甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年2月19日

(平成26年2月19日(水) 17:44~17:55  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要報告をいたします。
 景気の基調につきましては「緩やかに回復している」と、先月と同様の判断といたしております。これは、設備投資が持ち直し、個人消費も引き続き増加傾向で推移をしているなかで、有効求人倍率が上昇し、失業率が低下するなど、雇用情勢が着実に改善をしていることなど、経済の好循環実現に向けて前進を続けていることを踏まえたものであります。また、物価は幅広い品目で上向いておりまして、全体として緩やかに上昇しております。ただし、デフレ脱却にはまだ至っておらず、引き続き物価動向を注視していく必要があります。
 先行きにつきましては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が下支えするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待されます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動減が見込まれます。
 政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」に基づく政策運営と、「日本再興戦略」の実行を加速化・強化するとともに、「好循環実現のための経済対策」を含めた経済政策パッケージ、補正5.5兆円、税1兆円のものでありますが、このパッケージを着実に実行し、平成26年度予算及び関連法案の早期成立に努めてまいります。また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)物価の表現のところで、「上昇」という文字が入ったのが5年3カ月ぶりですけれども、デフレ脱却宣言というのは、見通しはいつ頃というふうにご覧になっていますでしょうか。この春闘で賃上げが広がればあり得るのか、それとも消費増税後の落ち込みが回復してからとお考えか、聞かせてください。
(答)今日の時点でデフレ状態であるかないか、ということであれば、デフレ状態ではないわけでありますが、脱却をするということは、多少のことがあっても元の状態には戻らない、それだけのいわば足腰の強化がなされているかどうかが判断基準であります。
 いつ判断というのは、いろいろな経済指標を総合的に判断して、経済の足腰の強化がなされて、再びデフレ状態に陥るということはないということを総合的に判断したときだと思います。この時点でまだいつというようにはなかなか言いづらいところであります。
(問)今の質問とも少し関連しますけれども、物価の見通しについて、これから徐々に円安による押し上げ効果が剥落していくですとか、消費増税後に消費の力、需要は弱まってくるということが考えられるわけですけれども、物価の見通しについては、今後どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)物価の見通しは、消費税率引上げというのはワンショットでありますから、それを除いて安定的に2%の水域に達するということが大事であります。日銀が2年以内を目標として取り組んでいただいておりますから、そのスケジュールをしっかり注視をしていきたいというふうに思っております。
(問)先ほどのデフレ脱却宣言の時期のことですけれども、消費増税後4-6月期に景気がマイナスに落ち込むと言われていまして、その後、景気の回復を確認してということになると、7-9月期のGDPが発表されるのが11月とか12月になるのですが、その時期を待ってということになるのでしょうか。
(答)駆け込み需要の反動減が、民間調査機関で1.8兆円から2兆円と言われていますが、それに対応、下支えをする補正予算は成立したわけであります。しっかりとタイミングを合わせて発動していくという作業を今後執り行っていくわけであります。そこで、その影響がどれくらいのものであるかを確認すると同時に、しっかりと、多少の外的要因があったとしても、デフレ状態に戻らないということを総合的に判断する必要がありますから、7-9月期の数字が出て即オートマティカリーにということには、なかなかいかないのではないかというふうに思っています。
(問)いずれにせよ、そこまでは慎重に待つと。
(答)そうですね、これは消費税率引上げの影響がどういうふうに出てくるかというのはしっかり見守らなければいけないと思っています。
(問)月例経済報告と関係ないのですけれども、TPPに関して、今日、自民党の石破幹事長が、都内で記者団に対して、甘利大臣の発言とも符合するのですけれども、重要5項目の話について、これまで輸入の実績がないものとか、関税引下げは全く検討の余地がないということはないと、ここから1センチも動きませんということでは交渉は難しいという話で、交渉に理解を示していらっしゃるのですけれども、このことについての受け止めをお願いします。
(答)私が外に向けて、具体的にどの品目が関税撤廃とか削減の対象であるということは申し上げたことはございません。一方で、5品目の586のタリフラインを一つ残らず現状から微動もしないと思っていらっしゃる人はいないのではないでしょうかというふうに申し上げたわけであります。その辺は幹事長もよく理解をして幹事長なりの表現をされたのだと思います。
 一方で、党が厳しい状況を表明されている、これはこれで結構だと思います。交渉ごとでありますから、その後ろ側にいる議会を含めたステークホルダーがいかに厳しい状況かということは、きちんとアメリカをはじめ各国に伝わった方がそれはいいわけでありまして、アメリカ自身もステークホルダーの要求がいかに高いかということを毎回でおっしゃっているわけでありますから、それは党側が、事実として厳しいことは、どうぞ表明されて結構だと思います。
(問)その微動だにしないと思っている人はいないということと、衆参の農林水産委員会の決議、この整合性というのはどのようにとっていこうというふうにお考えでしょうか。
(答)とにかく基本的精神は、どう再生産が可能になるようにしていくか、日本から5項目の生産に携わる人がいなくなるというようなことにならないようにどうしていくかということだと思います。そこは、交渉をしていく中、それから交渉の結果で当然、とるべき対応、国内対策も変わってくると思いますから、いずれにしても、衆参の農林水産委員会の決議をしっかり読みながら、その決議が意図するところ、伝えるべきところの真髄をしっかり受け取って、それに対応していきたいと思っております。
(問)関連で、これまでの交渉の状況をもし教えていただけたらと思います。
(答)非常に厳しいということだけ伝わってきております。

(以上)