甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月4日

(平成26年7月4日(金) 10:49~11:07  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から1点報告を申し上げます。
 本日の閣僚懇で消費動向について報告いたしました。お手元に資料を配付させていただいております。
 消費税率引上げから3カ月が経過しまして、この間、商業販売統計等の月次統計は5月分まで公表されました。それらの結果を見ますと、引き続き駆け込み需要の反動により、消費が弱めとなっておりますが、百貨店やスーパーなどで持ち直しの動きが出ていることも確認されております。
 週次データ等で足下の状況を見ますと、出遅れていたため、一番注目をしていた自動車にも改善の兆しが見られるようになっておりますが、全体としては天候要因等から一進一退の動きとなっており、反動減については引き続き見極めが必要であります。
 ボーナスが8%増加、過去30年間で最高の数字となっております。これから夏のセールも本格化してまいります。その動向にも注目をしていきたいと考えております。
 私からは、以上です。

2.質疑応答

(問)昨日平成25年度の決算が発表されまして、注目されていた法人税の税収もほぼ確定しました。税収が見込みから4,200億円強だと思いますけれども、上振れているということです。
 一方、財務省の説明だと、一時的な要因もかなりあるのではないかという話でしたが、かねてから、大臣は法人税の実効税率の引下げについては、税収の上振れ分を財源とすべしと主張されてきましたけれども、今回の結果を受けて、どのようにお考えになりますでしょうか。
(答)アベノミクス効果によりまして、当初予算からは相当、そして補正からも御指摘のような上振れがカウントできるわけであります。要は、これが一時的なものであって不確定なものであるのか、あるいはこれからも続いていくいわば準恒久財源であるのか、そこの議論の見極めが焦点になってくると思います。
 私どもは、これは構造要因によるものであって、いわば準恒久財源たり得ると思っておりますが、その何がしかを法人税減税に充てることは可能だと思っております。
(問)閣僚懇でデータについて報告あったということですが、販売統計を見ると持ち直しの動きが出ておりますが、例えば家計調査が5月、かなり大幅にマイナスになっているというデータも出ていますが、そのあたりどう見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)家計調査で、何年に1回しか買わないような耐久消費財等の影響を引き算しますと、変動幅はかなり小さくなります。これは車の駆け込み需要が予想を超えて大きくなったため、その反動減も当初の想定の範囲を超えて大きくなっているということであります。家計消費に占める耐久消費財の割合というのは大きいものがあろうかと思います。車は毎月買うものでもないですし、そういう要因を引き算しますと、5月の変動幅、マイナス幅はかなり小さくなると思いますから、これは想定の範囲内だと思っております。
 あわせて先ほど申し上げましたけれども、いよいよボーナス商戦に入ってきます。夏のボーナスが8.8%改善しました。これはパーセンテージで言いますと、過去30年間で最高値になります。月例賃金も連合の最終的な統計によりますと、中小企業まで含めて2%以上の改善、これは連合の発表によりますと、過去15年間で最高値。今まで過去10年間と言っていましたけれども、これが15年間であったということでありますから、そういうものも含めて、消費動向は上向き、明るさが増してくるのではないかと思っております。
(問)今日の資料にもありますとおり、賃金というのは上昇している。そういうふうに感じていらっしゃる方も多いと思います。一方で、暮らしぶりはよくなったという実感がまだ賃金ほどには、賃金は上がったけれども暮らしぶりはまだと感じていらっしゃる方が割と多いと思うのですが、暮らしぶりがよくなったと実感するためには、どのようなところがポイントとなってくるのか、今後の見通しを教えていただければと思います。
(答)景気の進展には日本全国、北から南まで都市から地方まで一斉にというのが理想なのかもしれませんけれども、伝播の順番がございます。それをどう均てんさせていくかということが大事だと思います。そのためには、「アベノミクス」を今度は「ローカル・アベノミクス」というふうにタイトルを掲げて、地方展開をしていく。そのために地方創生本部の設置についても検討中ということも報じられているところであります。安倍内閣として、本格的にアベノミクスを地方展開していく体制を今とりつつあるということだと御理解いただければと思います。
(問)先ほどの法人税の上振れの件でお伺いしたいのですが、大臣としては法人税が補正後の見込みから4,200億円ぐらい上振れていることについて、基本的に全額がアベノミクスの効果だとお考えで、代替財源に充てるというお考えなのか教えてください。
(答)何割がアベノミクスの効果で、それ以外が別の要因というのは、なかなか分析はしづらいのですけれども、内閣府で検討、検証したいと思っております。構造要因でないという項目として幾つか指摘をされています。減税をすると税収が落ちるということも言われていますけれども、前回の減税は法人税減税をしまして法人税収は増えました。この背景には政権交代によって安倍内閣が誕生し、積極的に経済成長戦略に取り組んでいくというバックボーンもあって、法人税を下げたにもかかわらず法人税収が上がったという事実があります。
 それから、円安要因ということが指摘されますけれども、実は1年前の円ドルレートは99円でありました。今とほとんど変わっておりません。ですから、この1年間は、円安効果ということはないわけであります。にもかかわらず上振れているということであります。
 加えて、これが一時的なものであるとすると、次の予算編成に税収を把握するのに、上振れた部分を剥落させて税収を見積もるかというと、実はそうではないわけであります。過去にも伸びてきた税収を基に予算編成を行っているということでありますから、これから先もそれを期待するということだと思います。
 その3つの要素からしますと、今回の上振れについてはアベノミクスによる構造的要因が大きいのではないかと思っております。
 ですから、その何がしかは準恒久財源としてカウントできるのではないかと思っているところです。
(問)TPP交渉について。先日の日米協議では、農産物など市場アクセスを中心に協議して、具体的な合意には至らなかったものの、突破口を見出すための前進があったと。14、15日には再協議ということですけれども、この日米協議の評価と、オタワの主席交渉官会合で次の閣僚会合の日程を見通せるような論点の絞り込みや進展が望めるのかどうか、お考えをお願いします。
(答)一連の日米協議で、自動車も含めて交渉前よりも見通しが明るくなったかと言えば、見通しは明るくなっていると思います。ただ、具体的進展については、まだ一山、二山あろうかと思っております。
 カナダでのCN(首席交渉官)会合でありますけれども、各国それぞれ二国間協議を行って、残されている問題の対処に取り組んできました。その結果も含めて持ち寄って全体のペースを前に進めていくということになろうかと思います。
 楽観は許さないのですけれども、今日まで行われた二国間協議の成果が12カ国合意の前進に均てんしていくよう期待しているところであります。
(問)先ほど地方創生本部の話、昨日の御講演でもありましたが、具体的な概要、どのようなことに取り組むかについて固まっていれば教えていただけませんか。
(答)まだ検討中でありますので、詳細は私も把握をしておりません。どのくらいの事務スタッフ、陣容にするのか。今詰めているところだと思います。
 総理御自身がどこかで、地方創生本部を作って、アベノミクスを地方にしっかり均てんしていくという決意を述べられたと記憶しておりますが、恐らく本部ですから、各省にまたがるので内閣官房に作るということになるのではないかと思いますし、適切な担当大臣が置かれるのではないかと思っております。設計については、今検討しているところだと承知しています。
(問)他省庁の話で恐縮ですけれども、大臣が以前経済産業大臣をなさっていたこともあるのでお聞きしたいのですが、先ほど茂木大臣が経済産業省では初めての女性の局長として、宗像さんを貿易経済協力局長にと発表なさったのですけれども、大臣にもいろいろ思い入れもあると思いますので、一言いただけたらと思います。
(答)私が経済産業大臣の時に事務次官に指示をした人事の項目が2点ありました。
 1つは、技術系をしっかり主要ポストに引き上げ、技術関係者のモチベーションを引き上げるということ。もう一点は、女性の局長適任者がいないか探すようにという2つの指示をいたしました。今からもう六、七年前になります。数日後、当時の北畑次官が私に報告に来まして、技術系技官を主要ポストに充てるということは実行するということで、官房三課長の一つに、当時初めて充てました。
 女性局長の件については、これは残念ながらできないと言うので、なぜできないのかと聞いたところ、対象者がみんな知事になってしまいましたと言われました。その他の対象を年次を下げて探していくと、一番上に来ているのは宗像さんですと言われました。彼女を引き上げるには3階級特進ぐらいになり、幾ら何でもこれは人事の理屈を完全に無視することになるので、断念をした経緯があります。それから数年たって実現したということであります。
 宗像新局長は、TPP交渉でも審議官として大変な努力をされてきた方でありますし、能力も、それから語学力も経済産業省きっての女性キャリアと言われているところであります。局長が直接TPP交渉に当たるとは思いませんけれども、大所高所から貿易関連の難題を解決してくれることを大いに期待いたします。
(問)先ほど、税収の上振れの関係で、内閣府で何か検証、検討をしたいとおっしゃられましたけれども、この検証結果については、経済財政諮問会議等に出したりして、年末にかけて議論のたたき台にしたいというお考えでしょうか。
(答)経済財政諮問会議とそれを支える内閣府が協力して、税収の上振れが構造的要因によるのか、準恒久的なものであるかということについて何か説明できないか、今までこの種のことはやったことはないと思いますから、それにトライしていきたいと思っております。
 経済財政諮問会議に報告をすることも含めて、具体的にそういう検討ができたら、何らかの対応をしたいとは思っております。ただ、何千億円、何千何百億円がこうで、残りがこうというのは、今までやったことがないですから漠としたものになるかもしれません。

(以上)