、ゼロベースで見直すということは結構でありますけれども、法人税改革が何のために行われようとしているのかという認識は共通認識としてしっかり持っていきたいと思っております。
 税制の構造改革において、単年度でレベニュー・ニュートラルというような発想が仮にあるとしたら、それは経済が今から拡大しないということを前提に既存の枠内でのつじつま合わせということになるわけです。これは決定的に間違っていると前から申し上げています。
 財政の健全化にとって必須要件は、名目GDPを拡大していくことである、財政健全化は名目GDPの拡大を通じてしかできないということを心に刻む必要があります。社会保障が構造的に増大をしていく中で、経済規模を大きくしていかないと社会保障費以外の全ての予算が今後減額されていかないと支えきれないという状況になります。経済のパイを大きくしていかないと、社会保障を支えることも財政の健全化を進めていくこともできないということを肝に銘じる必要があります。
 今日まで財政状況が悪化してしまった最大の原因は、デフレにより名目成長がマイナスであったということが最大の原因であるということ、これを深く認識しないで、経済規模が変わらない中での出入りのつじつま合わせだけ考えていくと、この国の経済は破綻するということを肝に銘じる必要があると思います。
 そこで、名目成長を拡大していくために何をするかということであります。これはデフレを脱却して成長戦略をしっかりと実行していく、この2点しかないのです。要は、成長に資するような税制はどうあるべきかという視点で考えていかないといけないのです。だから、単年度税収中立のような考え方は、そもそも経済規模を大きくしていくという発想がないのです。その発想を持たないと、実は財政再建・健全化はできないという認識をこの20年間の反省に立って共通で持つべきだと思います。
(問)TPPについて、閣僚会合のめどですけれども、10月にも開催という報道もありますけれども、閣僚会合を開くめど、日程感というのを現時点でどのように持っていらっしゃるかお聞かせください。
(答)結論から申し上げますと、現在、CN(首席交渉官)会合をやっている最中であり、ここで最終的にどこまで未解決の部分が解決されるかということを見ることが必要です。そこで事務レベルの会合の後に閣僚レベルの会合をセットするとしたら、そのときにきちんと閣僚レベルで残された問題を短期間の間に処理できるまで未解決部分が狭まっているか、極小化されているかということを見極める必要があります。
 今回のCN会合は、主にルール分野を中心に議論しているわけです。そして同時に、このCN会合の間中に市場アクセス問題の処理をしているわけであります。精力的にやってはいただいていますけれども、CN会合終了後に直ちに閣僚会合を開けるとはとても思えません。でありますから、CN会合の後に残された課題について、二国間ベースで話を詰めていく。そして、残された課題は閣僚会合でほぼ解決できるという見通しを立てるということが必要であります。その時点で閣僚会合の設定が定かになると思います。
 巷間いろいろ閣僚会合の開催時期が流れておりますけれども、これは具体的に諮られたわけでも合意されたわけでもありません。年内妥結に向けていくと、いつまでに大筋合意が必要で、そうすると、閣僚会合はこの時点に合意できないとスケジュール上難しいというような、消去法で語られているようであります。とにかく年内妥結に向けて各国首脳が強い決意を示すということが必要だと思っています。

(以上)