甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月17日

(平成26年1月17日(金) 11:22~11:37  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私から1点報告がございます。
 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。景気の基調判断は、「景気は、緩やかに回復している」と、先月から判断を上方に修正しております。ちなみに先月の表記は「緩やかに回復しつつある」という表現でありました。これは、雇用・所得環境が改善をするなかで、一部に駆け込み需要もみられ、個人消費が増加していること、それから企業の収益やマインドの改善等を背景に、これまで出遅れていた製造業も含め、設備投資が持ち直してきていることなど、経済の好循環実現に向けて、さらに前進をしているということを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、輸出が持ち直しに向かい、各種政策の効果が下支えをするなかで、家計所得や投資が増加し、景気の回復基調が続くことが期待をされます。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、消費税率引上げに伴う駆け込み需要及びその反動が見込まれます。
 政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太方針に基づく政策運営と、「日本再興戦略」の実行を加速化・強化するとともに、「好循環実現のための経済対策」を含めた経済政策パッケージを着実に実行してまいります。また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたします。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)月例経済報告ですけれども、「回復している」という文言が入ったのは6年ぶりになりますけれども、これに対する評価を聞かせていただきたいのと、これは消費増税前の駆け込み需要によるところが大きいとみているか、そうではないか、見方を聞かせていただけますでしょうか。
(答)「回復しつつある」から明確に「回復している」という表記に変更いたしました。これは各種経済統計、それから各機関による調査の報告が、全て力強く回復に向かっているということを踏まえたものであります。もちろん、4月の消費税率引上げ前の駆け込み需要があることは事実でありますが、例えば住宅について言えば、消費税率が上がるからすぐ買おうという話ではなくて、景気が回復していくなかで賃金も改善していくということを実感してみないとなかなか大きな買い物には踏み切れないわけであります。確実に景気が回復しているということを実感している消費行動になっているというふうに思っております。
 それから、いま一つ力強さに欠けておりました設備投資につきましても、その先行指標がかなり大きく上向きになっております。機械受注は設備投資の先行指標と言われていますけれども、それ以外の指標も上向いておりまして、設備投資についてもかなり拡大が期待されるというところであります。
(問)月例経済報告も含めてですけれども、今回「回復している」という文言になった。昨日、日銀が発表したさくらレポートでも、全地域で回復という言葉が入っていますけれども、一方で、各所の世論調査によりますと、まだその実感ができないという声が多いところもあるのですけれども、このギャップというのはどういったところにあるというふうにお考えでしょうか。
(答)各種調査統計では、全地域、そして大企業、中小企業問わず、あるいは製造業、非製造業問わず、回答数値が上がっております。特に中小企業非製造業の業況判断がプラスとなったのは、たしか約22年ぶりであります。悪ければこういう回答には反映されないと思います。
 ただ一方で、賃金が上昇していく、この波及度合いが、まだ全雇用者ということになかなかなっておりません。ただし、経団連の春闘に向けての考え方の発表がありましたけれども、昨年の内容をみれば、ベースアップなんかとんでもないという趣旨のことが書いてありました。今年は、数年来の態度とは変えていこうというふうに、大きく変わってきておりますから、3月上旬に一斉回答があると思いますけれども、そこも期待していいのではないかというふうに思っております。
 もちろん、冬のボーナスについてもいろいろな調査がありますけれども、連合の調査では、たしか平均が3万幾ら上がったと、そういう話もあるようですから、全国一斉一律にいきなり賃金が上がる、下請代金が上がるということではありませんけれども、その動きが進展しつつあるということは事実だと思います。ただ、その辺の企業業績として回復を実感しているということと、それを構成する賃金とか下請代金に反映されていくというところのタイムラグではないかというふうに思っております。
(問)その経団連の経営労働政策委員会報告のことについて、景気の回復を賃金に反映させていくという全体の趣旨で、ベアも容認ということで、また賃上げという言葉の理解として、必ずしもベアでもないというお話も中に含まれていたと思うのですが、改めてその春闘でベアを上げてほしいと政府として期待されるのか、そのベアへのこだわりについて、ベアではなくてもいいよというお考えなのか、その辺のところのお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。
(答)業績が上がっていない企業に賃上げをしろと言うのは、無理難題ですけれども、業績が上がったらまず内部留保という考え方から、もちろん投資に備え、まさかに備えれば、内部留保は大事なのですけれども、経済の好循環を回していくということが次なる企業業績に反映していくという認識を共有してもらいたいというところであります。ですから、企業はその体力、企業業績の回復、これは一律ではありませんから、ベアで対応できる企業、あるいはまず一時金でやりたいという企業、そしてまだ現状ではそれもなかなか難しいという企業、これはまだら模様になるのはいたし方がないと思います。その企業の回復状況に見合って、それに比例して好循環を回してほしいということでありますし、そういう対応を経団連もしていくのではないかと思っております。
 我々がベアにこだわるということは、ベアというのは将来を拘束していくわけです。ですから将来の消費の好転を約束できるということですから、ベアができるところはベアをやってほしいという思いです。もちろん、最終的に好循環を回すというのは、日本の産業界が競争力を持つということです。どこの国の産業界よりも、企業単体も、それから業界全体も競争力を持つということです。これは事業革新、生産性の向上ということに取り組んでいかなければなりません。その環境整備は我々は精一杯やってきたわけでありますが、この環境整備を好機と捉えて、自身の競争力を強化していくための設備投資、事業再編、研究開発を進めてもらいたいというふうに思っております。
(問)都知事選についてお尋ねしたいのですけれども、小泉進次郎政務官が舛添候補を応援する大義はないというふうに御発言されていたのですが、それへの御感想を聞かせていただきたいのと、あと細川陣営からは東京オリンピック辞退論も出ているような話があるのですけれども、それについても何かコメントがあれば聞かせていただけますか。
(答)後段からお話をします。徳洲会事件の後任には佐川事件の私が最適ですとか、オリンピックは返上すべきだとか。殿、お戯れを。
 (次に前段ですが)舛添さんは確かに除名処分になりました。しかし、その経緯も含めて都連では関係者が協議をし、候補者御本人とも話し合いを持ち、関係団体も集めて、そして最終結論として舛添氏が適任ということで推薦を決め、関係団体も全会一致で支持を決めたようであります。であるならば、政党人としてはいろいろ過去の経緯を乗り越えて方向性を決めたというところにみんなで応援をしていくと、そうすべきだと思いますし、大勢はそうなっていくと思います。
(問)先週のテレビ番組で、大臣はダボス会議に行く前に、フローマン代表との電話会談をしたいという話をされていましたけれども、近くだと思いますが、このタイミングでその電話会談をするというのは、ある程度事務レベルでの話が進んできているというふうに捉えていいのか、その狙いをお願いします。
(答)次なる閣僚会合について報道があります。まだ、正式に確定しているわけではありませんが。次なる閣僚会合というのは、本当に妥結をする、決着をつけるという会合にならなければいけないわけでありまして、前回の会合のような対応というのは、これはとれないわけであります。である以上は、大臣会合に何の段取りもなく臨むということは考えられないわけでありまして、次の大臣会合で必ず決着をさせるという強い意志を持って、アメリカを中心に参加国は努力をすべきであると。でありますから、当然、その大臣会合が開かれるとしたら、その前にCN(首席交渉官)会合がありますし、その前には各分野の交渉官の会合もあるでしょう。それがきちんと段取りよく進んでいくように、我々も努力をしなければならないと思っております。ダボスでフローマン代表とはすれ違いになってしまうものですから、そういうことも含めて、私からいろいろお話をさせていただきたいと思っております。
 現地では、私はすれ違いになりますけれども、農林水産大臣と経済産業大臣はその時間同じ会議に出席をされるということでありますから、何らかの接触はあろうかと思います。私が事前に電話等でやりとりをするということと、現地で仮に日米の会談ができるのであるならば、その会談とをつなげていくというふうなシナリオにしていきたいというふうに思っております。

(以上)