甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月12日

(平成25年11月12日(火) 8:53~9:08  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)経団連の米倉会長が昨日、来春の賃金上昇はほぼ確実だというような発言をされましたけれども、この受け止めを聞かせていただきたいのと、来年4月の消費増税に向けて、一時金だけではなくベースアップを期待されているのかどうか、聞かせていただけますでしょうか。
(答)政労使の三者協議における政府側からの要請もこれあり、それに呼応する企業が増えてきております。これは歓迎すべきことであります。今回、その経済界の代表たる経団連会長が言及されたということは、心強い後押しになろうかと思っております。
 景気回復過程においては、どうしても企業は、賃金は一時金から、雇用は非正規からというスタイルになります。これが賃金はベースアップへ、雇用はより正規へという形になってきますと、本格的に好循環が回っていくということになろうかと思っております。安倍政権としては好循環がきちんと動いていくことによって、名目成長3%、実質成長2%への道が開けるものと思っております。いい動きが始まったと歓迎したいと思います。
(問)昨日、経団連とJAが作業部会を設置して初会合が行われましたけれども、これへの期待感と、これまで食糧管理制度とか減反政策の中で果たしてきたJAの役割、これに新たにこういう役割を期待というところをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)JAは、今日までの知見、ノウハウを活用して、新しいステージに打って出なければならないと思っております。どういう産業界においても、いろいろな試練に立ち向かって、その試練を乗り越えることによってより強い体質になっていくわけであります。日本の農業はポテンシャルは高いと思います。ただ、その力が完全に発揮されていないという点、もったいない、最近のはやりの歌でありますけれども、この「もったいない」ままにしてしまってはいけないと思います。それを発揮する大きなチャンスが訪れた。その中で、農協は他を圧するような知見、経験値を持っているわけであります。それを武器として、日本の優秀な農産品が外に打って出るという、その先導役をぜひ果たしていただきたいと期待をいたしております。
(問)今日、アメリカのルー財務長官ともお会いされます。アメリカのバイデン副大統領も12月上旬に来日して、TPPのお話もされるという報道もありますけれども、今日、ルー財務長官とはどのようなお話をされるのか、TPPについてもどういったお話を期待するのか教えてください。
(答)TPPが年内妥結をするかどうかは、TPP関係国にとってまさに死活的な課題になってきていると思います。年内妥結は、日米がどこまで協力できるかということにあると思っています。そういう中におきましては、それぞれ抱えるセンシティビティについて、正確に両国が認識する必要があろうかと思います。日本において議会から厳しく政府に対して言われております農産品5品目、これが日本にとってのレッドラインであるという現状を、正しく米国側に情報発信していくことが必要かと思っております。
 もちろん各国が抱えるレッドラインを交渉の過程でどこまで縮めることができるかというのはそれぞれの政府の課題であります。何がレッドラインであるかはお互いの政府がしっかり認識しないと、交渉はうまくいかないと思っております。日本側としては、日本のレッドラインは何かということを正確に交渉相手国に伝えていく時だと思っています。
(問)今日の会談ではどういったお話を期待されているのでしょうか。
(答)まず、そういう話が出るかどうか分かりませんけれども、アベノミクスは為替を意図的に誘導しているものではないということであります。アベノミクスは15年続いたデフレから日本経済を脱却させ、そして、世界に期待される強い経済に戻していって、世界の牽引エンジンに日本を復帰させる、このために我々はあらゆる努力をしているということを正確に伝えたいということであります。
 加えてTPPの話で来られるとしたならば、日本が抱えているセンシティビティの厳しさについて、正確に伝えたいと思います。
(問)先ほど農業のポテンシャルが高いということをおっしゃったと思います。国家戦略特区において、農業の規制緩和というものがありますけれども、これによって農業は今後どのようになっていくというふうに見ていらっしゃるか、農林水産大臣ではないのですが、お考えを聞かせていただければということと、一部報道で新潟が候補に上がっているというお話もあったのですが、新潟が選ばれる可能性みたいなものがもしあればお聞かせいただければと思います。
(答)私は秋にオランダを訪問してきました。オランダはフードバレーを中心に、世界第2位の農産品輸出大国になっております。総耕地面積は日本よりも狭いはずであります。ハンディキャップがありながら世界第2位の輸出大国になっている。そこは何があるのかをどうしても知りたかったわけであります。そこでは、意欲的な中心的農家に農地を集約するという作業が行われました。この10年、20年の間に農家の戸数はかなり減ってきており、1戸当たり農家の面積が増えてきている。そして、それだけではなくて、農産品に関する研究開発拠点が、大学の農学部研究室を中心に食品産業の研究所が集積を、自然発生的にと言われましたけれども起きました。そこからいろいろな研究といろいろな開発が行われる。それと農家のコラボレートが行われているわけであります。それらを通じて今や農産品が経済を支える大きな産業になったわけであります。
 日本は一人当たり耕地面積が少ないからとか、EUの10分の1、アメリカの100分の1、オーストラリアの1,000分の1という一言で、「だから勝てない」と片づけられてしまっているわけであります。しかしながら同じような悪条件の下の国が世界第2位になっている。その間にはそれなりの努力と工夫と汗がかかれているわけであります。それをする覚悟が日本にあるかどうかが問われているのだろうと思っております。その中には、各種の規制緩和、あるいは企業の参入、いろいろな選択肢やツールがあるのだと思います。それらを縦横に駆使して、日本の農業を本当に成長産業にしていく、今は最大の、そして最後のチャンスかと思っております。そういう意識を持っているところが、仮にオランダのフードバレーのようなものを作るとしたら、最有力候補になってくると思っております。
(問)来週からTPPのソルトレーク会合が始まります。どの辺まで進むことを期待されているか、特に関税の部分ですとか、聞かせいただけますでしょうか。
(答)12月上旬に閣僚会合で妥結というスケジュールから逆算しますと、事前に事務的な会合で相当な粗ごなしがされていないと、残りの案件を全部、各閣僚が背負いこむことになります。閣僚が最終決着をする期間というのは、各閣僚の物理的スケジュールからいってそう多くの日数は取れないのだと思います。そうしますと、何もかも閣僚折衝でということになりますと、年内妥結に黄色信号が灯るわけであります。でありますから、CN(首席交渉官)会合というのは本当に相当重要な意味を持ってきます。最後に残された政治的折衝を絞り込まれたものだけにしていくという作業ができるかどうかということ、そこが今回行われるCN会合にかかっていると思っております。
(問)先ほどの新潟のご質問の一番最後で、最有力候補ということをおっしゃいましたけれども、これは新潟だということですか。
(答)いやいや、そういう意欲のあるところがということです。要するに国家戦略特区というのは、地域振興特区よりもかなりボリュームの大きなところになります。そして、従来、国に対する地域の要望というのは、白地を用意しましたから全部国がやってくださいといった形が往々にしてあります。これはうまくいったためしがありません。自分たちはここまで汗をかきます、あるいは犠牲も払います、そういう意欲と工夫があって、そこに国のバックアップが入って初めて成功すると思います。今回の国家戦略特区は、まさにその地域がどれぐらい日本国経済を率いていく覚悟を持っているのかということが問われるのだと思います。ですから、そこの覚悟の競い合いになるのだと思います。

(以上)