甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月8日

(平成25年11月8日(金) 9:00~9:19  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特別ありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)アメリカとかドイツなど先進国では、市販薬だけでなく処方箋薬までネット販売が認められており、日本だけ規制緩和が遅れているのではないかというような声も上がっていますけれども、このあたり、大臣のお考えを聞かせていただけますでしょうか。
(答)国によって安全・安心に対する取組のスタンスが違うことはあるのだと思います。より自己責任原則が強い国では政府の関与が少ないと思いますし、安心・安全について政府がしっかり役割を果たしたいと思う国にあっては、そこの濃淡が強いということはあろうかと思います。そういう差だと思います。
(問)厚生労働省案の根拠となっているのが、いわゆる医学・薬学の専門家6人の方の意見だと思うのですけれども、その意見というのは、ネット販売は3年間安全確認をしないとだめだとか、でも対面販売はいいとかというふうに書いてあるのか。何と言っているか、教えていただいていいですか。
(答)処方箋から一般医薬品にスイッチしてくるということの安全の確認について、それを踏まえてどうネット販売をしていくかについて、政府から、言ってみれば医学・薬学の専門家に、このリスクの確認の仕方、その上での販売について、いろいろ議論をしていただいたわけであります。
 そこで、この専門家会議の座長のコメントがございました。要は、その座長のコメントを他の委員が共有しているのかということであります。書面で共有しているという回答が全員からあったわけであります。座長のコメントは、スイッチ直後品目と劇薬については、薬剤師と患者さんとが直接顔を合わせてよく話し合い、薬剤師が患者さんの状況、患者さんの状態を五感を用いて判断し販売する必要があるという座長コメントであります。そして、安全性の評価が確定するまでの間、この間だけは薬剤師と購入者が対面で顔を合わせて販売してほしいということ、そうでないと安全を確保できないと。これが座長コメントで、これは座長1人の思いなのか、それとも全員がそう認識しているのかということについて、全員が認識していますということで、書面で出てきました。
 ということである以上、政府は専門家に、どうリスクを管理していって、どう手順を踏んでいくかということについて、いろいろ検討していただいたわけです。依頼した回答が返ってきたら、それを無視するということは、そちらの説明の方がつかないと思うのです。
 なおかつ、私の方からは厚生労働大臣に、リスクの確認ができて大丈夫ということになった場合にネット販売に移す、認めると、その際には、利便性というのがありますから、事務的な手続等々に係ることについては極力短縮をしてもらいたいということで、当初の3年半という回答が3年になったと。あわせて、新しくスイッチして出てくるものについては、当然そのリスクの濃淡があるでしょうと。ですから、3年というのを上限にして、安全であるということが早く確認をされたものについては、より早く出すということが、いわゆる安全性と利便性との最大公約数を求めるということを私が前から申し上げていますけれども、より安全確認が早くなされたものも、わざわざ3年まで待つ必要はないのではないですかと、危険度合いに濃淡があるものは、当然、処方箋から移ってくるわけですから、一律同じ度合いということではないと思いますから、それはそうやってもらいたいということを厚生労働大臣に要請いたしました。
 検討の結果、3年以内で、それよりも早く確認ができるものについては早く移していくということになったわけでございます。
(問)国家公務員の給与の減額措置が今2年間特例でついていて、来年4月、来年度には終了するということなのですけれども、関係閣僚は近く集まって、その扱いをどうするかを決定するというふうに聞いているのですけれども、現在の検討状況をお願いします。
(答)まだ結論が出ているわけではありません。今、その対応を政府内で協議しているところであります。
(問)世論の見方もあると思いますけれども、一方で経済界にも賃上げ要請をしている中で、公務員の給与をどうするのかという、その経済政策の観点からの判断もあるかと思うのですけれども……
(答)まず、なぜ減額措置をしたかという原点は、復興予算をみんなで支えるということで、期間限定でやったわけであります。それがまず一つ終わるということはあります。
 その上で、公務員給与というのは民間準拠でありますから、人事院勧告で民間の状況を把握して、それと整合性をとるということになっているわけであります。一方で我々は今、民間には賃上げを要請しているわけであります。好循環を回していくために、企業業績が上がったものについては賃金に反映してほしいということを要請しているわけです。それと民間準拠ということを重ね合わせると、議論の道筋が見えてくるのではないかなと個人的には思っております。
(問)ネット医薬品の話に戻りますけれども、三木谷さんは、これが法制化されると産業競争力会議の委員をおやめになるというふうにおっしゃっています。このネット医薬品の23品目も売ってもらえないようでは、これから医療費の削減などにどんどんITを活用するようなことはとてもできないと。医療だけではなくて、教育とかその他に対面原則というのがあるとITの活用というのはできなくて、これはIT戦略化を進めるのにとても希望は持てないというような趣旨の御発言をされていますけれども、これが、こういう抗議の辞任というような形でおやめになられることが、政権の規制緩和を進めていくというイメージにとってマイナスだと思うのですけれども、その辺、どう受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)今の御質問は、利便性を高めるためには安全は犠牲にしてもいいのだという御質問ですね。
(問)私がそう言っているわけではなくて、三木谷さんはそういうこともできないようでは規制緩和は進まないのではないかという見方があるのは事実で、これは、私はニュートラルに考えておりますけれども。
(答)安全を犠牲にしても利便性を先に出せとおっしゃる主張は、それで堂々と記事にしていただければと思っております。
 私どもは国民の生命・財産を預かるという仕事があるわけであります。そこで、利便性と安全性の一番いい点の最大公約数を探りたいと思っていたわけであります。そこで、専門家に任せて検討していただいたわけです。これは、その辺の評論家の方にお願いしたわけではありません。医学の専門家、薬学の専門家の方に、スイッチ後医薬品の取扱いについて、安全の確認について、リスクの評価について依頼をしたわけであります。依頼をして、専門家から回答が返ってきました。いわば諮問をして答申が返ってきたわけです。それを無視する根拠はどう理屈を立てるのか、国民に説明するのか。政府としては無視をするという選択肢はないわけであります。
 ただ、その中で、極力利便性を犠牲にしないということで、事務的な手続等についてはできるだけ短縮させるようなマンパワーの充実も必要でしょう。この副作用のデータを集めるということ等々の事務的な時間は短縮をしてもいいのではないか、できるだけのことはやってくださいと。
 ただし、この専門家が、その間は対面で五感で確認していただく方が安心だと、だから、その間は待ってくださいと。移さないのではないですと、少し待ってくださいと、そして、お墨付きをつけられたら開放していきますということでありますから、その専門家が、待ってください、その間は購入者が対面で顔を合わせて販売してほしいと、そうでないと安全を確保できないとおっしゃっているわけです。専門家が安全を確保できないとおっしゃっているのを、専門以外の者が安全は確保できるということは、説明がなかなかできないと思うのですね。
 ですから、恐らく国民の皆さん方に、安全を犠牲にしても利便性をとりますか、それとも利便性を犠牲にしない中で安全を最短で図りますかと、アンケートを出したら、ほとんどの方が今回の判断を支持されると思いますけれども。
(問)この決まった政府方針についてのお考えは何度もお伺いしているので、今おっしゃったとおりだと思うのですけれども、これからいろんな分野でIT化を進めていく上で対面原則というのは、ITを進めるという意味の一つは対面ではなくてもできるということだと思うのですが。
(答)そうです。
(問)その辺のトレードオフみたいな関係があると思うのですけれども、どう考えていけばいいのでしょう。
(答)三木谷さんは私も個人的に非常に親しい人ですけれども、彼は薬のことで今回の反対論をおっしゃっているわけではないのですね。ネットと実体取引とはイコール・フッティングであると、そういう理念を持ち込まないと日本は置いていかれるという危機感なのです。それは私、よく分かります。
 ただ、ネットの中には、例えばなりすましだとか、偽装だとか、いろんな問題が指摘されています。それはやはり安全を確保しなければならないわけですね。ネットをより安心して使っていくために、リスクをどう発見して、それに対応していくかということは、これからのやらなければならないことであります。
 ですから、今回のことがネット社会を否定していることでは決してないので、ネットに安心して入っていくための、どういう対応していくかということの一つなのですね。今回の優勝セールでも、ネット主宰者自身が迷惑しているわけですね。そういう不届きな者が出ると。不届きな者が出ないような措置、あるいは発生が極力少なくなるような措置はやはりやっていかなければならないということでありまして、ネットを進展させていくために、やはり安全をしっかり確保しますよということが、むしろ資するというふうに思っております。
(問)二酸化炭素排出削減についてお尋ねしたいと思います。石原環境大臣が今度のCOP19の会議で、2005年度比で3.8%温室効果ガスを削減するという目標を掲げるということを決めたようですけれども、今後経済成長を目指していくという上で、この3.8%減というのを大臣はどのように評価されますでしょうか。
(答)そう環境大臣が決められた数字をもってCOPに臨むというお話は間接的に聞いておりますけれども、それが政府全体での議論した結果なのか、よく分かりません。そして、どういうケースで、これはCO2と原発の再稼働というのはダイレクトに絡んでいる問題であります。再稼働が、たしかあれは1基再稼働すると1%ぐらい下がると思いますけれども、どういう想定でやっておられるのか。正確に把握をしておりませんので、この場ではコメントは控えさせていただきたいと思います。
(問)薬のネット販売ですけれども、行政訴訟ですか、何か裁判を起こすというふうに言っていますけれども、1月の最高裁の判決を受けて、その裁判には勝てるというふうに見ていらっしゃるか。大臣の見通しを聞かせていただけますか。
(答)政府が法案を出すときには、憲法との整合性を中心に、あるいは関連する法案との整合性を図るために、内閣法制局が手続を踏みます。政府の出す法案は、それらをクリアしたものでないと提出ができません。ですから、提出をされるということは、内閣法制局が慎重に憲法その他既存法令との整合性をきっちり図って、図れたものしか提出をしないということになりますから、憲法に抵触することはないと判断したものでしか国会に提出をしません。
(問)全ての農家に一律で減反の補助金をばらまくという案が浮上しているというような報道がありましたけれども、それで農業の国際競争力の強化になるのかというのは、大臣、そこら辺のお考えを聞かせていただいてよろしいでしょうか。
(答)全ての農家にばらまくということを方針として決めたということはないと思います。現状、全ての農家に補助金が出されている。これは前政権が決めた政策でありますけれども、より農業の競争力を強化していくために、この一律ということをフェードアウトしていく方向について、政府と与党が協議をしているというふうに承知をいたしております。
 産業競争力会議でも、この問題提起がなされています。年末、11月末だと思いますが、農業本部で、この取りまとめがなされると。そこに向けて、そのタイミングに間に合うように、最終的な産業競争力会議としての提案が出ていくというふうに承知しております。

(以上)