甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月15日

(平成26年5月15日(木) 9:15~9:28  於:合同庁舎4号館6階620会議室)

1.発言要旨

 本日公表しました2014年1-3月期のGDP速報では、実質GDP成長率は前期比年率5.9%と、6四半期連続のプラスとなりました。その要因でありますけれども、消費税率引上げに伴う駆け込み需要もあり、個人消費が大きく増加したこと、そして企業の収益やマインドの改善等を背景に設備投資が増加したことなどが挙げられます。また、GDPデフレーターは、前年同期比で2009年の7-9月期以来18四半期ぶり、4年半ぶりにマイナスではなくなり、デフレ脱却に向けて着実に前進をしていると思います。
 4月に消費税率が8%に引き上げられました。駆け込み需要の反動により、消費に弱い動きも見られますが、こうした動きは想定されていたことで、一時的なものと考えております。雇用・所得環境が改善する中で、消費は次第に持ち直していくというふうに期待しております。先行きにつきましては、近年にない賃上げの動きが力強く広がっており、経済の好循環の実現に向けて前進を続けているなか、各種施策の推進等により、年度を通して見れば、前年度に引き続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれます。
 政府といたしましては、引き続き消費税率引上げ後の景気動向を注視するとともに、平成25年度補正予算及び平成26年度予算の早期執行に努めてまいります。また、年央に骨太方針を取りまとめ、さらに成長戦略を改訂するなど、持続的な成長に向けた取組を強化してまいります。こうした取組により、景気の下振れリスクに適切に対応するとともに、デフレの脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものにしてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)次の4-6月期の駆け込み需要の反動減について、どのように認識しておられるか、想定より大きくなりそうか、小さくなりそうかということと、もう一点、今後経済成長を続けていくに当たり、人手不足という壁に直面していると思いますが、これに関する大臣の認識と、どう乗り越えていきたいかについて聞かせていただけますでしょうか。
(答)駆け込みとそれに伴う反動減についですが、総じて言えることは、前回の消費税引き上げ時と比べ、駆け込み需要は想定を超えており、反動減は今のところ想定内というところであります。もしそうであるならば、これは理想的な形であると思っております。
 それから、人手不足の点についてですが、これは経済成長を図る上で極めて重要な要素の一つであります。そこで政府としては、全員参加型社会ということを提案しており、そのための環境整備に取り組んでいるところであります。女性の参加を増やし、いわゆる日本型M字カーブをなくしていくということ、それから、現状の定年制の下でリタイアした人材も意欲と健康が許す限り労働市場に参画をしてもらうために、その環境整備に努めること、あるいは建設労働を中心に、東京オリンピックも見据えて外国人材の活用の幅を広げていくこと等々に取り組み、この根本的な問題である労働力不足にしっかりと対応できる道筋を開いていきたいと思っております。
(問)景気の下振れリスクに適切に対応するということでございますが、大臣として、今後の景気の下振れリスクについて、具体的なものとしてどのようなものがあると考えておられるのか、教えてください。
(答)まず、消費者マインドをしっかり明るく保っていくということが大事であります。それから成長戦略、つまりアベノミクスの第三の矢をできるだけ具体化していくということであります。そうしたことを通じ、民需主導の経済成長に持っていき、好循環をしっかり回していくということであります。
 また、この夏のボーナス、先般の春闘の回答でも見られますように、明るい数字が見られます。そういうことを通じて、消費の落ち込みを素早くリカバーしていくということです。それから、設備投資が改善しつつある中で、将来のフロンティアをしっかり示すことを通じ設備投資を促していくことです。設備投資については、日本は各国よりも設備の高齢化が進んでおり、これが生産性の低下を招いているという指摘もあるわけでありますから、そこもしっかりと改善をしていくということであります。
(問)GDPの内需と外需の寄与について伺いたいのですが、外需は3四半期連続でマイナスになりました。この要因についてどのように見ていらっしゃるかということと、あと、輸出について、2四半期連続のプラスで今回は6.0%ということでしたけれども、これの評価を教えてください。
(答)外需寄与度がマイナスになっています。本来、円安になりますと輸出ドライブがかかるということでありますが、これが若干想定値より外れてきている要因としては、輸出先の景気によるものが大きいわけであります。新興国の景気が、思うほどしっかりしていないということ、それから中国の経済成長の動きが不透明であること等々、想定していたものから下振れをしているという点があるかと思います。それから、やはり生産拠点が外に移っているということも現実問題として数字に表れているわけであります。
 また、輸入の部分が想定したよりも大きく出ております。これは、やはり原発停止による燃料輸入増というものが相当大きなボディーブローとして効いてきているということかと思います。それから、4月からは石油石炭税が上がるということもあって、駆け込み輸入ということもあったのであろうかというふうに思っております。また、内需が逞しく回復してきていて、輸入を吸収する力が非常に大きくなっているということでありますから、生産が輸出に向かう前に内需に吸い取られるということもあろうかと思います。今、分析をしている最中でありますけれども、そういった諸々の要因によって、想定したよりも輸出の伸びのドライブのかかり方が悪いということであろうというふうに思っております。
(問)今回、2013年度のGDPは2.3%ということで、政府経済見通し2.6%の実績見込みを若干下回っているのですけれども、これについての評価を教えてください。
(答)政府経済見通しの実績見込みが実質2.6%でしたが、それが2.3%ですから若干下回りました。しかし、民間あるいは日銀の改定見通しが確か2.2%だったと思いますから、それは上回っているということであります。年初見通したものよりは数字は若干下に向いたわけでありますが、まあ、そこそこの成長率は確保してきたというふうに思っております。
 原因はいろいろあろうかと思います。先程申し上げましたように、もっと輸出ドライブがかかるという見通しでありましたけれども、意外と輸出先の景気の回復が遅れているということ等々がありました。そういうことで、若干外需寄与度がマイナスに働いたということ等々があろうかと思います。
(問)伺うのはまだ時期尚早かもしれないのですが、今年12月には、次の消費増税の判断をする見通しということですけれども、反動減が想定内という見通しも含めて、今回出てきている結果が増税判断に何か影響を及ぼす要素というのはあるのでしょうか。
(答)この後、4-6月期の実際に様々な数字が現実としてどれくらい出てくるのかということ、それから7-9月期がどれくらい力強い回復力を示してくるかということ、そのあたりを慎重に見定める必要があると思います。いずれにしても、前回の消費税引上げ時よりも時間的な余裕、対象となる経済指標が少ない分だけ、慎重に総理が判断されるというふうに思っています。

(以上)