甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年6月3日

(平成26年6月3日(火) 9:53~10:12  於:合同庁舎8号館1階108会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)今、自民党でJA全中の廃止などが議論されていますが、成長戦略の担当大臣としてのお考えを聞かせていただけますでしょうか。
 それから、その組織を変更するにあたっては、すぐやるべきものなのか、何年ぐらいかけてやるべきなのか。
 あと、これまでJA全中が役割を果たせなかった理由について、どういうふうに分析されていますでしょうか。
(答)規制改革会議から農業関係の改革提案が出ました。今、党がこれを受け止めて、党内でいろいろ議論していただいているところであります。党内にもかなり改革に前向きな御意見もあるようです。当面、我々としては改革の工程について、党内でどういう議論がなされるか、注視していきたいと思っています。
 JA全中の使命については、全中自身の方針、存在が、いわゆるステークホルダーの代表としての政治への交渉係なのか、それとも、傘下の農業協同組合の経営資質向上に取り組んでいく団体なのか、果たすべき使命がいま一つはっきりしていなかったのかなと。今後、どういう使命を果たすために、どういう形態がいいのかということが議論されるのだと思います。いい機会ではないかと思います。
(問)法人税の調整状況について、今日、安倍総理と野田自民党税調会長が、会われるようですけれども、どんなことを期待されますでしょうか。
(答)今日は党の税調会長が、税調としての基本的な考え方をお伝えされるのだと思います。政府として、骨太方針に方向性をどう書いていくか、これは引き続きすり合わせる必要があると思いますが、税調としての基本的な考え方と、それから骨太としてのこれから向かう方向性というのは、ニュアンスの違いは当然出るのかなと。基本哲学をまとめられるのと改革の方向性というのは、そこからどういうふうに動き出していくかということの差異はあるのではないかと思っています。
(問)今日、経団連の会長に新たに榊原さんが就任されますけれども、どういったことを御期待されるか、教えていただければと思います。
(答)榊原さんを産業競争力会議の民間メンバーに選ばせていただいた時に、私どもがその前提として何に注意を払ったかというと、改革の意思です。単に前任者から引き継ぐだけの経営者か、苦境を打破して新しい方向性と息吹をその会社に与えてきたかどうかということで、榊原さんは、報道されていますとおり、正に東レの中興の祖と評価を受けているわけです。あわや倒産の危機、大企業といえども倒産の危機というのは直面するもので、それを打開するために背水の陣で新機軸を見出したというところを評価して、産業競争力会議のメンバーになっていただきました。
 その方が経団連会長に就任されたということです。経団連は、経済界を代表する最大の組織でありますけれども、いわゆる民間官僚化していないかというような指摘が随分ありました。重厚な存在であるけれども、だんだん小回りがきかなくなって、フットワークが悪くなっていないですかとか、改革について、自ら率先垂範という姿が少し薄くなっていないかなど、いろいろ指摘がありました。そういう中で、この榊原新体制は、経団連発足の原点に返って、常にアグレッシブに、この国の経済をいい方向に持っていく、そのための改革はいとわないという方向を出していただけるのではないかと期待いたしております。
(問)法人税改革について、麻生財務大臣が、今日の閣議後の会見で、責任ある代替財源があれば、いいのではないかという発言をされたようですけれども、骨太の方針に例えば20%台とか、期間を限定して具体的に書き込むべきだと思われますか。その場合の代替財源をどのように考えていらっしゃるでしょうか。
(答)財源を全くあてもなく、結果に期待して、ただ減税だけやると、それだけで行うというのは、確かに政治の姿勢としては責任ある姿勢とは言えない、そこは、財務大臣のおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、減税を通じて何をするかということなのです。世界で一番企業立地しやすい環境を整えるということで投資を呼び込む、あるいは国内投資を活性化させるというわけです。こちらでこれだけ減税するけれども、こちらでこれだけ増税しますから、どうぞ来てください、魅力ある場所でしょう、ということが言えるかどうかです。投資にとって魅力的であるということを考えつつ財源の手当てをしていく。どこの国の減税政策も、100%成長以外の財源で、既存の財源で手当てするという法人税改革というのはないわけです。成長の果実を更なる成長に充てるという思想は、必ずどこかにあるわけです。そのために法人税減税をするわけですから、安定的な財源を手当てするという哲学というのは大事ですけれども、加えて、成長が更なる成長を呼ぶという視点というのは減税政策上大事であって、それがあるから初めて減税をするのだと思います。
(問)TPPについてお伺いしますが、先週、日米の実務者協議がありまして、今回の進展をどう見ているかということと、次回の実務者協議までの課題、詰めるべき点は何でしょうか。
(答)オバマ大統領が訪日されて首脳会談が行われ、閣僚会合が行われました。そこでかなりの進展があったということが報道されております。それは事実だと思います。それから先、より具体化のための事務折衝を行うということが滞っているわけです。シンガポールでその口開けがなされて、その続きをということなのですが、日米双方とも、ステークホルダーがかなりナーバスになっています。
 だんだん頂上が見えてくると、やはり登山者にとっては周辺の環境が、三合目、五合目よりはセンシティブに響いてくるわけでありますが、そういう現象だと思います。そこで、なかなか環境に慣れるまで、日米ともに、担当大臣、そして担当交渉者は厳しい環境にさらされているわけです。これはアメリカも日本も全く同じだと思います。高山病にならないように、まず、そこの八合目の環境に慣れるということが必要なのだと思います。そういう意味では、踊り場現象かなと思っております。中身を言えば、一進一退、三歩進んで三歩下がるということなのではないでしょうか。
(問)TPPに関連して、今、一進一退というお話があったのですけれども、重要5品目に関する物品の市場アクセスについて、もう少し、可能なら、具体的に事務レベル協議について進展状況等を御説明いただけますか。
(答)物品でいえば5品目と自動車の協議を、東京以来ずっと続けているわけであります。それ以外の部分について、ここらあたりからは市場アクセスの進捗と残されているルールの解決策というのは、お互い進捗を見ながら、同時進行で進めていくというモードに入っていくのだと思います。ですから、ルールはルールでやってきましたけれども、物品市場アクセスを横ににらみながら進んでいくモードに入っているのではないかなと思っています。
 物品市場アクセスについては、市場アクセスを構成するいろいろなパラメータがあると申し上げました。いろいろな要素があります。それをどう組み合わせていくかということの協議を、今、詰めているということです。
(問)人口減少問題について、総理を本部長に総合戦略本部を設置する方針という一部報道があるのですけれども、この必要性について大臣のお考えと、経済財政諮問会議との役割分担とかもいろいろあると思うのですが、実際、どこに置くようなイメージを持っていらっしゃるのか。お聞かせいただける範囲でお願いしたいのですけれども。
(答)経済財政諮問会議のもとに、選択する未来委員会というのを設置いたしました。日商の三村会頭に座長をお務めいただいて、中間提言がなされました。この年末に向けて、取りまとめ提言の作業中であります。
 そういう中で、半世紀先、50年先を見据えて、今から対処すべき問題の最大案件が人口減少社会です。増田元総務大臣の具体的な提言もありまして、そう遠くない将来に、自治体の半数近くが機能不全に陥るというショッキングな報道もなされました。それらを通じて、当該自治体の長の方々が他人ごとではなくて自分ごとという認識を持たれたのは、危機管理上いいことだと思っています。
 それについて、総合的に対応していくということになりますと、関係省庁を網羅して、対策本部を仮に作るなら、作るということになるのだと思います。ですから、内閣官房ということになるのだろうと思いますが、これはまだ確定をしておりません。現在は、そういうアイデアが一部出ているという段階であります。
(問)今日、各国家戦略特区の構成員の募集の締め切りなのですけれども、改めて、国家戦略特区の成功のために、この構成員の方々に期待するところというのはどういったところでしょうか。
(答)国家戦略特区は、大どころの岩盤に該当する規制緩和項目、必要のある規制緩和項目はどこにあるかということを全国自治体や関係団体から募集して、数百という中から十数項目を選んで、事前に関係省庁との調整をして、それを実施できるように、ツールとして、もう揃えたわけです。今までは、こういう規制緩和項目については、総合特区等に指定されたら、それからすり合わせが始まって、結局ゼロ回答というようなことがあったりしました。これは、使える工具はきちんと手入れを終わって、いつでも使えるようにしてあるわけです。
 加えて大事なことは、そのコンセプトに従って具体的に作業を進めていくにあたって、更に現場に即した規制緩和項目というのが出てくるはずですし、それがないと少しおかしいと思います。大どころ以外に、そのコンセプトに従った現場の必要性からの規制緩和、それを効果的に見出して、本部の方に申し出るという作業がこれから極めて大事になってきます。そういう現場に即したビビッドな感覚というのを持って、更なるその地域に必要な規制緩和項目を選定して、政府に上げてもらいたい、その使命を果たしていただくことを期待いたします。

(以上)