甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月23日

(平成26年5月23日(金) 19:11~19:23  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 景気は、「緩やかな回復基調が続いているが、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動により、このところ弱い動きもみられる」として、先月から判断を据え置いております。これは、駆け込み需要の反動の影響により、引き続き消費や生産などが下押しされていることを踏まえたものであります。ただし、こうした弱い動きは想定の範囲内でありまして、一時的なものであると考えております。
 また、企業収益の改善等を背景に設備投資は増加し、雇用は着実に改善するなど、景気の基盤はしっかりとしているとみております。
 先行きにつきましては、当面、駆け込み需要の反動により弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現するなかで、緩やかに回復をしていくことが期待をされます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっております。
 政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」に基づく政策運営と「日本再興戦略」の実行を加速化・強化するとともに、「好循環実現のための経済対策」を含めた経済政策パッケージを着実に実行し、平成26年度予算の早期実施に努めてまいります。
 また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待をいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)景気判断ですけれども、増税した先月は下方修正をして、今月は据え置きになったわけですけれども、その反動減の底はみえてきたというか、みえたというふうに大臣はみていらっしゃいますでしょうか。
(答)まだ断定的には申し上げることはできないと思います。ただ、直近の情報では、駆け込み需要は前回よりも強くというか、想定よりも強く、そして反動減は想定の範囲内と、今のところそれが言えるかと思います。ですから、日本の経済の基礎体力は強いということが言えるのではないかと思います。
(問)今日、内閣府が試算した需給ギャップだとマイナス0.3%と需要不足でありますが、前の期から大きく改善いたしました。これについて受け止めはいかがでしょうか。
(答)デフレを脱却をしていく、あるいは需要が引っ張っていくディマンド・プル型の物価上昇について、今のところ順調な軌跡をたどっているというふうに理解をいたしております。まだ現時点で断定はできませんけれども、デフレの脱却に向けて着実な歩みを進めているというふうに思っております。
(問)消費の状況ですけれども、先ほど、底を打ったかは断定的には言えないというお話でしたけれども、引き続き耐久消費財、車とか家電製品については、なかなか回復の兆しまではまだみえていないかとは思うのですけれども、ボーナス商戦などに期待する声も出ていますけれども、大臣としては、いつぐらいに消費の持ち上がりというのを期待していらっしゃいますでしょうか。
(答)自動車に関して、足下の受注がこれから先の販売台数に現れてくるわけでありますけれども、そこのところは注視をしていく必要があろうかと思います。家電の方は自動車ほど心配はしておりません。
 それから、設備投資がかなりけん引をしております。機械受注が民間予測をはるかに超えていい数字が出ました。この機械受注は設備投資の先行指標でありますから、設備投資はかなりこれからもけん引をしていくのではないかと思います。
 あわせて、外需の機械受注も伸びています。これは、次の段階の輸出に反映してくる数値でありますから、輸出にも少しずつ伸びが出てくるのではないかというふうに期待をいたします。
(問)月例経済報告と関係ないことで恐縮ですが、ニュージーランドのグローサー貿易相が来日して、林農林水産大臣とか菅官房長官とお会いされていると思うのですけれども、大臣はシンガポールでもお会いされているとは思うのですが、この時期にニュージーランドの貿易大臣が来て重要な閣僚とお会いするということの向こうの狙いはどんなものだというふうに大臣は受け止めていらっしゃるでしょうか。
(答)彼は貿易大臣でありますし、それ以前、長い間、交渉官の経験を持っています。TPPが大きな山を越えた、つまり日米が懸案項目を解決していく道筋、枠組みを作ってきたということで、いよいよ次はそれ以外の国の具体的な関心項目について加速をされるのではないかという期待感と、それからある種警戒感を持って作業を進めているのだと思います。今日のグローサー大臣との会合で、事務責任者間に作業を委ねようということは合意をいたしました。これはシンガポールで各国と2国間の関心事項について、マンデートを与えて事務方に作業を急がせようということでやってきた一連の作業、特にニュージーランドの関心項目は、酪農立国でありますから、そこの部分だろうというふうに思います。オーストラリアについても、事務折衝に、事務方にマンデートを与えて作業を任せようということで合意をいたしました。同じ方式でニュージーランドとも今日は大臣間での合意ができましたので、事務折衝が加速されるということになろうかと思います。そのために彼が来たのだと思いますし、そして、今日、日本経済新聞の主催のセミナーですか、そこではアベノミクスを高く評価する演説をするかというふうに彼は言って出ましたから、その後の演説がどうなったのか聞いていませんけれども、多分高い評価だったのだと思います。
(問)月例経済報告から離れるのですけども、午後に自民党の議員団が、法人税の引下げを求める要請を大臣宛てにされました。また、その要請に対して大臣はどのようにお答えになったのかという点と、なるべく具体的に書き込んでいきたいという話をされましたけれども、「骨太の方針」に向けての今後の段取り、どのように議論を進めていくのかお願いします。
(答)今日の有志議員団の方々は、法人税の実効税率の下げに関して具体的に行動を起こしてもらいたいという要請でありました。特に、党税調がかなり慎重な見方をしているということで、党内には、そうではないという動きもあるのだということを伝えたいというお話でありました。私も、経済財政政策を担当している責任大臣として、アベノミクスの「第3の矢」を国内外に見える形にしていくために、法人税については、単なる方向性だけではなくて、具体的実施に向けて具体性をできるだけ書き込みたいというふうに思っております。今後、党税調、政府税調等々、すり合わせが必要になってきますけれども、今日の要請の趣旨も受けて、できるだけ具体化が図れるように取り組んでいきたいと思います。

(以上)