甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月13日

(平成26年6月13日(金) 10:24~10:39  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)今朝、麻生財務大臣と会談されたと思うのですが、法人税の書きぶりについて決着がついたのかどうか、税収の上振れ分を財源とするかどうかの考え方に、隔たりが大きかったと思うのですが、一致できたのか聞かせていただけますでしょうか。
(答)昨日一日かけまして、野田自民党税調会長と調整をいたしておりました。最終的に野田会長とは、お互いにすり合わせをしつつ、基本的な合意に至りました。それを今朝、麻生財務大臣にお持ちし、説明し、御理解を求めました。好意的に受け止めていただいていると思いますが、返答は後刻ということになって、今現在、調整中であります。午後にはお返事がいただけると思っております。内容については、ただいま調整中のこともあり、後ほど御連絡できる機会があろうかと思います。
(問)財源についてですけれども、財務省は税収の上振れ分の活用にはとても慎重だと聞きますけれども、改めて税収上振れの活用についての御見解をお聞かせください。
(答)責任を持った財源で対処するということは、もちろん基本的な考え方で、党税調でもうたわれていることでありますが、同時に、経済規模を大きくすることと税収を増やすということは、ダイレクトに結び付いております。今までの経済財政運営で、欠落していたとは言いませんけれども、希薄だったのは、経済規模を大きくすることが税収に大きく関わるという視点が少し弱かったのではないかと思います。
 前にも申し上げたと思いますけれども、この20年近く、日本はデフレ経済にありました。日本だけがデフレ経済でした。他の国、他の先進国は、この20年の間に経済規模、税収と直接関わる名目GDPが2倍になっているわけであります。税収というのは、経済規模掛ける税率でありますから、日本がデフレでなかりせば、日本がアメリカと同じような成長をたどっていったとするならば、今の日本の税収は2倍になっていたはずであります。その視点が、経済財政運営、財政再建シナリオに希薄であったということを我々は反省をしているわけであります。
 ですから、総理がアベノミクスの成果をとおっしゃるのは、アベノミクスが引き続き将来に向かって続いていくように、これが最大の財政再建のバックグラウンドになるということであります。ですから、アベノミクスの成長は、その一部でも、更なるアベノミクスの成長に充てていくということが、財政再建にとって極めて重要なキーワードになる。この部分が欠けていたがゆえに、日本は財政再建でのたうち回る苦しみの中にあるということだと思います。そういう過去の反省に立った財政再建、財政健全化プランをしっかり作っていくということは大事だと思っております。
(問)そうすると、今日の調整の中で、財源として上振れ分を盛り込むということについての距離というのは、まだあるというふうに見ていらっしゃいますか。
(答)しっかりとした恒久減税には、それに見合う安定的な裏付けを作るということ、それから、アベノミクスの成長の果実を更なる財政再建のための構造改革に向けていくということは大事だと思います。
(問)今回の法人減税につきましては、安倍総理大臣とは、何か本日、閣議の後とかにお話はあったのでしょうか。
(答)はい。一連の交渉経緯について、途中経過も含めて総理には逐次報告をさせていただいておりますし、御指示も仰いでおります。党との調整状況についても節目節目で報告をさせていただいてきた次第です。今朝、麻生財務大臣との協議を終えた報告をさせていただきました。冒頭申し上げましたように、好意的に受け止めていただいておりますが、今調整中で、後刻返答が来るというお話ですということも報告をさせていただいております。総理からは、「御苦労さまでした。甘利さんは長い交渉は得意だからね」と言われましたけれども、「アメリカで慣れておりますから」とお返事はしました。
(問)いわゆる成長戦略は、産業競争力会議が議論する規制緩和が中心の第3の矢というのが普通の考え方だと思うのですけれども、市場には成長戦略の最大の目玉が法人税減税だと言っている人もいて、こういうことについて御感想があればお聞きしたいのですが。
(答)法人税減税はなぜするか。これは、会社のためにやっていると言われる方がいますけれども、総理が常々おっしゃっているのは、国民生活の向上のためにやるのだと。それは何かというと、魅力的な投資先としての日本をアピールし、国内外の投資を呼び込む。そこから新たなる価値がどんどん生まれていく。それは賃金に跳ね返っていって初めて好循環になる。賃金に跳ね返らないと購買力につながっていかないわけですから、その好循環を回していって、全体の国民生活の水準を引き上げていくためにやる。そこがいま一つ伝わっていないというもどかしさが総理にもおありのようであります。
 アベノミクスは何のためにやるかといったら、国民生活の安定と向上のために行うわけです。そのためには好循環を回していくということです。経済成長と財政再建の好循環、そして企業収益と従業員たる生活者の賃金上昇を通じた生活水準の向上、これの好循環をしっかり回していくこと。安定的に名目GDPが実質GDPを超えて、本来の健全な姿として経済成長を持続的にしていく。そこにつながっていくと理解いたしております。
(問)甘利大臣御自身もやはり成長戦略の目玉の一つとして位置付けられているという理解でよろしいでしょうか。
(答)はい。規制改革が大きな柱ですけれども、規制改革で投資にとっての障害を取り除いていき、それを補完する柱として、その投資が効果的に動いていくために、法人税減税を先進国並みに、日本が劣後しているとよく言われますから、投資対象地として魅力的な場所ですよというアピール、どうぞ日本は買いですよ、ということにつなげていくということです。
 規制改革項目は、今までと違いまして、事前に規制を担当している省庁との調整は終えています。今までの総合特区というのは、規制改革項目は上がっていますけれども、特区に指定された後に関係省庁との調整をやります。そうすると、規制を持っている官庁はノーという返事をたくさんしてくるわけです。ですから、規制改革総合特区と言われながら、実際の規制改革が進まないという不満が、手を挙げた自治体からかなり出ました。これはもちろん、政府主導でそんなことでどうするということはやりましたけれども、今度の国家戦略特区というのは、十数本の規制改革項目は、指定された後調整をするのではなくて、先に政府が調整し、解決してしまって、いつでもその規制改革項目が使えるようにしてあります。その上で国家戦略特区に指定されたところから上がってくる現場の実情に即した新たなる規制改革項目は、プライオリティーを上げて取り組んでいくという宣言をしているわけでありますから、おっしゃるように規制改革というのは一番大きな柱になります。
 同時に、企業側にとっても投資したくなる魅力として、法人税減税、つまり、よその先進国に投資をしたら利益がこれぐらい上がるけれども、日本に投資した場合はその何割かに減ってしまいますけれども、どうぞいらしてくださいというのはなかなかアピールにはならないわけです。例えばドイツに投資をするのと同じような条件をそろえてありますよということをアピールして、投資をしてもらう。ただし、上がった収益については、賃金やあるいは下請け代金に還元するということが更なる企業収益を生んでいくということをよく理解していただいて、好循環を回していく。つまり、利益が一過性なものであるか継続的なものであるかということの認識を、関係者全員、ステークホルダー全員で共通認識を持つということです。そのために政労使の三者会議も開いたわけです。企業にとっての賃上げは、一時的には損をするように見えるけれども、実は損をしているように見えて、それが自分のところに回ってきますよということも理解をしていただくということでありました。
(問)話は少し戻りますけれども、骨太方針の先ほどの文言調整で、先ほど大臣は、しっかりとした恒久財源を確保、裏付けを作ることと、アベノミクスによる成長の果実を更なる財政再建の構造改革に向けていくという考え方を示されましたけれども、この考え方は両方二つとも反映するような形で今調整をしていると考えてよろしいでしょうか。
(答)最も効果的に働くやり方を探すということだと思います。最も効果的に、つまり、財政再建に最も効果的に資するようなやり方だと思います。

(以上)