甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月6日

(平成26年6月6日(金) 9:13~9:34  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず、2点報告を申し上げます。
 社会保障改革プログラム法におきまして規定をされております有識者からなる「社会保障制度改革推進会議」に関しまして、本日、施行日を定める政令及び社会保障制度改革推進会議令の二つの政令を閣議決定いたしました。具体的には、改革推進会議に関する規定の施行日を平成26年6月12日とするとともに、委員の任期、専門委員、定足数・表決数など、改革推進会議に関し必要な事項を定めております。
 あわせまして、改革推進会議の委員を内定いたしましたので、発表いたします。お手元の資料にありますとおり、合計11名の方で構成をされております。今後必要な手続を経まして、12日付で正式に任命する予定であります。なお、第1回目の会議につきましては、6月下旬から7月頃を目途に開催する予定であります。また、議長は、社会保障改革プログラム法において、委員の互選により選任することとされておりますので、第1回目の改革推進会議において選任されるということになります。
 なお、改革推進会議に関する規定が施行され次第、改革推進会議のホームページを立ち上げまして、情報を発信していく予定であります。こちらも御覧いただきたいと思います。
 次に、本日の閣僚懇におきまして、消費動向について報告いたしました。資料はお手元に配付をしているとおりであります。
 消費税率引上げから2カ月が経過いたしました。この間、家計調査等の月次の統計は4月分まで公表されましたが、それらの結果をみますと、前回、1997年と比べまして、税率の引上げ幅が大きい、前回が2%、今回は3%であります。そういうこともありまして、家電等で駆け込み需要が強めとなりまして、反動減も大きめとなっていることが示唆されます。ただし、事業者等によりますと、こうした反動は引き続き想定の範囲内との見方が多いと承知いたしております。
 週次データ等で足下の状況についてみますと、自動車は前年比マイナス幅が縮小しているものの、受注は弱い動きがまだ続いているということであります。一方、天候要因もありますけれども、家電でマイナス幅が縮小しましたほか、百貨店やスーパーでは回復傾向にあるとの声も聞かれます。また、サービス分野におきましては、引き続き底堅く推移しているとみられます。
 反動の影響につきましては、今後公表される統計も踏まえまして、引き続き精査してまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)ECBがマイナス金利を導入しましたけれども、この受け止めと、日本への影響、それから将来的に日本でもこういったことがなされていく可能性はあるのかどうか。それから、目的としては、デフレ脱却に向け銀行の貸出しを促すような策だと思うのですけれども、効果があるとお考えかどうか、お聞かせいただけないでしょうか。
(答)およそ初めてとられる手法です。デフレに陥るのではないかということで、EUの中央銀行にお金が来ないように、市中に回るような措置なのだと思います。これはこれで初めてとる手法ですから、推移を見守りたいと思います。
 それぞれ中央銀行によって手法が異なると思います。日本銀行のやり方は日本銀行のやり方で、バランスシートを大きくして、そちらの手法を使ってマネーサプライを拡大させる。ベースマネーが拡大して、従来はそこにとどまるのではないかというのがいわゆる常識論でしたけれども、目標を決めて大胆にやっていたら、実はベースマネーが増えて、そしてマネーサプライも増えたというのが事実になっていますから、これはこれで効果があったということです。違う手法をとるECBの手法がどうなるか、これは注視をしていきたいと思います。それぞれアプローチは違いますけれども、それぞれ効果が出れば、世界経済には良好な影響なのだろうと思います。
(問)法人税減税についてお伺いします。昨日、与党の税調の方で法人税の引下げを容認する方針を改めて決めて、これまで自民党の方で入っていた「税収の上振れを代替財源に充てることを厳に慎む」という文言も削除されているのですけれども、この受け止めについて教えてください。
(答)税調会長は、よりマイルドな表現に変えたということであります。基本哲学は基本哲学として掲げているというお話であります。法人税減税を考えるときに、その元になる減税財源をどうするかということは真摯な議論が必要であります。私どもも真摯な議論をしているつもりでありますし、税調もそのおつもりなのだと思います。
 日本がたどってきた歴史を振り返りますと、要するに税収が伸びないということは、税率が低いから伸びないのではなくて、すなわち、税率を上げると税収が伸びるということではなくて、経済規模を大きくしないと税収が伸びないということなのです。20年間で先進国はほぼ全て経済規模が2倍になっています。日本は5~6%、経済規模が小さくなっています。税収というのは、GDPの名目値の拡大によって税収は大きくなります。日本がデフレに陥らず、アメリカの成長と同じような成長をたどっていれば、現在の名目GDP規模は2倍になっている。すると、税収はGDP弾性値が1.0だとしても、2倍になっているはずなのです。税収が2倍になっていないというのは、経済規模がマイナスになっているということが一番大きな原因です。
 ですから、要は、財政再建をしていく場合に、名目GDP、経済規模を大きくしていくという視点を忘れてしまっては、財政再建はできない。ここが一番大事だと思います。ですから、財政再建のためにどう経済規模を大きくするかということだと思います。ギリシャで言われたのは、成長戦略なくして、税を引上げ歳出をカットする、それがマイナススパイラルを起こしてしまったということでありますから、経済規模を大きくするということが税収拡大に一番大きくかかわっているのだということをしっかり見据えて政策運営をしていかないといけないと思います。
(問)関連ですけれども、マーケットの方も法人税減税に注目しているのと、政府の目標としても今後10年平均で名目3%、実質2%の成長という目標があるかと思うのですけれども、それを達成していくためには、あるいはメッセージとして有効なためには、法人税についてどのぐらいの期間でどのぐらいの引下げ幅というのが有効なのか、改めて教えてください。
(答)経済成長をしっかり担保していくためには、税制改革だけではなくて、規制改革、それから成長志向型歳出等々、つまり、成長に向けた、成長志向型の歳出構造と税制構造と規制構造と、この三位が一体となって成長が図られると思っております。そこをしっかり手抜かりなくやっていきたいと思います。税をどうするかということについては、党税調ともしっかりこの考え方をすり合わせしながら、着地点を探していきたいと思っております。できるだけ具体的に書ければというふうに思いますが、今日この時点でまだ具体的なことを申し上げることは控えさせていただきます。
(問)今、全国での法人税引下げに関して議論されていると思うのですけれども、国家戦略特区の中で先行して引下げてほしいという特区が幾つかあるようですが、大臣御自身は一部で先行して引下げるということをどういうふうにお考えでしょうか。
(答)国家戦略特区でそこの部分だけ基本税率を下げるというのは、非常に技術的に難しいのかなと思います。投資行動に対してインセンティブが働くというやり方はとりやすい。どういう投資行動をとった場合にはそれが減税対象になるというのは、やりやすいと思うのですけれども、本体税率の場合はその仕切りがなかなか難しいかと思っております。
 ですから、本則税率は全国一律、そして特区における投資行動をとった際にどういうインセンティブが働くかということは、また別立てで考える方がいいのかなと個人的に思いますます。
(問)社会保障制度改革推進会議について、国民会議の委員とかなり重複されている方が多いかと思います。これは継続性を重視なさったという理解でよろしいのでしょうか。
(答)そうですね。今日までの議論の経緯を知っている方がある程度入っていた方がいいなということもあります。今日までの議論の経緯を全く御存じない方も資料があればそれなりに理解はされるのでしょうけれども、体感温度として分かっている方がいた方がいいと思って、こういう構成にいたしました。
(問)専門委員の位置付けを確認させていただきたいのですが、例えば医療なら医療とか、そういう感じで、専門委員は推進会議で議論されるテーマに応じて参加されるのをイメージされているのでしょうか。
(答)そうですね。専門委員はまさに専門の分野の方の英知を結集したいと思って、これから選定していくわけです。総理が任命されるわけですけれども、テーマごとにその専門委員に議論に参加していただく形になろうかと思います。
(問)専門委員の人選はこれからということでよろしいでしょうか。
(答)これからで、総理と御相談し、最終的に総理がお決めになります。
(問)社会保障制度改革の会議について関連ですけれども、いろいろ多くの課題がある中で、特にどういったところから議論を進めていきたいのか教えてください。
(答)前身の国民会議の検討項目に沿って、それをより具体化、かみ砕いた制度設計を図っていくことになろうかと思います。経済財政諮問会議の下の選択する未来委員会が提示いたしましたが、50年先に向けて何が大事で、それに2020年ぐらいまでに対応することが大事ということでありますから、それもしっかり踏まえましてプライオリティを決めながら進めていくことになろうかと思います。
(問)GPIFの改革について、田村厚生労働大臣が安倍総理と打ち合わせした上で、今後、運用方針をできるだけ前倒しして見直すように要請するという一部報道がありました。政府が今月まとめる成長戦略にも何らかGPIFの改革については盛り込まれることになるのでしょうか。どういった内容になるのでしょうか。
(答)財政検証を経て厚生労働大臣が、本来なら新年度、来年の4月からのを前倒しして取り組みたいということに関して、総理はそれを了承し、そのとおりやってくれということを指示されたわけであります。成長戦略なり骨太なりにはGPIFの改革について記載をいたしますが、どこまで具体的に記載するかは、今検討中であります。
(問)今の関連で、GPIFの組織を、法改正でもして変えた方がいいのではないかという議論もあるようです。組織、例えば今、合議制にするべきだとかそういう議論があると思いますが、その必要性については、今大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)有識者の検討会議で、デフレ下から弱インフレ下になった場合には、当然ポートフォリオは変わってくるということ、それからガバナンスについて新たな体制を、という両面について提言がなされています。その提言を踏まえて取り組んでいくことになろうかと思います。詳細は、関係機関と詰めていくことになろうかと思います。
(問)ガバナンス改革の場合、法改正が必要になると思います。それについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)法改正が必要になります。ただ、順序ですけれども、法改正まで待たずに対応できることは直ちに対応していく。それから、ガバナンスの強化については、しっかり腰を据えて検討していくことになると思います。
 ですから、法改正をするまでポートフォリオに触れないかというと、これは違うと思っています。
(問)いずれ法改正は不可避とお考えでしょうか。
(答)検討の視野には入ると思います。
(問)TPPですけれども、先般、日米事務レベル協議が行われましたが、来週以降、アメリカとそれ以外のニュージーランド、豪州など、各国との事務レベル協議の日程は何か決まっている、もしくは目途がついている、調整中のものがあれば教えていただけますでしょうか。
 ニュージーランド、豪州に関しては農産品で乳製品が最大の関心項目になると思います。現状、今までの交渉の中の課題、認識というのはどういうふうに受け止めているのでしょうか。
(答)日米のみならず、他国とも事務レベル協議は進めていきます。乳製品についてもセンシティブ項目の1つであります。国会決議を守りつつ、アクセスの改善を図るのにどういう道があるかを、今、具体的に検討しているところであります。
 日・豪についてはEPAが大筋合意し、おそらく近い将来合意ということになろうかと思います。それ以外にも、日・メキシコについてはEPAの改定作業がございます。そういう中では、メキシコ側の関心項目は、この重要5品目、豚肉等々あるわけでありますから、それも同時進行で進めていくことになろうと思います。

(以上)