甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月14日

(平成25年11月14日(木) 9:12~9:31  於:合同庁舎4号館6階620会議室)

1.発言要旨

 本日公表をしました2013年7-9月期GDP速報、1次QEでは、実質成長率は前期比年率1.9%と、前期の3.8%から減速したものの、4四半期連続のプラスとなりました。
 その原因として大きく3点がございますが、まず第1点として、緊急経済対策の効果が発現し、公共投資が大きく増加をしたこと。2点目といたしまして、増勢が鈍化はしたものの、個人消費が4四半期連続で増加をし、設備投資も引き続きプラスとなったこと。そして3点目として、低金利や景況感の改善などを背景に住宅投資が増加をしたことなどが挙げられます。
内需の動きに底固さが見られ、景気が引き続き上向いていると考えております。一方で、一部の新興国の需要減速等を背景に、輸出が3四半期ぶりに減少いたしまして、また底固い国内需要等を背景に輸入が増加をいたしておりまして、外需はマイナス寄与となったわけであります。
 先行きでありますけれども、消費について、雇用所得環境などが引き続き改善をする中で、加えて、消費税率引上げ前の駆け込み需要も見込まれることから、緩やかな増加が見込まれるところであります。
 こうした消費を含め内需が引き続き堅調に推移をし、景気回復の動きが確かなものとなることが期待をされます。ただし、海外景気の下振れリスクには引き続き注視をしていく必要があると思います。
 政府といたしましては、引き続き、この「三本の矢」を着実に進めるとともに、12月上旬に策定をいたします新たな経済対策や政労使の連携を含めた「経済政策パッケージ」、これを果断に実行することで、企業収益の拡大を設備投資の拡大であるとか、あるいは賃金の上昇、雇用の拡大につなげていく、いわゆる好循環の実現をし、デフレ脱却と経済再生に向けた道筋を確かなものにしてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)これまで景気回復を引っ張ってきた個人消費が、ゼロ圏内に落ち込みました。全体の数字も伸び率が半減したと思うのですけれども、アベノミクス全体が失速したのではないかといった心配する声も出てきそうですけども、大臣の見方を聞かせていただけますでしょうか。
(答)消費の動きの主要な原因としては、株価の一服感があります。それが消費マインドに影響しているのではないかと思います。このところ、いわゆる1万5,000円の壁がなかなか突破できません。この1万4,000円台でとどまっているという、その感じが若干反映しているのかもしれません。
 民間の見通しの年率換算1.5%を上回る、1.9%になったわけであります。民間は次の四半期、そしてその次と、これは相当な高い数字を予測いたしております。日本経済は引き続きたくましく回復軌道に入ってくると思います。
(問)今回、名目雇用者報酬が前年同期比でプラス0.5%という結果になって、これ自体はポジティブな結果だと思うのですけれども、一方で、その内訳を見ると、やはり1人当たりの賃金が減る中で、雇用者数の増加に支えられているところがありますけれども、改めて中身として1人当たり賃金をもう少し上げていくためにはどのような取組が必要かということをお願いします。
(答)1人当たり賃金の低下というのは、地方公務員の給与を国家公務員に準じて被災地支援のために引き下げているという、これが主要因であります。これをどうするかは、政府が近々判断をいたします。
 それから、給与に関しましては、冬のボーナスの一次調査の回答が、バブル以降最高値を示しております。でありますから、今後一時金からベアに、動きが少しずつ転化をしていくという傾向が見られます。そうしますと、これは給与全体、それから1人当たり賃金も底上げしていく結果になっていくと思っておりますし、それを期待します。
(問)今回、設備投資は前期比で0.2%増と、かなり伸び率は小さくなりましたけれども、改めて現状に対する認識と今後の課題をお願いします。
(答)経済対策というのは非常に難しくて、それを用意すると、そこまで待とうという心理が働くというのはちょっと困るのでございまして、設備投資は、今、減税を設計中でございます。余り強調しない方がいいかなと思っておりますけれども。今後とも設備投資はアベノミクスにより3年以内に1割増ということの実現、これは間違いなく可能だと思います。
(問)今回、輸出がマイナスに転じました。これまで円安で輸出も伸びてくるという御説明だったと思うのですが、なかなか伸びが思うように伸びてこないのかなというふうに見受けられるのですが、その現状認識と今後の見通しについてお願いします。
(答)輸出につきましては、輸出が伸びていないということは、アジアとアメリカ要因があります。原因ははっきり分かっておりまして、アジアの一部の国で自動車の購入優遇策が消えました。そこで、その反動が出ているということ。
 それから、アメリカにつきましては、大手2社が、特定車種の生産拠点をアメリカに移しております。ですから、その分の輸出が落ちるということになります。しかし、これは次の期はそこが発射台になりますから、それは次の期にはマイナス要因にはなっていかないと思います。
 世界経済がどうなっていくか、アメリカも順調な回復を示している、中国も一時の不安は払拭されつつあるということでありますから、次の期には輸出はしっかりと回復してくると思います。
(問)先ほど、12月に「経済政策パッケージ」を策定するというお話もあったのですけれども、今回のこの数字を見て5兆円規模という補正予算は十分なのか、あるいは中身についてはどういったことを検討されているのか教えてください。
(答)5兆円規模プラス減税で1兆ということになりますから、全体の対策は6兆円ということになるわけでありますが、反動減を埋め戻す以外に、全体の底上げを図る、成長力自身をしっかり下支えするという構成になっております。規模については、それらの趣旨を実現していくのに適当な金額であるというふうに思っております。要は、これからその中身であります。成長に資するような予算の中身にしていく。それから、女性や若者や高齢者に資するような中身、それから防災対策等々、その経済対策の趣旨に沿った個別メニューになっていくように、しっかり財務大臣と力を合わせて精査をしていきたいと思っています。
(問)国内需要デフレータがプラスになっているということで、久しぶりだと思うのですけれども、需要が国内で高まってきているペースが賃上げと比べて結構急に見えるのですけれども、そのあたりの御見解いかがでしょうか。
(答)基本的に内需寄与度が、内需がしっかり寄与していくということは大事なことだと思います。それで、肝心なことは、タイムラグがあるにせよ、物価が上がっていく、それを超えて賃金が上昇する、いわゆる好循環が発現をしていくということが極めて重要であります。先ほど申し上げましたように、冬の賞与の一次回答は、バブル崩壊以降最高値を示している。それから、一時金だけではなくて、ベアの回答している企業が次第に出始めたということ、いい循環は始まっていると思います。次の政労使の会議で、企業業績の賃金や下請代金への道筋の議論がなされていくでしょうから、それを踏まえて、復興特別法人税の前倒し廃止ということも具体的な作業に入ってくると思います。そういう中で好循環をしっかり回していくという環境が次第に整いつつあるというふうに思っております。
(問)いわゆるアベノミクス相場が始まって今日でちょうど1年になります。この1年のマーケットの動きを含めて振り返っていただいて、また今後の展望についてどのようにご覧になっているか教えていただけますでしょうか。
(答)安倍政権がスタートして間もなく1年になろうといたしております。その間のあらゆる経済指標がプラスに転じております。株価でいいますと、時価総額は恐らく7割ぐらい上がったのだと思います。これは国富がそれだけ増えている、時価総額一つをとってみてもそれだけ増えている。今は、420兆円ぐらいになっているでしょうか、二百数十兆円からですね。このこと一つをとってみても、日本経済がたくましく回復しつつあるのだというふうに思っております。
 問題は、成長戦略であります。「三本の矢」の一の矢、二の矢というのは即効性があります。三の矢は、プランを作って、ツールを揃えて、それを利用して経済活動が活性化していく。ですから、やはりどうしても導入に時間がかかっていくわけであります。これを確実に、そしてできるだけ早く実効性あらんものとすると、これがこれからの鍵であります。現在は、これを実行する国会で、実施していくための手だてを今揃えているわけであります。遅滞なく成長戦略に必要な法案を成立させて、実施体制を一刻も早くとっていきたいというふうに思っております。
(問)今日、TPPに関して、米国から、まず関税の100%廃止というリクエストがあったという一部報道がありましたが、その辺、事実関係はいかがでしょうか。
(答)細かなやりとりについては控えさせていただきます。12月、年内妥結がかなり現実味を帯びつつあります。当初の予測では、そういうことを思っているのは日本とアメリカだけではないかというようなことを言われたことがありますけれども、しかし、日米を中心に年内妥結に向けて交渉が加速をしているということは事実だと思います。交渉が加速をするということは、野心のレベルも高いレベルに向かっていっているということであります。日本としては、いよいよセンシティビティの何を守り、そして何を取ってくるかということの最終的な詰めに入っていくわけでありますから、相当な緊張感を持って、この12月の閣僚会議までもう1カ月を切っておりますから、最終の詰めに入っていきたいと思っております。
(問)細かいやりとりは控えるということだったのですが、まさにセンシティビティの部分で、関税割当てというかミニマムアクセスのような仕組みが日本側から検討されていると、そんなのんきな交渉ではないとは思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
(答)とにかく日本のセンシティビティの譲れない点を精査をしていく、そういう中であらゆる戦略、戦術を考えたいと思っております。具体的に何をどうするかということは、この場で申し上げることではありません。
(問)内部告発サイトのウィキリークスに、TPPの内部文書が流出したようですけれども、これは本物かどうかという事実関係と、あとは交渉への影響をどういうふうにご覧になっているか聞かせていただけますでしょうか。
(答)その話は初めて聞きました。私が知らないということは、事実関係はかなり疑わしいのだと思います。

(以上)