甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月10日

(平成25年9月10日(火) 15:17~15:42  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からの報告ですが、本日、社会保障と税の一体改革に関係する6大臣、官房長官、私、麻生副総理、新藤総務大臣、田村厚生労働大臣、森少子化対策担当大臣の6人ですが、6大臣とそれから加藤副長官が集まりまして、打合せを行いました。
 本日の打合せでは、先般8月21日に閣議決定をいたしました「法制上の措置」の骨子に基づいて取りまとめをしました社会保障制度改革の工程表を確認いたしました。資料は、お手元に配布してあるものであります。今後、この工程表に基づきまして、関係大臣が協力して改革を推進していくことといたしました。
 また、「法制上の措置」の骨子の閣議決定の際、財務大臣から、社会保障の充実の全体像を分かりやすく説明していくことも重要であり、骨子決定を踏まえ、関係大臣と相談し検討を進める、という旨の発言があったところであります。
 こうした発言も踏まえまして、今後、消費税増収分を活用して行う社会保障の充実の姿を明らかにしたいと考えておりまして、次期国会冒頭の骨子に基づく法律案の提出に向けて、関係省庁で検討をしてまいります。その際に、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指す観点からは、社会保障の充実には、骨子に盛り込まれた措置を中心に2.8兆円程度を向けることを前提に、検討を進めることといたしました。
 なお、消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化に向けることとなっておりまして、社会保障の充実と併せて、社会保障の安定化のために基礎年金の国庫負担割合の2分の1への恒久的な引上げ等が行われることも、併せて国民に説明をしていく必要があると考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)消費税増税に絡んで、安倍総理から経済対策取りまとめの指示を受けられたのか、どういう指示を受けられたのか、その中身について。あと、今後その柱はどういったものになるのか、規模感はどれぐらいになるのか、現時点のお考えを聞かせてください。
(答)今日の閣僚懇で、総理から、経済政策パッケージの取りまとめについての御指示がありました。その中身は、アベノミクス3本の矢で経済再生への一歩は踏み出していると。そこで、今後、成長を確かなものにして、その果実を全国津々浦々にお届けするために、今月末をメドに、成長戦略を含めた力強い施策を、経済政策パッケージとして、私並びに麻生大臣を中心に取りまとめてもらいたい、という趣旨であります。
(問)閣議の前にも麻生さんと3人で総理と面談されていましたけれども、ここでも同様に、消費税の判断を控えて経済対策をまとめるようにというような指示があったのでしょうか。また、今どんなメニューを検討されているのでしょうか。
(答)事前に、総理の下に3大臣が集められました。そこでは、閣僚懇で今の指示が出たわけですけれども、その件について話をしておりました。具体的な規模とか何をメニューにするという話は、まだこれからの話でありますけれども、総理としては、しっかりとした対策を打って、成長戦略が当初の期待通りに進んでいくように万全を期してもらいたいというお話でありました。
(問)今の経済対策ですけれども、位置付けとしては、あくまでも成長戦略の実現というか強化というか、そういう位置付けであって、消費税引上げの是非との関連性というのはどのように捉えたらよろしいのでしょうか。
(答)総理の指示は、成長戦略、3本の矢の成長戦略部分でありますけれども、今後この政策の果実を全国津々浦々で実感できるように、この成長戦略を含めた力強い施策を経済政策パッケージとしてまとめよというものです。
 なお、消費税率を法律通りに来年4月に引き上げる場合には、経済への影響もあるために十分な対応策が必要になると。これは先日のヒアリングでも指摘された通りだと。でありますから、成長戦略をしっかりと進んでいくような対策をせよということと、それから総理が10月の頭に判断をされるわけですが、予定通りやらないということであればまたこれ話は別なのですが、法律通りに行う場合には十分な対応策が必要になるということは、成長戦略に加えて、その検証をしっかりするということになろうかと思います、その際にはですね。
(問)今の関連ですけれども、総理の指示は、いつまでにまとめよということですか。今日指示された内容というもののデッドラインについて教えてください。
(答)今月中ですね。
(問)仮に消費税増税を予定通り決めた場合には、そのパッケージ、今月中にまとめたパッケージというものも、その発表の際に明らかになることになるのでしょうか。
(答)そうですね、今月末までに成長戦略が確かなものになるように経済政策パッケージとして取りまとめよと。消費税の引上げについて、10月上旬に総理が最終判断をされると。その際には、安倍政権の最重要課題であるデフレ脱却、経済再生と財政再建の両立という道筋が確かなものか、しっかりと見極めて判断をするということでありますから、いろいろと見極める判断材料になってくるのではないでしょうか。
(問)今日このタイミングで、甘利大臣、麻生大臣を官邸に総理が呼ばれたということで、総理の心づもりとしては、やはり増税に向けた環境は整ったというふうに理解してよろしいのでしょうか。
(答)総理は、そこまでの心決めはまだされていないのではないでしょうか。要するに成長戦略を含めた施策をしっかり経済政策パッケージとして検討していって、それも見ながら消費税の判断をしたいということです。ですから、とにかく消費税を導入する際にはこのくらいの落ち込みがあり、対策は、成長戦略自身をしっかりしたものにしていくものと、それから落ち込みをカバーするにはこんなものが必要だということ等々もしっかりシミュレーションをして、総理の判断が適切に行われるような環境整備をしていくということであろうかと思います。
(問)そうすると、10月1日と言われている総理の判断によって、これから検討する対策の発表の中身も変わってくるということなのでしょうか。消費税を予定通り上げる場合には、その落ち込み対策、反動減対策……
(答)そうですね。ですから、成長戦略を含めた力強い施策を経済政策パッケージとして取りまとめると。その過程において、いろいろ総理からお問い合わせもあるのではないかと思います。この場合には、この部分はどれくらいの落ち込みがあるのかとか、この対策ではどこまでを想定しているのかとか。我々としては、仮に法律通り実施する場合には、落ち込みをカバーするのにはこのくらい必要だろうと、それから成長戦略自身を本来通り強化していくにはこういう対策が必要だ等々、いろいろな検討資料を用意しておく必要があるのではないかと思います。
(問)そうすると今日の総理の指示というのは、成長戦略の強化とともに、仮に消費税を引き上げた場合にはどれぐらいの対策が必要なのか、そのことについても検討せよという指示だったというふうに理解していいでしょうか。
(答)総理の御指示は、成長を確かなものにするために何をするかと、今月末をメドに取りまとめよということですから、成長戦略を含めた力強い施策を経済政策パッケージとして取りまとめよということですから、これは私の方が財務大臣と、成長戦略自身を底上げしていくのにはこういう政策が必要だし、仮に総理が判断された場合には、消費税の反動減対策としてこのぐらいのボリュームは必要だという判断材料は用意をしておかなければならないと思います。それがきちんと総理が御理解をされて、これなら大丈夫という自信を持たれたら予定通りやられるでしょうし、その対策を見て、まだまだ足りないということであれば指示があるでしょうし、それができなければ、その判断自身もいろいろ変わってくるのであろうと思います。その間は、総理と何度かやりとりをしなければならないのではないかと思っています。
(問)法律通りに行う場合には十分な対応策が必要になるということは、総理御自身が閣僚懇なり、その前の打合せでおっしゃったということですか。
(答)閣僚懇でおっしゃっておられます。従来通り引き上げる場合には、仮にそうするとしたら、経済への影響もあるために十分な対応策が必要になると。それはこの間の有識者会議でも、ほとんどの人から指摘されていたことだということであります。
(問)2020年の夏のオリンピックが東京に開催地決まりましたけれども、大臣の率直な受け止めと、今後政府としてどういった取り組みが必要になってくるとお考えでしょうか。
(答)恐らく日本国民にとって、これほど大きな共通した喜びというのは近年なかったことだというふうに思っております。国民が抱いている夢に向かって一つになったということだと思います。
 経済効果の上から言っても、これは非常にいいイベントだというふうに思います。同時に、これから我々がやるべきは、一過性の経済効果に終わらないように、つまりこれから開催に向けて外国人観光客が自前で移動しやすいように、例えば看板の設置一つとっても国際基準になっていくでありましょうし、ワンストップでいろんなことの問合せができるような体制をどうしていくかとか、それから日本の良さをどうビジット・ジャパンと組み合わせて訴えていくかとか、あるいは日本の、これは世界最高の文化、「おもてなし」文化と言われていますけれども、それをどうしっかりアピールをしていくか、理解をしていただくかですね。そういうこととあわせて、2020年に向かって継続的に、世界から日本への吸引力となるようなハード・ソフト両々相まっての整備が進んでいくべきだというふうに思っておりますし、それができれば、4年に一度の、特に日本にとってみれば50年以上ぶりの大イベントが、継続的に日本の経済をはじめとする力の底上げにつながっていくのではないかと期待しています。
(問)TPPですけれども、韓国が参加を検討しているというような報道がありましたが、この受け止め、歓迎されるのかどうなのか、韓国が参加することによるメリット、デメリットをどう分析されているか聞かせてください。
(答)韓国が入会基準をクリアされて入会をされるということであるならば、それはもちろん歓迎をいたします。メリット、デメリット、基本的には、トータルとしてどこの国にもメリットがあるということでありますから、そういう経済主体がもう一つ参加したということは、より大きな仕組みになるわけでありますから、総合的には日本にとっても韓国にとっても、それ以外の国にとってもメリットがあることだというふうに理解をしております。
(問)オリンピックの話に戻るのですが、二つありまして、一つ目が、東京で開催するとなると、周辺で大きなインフラ整備も必要となってくると思いますが、一方で安倍政権は、経済成長とともに財政再建も重要としている中で、インフラ整備の資金はどう調達されるつもりかというのが一つと、あとオリンピックが決まったことでカジノ構想が前進するという見方もありますが、カジノ解禁の可能性と、次の臨時国会で通過させたり何か動きはあるのでしょうかというのが二つ目で、お願いします。
(答)インフラ整備は、当然必要なものはやらなければなりません。ただ、それは東京オリンピックが終わったら必要ないものということではなくて、後々いろいろな意味で日本の経済あるいは文化・スポーツの振興に継続的に貢献するような整備の仕方ということが大事だというふうに思っております。
 それから、カジノ構想はよく分かりません。超党派の議連もありまして、そういう方々はこれを契機にいろいろと機運を盛り上げていかれるのであると思います。ただ、カジノで世界で繁栄しているところは、カジノ自体ではなくて、カジノを中心に健康的な観光産業になっているという複合的な発想が大事なのだと思います。カジノだけをぽんと作って、それで繁栄しているという国はあまりないのではないかと思いますから、それをある種テーマパーク的なものの中核的な存在の一つにするというような発想がないと、なかなか難しいのではないかと思います。
(問)先般、ブルームバーグ社が「世界で最も影響力のある50人」の1人に、日本の政治家としては唯一、甘利大臣が選ばれていましたけれども、受け止めと意気込みをお願いします。
(答)世界の経済に最も影響力のある50人、私を選んでいただいたことは大変光栄でございます。かつて、私の言動で株価や為替が乱高下をいたしました。今後は、極力世界経済に影響を与えないように行動していきたいと思っております。
(問)TPPの韓国の話で、一応年内の妥結を目指すということになっていると思うのですけれども、それが遅れたりとかそういうことを考えると、現実的にあり得そうなのかどうなのか、そこら辺はどう見ていらっしゃるのでしょうか。
(答)ですから、入会手続を無事クリアされたらということを申し上げたのですが、アメリカも、やはり各条約ごとに90日条項が当然働くと思います。FTAを結んでいるから、無しということにはいかないのではないかと思うのですが、そうした場合、10月大筋合意、年内妥結というスケジュールとどう整合性がとれるのかなという問題は、確かに一つあると思います。ただ、成立した後に入るということもありますからね。
(問)先ほどのブルームバーグのお答え、ユーモアがあって大変おもしろい話だったのですけれども、影響を与えないとなると、ちょっと変わってしまうので、もう一言お願いしてよろしいですか。
(答)すみません。真面目に答えますと、世界の50人に選んでいただいたということは大変に光栄であると同時に、より一層責任感を感じます。これは、アベノミクスが好調であるということのおかげで私の評価をいただいているのだと思います。
 ということは、アベノミクスが頓挫すれば、私の信任だけではなくて、安倍政権の信任が失墜をしてしまう、日本の信頼が失墜をするわけでありますから、これは責任重大だというふうに思っております。安倍総理が掲げられた政策が、正に日本の状況に今のところピンポイントで見事に当たっているわけであります。総理を支える一員として、総理がこれからも縦横無尽にアベノミクスを推進できるような、その下支えをしっかりしていきたいというふうに思っております。

(以上)