甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月27日

(平成25年9月27日(金) 11:15~11:31  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 TPPに関する主要閣僚会議を開催しました。その報告をいたします。
 TPPに関する主要閣僚会議を開催し、ワシントンでの首席交渉官会合の結果について報告を受けるとともに、バリ首脳閣僚会合に向けた準備について議論を行いました。
 ワシントン首席交渉官会合は9月18日~21日までの4日間、中間会合として開催されました。次回のバリの会合に向けて精力的に議論を行い、交渉の前進を図ったことが報告されました。
 10月にはバリにおきましてTPP首脳会合及び閣僚会合が開催される予定であります。その場合には、安倍総理と私が参加することになっております。交渉はいよいよ正念場を迎えるわけであります。政府一体となって交渉に臨み、国益を最大限に実現するよう、全力を挙げて交渉に当たっていく所存であります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)消費者物価指数ですが、3か月連続プラスで、上昇幅も4年9か月ぶりの大きい上昇幅になりました。この受け止めと、3か月連続のプラスということで、長い間続いてきたデフレから脱却したという感触をお持ちでいらっしゃるか、聞かせていただけますでしょうか。
(答)結論から言えば、長いデフレから脱却しつつある、その過程にあると申し上げていいかと思います。
 消費者物価、総合はプラスで推移しております。ただ、まだコアコアがマイナスの状態であります。ただ、マイナス幅はいよいよ-0.1%まで縮まってきたわけであります。これらがプラスに転じて、そして大きなショックでもない限り元の状態に戻らないという環境が整備された時、まさに脱却と言えるのだと思います。そういう意味では、脱却しつつある過程にあると思っております。
(問)自民党と公明党の税制調査会で議論になっている復興特別法人税の前倒しの廃止について、自民党でも公明党でもかなり反対の声が強いようです。30日の取りまとめに向けてどのようにお考えでしょうか。
(答)政府の方向が出まして、政府・与党一体で取り組めるように、今、協議をしていただいているところであります。とにかくいろいろ心配な点が与党側から出されております。それに丁寧に答えていく必要があり、その過程にあるわけであります。
 向かっていく方向については思いを共有できるかと思います。つまり、好循環をいかに早く作っていくか。物価だけ上がっていって賃金がついていかないと、単なるコストプッシュインフレでしかない。これではデフレ脱却には程遠くなってしまう。企業業績が上がっていく、それが賃金に反映される、あるいは下請代金に反映される。それによって、設備投資の力や消費の力がより大きくなっていく。それが生産の拡大を呼び、企業業績の更なる拡大を呼んでいく。そういう好循環をどうやって作るかということで、政府が提案している、政府がこういう方向でいこうということについて、より効果が上がるような、認識を共有するための努力を、今続けていただいているところであります。
(問)それに関連して、賃金の上昇につながるかどうかというところが昨日の自民党の税調でもポイントになっています。昨日、大臣と一緒に出席された麻生大臣が、退席際に、これはオープンではなかったので伝聞ですが、自分が経営者だったら賃金は減税しても上げないという趣旨で、「俺のセンスではない」という趣旨のことをおっしゃったそうです。お二人の大臣は足並みがそろっていないのではないかという印象を多く与えたそうです。この点についてはいかがでしょうか。
(答)麻生副総理独特の言い回しで、経済財政諮問会議の場でも、民間企業関係者に、我々は環境を作る、あとはあなた方の覚悟だぞということを度々迫っておられるわけであります。とにかく状況を認識し、踏み出す経営側をより多く作っていくための例えとして、そういう経営者もしっかり腹をくくって踏み出せるように環境をしっかり整備すべきだという思いだと思います。
(問)関連ですが、企業側の減税の恩恵が賃金に反映しているのかどうかチェックする仕組みを作るというお話も報道ベースで流れております。実際にそういうことが可能なのか。そういうことも含めて今のお考えをお聞きしたい。
(答)そういう発言をしたことはございません。どういう観点からその報道がなされたかは、報道された方に伺っていただきたいと思います。
 資本主義、民主主義国家であります。政府が何らかのことを強制することはできないわけでありますし、するべきではありません。要は、政労使の三者協議の場でも、それぞれが、好循環に向けてやるべきことをやりましょうということでみんな集まっています。政府は環境整備をしたけれども、私は知らない、ということで好循環ができるのかということは、関係者がしっかり認識していくことであります。
 短期的には、企業側にとってみれば内部留保の流出になるかもしれませんけれども、それは結局巡り巡って企業業績の上昇に資するものであるということをどう認識していただくかということだと思いますし、そのための努力は政府として全力でやっていきたいと思います。
(問)チェックする仕組みというのは今は考えておられないという認識でよろしいのでしょうか。
(答)少なくとも、どこが実行したのか、あるいはしないのかの把握はできるということであります。貴社から是非やっていただきたいと思います。
(問)東京電力の柏崎刈羽原発で安全審査を申請しました。これまで新潟県と調整がうまくいかず、事態がなかなか進んでいなかったわけです。昨日、新潟県の泉田知事が、条件付きで容認するということでした。以前、知事と大臣は面会されたと思います。新潟県が条件付きで容認したことの受け止めを教えていただけますでしょうか。
(答)新潟県、そして柏崎市、刈羽村、三者の関係者と東京電力が協議し、そして話が進展しつつあることは大変歓迎したいと思っております。新潟県知事も前向きの発言として今まで取り組んでこられたのだと思います。それを東京電力側も真摯に受け止めることが大事であったと思います。その話し合いが前に進んだということだと思います。これは、原子力安全にとっても、新潟県民経済にとっても、あるいは日本の電力の安定供給にとっても、その話し合いが前に進んだということは歓迎していいことだと思っています。
(問)泉田知事が、原発の安全について第三者の目を入れないまま放っておくのもやはり問題がある、それが今回受け入れの理由の一つになったとコメントされております。大臣も汗をかかれて、それなりの意味があったと受け取ってよろしいでしょうか。
(答)私は当初から泉田知事の発言を否定しているつもりは全くありません。県民の安全・安心、ひいては国民の安全・安心について思いを馳せていらっしゃる方だと思っています。そのお考えについては真摯に受け止める必要があるということはずっと申し上げてきました。その泉田知事と東京電力側がより良い方向に向かって前進ができたのだと歓迎したいと思っています。
(問)今日のTPPの閣僚会合ではバリの会合に向けた協議も行われたということです。次の閣僚会合、首脳会合に向けて、関係閣僚で今日確認された事項はどんなことがあったのでしょうか。
(答)ワシントンでの首席交渉官会合では、いわばある種の交通整理をしたわけです。まとめに向かっていける方向の案件、それからどうしても閣僚間、つまり決定権限を持っている者の間で整理しなければならない分野等に分けて、それぞれ収れんできるものは事務的に収れんを加速するということと、難題として残っているものについては、権限を持っている者によってより歩み寄りを図るということだと思います。
 ですから、バリの会合は、権限を持っている者が集まって、その権限の下に収束に向けて困難な、残っている問題というのは困難だから残っているのでありますが、それを前進させていくことになる。そういう意味では非常に重要な会合だと思っていますし、関係閣僚の滞在時間もおそらく今までの中で最長になるかと思います。体力的に負けないように頑張りたいと思います。
(問)東京電力の話で、東電としては資金繰りが厳しいがゆえに原発の再稼働を急ぎたいと思います。今回ステップが進んだことによって原発は再稼働に向けて大きく前進したとお考えでしょうか。
(答)規制委員会による審査というのは、再稼働の審査ではなくて、安全の審査であります。政府といたしましては、安全でないものを動かすことはできないわけであります。ですから、動かす前提として安全の確認がなされることが必要であります。そういう意味では、審査が行われるということは、その結果の結論が出ていくということであります。まだどういう結論が出るかは分かりません。しかし、その作業工程に着手することになることは、日本のエネルギー政策にとっては前向きにとれることだと思っています。

(以上)