甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年10月11日

(平成25年10月11日(金) 11:41~11:57  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私から2点の報告がございます。
 まず第1点、本日、TPPに関する主要閣僚会議を開催しまして、バリにおける首脳会合及び閣僚会合の結果報告を行いました。閣僚会合では、私が全体会合に出席したほか、各国の関係閣僚と精力的にバイの会談を行いました。残された論点について協議を行った次第であります。
 これを受けた首脳会合におきましては、安倍総理が御出席され、交渉分野全般にわたって首脳間で率直な意見交換が行われました。その結果、年内妥結に向けた大きな流れができたと思っております。
 交渉はいよいよ大詰めを迎えております。本日の会議で総理からも御指示がありましたが、引き続き政府一体となって国益を最大限に実現するよう、交渉に全力を挙げていく所存であります。
 次に、先に成立しましたPFI改正法に基づきまして、株式会社民間資金等活用事業推進機構、PFI推進機構の設立準備を進めてきたところであります。本日14時20分より大手町ビルにおきまして、私と渡代表取締役社長とで発足式を行うことにいたしております。本機構の設立によりまして、さらなるPFIの推進やインフラ投資市場の拡大につながることを期待いたしております。詳細につきましては事務方にお尋ねいただきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)TPPですけれども、昨日、自民党が、農業重要5品目を含めた撤廃品目の検討作業を行うということで了解しましたけれども、この受止めと、政府としては、連携していくというふうに大臣はおっしゃったと思うのですけれども、具体的にどういうふうに連携していくのか、その検証結果をもとに次のオファー案を作るのか、その辺のイメージを聞かせていただけますでしょうか。
(答)党が主体的にいろいろ検証を行われるということであります。基本的には、その検討結果を見守りたいというふうに思っております。その上で政府・与党は連携を図っていくわけでありますから、しっかりと連携をとりながら事を進めていきたいと思っております。詳細の内容については、党の方でどういう検討をなさるのか、しっかり見守りたいというふうに思っております。
 マーケットアクセスの分野、他の重要分野ともども、年末の妥結に向けていよいよ佳境に入ってくるわけであります。大臣会合も恐らく行われるでありましょうし、その間の事務折衝が極めて重要になってまいります。自民党、そして与党ともしっかり連携をとりながら、国益をしっかりと実現しつつ、全ての参加国が利益を享受できるような質の高いものに仕上げていきたいと思っております。
(問)今日のTPPの関係閣僚会議では、党の検討状況について、話題になったのか。また、閣僚会議では、林農林水産大臣や岸田外務大臣からはどのような発言があったのか。2点お願いします。
(答)党での検証作業について、具体的な言及は特にはありません。
 農林水産大臣、外務大臣とも、しっかりと国益を踏まえて、この交渉にタフに取り組んでいくという意思表示はありました。それ以上の詳細については控えさせていただきます。
(問)昨日の自民党のTPPの会合の方で、知的財産分野については、年内に日本は開催国となる中間会合で決着を目指すことになったとの報告がありましたけれども、こちらの開催の時期ですとか、知財の中でもどういったところを主に会合で妥結に向けて調整を図っていくのかというのを、もし分かりましたら教えていただければと思います。
(答)中間会合は、12月にも開催されると予測されております閣僚会合に向けて、残された課題を解決していくために、それぞれ分野ごとに、残されている重要案件について解決をしていくということになるわけでありますが、その中で、非常に難しい、一番難しい分野の一つである知財について、日本が積極的に取りまとめの役を引き受けたということであります。
 知財について言いますと、特許とか著作権とか、もろもろの権利を保護する方と、その知財を活用する方は当然対立が出てくるわけであります。保護する側に立つ国にとっては、できるだけ保護期間は長い方がいいと。活用する国にとっては、できるだけ早く期間が切れて、その知財を活用できる状態に一刻も早く移ってきた方がいいという、当然せめぎ合いがあるわけであります。ただし、知財の活用、新しい知財は創造がなければ発生しないわけであります。知財の保護を弱くすればするほど新しい知財は生まれてこないわけでありますから、そういう意味では、利用する側にとっても、より多くの知財を活用することができなくなるということになります。逆に、保護を強化し過ぎますと、多くの国民は生まれた知財を低廉なコストで利用することができないという関係にあります。
 日本は知財を生み出す国であると同時に、知財を活用する国でもあります。バランスを一番うまく図れるという立場にあるのではないかというふうに思っておりまして、非常に対立が厳しいところでありますけれども、何とか着地点を見つけたいというふうに思っております。
(問)アメリカの債務上限問題についての関連でちょっとお伺いしたいのですが、昨夜から野党の共和党から、ある種妥協案みたいなものが出て、ただ、まだ調整が続いています。今回のこの債務上限問題の日本経済に対する影響と、アメリカ側に対して求めることについて、大臣の御所感を伺いたいのですが。
(答)世界一の経済大国が政府閉鎖になり、このまま放置しておけばデフォルトに陥ると。昨今では途上国ですらあり得ないような事態が、世界一の経済大国、基軸通貨国で起きていると、信じられないような話であります。
 アメリカは、アメリカ国民に対しての責任を負うと同時に、世界一の経済大国ですから世界に対しての責任も負うわけであります。そのことをしっかりと自覚して、政府、議会、歩み寄って、事態の解決に一日でも早く取り組んでいただきたいというのが率直な思いであります。
 この影響、恐らく市場が話合いが始まったというだけで好転反応しています。それはきっと、米政府も議会も良識を発揮して、米国民だけでなくて世界の国民に対してのマイナス影響を最小限にして回避するべく努力をするであろうという予測のもとに、多分落ち着いた方向に向かうのではないかという期待値で、反転になっているのだと思います。そのアメリカの世界に占める重みをしっかり実感していただいて、責任ある解決を図ってもらいたいと思います。日本としては、できるだけ日本経済、あるいは世界経済に影響が少ないことを期待しておりますし、日本は日本として、アベノミクスで日本経済を回復させ、世界経済の牽引役に復帰できる日が一日も早く来るように頑張りたいと思っています。
(問)国家戦略特区のお話ですけれども、昨日、ワーキンググループの八田座長にインタビューしましたら、まだ雇用のところがやはり全然動いていないというお話で、昨日自民党の方から11月上旬の閣議決定を目指すという方針を説明されましたけれども、このスケジュールに向けて、着地点、どのぐらい見えてきているのか、その辺の感触をお願いしたいと思います。
(答)残されている雇用の点につきまして、今、田村厚生労働大臣と私、もちろん国家戦略特区担当大臣もかんでくるわけでありますが、最終調整をいたしております。皆さんがそれを100点と評価するか、あるいは80点と評価するか、あるいは60点と評価するか、そこは分からないところでありますけれども、少なくともよりよい改善策に向けて、今、私なりの提案をしているところであります。そのような法案提出のスケジュールには間に合うように、きちんと処理したいと思います。
(問)その提案というのは、ワーキンググループの提案とはまた別のものという理解なのでしょうか。
(答)それに歩み寄るような形でいろいろと調整をさせていただいております。完璧にそうであるかどうかというのは、別な法律論とかいろいろあるようでありますので、今、それに近づけていくような、協議をしているところです。
(問)今日、新潟県の泉田知事とTPPの関連でお会いになったと思うのですけれども、その時、恐らく米の関税を守るようにというような御主張があったと思うのですが、どのように答えられたかということと、この機会で柏崎刈羽原発の申請の問題についてお話があったかどうかについてお聞かせください。
(答)まず、冒頭、泉田知事との友情を確認いたしました。その上で、米の問題についての話であります。私どもは国会決議、あるいは自民党公約、それを踏まえて重く受けとめて取り組んでおるところでありますし、なかんずく米については極めて重要な位置を占めているわけであります。しっかりとした立ち位置に立って交渉しているということはお話を申し上げました。
 泉田知事からは、農業の攻めの展開についてのいろいろなお話も伺いました。これは建設的な御提案だったというふうに思っております。  原発問題は一切出ておりません。

(以上)