甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年2月17日

(平成26年2月17日(月) 10:36~10:54  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日公表しました2013年10-12月期のGDP速報では、実質成長率は前期比年率1.0%、民間予測よりは低い数字でありますが、4四半期連続のプラスとなりました。
 その要因といたしましては、雇用・所得環境が改善する中で、一部に駆け込み需要もみられ、個人消費が増加したこと、企業の収益やマインドの改善等を背景にしまして設備投資が増加をしたこと、駆け込み需要に加えまして、住宅価格の先高感もありまして住宅投資が増加をしたことなどが挙げられます。
 一方で、輸入が大きく増加をいたしました。これは国内の内需が強いということの結果になるものでありますけれども、輸入増で外需がマイナスに寄与したということであります。内需が好調な中で、民需を中心に景気が着実に上向いていると考えております。
 先行きにつきましては、当面は、雇用・所得環境が改善をする中で、消費税率引上げ前の駆け込み需要もありまして消費の増加傾向が続くことが見込まれるわけであります。また、企業収益の改善を背景にしまして、設備投資は持ち直し基調で推移をし、景気の回復基調が続くことが期待をされます。
 最近の新興国を中心とした金融資本市場の動向とその影響に関しましては、政府としても注視をしてまいります。また、4月の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減には留意が必要であります。政府といたしましては、景気を腰折れさせずに経済を成長軌道に早期に復帰をさせるために、「好循環実現のための経済対策」の迅速かつ着実な実行に取り組んでまいります。
 また、デフレ脱却・経済再生に向けましては、好転している企業収益を賃金の上昇につなげていくことが重要でありまして、今年の春闘では、労使間で真摯な議論が行われ、賃金上昇が実現することを期待いたしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)4期連続プラスの最大の要因は何かというところと、民間予測より大分下回った理由について、どういうふうに分析されていますでしょうか。
(答)年率プラス1%は、消費、設備投資、住宅等が支えているわけであります。民間の予測と比べて大分低いのですけれども、GDPの6割を占める消費に対する認識が大分違っていたということです。そこには、12月の要因、つまり12月が暖冬でございまして、暖房機器、エアコンの販売の伸びが相当抑制をされた。それから、冬物衣料が予想どおり伸びていないというところが大きな原因かなというふうに思っております。
(問)今回、2013年の暦年のGDPも発表されていますが、2013年、実質でプラス1.6%ということで、2013年がアベノミクス1年目ということになりますけれども、2012年はプラス1.4%だったわけで、この2013年の1.6%という数字、アベノミクスの結果としてどのように評価されますか。
(答)政権が12月に交代をしました。その直前に底割れということが懸念をされました。交代の何カ月前かの7-9月期の数字が極めて悪くて、そこで手をこまねいていると更に悲惨なことになるということで緊急経済政策を組んだわけであります。その結果、それが持ち直してきたということでありますから、そういった影響の中で、かなり健闘した結果ではないかというふうに思っております。
(問)10-12月期が年率1.0%の成長率で、7-9月期の1.1%に比べると少し減速しているというふうにも見ることはできると思うのですけれども、前の期と比べた減速の要因については、どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)輸出環境がなかなか改善をしてこなかったこと、今もまだ収束はしておりませんけれども、新興国の経済の不安定さ等々があろうかと思います。アメリカが金融政策を変更する、あるいはするのではないかという観測が流れて、金融市場が不安定になり始めたころではないかというふうに思っております。
 今後とも、アメリカの金融政策と新興国との関係がどうなっていくかは注視をする必要があると思います。ただ、EUの経済環境が改善をしつつありますから、そこはプラス要因と捉えていいと思っております。引き続き海外経済の動向には注視が必要だと思います。
(問)本件とはちょっと離れてしまいますが、TPPに関しての日米協議を終えられて帰られたところですけれども、これに関しての成果と、今後予定されている閣僚会合に向けての見通しがそれによってどう変わったかをお聞かせ願えますでしょうか。
(答)私が今回強行日程で渡米をいたしましたのは、アメリカ側からの要請もあったのは事実でありますが、事務方がいろいろなオプション、電話会談とか、あるいはテレビ電話とか、いろいろなメニューを用意しましたけれども、私自身が、やはり直接会うことが一番いいという判断をしまして、強行日程でも行くということを決めたわけであります。22日からシンガポールで閣僚会合があります。そこで、どういう呼び方をするかは別にして、そこそこのまとめをするためには、このままの状況では不安がかなり多く残るという判断をいたしまして、そこまでの間に事務折衝だけでは話が進まないだろうという判断で行ってきたわけであります。
 行った結果、どういうことを決めたかといいますと、今回は閣僚以外に3人の交渉官を日米双方で立ち会わせました。それは、閣僚で決めた枠組み、方向性というものを現場の交渉官が共有するということが大事です。閣僚だけでやっていて、それが交渉官に伝わらないと、それに沿った現場の作業が進んでいかないということで、お互い閣僚プラス3でやったわけであります。そこで何が合意できたかといいますと、今まで、残された分野のある分野の交渉が処理できないと、他分野の交渉が行われていないということがありました。そんなことではとても間に合わないということで、できる部分については同時進行で、残されている部分、同時進行で全てやれるものはやっていこうということをすべきだという提案をしましたが、それについては「では、そうしましょう」ということになったわけであります。
 もう一つは、閣僚間で残されている分野の間合いの詰め方といいますか、どういう提案の仕方をするかという枠を共有をしたと思っております。枠を共有したということは、数字が共有できているわけではないです。それに従っていろいろなケースで、お互いがこういう場合にはこういう数字を出してくるということになるのだと思います。もちろんそれ自身が隔たりがありますけれども、少なくとも両方が具体的に、現時点ではどこまでの具体的な数字ならば切る用意があるということになるわけであります。それは相当開きがあると思いますけれども、具体的な相手の立ち位置がわかるということで、事務的に明日から日本国内でも始まりますけれども、そこでカードをお互い何枚か切るのでしょうけれども、それを出していくということについては共有をされました。
(問)明日から事務方でカードを切り始めるというのは、具体的な数字も出してということになってくるのでしょうか。
(答)ええ。それぞれが考えている具体的な出せる数字は出していくということになろうかと思います。いずれにしても、もうシンガポールに臨むのに日米が基本的なまとまりができていないと、ほかが進まない。
 それからもう一点、ワシントンにおきましては、今までは日米が進んでいかないと、ほかがウエイティングサークルにいる状態ですのでという話でしたけれども、よその国がいろいろしびれてきているので、日本はもう、アメリカ以外ともできるところはやっていきますよ、という話をしました。それはそれで結構でありますということになりました。
(問)今回の訪米、成功だったというか、行ってよかったという印象でしょうか。
(答)少なくとも、行かないよりはやはり行ってよかったし、電話よりは、じかに会ってやはりよかったと思います。
(問)ただ、大成功だったという感じでもないということでしょうか。
(答)大成功というのは、何をもって大成功かと。日本の言うとおりになったということではないですね。
(問)お話のあった他の残された分野の話も進めよう、ウエイティングしているというのは、農業以外の分野であるのか、日本がアメリカ以外の国との農業についてウエイティングしているということか、どちらでしょうか。
(答)農業以外も含めて、残されている問題、課題を同時進行でやっていこうということであります。
 それから、よその国とは、ルールも含めて本格的に突っ込んだ議論ができていないところがまだあります。それは、日米がまとまらないと全体がまとまらないから、それを待っているという姿勢も他の国にあります。しかし時間的な制約もありますから、我々はできる国とはやっていきますよということをアメリカ側にも伝えたわけであります。
(問)日本から見れば、アメリカの姿勢というのが、割とかたくななところが残っているのかなという感じもするのですが、相手がどう考えているのか、なぜそこまでかたくななのか、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)アメリカも、議会を含めたステークホルダーと接触して、それで態度が柔らかくなったりかたくなったりするわけだと思います。そこで大事なことは、その前までの、会合で共有した部分は、以後、仕切り直しをしないということは大事だからということは、私から申し上げました。それについて完全に了解したかどうかは別として、そうしないと交渉にならないですよということは強く申し上げた次第です。
(問)明日からカードを切り始めるということでしたけれども、それは今までのEPAとかの自由化の水準以上のカードということなのかということと、あと、国会の決議がございますけれども、それとの関連性というのはいかがでしょうか。
(答)衆参の国会決議を尊重しつつ交渉に当たっているつもりであります。国会決議や党公約をしっかり受け止めながら、その整合性を図りつつ、交渉に臨んでいるところであります。

(以上)