甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年7月1日

(平成26年7月1日(火) 10:43~11:01  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 専門調査会の設置について報告を申し上げます。
 社会保障制度改革推進本部を持回りで開催しまして、本日付で「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」の設置を決定いたしました。決定文書はお手元にお配りしているとおりでありまして、社会保障制度改革国民会議の報告書、あるいは経済財政諮問会議における議論等を踏まえまして、地域横断的な医療・介護情報の活用方策等の調査・検討を行うために、社会保障制度改革推進本部の下に専門調査会を設置することといたしました。
 あわせて、総理が任命することになっております専門調査会の委員を内定いたしましたので発表をいたします。お手元の資料の2枚目にあるとおりでありまして、合計15名の方であります。
 なお、第1回の専門調査会の開催日につきましては、現在調整中であります。
 次に、先般委員を発表しました社会保障制度改革推進会議、これは閣僚会議たる推進本部とともに有識者会議として設けられておりますが、第1回の日程が7月17日木曜日、16時からになりましたので御報告を申し上げます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)この専門調査会の人選の狙いについてお願いいたします。
(答)この専門調査会でありますけれども、「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」、ここでは地域横断的な医療・介護情報の活用方策等の調査検討を行うことといたしております。具体的に申し上げますと、社会保障制度改革国民会議の報告書であるとか、経済財政諮問会議における議論、あるいは骨太方針、これを踏まえまして、厚生労働省とも役割分担をしつつ、例えば国、都道府県ごとの医療費水準のあり方、あるいは医療提供体制のあり方、あるいは医療費適正化対策のあり方といった観点から、医療・介護情報の活用方策等を検討するということになります。
 いずれにいたしましても、まずは地域における医療・介護情報の実務的な分析・検討からスタートしまして、論点や工程を整理していくということになると考えております。
(問)今日、日銀短観が発表されまして、6四半期振りにマイナスということになったわけですけれども、3カ月後の見通しはまた少し回復していくという見通しになっています。大臣はずっと想定内という言い方をされてきたと思うのですけれども、それも含めて受けとめをお願いします。
(答)消費税を3%引き上げたわけでありますから、当然駆込み需要があり反動減がある、これは経済原則に従ったことであります。駆込み需要は若干強かったなと思いますし、そういう反応がありましたけれども、反動減はほぼ想定内であるという各業界、現場からの報告があります。それにほぼ沿っている日銀短観であろうと思っております。
 要は、この4-6月期は当然そうなるであろうと。問題は7-9月期でありまして、7-9月期がしっかりとした回復基調に乗るということが一番大事だと思います。今のところは想定内で推移しているということだと思います。
(問)今日の集団的自衛権の件につきまして幾つか伺います。今日午後にも、集団的自衛権を使えるような閣議決定を行う見通しになりましたが、大臣は、この憲法解釈の変更についてどうお考えでしょうか。特に、戦後自民党政権が長年維持してきた、集団的自衛権は認められないという憲法解釈を内閣が変更することになりますが、このことについて特にどうお考えになるでしょうか。
 また、この集団的自衛権に関しては、国民の中の議論にも、非常に慎重な意見もある中で、国民に対して今後どのように大臣として説明されるのでしょうか。
(答)まだ臨時閣議の連絡は来ておりませんので、はっきりしたことは申し上げられません。閣議で決定をされ、それが政府の新たな憲法解釈になるわけです。
 担当外でありますから、余り詳細に触れるのはどうかと思いますが、平たく言えば、放っておけば日本に重大な事態が発生するということを止めますか、放っておきますかということだと思います。放置すれば明確に日本に重大な事態が生ずるということを放っておいてもいいという人は批判的だと思いますし、放っておけないと考える人は何らかの対処をするということだと思います。
 憲法解釈は、過去数度変更が行われていると思います。もともと戦後は、たしか吉田内閣でも、憲法は個別自衛権の発動も認めていないという答弁があったはずです。それを、個別自衛権の発動は認めるというように憲法解釈を変えてきました。その後、その範囲の中に集団的自衛権は入らないと変えて、今度は、限定的に入ると変えているわけですから、何も今回が初めてではなく、最大の憲法解釈の変更は、個別的自衛権すら入っていないということを変更した時で、これは今回よりももっと大きな変更であったと思います。詳しいことは所管大臣に聞いていただきたいと思います。
(問)成長戦略の中に、与党プロセスを経て入ってきた文言として、「ローカルアベノミクス」という文言がありますけれども、これについてどういうものなのかというご説明と、総理の方からも地方創生本部を立ち上げたいという意向が出されていますが、これとの連動というのはどうなっていくのかということを併せて教えて下さい。
(答)アベノミクスによりまして、ほとんどの経済指標がプラスになりました。そして成長戦略の具体的な成果には形容詞として何十年ぶりというのが付くという項目が多くなってきました。20年ぶり、30年ぶりの改善とか、40年ぶりの改革ということで、かつての内閣では全くそこまでは見られませんでした。一、二項目、何十年ぶりというのはありましたけれども、次から次へ数十年ぶりという形容詞がつく改善はなかったと思っております。
 そうした中で、アベノミクス、次のステージ2は、日本全国津々浦々均てんをするということが課題であります。統計の上では間違いなく改善をしている。あるいは、都市部については肌感覚で改善が感じられる。皆さんも感じられておられると思いますけれども、私が直接感ずるのは、都内の至るところで古いビルが壊されて新しいビルにかわり、工事があちこちで始まっているということ。それから、お店の予約がとれないということです。かつてそういうことはなかったのですけれども、会合を開こうとしてお店の予約をとろうとしたのに、3つ連続断られたということがありました。ですから、都市部はもう肌感覚で確実に景気が改善していると思います。
 ただ、地方に肌感覚でまだという声がありますが、これをしっかりと届けることが大事で、その象徴として「ローカルアベノミクス」という言葉が使われているのだと思っております。
 具体的には、各省別に地域振興の施策というのはありますけれども、これはばらばらであります。これの統合運用、プラットフォームを1つにするということが大事だと思います。この作業がまず1つあります。
 それから、具体的な施策として、幾つかのファンドを立ち上げています。例えば総務省で言えば地域の元気創造プランで、産学官だけではなくて産学「金」官、地域の金融機関が参加をして、地域振興の事業や業を立ち上げていく。その際に私が注目しておりますのは、参加する際に金融機関は無担保無保証で参加する。つまり、本来金融機関が目利き機能を発揮し、それから、融資や出資をした後、しっかり自分が経営陣の一員として参画していくと、そういう感覚が今までなかった。つまり、担保を取れば、あとはうまくいこうが倒産しようが取りっぱぐれはないという感覚から、リスクをとっていく、オウンリスクで金融機関が参加している。これは注目すべきやり方だと思いますし、具体的な事例が4つも5つももう既に出てきております。
 それから、それとは別に、地域の名産品を発掘し、更にステージアップをしていく支援も行います。それから、地域名と品物名を連動させたブランド化、商標登録を迅速にできるようにしていく。あるいは、農業の6次産業化について加速をしていく、使い勝手のいいようにしていく。農林水産品の成長産業化ファンド、A-FIVEというのがありますが、現場からの声として使い勝手をよくしていく。あるにはあるけれども使い勝手が悪いというのを具体的に改善していく等々、個別の政策と、それから大きなプラットフォームの作成を含めて推進していく。その司令塔として地方創生本部を設置するということが言われております。担当大臣を置くという話もありますが、これは具体的にまだ私が承知しているところではありませんが、うわさによれば、内閣改造の際にその担当大臣が決まるのではないかというようなことも言われております。いずれにしても地方創生本部は設置されることになろうかというふうに思っております。
(問)来年度予算の概算要求基準についてですけれども、一部報道では今年度と同じように裁量的経費を1割カットして、それを成長戦略に関連した施策で特別枠を設けるという方針が立てられましたけれども、現在の調整状況をお願いいたします。
(答)シーリングに関する閣議は、通常7月中下旬から8月上旬というのが例年の話であります。今回、総理の外交日程等を勘案して、その前にするのか後にするのか、まだ最終的には決定をしておりません。
 手法につきましては、成長と財政再建とを折り合わせていかなければなりません。しかも、来年10月の消費税率の8パーセントから10パーセントへの引上げの決定に関する最終的な総理判断が12月になります。もろもろの不確定要素がありますので、昨年とったような手法、裁量的経費を一律1割カットして、残された9割に関して、その3割を成長枠のようなところに要求できるという手法と同じ方法でやるかどうかも含めて、今検討中であります。
 いずれにいたしましても、予算を成長志向型にしていくということは間違いない方針でありますから、それに沿ったような何らかの対処があろうかとは思っております。

(以上)