甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年5月6日

(平成26年5月6日(火) 17:55~18:12(パリ現地時間)  於:OECD/CC16)

1.発言要旨

 本日行われましたOECD閣僚理事会について、私が出席したセッションを中心に御報告を申し上げます。
 本日のOECD閣僚理事会では、11時から公開で行われた経済見通しセッションにパネリストとして参加した後に、13時からの議題2、15時からの議題3の前半部分、という2つの非公開セッションに議長として出席いたしました。
 また、その後、バイ会談については、17時20分からニュージーランドのグローサー貿易大臣と会談を行いました。
 はじめに、今回の閣僚理事会の成果について、総括的な感想を述べたいと思います。
 第一に、日本のOECD加盟50周年という記念すべき年に、安倍総理及び担当閣僚がそろって参加いたしまして、日本の震災からの復興や、アベノミクスによって長引くデフレから脱却し再び世界経済の牽引役として復活しつつあることを世界に向けて発信ができたことは、大変有意義であったと思います。私といたしましても、日本のOECD加盟50周年という記念すべき年に議長を務めることができまして、大変光栄に思っております。
 第二に、今回の閣僚理事会におきまして、世界金融危機であるとか、日本の震災の経験等を踏まえて、「しなやかで強靱な経済と包摂的社会」の実現を目指していくことの重要性について、各国の合意があったことは、OECD全ての加盟国にとって有益であると考えております。
 第三に、アジアで初めてのOECD加盟国であります日本が議長国を務めることによりまして、OECDと東南アジアとの関係強化につながったことは、OECD及びアジア諸国の双方にとって有益であったと思います。これを機に、今後、OECDが、東南アジアとの政策対話であるとか経済審査を通じて関係をさらに強化していくことを期待いたしております。
 この後、詳細は、事務方から報告をさせます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほど行われていたニュージーランドのグローサー大臣との会談ですけれども、どういったことをお話しされたのか、簡単に教えていただければと思います。
(答)アメリカとの話の概要をお話ししました。一部誤解が伝わっていますけれども、それぞれ日米、完全に決着したところはありません。大きな前進はあったと思いますけれども、大筋合意にまでは届いていないという説明をいたしました。彼は、確かに、日米間でステークホルダーが相当疑心暗鬼になっているのではないかと心配しているということを心配されているような話をしていました。報道がいろいろ交錯しているものでありますから。これから二国間でも日米以外の作業を進めていくと、ただし、いずれにしても、交渉官レベルでの作業を加速して、積み上げていくべきだと思うという趣旨の発言をしました。
(問)それを大臣から発言をして、グローサー大臣からはどのような発言があったのでしょうか。
(答)いろいろ直接当事者から話が聞けて良かったとのことでした。
(問)グローサー大臣との会談の中で、今後の各国のスケジュールというか、首席交渉官会合であったりとか、全体閣僚会合の今後のスケジュールについては何かお話しはありましたでしょうか。
(答)いや、今後のスケジュールについて具体的な話はいたしておりません。ただ、いずれにしても、二国間交渉を加速するつもりだということは申し上げました。その前提として、アメリカとは、大臣が交渉官レベルの話題まで出ているけれども、それ以外の国ではきちんと事務的な議論を積み上げて大臣折衝にいくというのが本来の道筋ではないかということをお話ししました。それは、アメリカは一種独特の交渉方式があるというようなことでは、双方とも通常のやり方とは少し違うかなという認識はお互い持っているように思いました。
(問)一部報道では、全体閣僚会合が今月の19、20日あたりにシンガポールで開催と、これはアメリカが打診してまわっているという話を聞いていますが、それについて、今後事務方が詰めなければならないことがたくさんある中で、大臣はどのような認識でいらっしゃいますでしょうか。
(答)とにかく、最初に大臣会合ありきだと、大臣会合自身が実のあるものにならないし、その間の実務者協議があまり実質的に話を詰めることができないまま大臣会合になだれ込むというような危険がありますから、そこは、事務会合を積み上げて、大臣会合を開いてもいいだけの間合いが詰まっていくということが大事だと思いますし、そのことはシンガポール会合でも、強くフローマン代表に主張したところです。アメリカ側が言っているとしたら、まだ確定はしていないと思いますけれども、そういう認識をもってやってもらいたいと思います。
(問)今日、総理もこの閣僚会合で基調講演されまして、その中で法人税の改革については更なる改革を進めていくという決意を述べられていました。大臣もかねがね国際競争力確保のためには、なるべく早期に財政再建との整合性もとりながら、20%台にという考え方を示していらっしゃいますけれども、総理の講演はどういった思いで聞かれましたでしょうか。
(答)総理は、御自身自らがアベノミクス全体を世界に向けて発信されているわけであります。早くから法人税減税についての強い意志を述べられていました。ただ、政党政治であり、自民党には税制調査会という長い歴史をもった権威ある税に関する会議がありますから、そこの議論をしっかり尊重したいと。そして党税調の方に総理御自身の思いをしっかり伝えて、そういう中で議論を加速してもらいたいという思いがあるのだと思います。ですから、あくまでも党税調をしっかり尊重しながら、しかし政府としての思いはしっかり伝えて、それに沿って、いろいろと調整がなされることを期待されているのだと思います。
(問)大臣は総理の意を受けて改革に取り組んでいますけれども、党税調の中には、来年からやるにはまだ拙速であるとか、代替財源の確保が必要であるという意見も強いですけれども、法人減改革に取り組む時期について、いつから始めるのかということについて、個人的な思いはありますでしょうか。
(答)ただ方向性だけで終わってしまうと、漂流する恐れがあります。やはり、政権としても、あるいは政権与党としても、これは党公約に書いてあることでありますから、政権公約が漂流しないように、きちんとピンどめをして、具体的道筋を描くことが、政権党としての責任だと思っています。そこで、党税調にしっかり協議しながら、どう具体的に書けるかということを詰めてもらいたいと思っております。
(問)以前、菅官房長官が、経済財政諮問会議では、是非来年から取り組んでほしいという考え方を示していらっしゃいますけれども、そこは大臣とも思いは同じくしていますでしょうか。
(答)何年かけてどのくらいの数字をということは、当然、党税調と調整する必要があると思いますけれども、始めるということは、きちんと意思表示をすることが肝要だと思います。毎年方向性だけ書いて、結局雲散霧消してしまうということがあってはならないと思いますから、いつまでにどれくらいというような議論をする党税調の方で、しっかりと議論していただくことが必要だと思いますけれども、きちんと取りかかるということについては、政権政党として、政権公約に沿って道筋を描くべきだというふうには思っています。
(問)先ほどアメリカは、TPPに関する閣僚会合の開催を呼びかけていて、一方で日本としては、事務方の会合を詰めていくのがベストだという認識をおっしゃっていました。交渉の進め方について、日米に差があると解釈したのですが、ニュージーランドのグローサー大臣はアメリカ側に近い考え方ですか、それとも日本側に近い考え方ですか。
(答)シンガポール会合で、とにかく大臣会合ありきだと、その間の交渉官会合が実のあるものにならないと。権限がある者が集まるのが手っ取り早いという理屈に固執すると、首席交渉官以下の会議がしっかり間合いを詰めるという実務を果たさなくなる危険性があると。だから、最初に大臣会合をセットするのではなくて、事務会合で十分間合いを詰めて、これならば大臣会合が開けるというところまで、各国大臣が首席交渉官以下にマンデートを与えてはっぱをかけるというのが本来の筋だと。収れんしていく先に、大臣会合があるべきであるということを、私が強く主張いたしましたけれども、それはシンガポール会合で共有されているわけですから、これは、本来すべての大臣が共有したはずであります。それに向かって、フローマン代表がその認識の下に、事務方の交渉を加速させるという意思があるのであれば、その先に大臣会合が見えてくるということだと思います。
(問)グローサー大臣も基本的には日本と立場を共有しているというような認識でしょうか。
(答)どこの国の大臣も、大臣会合を5日も6日もやって、交渉官が詰めるような話まで大臣が詰めるというのはおかしいと当然みんな思っています。
(問)今の時点で、フローマン代表と、今日、立ち話程度でも、接触する機会はありましたでしょうか。
(答)ありません。

(以上)