甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月25日

(平成25年10月25日(金) 10:11~10:25  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)昨日、連合が、来年の春闘で5年ぶりのベースアップ、1%以上を求めることを決めたのですけれども、この受止めを聞かせていただけますでしょうか。あと、経済界への期待、デフレ脱却に向けていい流れができているというふうに見ていらっしゃるか、聞かせていただけますでしょうか。
(答)まず、賃金交渉は民民の契約ですから、これに政府が介入するものではないという前提の上に、このデフレの脱却に向けて、政労使の会議で、それぞれが好循環に果たす役割を認識をして、好循環を回していく役割を果たしていこうという共通認識を持ちたいということを提案しておりましたけれども、それに沿う動きが関係各所で始まっているというふうに認識をして、歓迎をいたしております。
 政労使の会議で、総理から要請をされた後、一部の企業でその意図するところをしっかり受止めてベアに反映しますという経営側が現れ始めました。労働側につきましても、単なる従来どおりの賃上げという認識だけではなくて、好循環に資するのだということを頭の片隅に置いていただいて、この好循環を回していく重要な役割に参加をいただいているのだというふうに思っております。いわば、好循環に関するステークホルダーが自己の役割を認識して、好循環を動かしていく、好循環を押していく作業に参加をするということは歓迎することだと思います。
(問)今日発表がございました消費者物価指数で、コアコアの指数が4年9カ月ぶりにマイナス圏を脱してゼロになりました。これまでは円安で輸入燃料等が上がって、コストプッシュ型のインフレだというふうに言われていましたが、ただ、コアコアの方も上がっているのを見ると、パソコンの部品の値上がり等が影響しているようですけれども、これは果たしてディマンド・プルの物価上昇というか、そのほかの品目にも物価上昇の動きというのが、今、広がっているというご認識なのかどうかといったあたりも、交えてお願いできればと思います。
(答)デフレから脱却をし、なおかつ経済が健康的に発展をしていくためには、おっしゃるように、いわゆるコストプッシュ型の物価上昇ではなくて、ディマンド・プル型の物価上昇でなければならない、それはおっしゃるとおりであります。今まで総合とか、あるいはコアがプラスに転じてきましたけれども、生鮮食品とエネルギー部分を除くコアコアについては、ずっとマイナスが続いておりました。4年数カ月ぶりにプラスに転じたということは、まさにデフレの脱却に向けて必ず通らなければならない経過だと思っております。
 これはいい動きになりつつあるということでありますけれども、一般的に物価が上がってよかったという表現も変でありまして、物価が上がってよかったというのは、健康な状況を取り戻しつつあってよかったですねということだと思います。本当に健康になるためには、この物価上昇を超えて賃金が上がっていく。先ほどの話にありましたけれども、好循環をきちんと回していく、好循環のサイクルに入っていくということが大事であります。そこで賃金について、政府としては従来よりもかなり踏み込んだ行動に出ているわけであります。別に資本主義経済、自由主義市場経済のルールを壊すつもりは全くありませんが、自由主義市場経済の中で起こるべきいい動きについて、政府が後押しをするということをしているわけでありますし、それがしっかりできたときに、デフレから脱却できたというふうに言えるのではないかと思っております。
(問)8月の会見のときに、大臣は富士山の登山に例えられて、7合目ぐらいまで行っているとおっしゃっていましたが、今、デフレ脱却に向けて何合目あたりか、7合目から進んでいるのかどうかというあたりのご認識をお願いできますでしょうか。
(答)8合目の半ばに今至っておりまして、若干、酸素が薄くなってきておりますけれども、ここは頑張りたいと思います。
(問)産業競争力会議で、減反政策について民間議員からも批判の声が上がっていまして議論されることになったのですけれども、減反政策の見直しについて、政府が11月にも農業政策についてまとめることになると思うのですけれども、この民間議員の意見というのはどの程度反映されるのか、政府としてはこの減反政策についてどのように考えられているのかをお聞かせください。
(答)日本再興戦略におきまして、農業経営所得安定対策について、適切に見直すと、既に政府として提言が出ているわけであります。かつて自民党としても、とにかく競争力を強化する方向で補助金を効果的に投じていくという動きがなされたわけでありますけれども、政権が交代をして、無関係にベタでまいていくという方式になってしまったわけであります。本来の姿から考えると、これは適切に見直す必要があると。そこで減反と絡んでくるわけでありますけれども、これは従来の党の方針もあり、これは今の政策とは随分違うわけでありますから、与党と連絡をしっかりとりながら、よりよい方向に資するように取り組んでいきたいと思います。
(問)医薬品のネット販売、調整が難航しているようですけれども、改めてネット販売は、店舗販売より危険というふうにお考えなのかどうか。臨時国会中に法案提出するのであれば、来週ぐらいが締切になるのかなというふうには思えるのですけれども、そのあたり、どうお考えでしょうか。
(答)医師の処方箋による薬から、一般に薬局で買える薬に移していく際には、当然、安全性の確認というものはそのハードルを越えて出ていくのでありましょうけれども、しかし一般の手に渡ったときにいろいろな薬との重複の可能性はより増えてくるわけでありますから、この副作用等々について、処方箋医薬品と別なリスクが新しいステージに入ってくることはあると思います。そこで、より安全性の確認の期間が必要ということを、専門家の皆様方が再認識をされているのだと思います。店頭での販売は、今までよりも一定期間、スイッチOTCについてはより厳しい安全上の対処が図られるという提案、提言が出ているわけであります。要は、劇薬をインターネットでも自由に販売していいと、大いにやるべきだと思っていらっしゃる方はいらっしゃらないと思うのですね。それ以外のものについては、一般医薬品として市販されたことによるリスクと、それからインターネットで誰でも扱えるという利便性との間の整合性をとっていかなければいけないのだと思います。そこで、専門家の方々がどういう対処をすべきかということで、いわば答申をいただいたわけであります。
 私どもといたしましては、この現状を言われていることよりも、もう少し利便性の方にシフトできるのではないかと思っております。そこでこれから厚生労働省と最終的な調整が必要だというふうに思っております。別に専門家の方々が懸念している副作用等をはかる期間を全く無視するということを言っているわけではありませんし、そのために店頭で代理販売を認めないとか、従来とは違う厳しさを加えているわけでありますから、そこは安全性と利便性とのバランスをとって、一番いい最大公約数を求めるための努力を、残された数日でしょうか、で、しっかり見きわめていきたいと思っております。
(問)TPPの知財の会合についてですけれども、今日一部報道で、日本が新興国とアメリカとの主張の中間をとって、8年ぐらいで新薬のデータ保護期間を調整できないかと、今、調整しているというような報道がありました。日本として、アメリカと新興国との中間に立つ橋渡し役として、今、どのような交渉を調整をしていらっしゃるのか、お願いします。
(答)知財は最も調整が難航する分野の一つであります。それぞれ特許や著作権の問題等々、国が抱えている事情が異なります。日本が一番難しいところの調整役を買って出たわけであります。これは関係各国から極めて感謝をされているところであります。まだ決着しているわけでは決してありませんが、かなり、調整は進んできているところであります。今の中身、内容については、具体的な報告は受けておりませんし、受けたとしてもこの時点で発表するわけにはいきません。

(以上)