甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月22日

(平成25年11月22日(金) 8:35~8:48  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にございません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)TPPについて、アメリカからの関税撤廃の要求は依然としてかなり高いものだと思うのですけれども、やはり日本としては、世界最大の経済大国アメリカとの交渉が最大の勝負というか、そこが全ての軸になってくるというふうにお考えか、聞かせていただけますでしょうか。
(答)TPPは、参加12カ国全ての国に裨益するようなバランスのとれたものにしていくということでありますから、どこか一国が全てということではありません。ありませんが、やはり各国が最大経済大国でありますアメリカとの交渉に非常に重きを置いてくることは事実であります。日本としても、アメリカと調整をしながら、それ以外の国との調整も図って、全ての参加国にとってプラスになるというバランスをしっかり見ていきたいというふうに思っております。
(問)GPIFについてお尋ねしたいのですけれども、有識者会議では、国債中心の運用を見直して、株式など分散投資を進めるべきだという報告書をまとめたと思うのですけれども、これへの大臣の受け止めと、今後の意気込みを。これまで厚生労働省はそういったものには比較的慎重だったと思うのですけれども、それをどう変えていくか。これはデフレ脱却などにどういうふうに効いてくるというふうにお考えか、聞かせていただいてよろしいでしょうか。
(答)デフレとの関係でありますけれども、順序からいいますと、デフレが脱却されて新しい経済環境ができると、それに見合ったリスク管理の仕方ができてくるという順番になろうかと思います。
 GPIFをはじめとする公的・準公的資金の運用、そして管理体制の見直しは、まず一つは、リスク分散という視点があります。つまり、一極集中ですと、そこに何かあったときに全体に影響を及ぼしてしまうということで、リスク分散をするという点が一つですね。いろいろな運用先にリスクを分散していくということが一つ。
 それからもう1点は、デフレ下での運用とインフレ下での運用は、対象投資先のリスクが変わってくるということになろうかと思います。デフレ下では、国内債券の運用というのは手堅いということになるわけでありますけれども、インフレになってきますと、国内債券だけでの運用というのは不利になってくるわけであります。でありますから、経済環境の変化につれてリスク管理の仕方も変わってくると。
 リスクを分散するということと、対象運用先の、運用有利度が変わってくるという、この2点から、経済環境の変化に合わせて抜本的に見直していこうということになろうかと思います。運用の見直し、リスク管理、それと同時に、リスク管理を含めたガバナンスの体制は、並行して行っていくということになるわけであります。
(問)関連して伺いたいのですが、今回のGPIFの見直し、運用方針の見直しで、国内債券中心というのを見直せば、当然、株式などへの投資が拡大するかと思うのですけれども、今後、株式市場への影響、あるいは、国債比率を下げるということは国債を売るということにもつながるとは思うのですけれども、債券市場に与える影響というのは、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
(答)リスク管理体制、ガバナンスの体制も、しっかり見合ったものに変えていくという提言をいただいております。ということは、運用する側のリスク、それから、される側の影響も広範に考えて、トータルとして日本経済にとってプラスになるような、慎重な配慮が必要かというふうに思っております。
(問)5兆円規模の経済対策について、2点お尋ねしたいと思います。まず、各省庁から要望で出ている段階だと思うのですけれども、その進捗状況を教えていただきたいのと、もう1点は、公明党が児童手当1カ月分を給付するようにということで提案をされていますが、この実現可能性について、どのように受け止めておられますでしょうか。
(答)私から、先の閣僚懇におきまして、補正予算編成についての協力要請をいたしました。今、各省から具体的な政策の提言をいただいているところであります。週明けからでも、精査をしていきたいというふうに思っております。
 公明党さんからも各方面にわたる御要望をいただきました。その中で、その中の一つとして、今御指摘のお話があるわけであります。子育て世代に対する臨時特例給付、これは恐らく、高齢者・女性・若者向け施策という柱書きの中で子育て支援を実施すると、それに向けての御要望だというふうに思っております。主たるものは待機児童解消プランをできるだけ前倒して実施していくということになるわけでありますが、この経済対策の趣旨に沿って、公明党さんの御要望、あるいはそれ以外のものも含めて、この趣旨との整合性を精査しながら作業を進めていきたいと思います。
 いずれにしましても、党の作業も始まりますから、そこと連携をとりながら組み立てていきたいというふうに思っております。
(問)先程のGPIFの質問について、なかなかお答えしにくいのかもしれないですけれども、もう少し詳しく。株式市場への影響は、恐らくポジティブにはなると思うのですけれども、どういうふうな影響が出てくるというふうにお考えか、聞かせていただけましょうか。
(答)一極集中運用から多極分散運用で、リスク分散をする。デフレ経済から脱却をして軽度のインフレ経済を目指しているわけであります。そういう環境が整った中で、どう有利に、そして安全に運用していくかということを、これからしっかり、その専門家をそろえた中でやっていくべきだという提言をいただいたわけであります。主管官庁の厚生労働省が、この趣旨に従って、組織も含めて、いろいろな改革に取り組んでいくと思いますし、産業競争力会議でもこのフォローアップはしていくことになろうかと思います。
 国民の皆様から預かっている年金の原資であります。安全、有利ということが縦軸、横軸にあるわけであります。安全と有利というのは相反する概念になります。安全性を追求すると有利性は下がってくる。有利性を追求するとリスクが高くなる、ということでありますから、この両者をしっかり融合させることができる接点を、より専門知識・専門経験を持っている人たちで、安全かつできるだけ有利という方途を探していくということになろうかと思います。
 その際には、先程来御指摘の、日本経済全体に与える、つまり、運用する側、される側の影響等々も慎重に配慮しながら、最適な道を選んでいっていただけるように、しっかり体制を組んでいきたいというふうに思っております。
(問)為替ですけれども、1ドル101円台つけましたけれども、どのように分析なさっているか、お願いします。
(答)為替と株価について、どうあればいいとか悪いとかいう点に関しては、言及をしないということになっております。日本経済が回復していく中で、株価や為替の評価がなされていくというふうに思っております。
 日本、我が国といたしましては、ビジネスが世界で一番立地しやすい環境を整え、投資対象国として極めて魅力的であるというふうな環境整備、投資に関わる障害物を除去して、その環境を整えていきたいというふうに思っております。
(問)なかなかおっしゃりにくいとは思うのですが、海外の影響、かなり為替については大きいと思うのですが、その辺、いかがでしょうか。
(答)円が安くなれば、輸入にとっては不利、輸出にとっては有利になるわけであります。経済というのは、その国の経済の実力に見合って、輸入と輸出がやがてバランスしてくると思います。その過程において、いろいろ為替の動向も変わってくると。やがて落ちつくところに落ちつくというふうに思っています。

(以上)