甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月26日

(平成25年11月26日(火) 9:18~9:34  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)TPPですけれども、シンガポールの会合までに、切れるカードの準備をしていくことになると思うのですけれども、そのカードのイメージについては、大臣の頭の中で既にでき上がっているかどうかというのと、重要5品目の関税の一部を撤廃することになった場合、国内の調整や根回しというのは、事前にやるものか、事後にやるかというのを聞かせていただけますか。
(答)いよいよ残されている課題はかなり絞られてきました。現状でも水面下でかなりタフな交渉が続けられているところであります。各国が最終レッドラインの交渉に入るわけであります。我々としても、党公約、そして委員会での決議をしっかり受け止めつつ、その中でどういう対応ができるか、精査をしながら模索中というところであります。その中で、国益に資するぎりぎりの選択をする、それを今模索中ということであります。
(問)今朝、官邸で開かれた農林水産業・地域の活力創造本部の中で、甘利大臣からどんな報告をされたのかということと、会議としての決定事項について、御紹介できる範囲でお願いします。
(答)私の方からは、生産調整の廃止と経営所得安定対策の見直し、これは、産業競争力会議の農業分科会において10月9日から精力的に議論を開始して、11月22日の課題別会合において、民間議員に意見の取りまとめをいただいたわけであります。農林水産省も、産業競争力会議の議論に積極的に参加をしていただいたわけでありまして、今回の改革案が取りまとめられたという報告をいたしました。今回の改革を実現して農政の転換を図っていくということは、経営力のある農業の担い手が自立して生産性の高い農業に取り組んでいく、そのことを促進するために必要不可欠なものであるということを発言いたしました。中身については、昨日の党の会議等々、今朝の新聞報道もあるとおりであります。
(問)首席交渉官会合の一連の議論の中身について、どのような評価をお持ちなのか、確認させてください。
(答)首席交渉官会合は、連日、朝9時から夜10時までという日程、その日程を超えて、時に11時半、夜中まで、精力的に議論が進められました。このことは、年内妥結に向けて総力を挙げるという思いが12カ国に共有をされた結果だというふうに思っております。
 かなりの分野で各国間の距離が縮まってきたというふうに承知をいたしております。完全にクローズド、決着がついたという分野はごく少ないと思いますけれども、しかしながら、12月のTPP閣僚会議での政治決着の部分を残して、残りが対応できるように、CN(首席交渉官)会合以降も、水面下の調整が進められるというふうに承知をいたしております。市場アクセスとか知的財産とか、あるいは国営企業とか環境の分野は、従来から難しい問題が残っているところでありますが、そこも少しずつ前進をしているというふうに理解をいたしております。
(問)年内妥結の可能性については、従前から言われている通り、可能だとお考えでしょうか。
(答)ええ。年内妥結に向けて、この勢い、モメンタムはかなり上がってきたというふうに思います。恐らくCN会合の前は、年内妥結が可能だと思っている国の数の方が少なかったと思いますけれども、今はほとんどの国が年内妥結可能という思いを共有していると思います。
(問)農業の改革についてお伺いします。今日の改革案というのは、本当の改革に向けての第一歩にすぎないと思うのですけれども、これから産業競争力会議でも、どういった改革を実際に打ち出していくのか、着手していくのか。お考えをお聞かせいただけますか。
(答)今回の決定は、歴史的な転換だと思います。40年間続いてきた、いわゆる減反政策というのに終止符が打たれる。そして、正に農業を産業政策として真正面から捉えていくという歴史的大転換になっているというふうに思っております。今後は、産業政策として、いろいろな規制緩和に踏み込んでいくのだというふうに思っております。産業競争力会議がもともと問題提起をして、それを農林水産省に真摯に取り組んでいただいた。そして与党側も、相当ハレーションを起こしながらも、この大改革に真正面から向き合っていただいた。そういうチームプレーの成果だというふうに思っております。
 もちろん社会政策として取り組んでいく部分はありますし、多面的機能が国土保全上大事だという点を見失っているわけではありませんが、それに対するより適切な方法で保全していくように、そちらの補助金も舵を切っているというふうに思っております。
(問)減反政策に終止符が打たれるとおっしゃったのですけれども、自民党の方の昨日の部会でも、出席の議員からは、減反廃止をして生産調整をやめては困るのだと、それは自然な形でやるようにしなければいけないのだと、かなり政府が描いているものと実際の案というのは、同床異夢というか、どこか違うのではないかと、出発点は一緒でも、ベクトルが違うのではないかという雰囲気は感じるのですけれども、いかがでしょうか。
(答)施策の内容は、一律に面積当たりで支給するということはやめるわけです。5年後にはなくなるわけです。経過措置はあります。そして、戦略作物についても、一律面積当たりというのから生産量に応じという、産業政策的戦略が入ってくるわけであります。
 個々の政策を網羅して、俯瞰してみれば、明らかに農業という一次産業を産業政策として真正面から捉えていく。意欲と能力のある担い手に生産原資を集約して、生産性を上げていく。そして、マーケティング、新商品開発、正に産業政策として生産現場から市場までを見据えた戦略がとりやすくなるということだと思います。
 このいわゆる六次産業化というのは、その前段に農商工連携という、正に市場を見据えて生産現場を見直すという発想がスタートしているわけであります。これは、不肖私が経済産業大臣の時に農業の産業化というのを初めて打ち出して、そのときもハレーションはありましたけれども、経済産業省の若手官僚と農林水産省の若手官僚は、従来のあつれきを超えて新しい方向を見いだそうと、大変な努力が水面下でありました。そこで口火を切って動き出して、その後に、その考え方が民主党政権に引き継がれて、1足す2足す3なのか、1掛ける2掛ける3なのか知りませんけれども、六次産業化と、正に農商工の連携を算数的にあらわしたものの形に変わったわけであります。
 そして今回、正にその根幹となっている、意欲と能力のある生産者に経営資源が集中していくという、正に産業政策の王道への転換が宣言されたということだと思っております。
(問)マーケットの話で恐縮ですけれども、為替が、1ドル102円をうかがうような円安の展開になっておりますけれども、受け止め、要因分析をお話しいただければと思います。
(答)昨日、決算委員会の質問で、「為替政策」という御質問が野党からありましたけれども、為替政策というのは意図的にあるものではなくて、これは市場が決めるものであります。金融政策とか財政政策というのはありますけれども、為替は市場原理で決まっていくものということがG7やG20でも共有をされております。
 私どもは、アベノミクスで日本経済をたくましく回復させ、そして、世界の牽引役に復活をする、JAPAN is Backを目指していますが、その経過において、為替が市場の原理としていろいろと反応するというものというふうに思っております。
(問)ただ、円安、日本の輸出、JAPAN is Backということで、日本の輸出競争力というのを考えると、円安に振れているにもかかわらず、株の方が、いま一つ戻りが鈍いというか、勢いがつかないのですけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
(答)株価についても、言及するのはどうかと思いますけれども、1万5,000円に、ある種壁がありました。1万4,800円の壁と市場では言われていましたけれども、それを超えて1万5,000円台に入りました。とにかく、アベノミクスの効果が次第に各方面に浸透しつつあるというふうに思っております。

(以上)