甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月9日

(平成26年5月9日(金) 8:16~8:23  於:官邸エントランスホール)

1.発言要旨

 消費税率が8%に引き上げられてから1カ月が経過をいたしました。内閣府では4月の第1週以降、入手可能な週次のデータであるとかヒアリング情報から消費動向等について毎週把握をし、公表をいたしております。本日の閣僚懇で配付した資料は後ほどお配りをいたしますが、閣僚懇におきまして御報告しました内容のポイントを御紹介しますと、足下の消費動向は、耐久財、これは自動車とか家電をいいますが、明確な改善はみられないものの、横ばいということです。スーパーや百貨店ではマイナス幅が縮小してきております。また、サービス分野でありますが、旅行であるとかあるいは外食は引き続き底堅く推移をいたしているものとみられます。ただし、週次データというのはフラクチュエートする性質がありますから、引き続き動向を見極めていく必要があります。今後とも節目節目で状況を御報告したいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)法人税について、経済財政諮問会議の民間議員から、3年で20%引き下げるよう提案するようですが、この提案について大臣の受け止めと、改めて何年で何%ぐらいという大臣のお考えを聞かせていただいてよろしいでしょうか。
(答)引下げ幅が大きければ大きいほど、と単純にはいかないわけであります。法人税率引下げが法人税収拡大につながっていくのが理想的な形でありますし、その間に財政再建と整合性を持つということが大事です。ただし、財政再建というのは単なる表面づらの収支合わせではなくて、成長力が税収増をもたらすという視点を忘れてはいけない、むしろこれが一番大事だと思います。収支の面合わせだけで財政再建をやろうとすると、マイナススパイラルに陥る危険性がありますから、どうやって成長戦略と歳出改革等を組み合わせていくかということが大事であります。
 そういった視点から申し上げますと、何度も申し上げていますとおり、税収の上ぶれ、上ぶれというのは中長期試算で見越している財政再建路線で確保されている税収を超えていく部分であります。これを何に使うかというのはいろいろ議論があります。財務省的に申し上げれば、上ぶれ分はそっくり財政再建に回せという議論もあります。ただし、それでは成長が確保されないという危惧もあるわけであります。成長率が順調に確保されていくということを前提に税収は想定されているわけでありますから、成長率を確保するために使うということは、すなわち税収を増やすために使うということになるわけであります。そうした視点から総合的に申し上げますと、少なくとも上ぶれ分は成長に資するように極力使っていくということが大事ではないかというふうに思っております。
 民間議員からの御提案は、一つの提案であります。私はかねてから、あまり超長期にわたるプランでは市場に対してインパクトがない、投資する側にとって魅力的ではないということを申し上げました。その時に、具体的には5年を何年も超えてのプランであると、これはインパクトがないのではないかということを申し上げました。併せて、大事なことは、35%の税率を30%を切ると。これは、新興国並みとはいきませんけれども、先進国並みとは明確に言えることであろうかと思います。そういった視点からしっかりとした議論をしていきたいと思います。党税調、与党税調あるいは政府税調としっかりすり合わせをしていくことが大事であります。その際は、租特を削った分だけ法人税を下げるというのは、これは注意を要すると思います。租特の使命を果たし終わった部分とか、もう古くなってあまり利用価値がないとか、そういうものを見直すというのはもちろんいいことでありますけれども、競争力の源泉になっているようなことを犠牲にして全体の水位を下げるということは、採るべき選択ではないというふうに私は思います。
(問)TPPについて、シンガポール閣僚会合で12カ国が大筋合意するにあたって、残る最大の懸案事項はどういったところになりますか。
(答)12カ国が大筋合意をするためには、日米が大筋合意をすることが必須要件であります。日米の大筋合意というのは、御案内のとおり、農産品5品目と自動車について大筋合意が成り立つということです。枠組み合意はできました。いろいろな計数が絡んでいますけれども、そこを日米間で調整をしながらセットしていくという作業が、シンガポール会合までに、あるいはその間に決着をすることができれば、全体の大筋合意については大きな前進になろうかと思います。
(問)今日で第2次安倍内閣ができて500日になります。この間、閣僚が一人も替わらないということについて受け止めをお願いいたします。
(答)日本新記録を更新しつつあるということは歓迎すべきことであろうと思います。と同時に、1年4カ月が日本新記録であるということは、ちょっと日本の政治としては情けないことかなとも思います。

(以上)