甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成26年1月10日

(平成26年1月10日(金) 10:23~10:40  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)今年4月の消費増税を乗り切ることが一つ大きな政策課題だと思うのですけれども、日銀に対して追加の金融緩和ですとか、金融面での更なる経済の下支えというのを期待しておられるかどうか、具体的にどういったことを期待されているかも聞かせていただけますでしょうか。
(答)日銀は、2%の物価安定目標を掲げて、それに向けて具体的な金融緩和政策を提示されています。それを、今粛々と実行中でありますので、それをしっかり見守りたいというふうに思っております。
(問)TPPに関して、アメリカの議会の方で、TPA法案に関して上院と下院の委員会で合意に至ったという話も出ているのですけれども、これについて、TPP交渉にどのような影響を与えるか、お考えをお聞かせください。
(答)議会が政府の交渉に委託するという方向性をしっかり固めるための仕組みであります。アメリカ政府によるTPPの妥結に向けての強い意思表示のあらわれだと思っております。それ自身は歓迎をしたいと思います。中身については他国のことでありますから、私が詳細にコメントすることではないと思います。
(問)今の質問に関連して、貿易促進権限の中で、昨日アメリカの与野党幹部が内容を明らかにしたのですけれども、その中で、アメリカは通貨政策を自国の貿易が有利になるように使わないことを交渉相手国に求めていくことを、TPPの基本的な目的の一つにするべきだという文言、いわゆる為替条項が盛り込まれたわけなのですけれども、これについてどのような御見解をお持ちか教えていただけますでしょうか。
(答)他国の政策の内容について、こちらからあまりコメントすべきではないと思いますが、その上で申し上げれば、日本の金融政策は為替政策のためにやっているわけではないし、そうであってはならないということは、各国いろいろな場、G7、G20の場でも共有をされていると思います。
(問)都知事選についてちょっとお伺いします。今、自民党は舛添さんを支援する方向で検討しているみたいですが、一方で元総理の細川さんが出馬を今検討されているようです。それについての受け止めと、もし細川さんが出た場合というのは脱原発というのが都知事選の一つの争点になると思うのですけれども、一方で元総理の小泉さんとの連携を探っているのではないかという話もありますが、それについて大臣としてどのように受け止めていらっしゃいますか。
(答)(隠居生活を宣言された方の突然の出馬宣言は)殿、御乱心(という受け止め)。
 (地方自治と脱原発との関係については)我々は、今まで歴史的に地球環境を守るために何が必要かということを英知を集めてやってきました。そのことを忘れてしまってはならないと思います。
 国連の統計によりますと、大気汚染で亡くなっている人が毎年600万人以上いるわけです。また、中国のPM2.5の問題、中国では毎年50万人が犠牲になるというような発表すら行われているわけであります。その原因が粗悪な化石燃料、精製不良の自動車燃料による被害だというふうに言われているわけであります。我々は地球温暖化を防止するために、いろんな選択肢を持ったわけであります。その原点を忘れてしまってはならないと思います。
 日本の原子力政策については、安全第一は譲ることができません。世界一厳しい安全基準も作りました。それをクリアしたものは国民益のためにどう活用していくかということは、政治が正面から向かい合わなければならない課題だというふうに思っております。
(問)東京都は東京電力の大株主ですし、脱原発を主張する方が万が一知事になれば、エネルギー政策への影響というのも出てくると思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
(答)エネルギー政策は、国策として国民益を考えながら取り組んでいかなければならないわけであります。全原発が、今停止をしております。このために、毎日、1日100億円の海外への国民益の垂れ流しが続いているわけであります。この垂れ流しを放置するということは、政治家として努力が足りないというふうにも思っております。あくまでも、もちろん地域の声はしっかりと聞きます。安全に対する不安は最大限取り除いていくということは、政治の責務であります。その上で、資源に乏しい我が国、そして、大陸とエネルギー網がつながっていないという不利な条件をしっかりと見据えて、安心・安全で、そして安定的に低廉なエネルギーを供給するということを確保していくのが政治の責務だというふうに思っております。
(問)経済財政諮問会議の今年の進め方について、先日法人税率の引下げと、その財源になるような租税特別措置の見直しというような報道もありましたけれども、その辺も含めて、今後の、今年の取り組みについてはお伺いできませんでしょうか。
(答)経済財政諮問会議は、今年からよりエッジの効いた提言がなされていくというふうに思います。時に関係省庁にとって耳障りなことにもなろうかと思いますが、必要なものは歯に衣着せず提言をしてもらいたいというふうに思っております。
 私の個人的な見解を申し上げれば、租税特別措置というのは、これはある行動をとった企業には税の恩典がいくという、必要な行動をとらせる誘導政策であります。ですから、これはこれで生かすべきだと思います。その上で体力と相談をしながら全体の水位を下げていく。つまり政府が期待している行動をとろうととるまいと恩典がいくというのが法人税全体の減税であります。租税特別措置というのは、政府が期待するような政策に取り組んだ人には恩典がいくということが期待される税制でありますから、政策税制であります。政策税制は政策を推進するツールとして政府が持っていてしかるべきだと思います。
 ですから、報道にあるように全てをなくして法人税減税に充てるというところまで取り組んでいくつもりはありません。
(問)縮小の検討はしていくという方向性なのでしょうか。
(答)租特は不断に見直す必要があると思います。政策効果が期待されないとか、あるいは費用対効果という点も考えていって、少ない費用で最大の効果が上がる政策を推進していくという視点で常に見直す必要があるかと思います。
(問)従来のやり方でいくと、自民党税調で議論してきたことですけれども、経済財政諮問会議がどう絡んでいけるのか、反発などがあるのか、ないのかという話なのですが。
(答)多少のフリクションを起こそうとも、必要な提言を経済財政諮問会議はしていきます。
(問)従来ですと、党税調が基本的には党のプロセスの中で政治が絡んで、与党の政治家が絡んで決めていくというやり方を税に関してはしてきて、財政に関してはこちらの経済財政諮問会議でみたいな役割分担でした。過去いろんな政権の中で、税制に手を突っ込もうとして、党税調の抵抗に遭ったりもしたのですけれども、どの程度腰を据えてやるのか、党税調の権限も奪い取るぐらいの気持ちでやるということなのか、その辺のところをちょっと教えていただきたいと思います。
(答)党の税調というのは、私も党税調の役員、幹部を長いことしておりました。自民党税調が立派なところは、もちろん個々の議員からは、平場で業界要望はいっぱい上がります。上がりますけれども、それにそのまま答えてしまうということではなくて、国全体を見て、党としてはしてあげたいのだろうけれども、しかし、国全体を見ればそれはできない、というようなことをはっきり言ってきたのが党税調の権威だと思います。その党税調の権威というのは、しっかり尊重していきたいと思います。
 あわせて、政府としては、耳の痛いことでもやらなければならないということは提言をしていきますから、それには党税調も、従来の権威の上に、個別の利益を誘導しているわけではないという見識の上に、両者が同じ方向を見据えるという部分は多々あろうかと思います。
(問)エネルギー基本計画のことでお尋ねしたいと思います。高市政調会長が党内手続にまだ時間がかかるということで、少し閣議決定が先延ばしになるのではないかというような話が出ているようですけれども、党内ではアンケート調査も行うという話もあるようですが、その党内手続の進め方についての受け止めをお願いします。
(答)民主党政権下で、エネルギー基本法、原発比率53%というのが現状修正されていないのだと思いますけれども、これは国内外の情勢を踏まえて、新しい知見のもとに、今後10年、20年を見通したしっかりしたものにしてもらいたいというふうに思っております。ですから、そのために時間がかかるのはやむを得ないというふうに思っております。
(問)経団連の会長人事について、東レの榊原会長の起用が取り沙汰されていますけれども、大臣の榊原氏に対する印象と、今回の経団連の人事について感想をお願いします。
(答)経団連人事というのは、従来型でいいますと、待機組といいますか、副会長の中で選ぶというやり方です。今回はそういうやり方をとられませんでした。
 東レの榊原氏について申し上げれば、重厚な経営者で、人格、識見、立派な方であります。加えて私が評価をしますのは、一時期停滞をしていた東レを新分野に導いて活力を導入した方であります。単なる順繰り経営者ではなくて、いわば中興の祖だというふうに思っております。そういう革新の意欲、エネルギーに富んでいる人が、経済全体の経済界のトップに座られるということは、新たな息吹を経済界に吹き込むことになろうかと思って、非常に期待をいたしております。
(問)関連で、榊原さんは産業競争力会議の議員もされていらっしゃいますけれども、その産業競争力の議員としてのこれまでの取り組みで、大臣の印象に残っていらっしゃって評価されていることがあればお伺いしたいのですけれども。
(答)私の印象、榊原さんも、それから坂根さんももちろんそうでありますけれども、しっかり地に足のついた経営者でありながら、問題意識を常に持っておられる経営者だと思います。従来型、用意された椅子に座っているという人ではないなというふうに印象を持っております。ですから、産業競争力会議のメンバーに選ばせていただいたのであります。

(以上)