甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月24日

(平成26年6月24日(火) 9:41~10:06  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)地方創生本部のことでお尋ねしたいのですが、甘利大臣が取り組んでおられる人口減少についてもこの本部で取り組むということですけれども、これがどういった組織になるのか、担当大臣の任命を含めて、現状を教えていただけないでしょうか。
(答)そういう本部を作るということは承知をいたしておりますが、それ以上、担当大臣が誰なのか、そして詳細をどうするかということはまだ聞いておりません。いずれにいたしましても、経済財政諮問会議の下に「選択する未来」委員会が設置されまして、日本が抱える最も深刻なこの問題に、正面から、そして具体的に切り込んでいるわけであります。それらも受けまして、増田元総務大臣が具体的な全国地方自治体ごとの落とし込みを行ったいわゆる「増田ショック」により、何となく将来の出来事という感覚から身近な自身の出来事という臨場感が出てきたという経緯は、問題解決に向かって実務的な歩みを進める環境としては、よかったのではないかと思っております。
  未来委員会は、50年後を見据えて、2020年までに具体的な措置を構築をし、2030年までにそれが実施、必要な対応がとられるということをもって、未来を選択することができると。未来は唯々諾々と受入れるものではなくて、自分が作り出していくものであるという提言をしているわけであります。それに向けて内閣が具体的行動を起こしていこうという意思でありますから、非常に重要な位置付けだと思っております。ただ、冒頭申し上げましたように、誰が担当大臣になるのか、そして具体的に設計はどうなのかという話はまだこれからだと思います。
(問)今日、与党などの手続が終われば、骨太の方針と成長戦略についての閣議決定となる方向かと思うのですけれども、今回は、去年の成長戦略とどういった点が違うのか。総理も前回の会議の中で、タブー視されていた課題にも切り込んだというふうにおっしゃっていたのですが、それがどういったところなのかを改めて教えてください。
(答)大事なことは、成長戦略を掲げて、それが具体的に進行しつつあるという姿を見せるということと、それから、残された課題が何であって、それにどういうスケジュールで切り込んでいくかということが明示されることだと思います。たびたび申し上げていますけれども、金融政策や財政政策と違って、成長戦略は即効性という点では劣後しているわけであります。そして、成長戦略を実行していく際には、その太宗は法律改正や法律の制定を必要といたします。法律改正、法律の制定に関しては、昨年の臨時国会で9本の法律、そしてこの通常国会で30本の法律、合計40本近い法律ができました。法律に基づいてやっていく素地はできたわけであります。同時に、法律によらずとも、あるいは法律を昨年度手掛ける中で、既に事態が推進していることも多々あります。それをきっちり示して、それから改定に向けての課題は何であるかということを示し、その工程表を作っていくことが大事であります。
 改革、成長戦略の成果としては、既に、訪日外国人の数が20数%伸びました。これは何もしないで伸びたわけではありません。ビザ要件の緩和をし、羽田の国際線発着枠を増やし、対応したために伸びたわけであります。さらに、農産物の輸出についても20数%伸びたわけであります。これも何もしないで伸びたわけではありません。女性の就業率も伸びて、実数として53万人増えたわけであります。これも何もしないで伸びたわけではありません。受け皿を増やすという目標を立て、直ちに着手をした。そして、育児休業給付を、会社を休む直近の給与の2分の1から3分の2に引上げるということを提示し、そしてこれを実施した。ならばということで、就業率が増えているわけであります。具体的にとった施策、法律改正によらない施策あるいは法律改正に先行して得られた成果というものが幾つもあります。
 これをしっかり国内外に向けて提示をしていくということと、そして、改訂に関しては、残されている課題、それは何かというと、デフレを脱却しつつありますけれども、次には日本経済の収益力を引上げていく。ミクロでいえば、日本企業の収益率を拡大していく。そのために何をするかと。イノベーション、それからコーポレート・ガバナンス。投資家にとって、投資対象として透明性を図っていくということ、そして、付加価値を上げていくためのハード・ソフトのイノベーションを行っていくということ。
 それから、担い手、支え手をしっかり拡大していく。女性に関して言えば、幹部登用率を具体的に明示する、あるいは、有価証券報告書の中で、女性の役員をどう登用しているか示すことを義務付ける。従来やらないことまで踏み込んでやっているわけであります。あるいは、受け皿でいえば、保育から学童保育に更に踏み込んでいく等々、担い手をしっかり作っていく。
 担い手でいえば、外国人の活用の仕方については、高度人材について、ポイント制を柔軟化して、永住権取得に至るまでのハードルを下げていく。そして、いわゆる技能実習に関しては、使い勝手をよくする。そして、日本に来た実習生の雇用条件の確保をしっかりとしていく。劣悪な環境下にならないような監視体制をとっていくということで、担い手を増やしていく。
 そして、新たなフロンティアの課題としては、農業、医療・介護であります。医療・介護でいえば、今までとられていなかった非営利法人のホールディングカンパニーを実現するため、次期通常国会に向けて法改正をしていく。これによって医療、介護、それから福祉の連携がしっかり図られていく。経営自体も安定化してくる。資金調達についても有利な展開がなされていく。
 農業については、農業3改革を進めていく。農業生産法人への出資要件を、4分の1から2分の1未満というところまで進んできました。農業の産業化にとって大事なことは、企業のノウハウを現場にどう投入していくかということに尽きると思います。その精神に従って、農業生産法人に企業が出資をしやすくしていく。あるいは、農業全体の統括をしていたJA全中について、農協法に基づく存在はあり得ないということであります。これは単位農協自身の主体性を更に引き出すような全体ガバナンスの仕方にしていく。それはJA全中が持っているような農協法に基づく権限、それをゼロから見直して、新しい産業としての農業、攻める農業にとってどういう全体を見ていく体制が必要かという、ゼロから見直しを図っていくわけであります。
 あるいは、この好循環というものを、今後はいわゆるローカル・アベノミクスという形で、どう地域展開していくか。国家戦略特区は動き出しましたけれども、それ以外、全国津々浦々、地方版の研究機関と大学と企業との連携、あるいは高付加価値化を図るためのブランド戦略等々、地域版のアベノミクスの展開を図っていく。
 それらが改訂版の成長戦略の大きな課題、抱えている方向性であると承知いたしております。
(問)今日、サントリーの社長にローソンの新浪さんが就くと。一方で、武田薬品などは外国人を招いて、株主の間からは少し慎重な意見があると。日本企業の稼ぐ力、収益力を上げていくために、こういう外部人材をトップとして活用するというのは、大臣としてはどういうふうに見られていらっしゃるのでしょうか。
(答)サントリーはまさに身内経営で成功している会社だと思います。その会社がいよいよ大規模に国際展開をしていく。海外有力企業をM&Aで傘下に収めたのは現佐治社長の経営方針でありましたけれども、いよいよ日本を代表するいわば同族会社が、国際企業になっていくために本格的に外からの血を入れていく、経営感覚を入れていくということは、ある種ブレークスルーを図ろうという佐治次期会長の経営戦略だと思います。期待をして見守りたいと思います。
 武田薬品に関しては、創業家関係者の中に、海外展開の趣旨はともかくとして、なかなか成果が上がりづらいということに対する懸念を提示されているのだと思います。しかし、ここはそれを乗り越えて、国際ランキングでもベストスリー、ベストファイブに入る企業を作っていかなければならないということでありますから、乗り越えなければならない一つの試練ではないかと思っております。
(問)確認なのですが、冒頭の地方創生本部、担当大臣はまだ誰かは決まっていないというお話でしたが、担当大臣を置く方向というのは、そういうことでよろしいのでしょうか。
(答)誰も担当する人がいない本部というのはありませんから、誰かが担当することは確かだと思います。まだ詳細は聞いておりません。
(問)成長戦略、今いろいろお挙げいただいたのですけれども、外国人の活用とともに、女性の活用を非常に重視されているというお話を伺いました。今日も経済団体の方とお会いするという話をお伺いしておりますけれども、国だけではなくて、家庭とかそれから企業とか、それが一体となってこの問題を考えていかないといけないというふうには思うのですけれども、全体としてこの問題を解決していく、うまく進めていくための大臣なりの一番のポイントというのは、どこにあるとお思いになりますでしょうか。
(答)私は外に出ますと、安倍総理はどのくらい本気で女性活用に取り組んでいるのでしょうか、つまり、政権の好感度アップのために取り組んでいるのですか、それとも本気ですかということをよく聞かれるのですが、これは総理は本気でやっておられます。日本最大のフロンティア、つまり、まだ未開拓部分だという認識なのです。それは確かにそうです。男性労働力はかなり投入して、労働力が足りないのです。まだ未投入の労働力というのは女性が最大ですから、女性を活用しないと日本経済は生き残れないということがまず総理の問題意識にあります。
 それで、よく数がないのに無理に目標を掲げると、問題が起きないかと。つまり、男性の方がベース多く、女性の方が少ない中で登用率を決めると、男性よりその時点での能力で劣後する人が登用されないかという懸念をおっしゃる方がいらっしゃるのです。これは一時的にはそうであるかもしれません。しかし、そのような目標を掲げることによって、私もそこを目指せるという女性がどんどん増えてくるのです。女性取締役だって現実的になってきている。そうすると、女性がそれを目指していくという、ベースが変わってくるはずなのです。それを総理は期待しておられるのだと思います。
 ですから、役所と企業で女性の取り合いになるのです。つまり、幹部職に女性をという号令が、まず隗より始めよということで、役所にかかります。年次から見て、1階級特進ぐらいはいいのでしょうけれども、3階級はなかなかできないです。男性のモチベーションが落ちるということもありますから。そうすると、外部から登用しようかと。おたくの会社になかなか優秀な女性がいるではないですか、それをうちの局長に来ていただきたいみたいなことになると、ちょっと待ってくれ、うちの取締役要員で、行かせられない。行かせてしまうと、うちの要員がいなくなると。有価証券報告書に書けないではないかみたいな、そういう取り合いがある。これは悪いことではないと思います。そういう環境ができることによって、全体がベースアップをしてくるのではないか。そういうことに挑戦する女性が増えてくるということは、女性の能力開発が進んでくるということになるということだと思います。
 ですから、安倍総理は本気でこれをやっています。人気取りでやっているわけではないということだけは、間違いありません。
(問)TPPについて。先週の会見でも質問がありましたけれども、7月のCN(首席交渉官)会合の日程、開催地、現状で決まっていれば教えていただきたいということと、CN会合までのアメリカを含め、豪州、ニュージーランドなど、ほかの各国との事務レベル協議の経過や今後の日程、現段階の進捗状況をどのように評価されていますでしょうか。
(答)CN会合は、マスコミ情報やうわさはいろいろありますけれども、正式にはまだ連絡が来ておりません。
 それから、今、それまでの間、日本は2国間の話を進めております。各国、残されているところ、シンガポールやベトナムやマレーシア、そしてニュージーランド、オーストラリア、メキシコ等々と進めています。各国間に進捗の差はありますけれども、比較的順調に、日米間以外の2国間も進んでいるというところであります。
(問)比較的順調に各国との協議が進んでいるということで、7月のCN会合がセッティングされた場合、どういう位置付けになるのか、大筋合意とかそういった部分でどういう……。
(答)大筋合意というのは、閣僚間で残されている課題を大筋で合意に至るまでの作業をするということです。CNは、閣僚マターにする案件をできるだけ少なくしていくという作業だと思います。現状のまま閣僚会議に上げられても、とても閣僚会議で大筋合意という具合にはいきませんから、今ある案件を事務的にどれだけ事務対応で処理ができるか。政治マター、大臣マターにする案件をどこまで絞り込めるかということです。大臣会合を4日も5日も続けてやるということは、これはできません。1日とか2日で処理できるところまで大臣案件が絞り込まれてきたときに、初めてできるということになろうかと思います。
(問)先ほどの地方創生本部の話ですけれども、こちらで人口減少問題対策も対応するということでよいのかという確認です。つまり、人口減少対策で重要なのは、必ずしも地方活性化だけではないと思うのですけれども、本部の目的というのは、地方活性化のところにメインがあるのか、人口減少対策にメインがあるのか、そのあたりを教えていただきたいのですけれども。
(答)日本政府が日本国として抜本的に取り組んでいかなきゃならない課題を、総合的に中長期の視点で対応するということだと思います。まだこの本部がなすべき具体的な政策、アジェンダというのが届いておりませんので、具体的にこうだというふうにはなかなか申し上げづらいのですけれども、恐らく申し上げたようなことだと思います。

(以上)