甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月28日

(平成26年1月28日(火) 10:11~10:28  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私から2件報告があります。
 まず、第4回消費税の転嫁等対策推進本部の開催についてであります。
 消費税は価格への転嫁を通じまして最終的に消費者の方々に御負担をいただくということを予定していることから、本年4月の消費税率引上げにあたりましては、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保することが重要であります。このために、消費税転嫁対策特別措置法等に基づきまして、政府が一丸となって強力かつ実効性のある転嫁対策等を推進しているところであります。
 消費税率引上げまで残り約2カ月となりました。万全の転嫁対策等を講じていくために、本日、第4回消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部を開催したところであります。
 本部におきましては、消費税率の引上げに向けまして万全の転嫁対策等を講ずることを確認しました。具体的には、転嫁拒否や表示等の違反行為に対する迅速かつ厳正な取締り、それから事業者等に対する更なる指導・周知徹底、そして、事業者・消費者からの相談に対する適切かつ丁寧な対応、それから転嫁対策等及び社会保障・税一体改革の趣旨の積極的な広報、これらにつきまして、各省庁がよく連携をし、政府一丸となって引き続きしっかり取り組んでいくこととなりました。
 詳細は内閣官房消費税価格転嫁等対策推進室にお問い合わせをいただきたいと思います。
 それから2点目であります。
 1月20日に開催されました経済財政諮問会議におきまして、「選択する未来」委員会の設置が議決されました。本日、お手元の資料のとおり、委員会の委員を内定いたしましたので公表いたします。お手元の資料のとおりの9名であります。学界や実業界などから、優れた見識をお持ちの方々、お手元の9名の方にお願いすることになりました。今後、所要の手続を経まして、正式委員として安倍総理から任命をする予定であります。
 なお、第1回の委員会につきましては、1月30日の9時から開催をする予定になっております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日の朝日新聞の記事について、事実関係など御説明があれば聞かせていただきたいのと、改めて日本経済再生に向けて原発再稼働の必要性について御説明いただけますでしょうか。
(答)朝日新聞の記事は、前にも同じことを書かれました。扱いはその時は小さかったですけれども。いずれにしても、法令にのっとり適正に対処していっているところであります。
 それから、後段の、日本経済再生に向けて原発の再稼働がどう必要であるかということについてであります。
 貿易赤字が過去最高になり、経常赤字の懸念も心配されているところでありますけれども、貿易赤字の最大の理由は、電力の燃料調達費の増大であります。追加費用が毎日100億円かかっているわけであります。年間でいうと3兆6,000億、4兆円近い。為替の動向等を勘案しますと、これから更に上がっていくのではないかということも懸念をされているわけであります。
 現状の電力供給が、供給されているということでみんな安心をしていると思うのですけれども、実は、その内情は非常に厳しく、いつ故障するかわからない、かなり旧型の火力をフル稼働させていて何とか保っているという状態であります。これがいきなり複数単位で停止をいたしますと、不測の事態が発生するという、こういう綱渡りの上で、今電力供給がなされているということを、責任当局としては忘れてはならないというふうに思っているわけであります。これをどう安定的に行っていくかということです。経済財政諮問会議でも民間議員からたびたび、あるいは産業競争力会議でも指摘をされていますけれども、アベノミクスを推進していく際、成長戦略を進めていく際の投資判断が行われる際に、今後とも電気が安定的に低廉な価格で供給されるかどうかの見通しが非常に大事だという指摘がされているわけであります。これは、対内投資拡大にもその要素が非常にかかわってくるわけであります。特にエネルギー消費にかなりコストがかかる製造業については、エネルギーの安定低廉供給ということ、それから労働力の問題、それから法人税の行方の三つが非常に関心が高いという指摘もされているわけであります。先行き見通しの中で一つでも二つでも不確定要素を払拭していくという努力がないと、なかなか成長戦略は進んでいかないという面もあるわけでありまして、それに対して政治が最大限の努力をするということであります。
 もちろん安全第一であります。総理もおっしゃっているように、世界一厳しい安全基準を設けた。これは、国際機関が評価するというところだと思いますが、その中で世界一厳しい基準をクリアしたものについては活用していくということが、日本経済の上からもプラスになるということであります。あくまでも安全第一、世界一厳しい基準をクリアできているのであるならば、それを活用するということが、投資、経済成長に対してマイナス要因をなくしていくということになるわけでありますから、そういう点は国民生活上重要な要素だというふうに思っております。
(問)TPPで、週末にダボスで林大臣と茂木大臣が米国USTRフローマン代表と会談しましたけれども、この収穫と、2月合意のメドというか見通しについて聞かせていただけますでしょうか。
(答)2月の下旬にTPP大臣会合が行われると、まだ正式情報ではありませんけれども、非公式情報が伝わってきているわけであります。これは、私どもの方からアメリカ側に直接、間接、今までも伝えてきたことでありますけれども、大臣会合というのは、そこに至る時に交渉がまとまるという、その段取りと自信のもとに開催するものであります。どうにもならない課題が山ほどあって、それを大臣会合で処理しようといったら、これは大臣会合が失敗するわけでありますから、大臣会合が開けるようにするための環境整備こそ最大重要なわけであります。そこに至る道筋がとれるかどうかということだと思うのです。ですから、事前に水面下で、これは当然アメリカが各国とやっているわけでありますけれども、日本も水面下の交渉で、この懸案事項の解決のメドが、少なくとも8割、9割作ってという作業が大事だと思います。そういうことを進められるかどうかが、大臣会合までの、大臣会合を成功させる最大の課題だというふうに思っています。まだ現状では予断を許さないというふうに重く考えています。
(問)1点だけ、先ほどのパーティ券の購入のことについてですけれども、閣僚としてそういった電力会社の方からのパーティ券購入状況というのをあえて御説明いただくとかそういうお考えはございませんでしょうか。
(答)法令の趣旨に従って対応していくということでございます。
(問)NHKの籾井会長が就任会見で、従軍慰安婦の問題の発言があり、政治的中立の観点から野党から疑問の声も出ていますけれども、それに関して大臣のお考え、御所見をお聞かせ願えますか。
(答)これは、政府を代表して官房長官がコメントされているかと思います。官房長官の考え方が内閣としての統一した考え方というふうに思っています。
(問)格付会社のムーディーズが、ソニーの社債についてジャンク級という投資判断、引下げという判断をしましたけれども、アベノミクスを進めている中で、依然として日本のエレクトロニクスメーカーが苦戦している状況を示しているというふうに受け止められますが、大臣としては、どのようにこの格下げを受け止めましたでしょうか。
(答)これは、OBとしてもちょっと衝撃的でありました。その格下げ理由の詳細な内容は私まだ承知しておりませんが、貿易赤字について、先ほど輸入が伸びているという点は申し上げましたが、もう1つ、輸出がいまひとつドライブがかからないというところ、自動車は回復しているのでありますけれども、家電が足腰がまだ弱いというところがあります。個別企業の中身について申し上げるのは適切ではないと思うのですけれども、やはり私がソニーにいたころは、業界のパイオニアと言われまして、イノベーションはソニーから発信されるとよく言われたのです。やはりそこの原点で、世界に先駆けて世の中を変えるようなものはソニーから出るという原点にかえることが大事なのかなと。お株をアップルにとられるようでは、メイド・イン・ジャパンとして情けないと思っておりまして、成長戦略の中で、科学技術の司令塔機能を作り、官民の研究開発、技術開発がコラボして日本からイノベーションが常に発信されるような体制を作るというのは、そういう危機感を抱いているところからも出ている私の思いであります。
(問)TPPの関連ですけれども、前回の大臣とフローマン代表の電話会談の時から、今回の林・茂木・フローマン会談までの間に、何か進んだのか、その先の手続にこれから進もうとしているのか、その辺、話せる範囲でお願いしたいのですが。
(答)進んだか進まないか、この種の交渉は一進一退というところだと思います。ある部分では進んで、ある部分ではなかなか期待どおりにいかないというところはあります。
 日米でどこにフォーカスを絞っていくかということは、もう決まっているわけであります。どういう方向性を出すのかということも日米共通の認識になっている。具体的にどうするかということについての状況が、双方の思いがまだ厳しいというところです。
(問)先ほどのパーティ券購入の関連ですけれども、電力会社9社が分担して購入していたという事実を私ども報じさせていただいたのですけれども、甘利さんなり甘利事務所として、そういった事実を認識していたかどうかということについてお答えいただけるでしょうか。
(答)法令にのっとって適正にやらせていただいております。私どもは、どこの業界だからどうするということではなくて、秘書が手分けで一社一社、いかなる業界も丁寧にお願いをして回っているということだけであります。

(以上)