甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月30日

(平成26年5月30日(金) 8:38~8:55  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 マイナンバーのロゴマークを公表させていただきます。
 ウサギが大事そうに自分のナンバーを掲げているというロゴマークです。来年の10月からマイナンバーを通知いたしますが、それに先駆けて、このロゴマークを使いたいと思っております。
 なお、この愛称につきましては公募して決めたいと思っております。皆様で周知に御協力をいただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)骨太の方針に向けた法人税引下げの調整状況をお聞かせいただきたいのですけれども、党税調は、財源の確保が前提という考え方は変わっていないようですが、大臣は、その財源の明記というのは必須とお考えでしょうか。
(答)恒久的な減税には安定的な財源という考え方、それは基本的にそういうことだと思います。どこまでが安定的に入るかということと、それから、やはり法人税減税が効果を発揮すると。こちらを減らしてこちらを増やして全く全体として変わらないというと、一体何のためにするのでしょうかということにもなります。法人税減税をすることの目的、効果について、広範にいろいろと検討する中で財源の構成をしていくということになろうかと思っております。
 法人税減税をするということは、成長力をしっかり底上げしていくために行うわけです。法人税減税を通じて国内外の投資が活性化をする、もって成長戦略をしっかり補完をしていくわけであります。そして、成長率が上がることによって全体の税収が拡大をしていく。それによって財政再建と成長戦略との整合性、あるいは好循環がなされるということでありまして、つじつま合わせをするための法人税減税ではありませんから、その趣旨や効果についてしっかりと深い議論をしながら、その財源が構成されてくるものと理解しております。
(問)消費税率の引上げから間もなく2カ月になりますけれども、足元の税率引上げの影響、主に消費の分野になると思いますが、そちらの御認識と今後の経済の見通しについて、現状のお考えをお聞かせください。
(答)前回の消費税の引上げと比較すると、引上げ率が前回2%、今回は3%であります。駆け込み需要は前回よりもかなり大きく、反動減は前回より少し大きいという感じであります。
 景気ウォッチャー調査等で肌感覚を聴取してみますと、駆け込み需要は想定より少し大きい。反動減は想定の範囲内で、想定より小さかったという回答が想定より大きかったという回答をかなり上回っているようであります。数字の上での駆け込み反動減、そして肌感覚、この2つ、それぞれなるほどという感じがいたします。今後の見通しについては、極めて順調に回復軌道に乗ってきていると思います。
(問)労働時間規制の緩和についてですけれども、成長戦略で対象となる年収ですとか業種というのは明記されるお考えでしょうか。
(答)具体的に、これを選択する雇用者がしっかりイメージしやすいように、なるべく具体的にこの範囲を決めていければというふうに思います。
 連合から懸念が表されていますのは、際限なくこれが適用され、しかも使用者側優位のまま幅が広がっていくのではないかという懸念があろうかと思います。基本は、成果と労働時間との因果関係以外の働き方、労働時間イコール成果というものではない職種について、効率的な働き方ができるということを望んでいる働き手の方の選択肢に対する手当てができるということが基本だと思っております。そういう社会のニーズにこたえて、選択肢を準備するということになるかと思います。選択する、しないは当事者の希望というところがきちんと反映されるようにしていく、そして、選択した者が、ある種、張り切り過ぎて働き過ぎに行かないようにどうやって上限管理をするか、あるいはワークライフバランスの関係から、本来休むべきときに休んでいない人は、それにかわる休日の措置をきちんと手当てをしていくということであろうと思いますし、自分で選択したはいいけれども自己管理があまりうまくいかないという人には、やはり選択する前の時間と対価の関係の働き方に戻れるというようにすることが大事だと思っています。
(問)29日からアメリカで日米のTPPの実務者協議が始まりました。この実務者協議に大臣が期待するところを教えていただけますでしょうか。
(答)大事なことは、8合目あたりまで来たということが、頂上に向けて登り始めたら足元が7合目になっていたということにならないことが大事です。前回の大臣会合でも、蒸し返しはしないということが全ての閣僚で共有されているわけであります。2日目の登山がしっかり8合目からスタートするということが大事だと思っております。
(問)日本維新の会の分党と野党再編の動きについて、閣内の一員としてどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)これは、石原さんと橋下さん、両共同代表の基本的な考え方の違い、その党が目指す哲学、基本理念、そこはやはり譲れないというのが政治家としての基本なのだなと思いながら、この分党騒ぎを見ておりました。やはり憲法に対する姿勢とか、国の主権の前提たる安全保障の在り方という、外交・安全保障、憲法に関する基本的なスタンスというのは、やはりその政党の根幹をなすものなのだろうなと思いながら、事態の推移を拝見をいたしておりました。
(問)先ほど発表された4月のCPI、生鮮を除くコアで前年同月比3.2%増と、3月よりも1.9ポイント伸び率が増えていますけれども、この辺りの受け止め、デフレ脱却という観点からも含めて教えていただければと思います。
(答)3月から4月への変化は消費税引上げに関するワンショットの引上げ、物価の上昇です。消費税が適正に転嫁をされると2%ポイントぐらい上がると言われていました。それが1.9%でありますから、これから見ますと、順調に、健全に消費税が転嫁をされつつあると評価したいと思っております。
(問)TPPですけれども、事務レベル協議、ワシントンはまだ29日の夜だと思うのですが、現時点で何か報告はあったのかどうか。あと、7月のCN会合まで数週間と、またCN会合自体で日米協議とその他国協議について、重要5品目の市場アクセス分野について着地点を見出せそうか、8合目まで来ているという認識は先ほど示されておられたと思うのですが、見通しをお聞かせください。
(答)訪米以降の情報はまだ入っておりません。成田から出発する際の映像を見ていただけであります。
 残されている市場アクセスの関税に関してですけれども、前回、東京で方程式合意ができました。解決の道筋について、あとの作業は事務方でやらせようということになりました。シンガポールでその話が再開いたしまして、その続きをワシントンで始める、2日間行うということであります。この2日間で全てが解決されるというのはなかなか厳しいと思いますけれども、シンガポール、そしてワシントンで東京以降の具体化が極力進んでいくことを期待いたしております。それで終わりということではなくて、引き続き日米間、それから日米以外の間で具体的協議が進んでいくと思っております。
 日米間である程度収れんをしていきませんと、それ以外の国の収れんが図れないという事情があります。やはりTPP交渉全体の8割の経済圏が、最終的に残されている課題について解決の目安が立たないと、そこに関してそれ以外の国がどう関与していくのかとか、それから、アメリカ以外の交渉参加国の関心項目等のすり合わせと日米の関係ということ等々、かなり具体的になってくるわけであります。ですから、日米間でどこまで収れんをするか、そして日米間で共有した情報をどこまでそれ以外の国と共有するか等々の、いよいよ9合目、そして頂上に向かうと、そうした詳細な課題が浮かび上がってくるということになるのだと思います。

(以上)