甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月13日

(平成25年9月13日(金) 11:16~11:31  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私から、まず、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要につきまして御報告申し上げます。
 景気の基調判断でありますが、「景気は、緩やかに回復しつつある」と、上方に変更をいたしております。これは、輸出や消費の持ち直しテンポというものは足下で緩やかになっているというものの、消費を支える雇用者所得が底堅く推移しているということに加えまして、企業収益が改善するなかで、設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、経済の好循環が動き始めているということを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、家計所得や投資の増加傾向が続き、そして景気回復の動きが確かなものとなることが期待をされるわけであります。ただし、海外景気の下振れが、引き続きリスクとなっていることに注視が必要であります。
 政府といたしましては、「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太方針」に基づきまして経済財政運営を進めるとともに、「日本再興戦略」の実行を加速化し、強化をしてまいります。
 また、日本銀行には2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現をするということを期待いたしております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)基調判断が「緩やかに回復しつつある」と上方修正されましたが、消費増税に向けた経済環境は整ってきていると御覧になっているか。あと、巷間、安倍総理は、予定通りの増税の意向を固めて、3%のうち2%にあたる5兆円分の経済対策をやりたいとのお考えであるとの報道がありますけれども、こうした考え方について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)まず、総理が意向を固めたということは事実ではありません。総理はニュートラルな状態で、10月上旬、10月の頭に、各種指標を客観的に精査しながら最終判断をお決めになるということであります。
 景気の基調判断の上方修正に関しまして、経済の状況が良くなりつつあるということは事実であるというふうに思っております。大事なことは、総理が、法律通りに消費税を引き上げていった場合のリスクを克服して、駆け込みの反動減を乗り越えて、日本経済が成長軌道に乗っていけるかどうか、その対策が十二分にとられているかどうか、そこを判断されて、最終的な決断をされるかと思っております。
(問)経済政策のパッケージの中で、法人減税が入るのではないかと、検討されているという報道が相次いでいますけれども、入りそうなのかどうか、その見通しについて、現時点で甘利大臣の御見解をお願いいたします。
(答)消費税率を引き上げていく際に肝要な点は、駆け込み需要に対する反動減、それらをしっかりカバーをしていくというだけではなくて、落ち込んだ後、成長軌道、つまり名目3%以上、実質2%の成長軌道にしっかりと乗っていけるかどうかということが大事なことであります。つまり、反動減を埋めるだけの政策と、それから日本経済全体をたくましい成長軌道に押し上げていく環境整備、この二つの点で十二分な対策がとられるかどうかということが総理の判断の材料としてとても大事だというふうに思っております。
 そうした中で、財政出動による方法、手法、あるいは税制改正による手法、いろいろあろうかと思います。即効性のあるもの、あるいは基礎体力を引き上げていくもの、あわせ技で、日本経済がたくましく成長していくという確信を総理が持たれたら、判断をされるというふうに思っております。そこのところのメニューが極めて大事だと思います。
(問)そうすると、今のお話ですと、十分、法人税減税、実効税率の引下げについても、メニューの中には入ってくる可能性があるというふうに理解してよろしいでしょうか。
(答)ここで具体的なメニューが、何が、どうであるかということの発言は控えさせていただきますけれども、日本経済を回復させ、成長軌道に乗せていくメニューはたくさんあろうかと思います。一番効果的な組合せ、つまり中身と、それから規模と、その両方を満たすことが大事だというふうに思っております。詳細については、今、関係各大臣間で詰めているところであります。
(問)TPPの件でお伺いしたいのですが、来週、首席交渉官会合がワシントンで開かれますけれども、どのような議論と成果を期待されますでしょうか。
(答)先般のブルネイ会合で、閣僚間の協議によって、交渉のマンデートをある一定の権限を首席交渉官以下に託して、話合いのつかない間合いを縮めてくることができました。ワシントンにおいて、首席交渉官会議では、事務的に詰められる部分と、それから、どうしても政治マター、閣僚間で詰める部分について、再度、ある種すみ分けを図っていくということになろうかと思います。そういう作業が、各分野で話がついていない分野はまだたくさんありますけれども、事務的に更に詰められるものと、どうしても政治的なブレークスルーがないと詰まっていかない部分との仕分け作業が大事だというふうに思っております。
(問)今日一部報道で、ニューヨークの国連総会にあわせてTPPの閣僚会合が開かれるというのがあったのですが、事実関係を教えていただけますか。
(答)そういう報道があるのは承知いたしておりますが、まだ具体的にそういう要請は来ておりません。
(問)法人税の実効税率のことについてお伺いしたいのですが、大臣は、以前から、財政の余力があれば、広くあまねく誰にでもできるかもしれないけれども、財政が厳しい中では、フォーカスを絞った法人減税、政策が有効ではないかとおっしゃっている中で、広くあまねくという法人税の実効税率という話も一部で出ているようですが、その有効性について改めてどのようにお考えでしょうか。
(答)私は財政再建の担当大臣でもありますし、その道筋についてもしっかり示していかなければならないですし、あるいは社会保障の持続可能性についても担当している大臣であります。もろもろのバランスを俯瞰しながら、その根幹となる成長力を強化していくところに、どこまで財政、税制の対応ができるかということになろうかというふうに思っております。設備投資や研究開発投資を進めていくというための政策減税は、これは必須課題でありますし、それから全体として投資を進め、そしてその結果、経済を好転させ、企業収益あるいは雇用者報酬に跳ね返らせる、好循環をどういち早く構築していくかということに関して、法人税の減税も含めて、いろいろなメニューがあると思います。もちろん財政の対応可能性の中で最大効果的な組合せということを模索していきたいと思っておりますし、今、その最中であるというふうに考えております。
(問)今おっしゃった好循環をいち早く構築していくために、法人減税を含めていろいろメニューがあると、これは法人実効税率の引下げも含めてということでよろしいでしょうか。
(答)「日本再興戦略」にありますとおり、各種手法あるいは政策手段を使って日本経済を実質2%、名目3%以上の成長に導いていく。その中で企業収益の改善、それが雇用者報酬の改善、そして消費力の強化、それが更に生産力の強化というプラスのスパイラルに好循環としてつながっていく、そのスケジュールをできるだけ加速をしていくということが大事であります。その中には、財政出動というメニューもあれば、政策減税というメニューもあれば、法人税自身の取扱い、いろいろなメニューがあろうかと思います。財政の許容する範囲、これは我々の感覚と財務省の感覚のずれはあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、そういう範囲内で最適、最良の組合せをしていきたいというふうに考えております。今のところ分かったような、分からないような、後になってみれば、ああ、そうかと思っていただければいいかと思います。
(問)法人実効税率というふうに言い切っていないという認識でよろしいですか。
(答)いろいろなメニューがあって、その最適組合せをしていくということです。
(問)含まれてはいるということで……
(答)メニューの中には当然入っております。その最適組合せを、財政の許容範囲、財政の許容範囲は、財務省と我々では若干認識が違うところがあるということを前提に最適組合せを実行していくということでございます。
(問)法人税実効税率の引下げについて、大臣の御発言が前よりちょっと前向きになってきたのではないかなというふうに感じるのですけど、いかがですか。
(答)私は常に前向きな政治家でございます。

(以上)