甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月24日

(平成26年1月24日(金) 9:48~10:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。今日から通常国会が始まります。どうぞよろしくお願いします。
 私からは2点の報告がございます。
 まず、今日の閣議におきまして、「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」が決定をされました。以下、閣議での発言を御紹介申し上げます。
 昨年12月に閣議了解をいただいた「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に関しまして、予算等を踏まえまして、政府支出に係る計数の追加等を行いました。平成26年度の我が国経済は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動減等には留意が必要ですが、各種の施策の推進等によりまして、年度を通して見れば、前年度に引き続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれ、経済の好循環が徐々に実現していくと考えられます。国内総生産の実質成長率は1.4%程度、名目成長率は3.3%程度になると見込まれます。また、デフレ脱却に向け、着実な進展が見込まれます。今後は、この基本的態度に沿いまして、経済財政運営に万全を期してまいります。
 それから、ダボス会議についてであります。私は1月21日火曜日から23日木曜日まで、安倍総理と共にスイスを訪問しまして、ダボス会議、世界経済フォーラム年次総会に出席をいたしました。ダボス会議では、安倍総理の基調演説や有識者とのランチ会合に出席をいたしましたほかに、「グローバリゼーションの再構築」に関するセッションにパネリストとして参加をしまして、日本の経済再生の取組であるとかグローバル化を通した世界経済への貢献について説明を行いました。また、ダボス会議に出席をしていましたカマル・ナート・インド都市開発大臣や複数の海外の財界人とも会談を行い、アベノミクスや世界経済の課題について意見交換を行った次第であります。今回の出張を通じまして、アベノミクスへの世界の関心が引き続き高いことを認識するとともに、世界経済の更なる発展やグローバルな地域経済連携の推進への日本の貢献に対する期待の大きさを実感いたしました。今回のダボス会議参加を通じまして得た知見を、今後の政策運営に生かしてまいりたいと考えております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今も少しおっしゃいましたけれども、ダボス会議へ出られての率直な御感想を聞かせいただきたいのと、安倍総理が年内の法人税改革を表明されましたけれども、総理がこれだけ法人税の実効税率の引下げに強くこだわる理由というのを、大臣はどのように理解されているか。年内といえば、消費税率の10%への引上げの判断のタイミングでもあると思うのですけれども、これはセットでお考えになるのでしょうか。
(答)ダボス会議、今年は全体の基調講演、キーノートスピーチを、安倍総理が日本の総理として初めてされたわけであります。これは、ダボス会議の全体の一番華やかな部分であります。そこで総理は英語でスピーチをされました。極めて聴衆も多く、世界の首脳が数多くそこに集っておられました。内容も感銘を与えるもので、途中、拍手が起きたということでありまして、引き続きアベノミクスの関心の高さを示したものと思われます。1年目は世界中の注目を集め、2年目は、3本目の矢が本当に実効性を発揮するのかという若干の懸念が入り混じっているわけであります。しかし、その懸念の払拭をして、日本に対する期待を高める十分なスピーチであったというふうに思っております。
 それから、総理が法人税減税に強くこだわっておられるという点について、ダボス会議でも若干触れられたわけでありますけれども、日本を世界で一番、企業があるいは企業人が、立地しやすい、居住しやすい環境にするという宣言をされているわけであります。実効税率を競合相手の国に極力近づけるということは、まさに企業立地の環境を整えるということでもあろうかというふうに思っております。ダボス会議では、まずは2.4%引下げたということをおっしゃったわけであります。総理が意思表明されておりますし、経済財政諮問会議や産業競争力会議でも提言をされているところであります。政府税調あるいは党・与党税調と綿密な連携をとりながら、政府・与党一体として進めていく課題であろうかというふうに思っております。
 財政再建の状況等々、景気回復による税収増のこともしっかり勘案せよという御指示をいただいておりますから、経済財政諮問会議を中心に、減税の効果として税収に与える影響、プラスマイナスをしっかり検証して、スケジュール感等を詰めていくことになろうかというふうに思っております。党税調、与党税調としっかり打ち合わせをしながら、連携をとりながら、骨太方針にどう表現ができるのか。次第にフォーカスを絞りながら、スケジュール感を醸成していくことになろうかというふうに思っております。
 消費税率10%との関係という話がありました。10%の判断について、総理は年末にするかしないか、しない場合にはどういう対処になるのか等々を、いずれにしても、年末に判断をされるとういうことであります。もちろん、その中に法人税減税との関連も当然検証されていくということになろうかというふうに思っております。
(問)法人税を下げて、消費税率を8%、10%と上げるというのは、一般庶民にとっては抵抗感があろうかと思うのですけれども、その辺の理解はどう求めていかれるのかということについて、現時点でのお考えがありましたらお願いします。
(答)日本経済を再生させるという中でいろいろなことが行われているわけであります。そして、経済が再生されていく中で、雇用者報酬、所得がどう上がっていくのかということです。私どもは、物価が上がるだけで終わってしまっては、アベノミクスは失敗するということを申し上げているのでありまして、物価が上がっていく、それを次第に雇用者報酬が超えていくということで、好循環が起きると。法人税減税は、企業の競争力と体力をつけていくということであり、それは、賃上げに対する体力をつけていくということにもなるわけでありまして、全ては好循環をしっかり回していくために何が必要かという視点で考えたいというふうに思っております。
(問)成長戦略の実行計画については、総理がダボスへ行く前に閣議決定される予定だったのですけれども、与党側から注文ついて、現状では見送りになっています。与党から、政府が党を軽視しているのではないかという指摘もあるのですけれども、そういった指摘について、大臣、どういうふうに答えますか。
(答)党の方から、ダボスで総理がその政策の中身について言及をしスピーチをされることは、何ら問題がないと。つまり、政策の中身、方向性についてクレームをつけるものではないと。手続上の問題に瑕疵(かし)があるという御指摘をいただきました。手続上の問題に今後瑕疵(かし)がないように、政府・与党一体としてアベノミクスは進めていくわけでありますから、そこに万全の注意を払っていきたいというふうに思っております。
(問)実効税率について競合相手の国に極力近づけるということですけれども、競合相手というのは、ヨーロッパとかアメリカというよりも、中国とか韓国、シンガポールといったアジアの国ということを念頭に置いているということでよろしいのでしょうか。
(答)全体ですね。国の中には、シンガポールのように徹底的に下げている国もあります。世界一低い国と競うつもりはありませんし、そこに持っていくのは大変だと思います。先進国、それから新興国、それぞれ全体を俯瞰(ふかん)していきながら、しかも、減税と税収増との関係、そこらの関係をしっかりとお示しをしながら、あるいは検証しながら、党税調と連携をとって適切な打ち出しをいつまでにしていくかという議論になろうかと思います。
(問)実行計画の与党プロセスで、石破幹事長なども抗議が来たことについての反省があるとしたら、どういうところにあるのでしょうか。
(答)手続上の問題は、要するに、政調・総務会を経るべきものか、それともそれ以外の手続で済むものか。政府が決めています政策について、全て政調・総務会を経るというのでもありません。どういう段取りをとっていくかということの判断が、党側と政府側でそごがあったということだというふうに思っております。そこで、党側と政府側で今後ボタンのかけ違いがないように、どういう案件についてどういう政策決定の手順をとるとか、あるいはこういう場合にはとらなくていいとかいう整理をしていただいているところであります。その整理に従って、手続の手順を間違えないようにするということだと思います。
(問)TPPについて、明日、フローマン代表と林農林水産大臣がダボスで会談すると思うのですけれども、林農林水産大臣は、農産物の関税の扱いについて何か案というか、何かを提示されるような方向性でしょうか。
(答)基本的な考え方は、両者がまだ距離があるとするなら、その両者が歩み寄ると。日本もアメリカもどこまで歩み寄れるかということですが、その方向性について、両者で探ってもらいたいというふうに思っております。具体的に最終決着というのは、閣僚会議も見据えながら、アメリカ側の事情、日本側の事情があるでしょうから、ダボスで決着した後、一切集合する必要がないというのは一番いいかもしれませんけれども、なかなかそこまでいくかどうか。より距離を縮める道筋だけはしっかりつけてもらいたいと思います。
(問)もう都知事選、公示期間中に入ってしまっているので、ちょっと聞きづらいのですけれども、細川元首相が出馬表明の会見のときに「殿、御乱心」と言われたことに対し、「御乱心じゃなかったらこんなところに出てきませんよ」と、「相当な御乱心です」と、御自分で認めていらっしゃったのですけれども、何か受け止めがあればお願いします。
(答)「乱心」というのは、取り乱すということですよね。やはり、大乱心と自分で認めてはまずいと思います。殿、殿中でござる。わきまえてくださいということですね。

(以上)