甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月24日

(平成25年10月24日(木) 18:12~18:27  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 景気の基調判断は、「景気は、緩やかに回復しつつある」と、先月から据え置いております。これは、輸出や個人消費の増勢にこのところ一服感がみられる。しかしながら、企業収益やマインドの改善が続くなかで、設備投資に持ち直しの動きがみられるということ等々、好循環の動きが引き続き現れているということを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現をするなかで、家計所得や投資の増加傾向が続き、景気回復の動きが確かなものになることが期待をされます。ただし、海外景気の下振れが引き続きリスクとなっているということに注視が必要です。政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」に基づく政策運営と「日本再興戦略」の実行を加速化、強化をしてまいります。
 また、日本銀行には、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することを期待いたしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)ちょっと関心が高いテーマなので、月例経済報告に関係ないのですが聞かせていただきたいのですけれども、今日は産業競争力会議の分科会がありまして、そこで新浪主査の方から、減反政策の廃止が提案されたのですけれども、これについて大臣、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
(答)「日本再興戦略」におきまして、経営所得安定化対策につきましては、適切に見直すこととされておりまして、産業競争力会議でその見直しの議論を始めたところであります。
(問)大臣、今、「輸出や個人消費の増勢にこのところ一服感が見られる」とおっしゃいましたけれども、個人消費はこれまで景気をリードしてきたところに一服感があると。輸出も円安効果で持ち直し傾向にあったわけですけれども、一服感が出てきた。それぞれの一服感が出てきた要因と、先行きについて大臣の見通しをお願いします。
(答)輸出に関して言えば、いわゆるJカーブ効果と言われていますが、これはどういうことかというと、円安になったときに、輸入の方が外貨建てが輸出よりも多いので、その外貨建ての輸入はダイレクトに効いてきますから、いわばプラスマイナスで言えばマイナス効果が出尽くすのに少し時間がかかります。それから輸出先の景況感が若干弱含みになったというところです。中国でいうと、尖閣を巡る輸出へのマイナス効果が元に戻る、その勢いが若干弱くなったことと、中国自身が一時、経済成長に若干陰りが出てきた。そうしたなかで、日本からの化学製品の輸出が、中国、これはアメリカもそうですけど、ちょっと落ちているというところがあります。アメリカも政府機関閉鎖等々に対する事前の懸念等々があったということ。それから、インドネシア、タイ等々が予想より若干景況感が悪いということ等々が輸出の問題だと思っております。
 消費につきましては、一服感が出ていると。資産効果でいいますと、株価がこのところ、どうしても1万4,800円の壁が突破ができないで、そこまでいくとまた戻ってくる等々ということは、資産効果がそこで止まっているということにもなります。資産効果が消費に反映しているという点がありましたので、その辺のこと。それから雇用者報酬についてでありますけれども、1人当たりにならすと若干マイナスになっている。総報酬では増えているのですが、これは7月から地方公務員の給与のマイナスが効いてきている。若干その辺のマインドも影響しているかもしれません。ただ、給与というのは回復局面ではまず一時金から上がっていきます。ですから、一時金は増えている。所定外も増えているわけです。所定内は、今の地方公務員のマイナスも影響しているということであります。
 それから、回復局面では、雇用数はパートから増えていくわけであります。ですから、総報酬としてはプラスになっています。それから雇用者報酬についても、前年比でいえば1%ぐらいのプラスになっていますから、全体としての総報酬は増えつつありますけれども、1人当たりにならすと景気回復局面でパートの数が増えてきている、それが1人当たりの引下げ効果になってしまうということもあります。ただ、景況感で言えばかなりいいわけでありますから、これもしっかりと、この秋の国会、成長戦略実行国会で法案をきっちりと成立をさせ、施策を推進していくということであれば、また力強い動きになってくるのではないかというふうに思っております。
(問)成長戦略の関連で、医薬品のインターネット販売について、一部の品目は解禁しないか、若しくは解禁時期を遅らせるというような報道がありますけれども、落としどころはどういうふうに今なっているのか。今日、規制改革会議の岡議長が、「安全性に問題があるのであれば、それは売り方の問題ではない」というふうに発言をされて、当初の方針どおり店舗とネット販売には差をつけるべきではないというふうに主張されていたのですけれども、大臣のお考えを聞かせていただけますか。
(答)今、厚生労働省を中心に検討を行っている最中であります。最終的には関係閣僚できちっと決着をつけていかなければならないというふうに思っております。厚生労働省は、処方医薬品から一般医薬品にかわっていく、そこは一般の人が誰でも入手できるということになる経過措置として、副作用等々を検証する期間が必要だということでありまして、これは、医薬の専門家の方々に一品ごとに詳細に検討してもらっているわけでありますから、単に知見のない方にやってもらっているというわけではありませんので、これは余り無視するわけにもいかないと思います。つまり安全性にかかわることであります。
 店頭販売も、代理を認めないというような、そこは安全性という点で、安全性強化策がとられているわけでありますから、28種類の中には劇薬、使い方によっては人が亡くなるという薬も含まれているわけでありますから、そこは専門家の方々の意見を求めるために検討会議を作ったわけでありますから、その安全性に対する信頼と利便性、安全と利便性の最大公約数を求めていく。これから関係大臣が厚生労働大臣、厚生労働省と、その安全性と利便性の一番いい最大公約数を求めて協議する場面があろうかと思います。
(問)また直接関係ない話なのですが、今日、TPPの知的財産の中間会合が始まりましたが、直接大臣が指揮をとるわけではないのでしょうけれども、大臣として意気込みといいますか期待なさるところを一言お願いしていいですか。
(答)知財の未解決の部分というのは、難しいから未解決で、各国の思いがぶつかっているところであります。この総合調整役を日本が買って出た。なかなかほかの国にはできないような役回りだというふうに思っております。これをしっかり各国間調整をして落ち着かせることができれば、日本としても全体の調整に果たす役割、プレゼンスもより大きくなるというふうに思っております。何としても調整をしたいと思います。
(問)今おっしゃったプレゼンスが大きくなることによって、やはり日本が弱い部分、マーケットアクセスの部分で交渉が有利になるということもあるということでよろしいのでしょうか。
(答)あまり甘くは考えておりません。マーケットアクセスというのは非常に厳しい分野だと思います。しかしながら、マーケットアクセス、それも関税だけじゃない部分もありますし、それからマーケットアクセスの外側に各種ルールがございます。ここのところはGDP効果も大きいところでありますし、また日本が比較的強いところでもあります。全体的に目配りをしながら、いわゆる「守るべきは守り、攻めるべきは攻める」というキャッチフレーズになっておりますけれども、その中にあってもレッドラインをできるだけ各国とも縮めていくという作業が要請されているわけであります。そういった中でバランスのいいものができればというふうに思っております。
 交渉はいよいよ大詰めを迎えてきます。大詰めに向かえば向かうほど難易度が上がってくるわけでありますから、心して取り組んでいきたいと思っています。

(以上)