甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月10日

(平成26年6月10日(火) 10:07~10:19  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)自民党が農協改革についてまとめている文書で、JA全中の廃止という文言を丸々落とされているのですけれども、これは改革姿勢が後退したということなのか、それともまだというかJA全中は、明確に廃止するのか、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。
(答)農協改革については、今、政府と党が調整中と承知いたしております。従来から課題とされていました全中や単位農協まで含めた農業関係団体の在り方、これは農業を守るという姿勢から攻める農業という姿勢に大転換していきます。農業を成長産業として日本の新たな活力にしていくという大転換を図るわけであります。それに向かって今、従来の姿勢から新たなフェーズへの大転換を図っているところであります。
 こうあるべきと思っても従来から自民党の支持母体ということで、なかなか踏み込むことができなかったところに、今、政府・与党がタッグを組んで、相当な踏み込みをしているというところだと思います。先般も野党議員から、我々ではとてもできません、そこは自民党・政府の力、改革意欲に敬意を表したいというような野党からの質問もありました。そこは素直に受け止めて、新しいフェーズに向かってまい進していきたいと思っております。
(問)法人税につきまして、法人税改革が日本経済に与える影響ですけれども、経済規模を大きくして税収がプラスになるというのはイメージできるのですけれども、具体的に例えば法人税率を1%下げたらどのようなインパクトがあるかというような、内閣府の方で法人実効税率を1%下げると設備投資が0.4%増えるというレポートも以前にあったようなのですが、大臣の方で具体的な波及イメージというか、どういうインパクトがあるのかというのを数値とかもしございましたら、お願いできませんでしょうか。
(答)具体的な数字については、世界共通の統一したものは承知をいたしておりませんが、大事なことは、法人税減税が経済の拡大に効いてくる状況を作らなければいけないことだと思うのです。法人税減税がダイレクトに経済の進展に効いてくるケースと、法人税減税が期待ほど効かないというケースがあります。
 我々の認識のミスというのは、デフレ下で法人税減税に過度な期待をしたというところだと思うのです。法人税減税が本当に効いてくるのは、デフレを脱却して軽度なインフレ経済、拡大基調の中で、更にそれを安定的に押し上げる力が法人税減税だという認識が少し弱かったのではないかと思っております。
 名目GDPが特にかかわってくると思います。税収というのは税率掛ける名目GDPであります。日本の名目GDPは、この10数年間のデフレ下に、1割落ちました。10%シュリンクしてしまった。幾ら税収を上げようとして、例えば税率を引き上げても、その母数が小さくなってしまうと税収は上がらない。そして、税収を下げてもダイレクトにその下げる効果が経済を押し上げる力に伝わっていかない。デフレを脱却して弱インフレ下にあれば、法人税減税が経済規模を更に拡大することに貢献するという点に注目をしていかなければならないというふうに思っております。
 投資を拡大するということは、その投資によって雇用が生まれるわけです。雇用を通じて所得が生まれる、所得を通じて所得の税が納められる、いろいろな波及効果があるわけであります。ですから、経済規模が拡大していく中で、更にそれを確かにものにしていくために、日本が投資対象地として極めて魅力的なものであるということをアピールするためには、先進国、国際標準並みの実効税率を確保するということは、内外投資家に向けての大きなアピールになると思っております。
 具体的に1%の減税がどれくらい税収に還元されるかというのは、世界標準があるわけではないと思いますが、いずれにいたしましても、名目GDPを大きくしていくということは、掛ける税率でダイレクトに税収が入ってくるということですから、そこで実効税率を下げようとも、投資が拡大をしていく、そして、経済規模が大きくなってくれば、それをかなり上回る税収にはね返ってくるというふうに思っております。そこは法人税だけではなくて、所得税についても拡大効果が見込まれると思います。
(問)去年の復興法人税廃止の前倒しの時は、大臣の方から賃上げの原資、好循環のためにそういうのでやっていくというのがすごくわかりやすかったのですけれども、法人税を減税した場合に、それが例えば内部留保にいってしまったりとか、やはりそういった懸念もあると思うのですけれども、その辺、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)法人税減税が、内部留保に回ってしまうか、あるいは新たな競争力強化に向かうかというのは、もちろん企業の判断であります。しかし、企業経営者として株主に対してどういう判断をするかというのは、コーポレート・ガバナンスの強化とあわせて、しっかり監視下にあるわけです。その企業がより競争力を増していくための投資をするか、それとも単に一時しのぎをするだけの策しかとらないかというのは、その経営者の判断はステークホルダーから見つめられていると思います。
 今後、会社法の改正を通じて、コーポレート・ガバナンスの強化を図っていきます。投資家にとって、その企業のスキル、その企業の将来性、その企業の経営方針がより透明化されてくるわけであります。そこは、経営者にとっても、今まで以上に緊張感を持って、より競争力のある企業にするためにどういう行動をとっているかということは監視をされると思います。
(問)法人税減税について、自民党の野田税調会長との調整の進捗状況について教えていただきたいのと、総理も外遊先で来年度から着手したいと明言しているのですけれども、来年度から引き下げるという方向は、野田税調会長とも一致されているのか教えてください。
(答)総理は既に御自分の御意思として、少なくとも来年度から着手するということを明言されました。この点につきましては、野田税調会長と認識を一致するということはできております。
 これから骨太方針にどう書いていくかということで、その文言の詰めを行っているところであります。まだ合意決着はいたしておりません。来年度からということは具体的に合意ができておりますけれども、どのくらいの時間をかけて、どのくらいの幅で、それを具体的に表現するかしないかということ等を含め、あるいは財源の問題や財政再建との整合性、これについても今詰めているところであります。今週中に決着をしたいと思っております。
(問)そうなると、骨太の方針にも来年度からというのは明記できるということでしょうか。
(答)来年度から着手するということは明記ができると思います。

(以上)