甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年9月3日

(平成25年9月3日(火) 10:56~11:06  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)東京電力の汚染水対策に国費を投入するわけですけれども、この評価を聞かせていただきたいのと、東京電力の資金難が続いていて、年内にも資金がなくなるのではないかという話もありますけれども、柏崎刈羽で再稼動のメドが立たない中、今後どういうふうに資金面で東京電力を支えていくべきとお考えか聞かせてください。
(答)国民の安全にかかわることは、とにかくスピード感が大事ですから、やはり国が前へ出て一刻も早く対応する。その費用をどこに請求するかというのは後の問題であって、費用をどこが持つべきかという議論ばかりしていて実態が進まないということが一番最悪の結果だと思います。事態を改善する、そのためには、国が全面的に前へ出るというふうに安倍内閣では、前政権からの方向転換をしていますから、それに従って迅速に進めていくべきだと思います。
 恐らく東京電力は事故以降、資金的にも精神的にも相当追い詰められていると思います。とにかくなすべきことは、一刻も早く国がなして、その後の対応は後で考えればいいということだと思います。
(問)シリア情勢についてお伺いいたします。先ほど日米首脳会談がありまして、シリア情勢について意見交換されました。中東の安定というのは、日本の為替やエネルギー価格に直接影響してくると思いますが、今回のこのシリア情勢について大臣としてどう受止めているかということと、今後の市場、日本経済に与える影響というのはいかがお考えでしょうか。
(答)とにかく無辜(むこ)の市民の虐殺は、国際社会が総力を挙げて止めるべきだと思います。要は、その止め方について、事態を拡大させないような知恵を世界中で出すべきだというふうに思っております。中東情勢の不安定化というのは、エネルギー価格、あるいは為替の変動を通じて世界中に影響を与えます。国連加盟国全体が自国の問題として知恵を出し合うべきだというふうに考えています。
(問)集中点検会合のまとめというのは、もう総理に提出されているのでしょうか。
(答)今日報告をする予定にしております。
(問)今日、毎月勤労統計が発表になりましたが、賃金が全体で0.4%、簡単に言うとボーナスが上がっていて、基本給は上がっていないという形がまだ続いているということだったようですが、その点についてお願いします。
(答)企業は業績が上がってきた場合に、将来を拘束されない方法でまず還元を始めると思います。それは一時金であります。ベアを上げるということは、将来を拘束することでありますから、その際には、企業が将来に向けての一定の自信を持たないとそこになかなか踏み切らないと。政府としては、自信を持たせるための環境を作っていくということだと思います。その上で、少しフライングをしても踏み出してほしいという要請をしていくことだというふうに思っております。
 要は、個々の企業が自分自身を守るという行動は、それ自身としては適切な企業行動かもしれませんけれども、それが集まると経済全体としてはマイナスに働く、合成の誤謬という問題があります。合成の誤謬にならないよう、日本全体の企業が理解をして、当面は若干苦しいことがあっても、結局好循環として自分に跳ね返ってくるということを共有することが大事だと思います。もちろんそのための不安を解消していく環境整備は、政府が全力で取り組むことだというふうに理解をいたしております。
(問)大臣は明日からオランダ、デンマークを視察されます。昨日から産業競争力会議、今日も農業の分科会が始まりましたけれども、この視察のねらいと、また秋の成長戦略にどういうふうに生かしていきたいか抱負をお願いします。
(答)総理は秋の臨時国会を成長戦略実行国会と位置付けられています。その中には、この国家戦略特区を具体的に進めていくための枠組みとする法律案も提出予定になっているわけであります。あるいは日本版NIHに象徴されるように、これから医療・医薬品分野、ライフサイエンスの分野で日本は世界をリードするというつもりであり、日本の経済の牽引力にもしていかなければなりません。
 またもう一点、TPPの中で攻めの農業、農政という言葉も言われているわけであります。つまり日本のどこかを農産物品の輸出拠点にしていくということも考えていかなければならないわけであります。
 日本の農産品は、その品質の優秀性、味覚あるいは安心・安全という点で極めて高い評価を得ています。そういう点をこの日本の牽引力にしていかなければならない。TPPで言われている守るだけではだめで、やはり攻めていかなければだめなのだということで、オランダで言うフードバレーのような拠点構想も考えていかなければならないと思いますし、デンマークで言いますメディコンバレー、これはメディカルとシリコンバレーの合わせた造語になっていますけれども、両国は世界有数の農産品の輸出拠点であるし、医薬品・医療機器の開発、輸出拠点にもなっているわけであります。
 世界の先進事例、成功事例をしっかりと見て、それから、関係閣僚と意見交換をし、ここに至るまでの越えてきた課題とか成功の秘訣、今後のプラン、向こうも日本が競争相手になるとどこまで言ってくれるか、大事なところはなかなか開示してくれないのかもしれませんけれども、肌感覚で成功事例をしっかり感じてきたいと思っております。

(以上)