甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年4月1日

(平成26年4月1日(火) 8:53~9:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日から消費税が8%へ引き上げられるにあたり、先ほどの閣議におきまして私から以下の3点について発言をいたしました。
 1点目として、今回の消費税率引上げは、社会保障の充実・安定化と財政健全化の同時達成を目指す社会保障・税一体改革を大きく前進させるものでありまして、引き続き、関係閣僚と連携・協力しながら、一体改革の更なる推進に取り組んでいくということ。
 2点目として、景気は、緩やかに回復していますが、海外景気の下振れリスクに加え、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が見込まれることから、平成25年度補正予算及び平成26年度予算の的確な執行に努めることが重要であるとともに、成長戦略の更なる進化にも取り組んでいくということ。
 3点目といたしまして、消費税率の引上げに際して、中小企業を含めた事業者の方々が消費税を価格に転嫁しやすい環境を整備することが重要であり、これまでも政府一丸となって強力かつ実効性のある転嫁対策等を推進してきましたが、関係閣僚とよく連携し、引き続きしっかりと取り組んでいくこと。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今日から消費増税ですけれども、これまでの経緯を振り返っての感想と、反動減をどう乗り越えていくか、そして、税率10%への引上げについての現時点での考えを聞かせていただけますでしょうか。
(答)消費税率の引上げに関しては、何のために引き上げるかということと、その経済的な影響を極小化すること、この2点について心を砕いてきたつもりであります。
 現状、社会保障は半分が借金で支えられています。借金で支えていくような社会保障は継続性がありません。ですから、きちんとした安定財源を確保して、社会保障の継続、信頼性を確保していく。あわせて社会保障の充実も図っていくということであります。
 一部の報道で、部分的にしか拡充に充てられていないと、わざとミスリードするようなものが出ておりました。赤字で、借金で支えている社会保障を安定財源で支えていくという、一番重要な部分の報道が国民になされていないのは残念であります。
 更に、社会保障全体を時代に見合ったものにしていく。つまり、今まで社会保障は、従来の医療、年金、介護という3要素に使っていたわけでありますけれども、それらに加えて子育てに充てていく、つまり現役世代を支えていく部分にも使うという現代型の設計にしているわけであります。その点が大事な点であります。
 同時に、消費税率の引上げは、財政健全化にも資するということであります。
 加えて、消費税を導入することによって、導入直前に駆け込み需要、導入直後にその反動減という2つの要素が起こります。反動減をできるだけ極小化していって、アベノミクスが目指す成長軌道に一刻も早く戻すための予算・税制対策等に心を砕いてまいりました。しっかりとした予算を確保し、そして、適正な執行に努め、反動減を極小化して、消費税率引上げ後も経済が一刻も早く成長軌道に戻っていくということを期待いたしております。
 消費税率10%への引上げについては、12月に総理が、経済指標を各方面検討して、そして、判断をされるものと思っております。
(問)先ほど、日銀の短観が発表されまして、現状は比較的いい水準のようですけれども、先行きについては、企業はかなり厳しめの見方をしているようですけれども、大臣としては、この先の景気について、どのようにお考えか、また、短観の結果を踏まえてどういうふうにお感じになられるかお聞かせください。
(答)3月調査が12月調査よりも若干良くなっているというのは、実情を反映したものだと思います。そして、プラスではあるのですけれども、6月見込み調査に関しては下がっているということは、消費税率引上げの反動減を6月の時点で吸収し切れているかどうかということに対して、若干の不安要因を持っているということであろうと思っております。
 でありますがゆえに、反動減対策の補正予算並びに当初予算を反動減が見込まれるところに集中的に投下をするという対応をいたしております。この成果がしっかり上がってくれば、6月が到来したときには、このプラス8という数字よりはいい数字になってくるものと期待をいたしております。
(問)TPPについてお聞きします。日米の事務レベルの協議が終わって、昨日、大江首席交渉官代理は帰っていらっしゃったと思いますけれども、今月の日米首脳会談に向けて、現状の進み具合はどうなのか、首脳会談に向けての見通しをあわせてお聞きします。
(答)大江首席交渉官代理とカトラー次席通商代表代行の協議が終わりました。
 全体が動いていることは、間違いありません。先般の日米首脳会談で、米国、日本双方の首脳が交渉を加速させるということで合意をしているわけであります。それぞれその命を受けておりますので、交渉官に交渉の加速をさせました。指示をしたところであります。
 全体について解決に向けて前進していることは間違いありません。ただ、未解決部分、重要コア部分があります。ここが、担当大臣会合、政治決着をできるところまで間合いが詰まっていないことも事実であります。私とフローマン代表が政治決着に向けて会談をするとしたら、その政治決着ができる幅まで間合いが詰まっていないと、大きな間合いのまま2人で決着をするというのはなかなか難しいところであります。事務レベル折衝、マンデートを与えられた事務レベル折衝で、政治決着ができる間合いまで詰めるという作業がこれから必要となってくるというところであります。
 それから、先ほど消費税に絡んで社会保障の充実、財政健全化と申し上げました。税の適切な使い道について、無駄がないか、使い道の目的に沿っていないような使い方等々、詳細については会計検査院がチェックをするところであります。政府といたしましては、行政事業レビューシートを更に有効に使いながらPDCAサイクルをしっかり回していくということが一つ必要であります。
 あわせて、細かなところはそうやっていきますけれども、全体としての方向性、つまり財政の健全化目標の検証という部分がまだ日本政府では足りないという指摘があります。大きな方向については、経済財政諮問会議の事務局をもう少し強化して、この健全化目標に対する検証が経済財政諮問会議でできるようにすべきではないかと、そういう提案も民間議員からございます。この点もどう取り組んでいけるか、トライをしていきたいというふうに思っております。
(問)先ほど成長戦略を更に進化させていかなくてはならないとおっしゃいましたけれども、どのあたりを大きな柱としていくとお考えでしょうか。
(答)6月改訂に向けて、イノベーションを創出していくようなナショナルシステムというものが提言できないかということと、それから、やはり創業をエンカレッジしていかなければいけません。ベンチャーの環境整備を抜本的にしていくということをしていきたいと思っております。
 今までベンチャー企業に対する支援体制は都度、都度行われてきましたけれども、どうも効果を発揮していません。これを全体的にふかんしながら、どこに問題点があったのか、今、経済産業大臣の下に経済産業大臣が諮問する委員会を作って報告を取りまとめていただいております。これをしっかりと体系的な政策にするため、産業競争力会議として取り上げていきたいと思っております。その他、検討項目は多岐にわたっておりますが、6月改訂に向け、今、詰めの作業を行っております。

(以上)