甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年8月12日

(平成25年8月12日(月) 9:13~9:24  於:合同庁舎4号館6階620会議室)

1.発言要旨

 本日公表しました2013年4-6月期GDP速報(1次QE)では、実質成長率は前期比年率プラス2.6%と、1-3月期に続きまして堅調な成長となりました。
 その要因といたしましては、まず第一に、所得が底堅く推移する中で、マインドの改善等を背景に個人消費が引き続き増加したこと、第二に、海外景気の底堅さや円安の影響もありまして輸出が増加したこと、第三に、緊急経済対策の効果が発現し、公共投資が引き続き増加したことなどが挙げられます。
 安倍内閣の経済政策の効果が着実に発現していると考えております。
 先行きにつきましては、個人消費は緩やかな増加が続くと見込まれるものの、消費に比べて投資が弱めであることに鑑みまして、設備投資の回復を後押ししていくことが必要であります。今後、緊急経済対策の効果の発現が期待されますけれども、経済動向を注視しまして、成長戦略の推進等、引き続き「三本の矢」に一体的に取り組み、着実な需要の発現と雇用創出に努めてまいりたいと考えております。
 政府といたしましては、デフレからの早期脱却を図るとともに、現在動き始めた支出、生産、所得の好循環をしっかり強化し、民需主導の持続的な経済成長を実現してまいります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回の数字を受けて、来年4月の消費増税の判断についてどのようにお考えでしょうか。
 環境づくりは順調に進んでいるという御認識か、聞かせてください。
(答)判断する材料の一つが出てきたという理解であります。
 これから集中ヒアリングを通じまして、識者の方々、それぞれ業界を代表する方々の意見を聴取し、それも判断材料として総理に提示したいと思っております。もろもろの判断材料の中で、秋に、総理が、法律に従って判断されるものと思っております。
(問)1-3月期、1次QEの時には、消費増税に向けてよいスタートが切れたという御発言をなさっております。その状態から、消費増税の環境づくりに向けて進んだのかどうなのか、その辺の認識を教えてください。
(答)判断材料の一つとしては、引き続き、いい数字は出ているという認識であります。
(問)先ほど動き始めた支出、生産、所得の好循環とおっしゃいましたけれども、足元、好循環というのは、どの程度強まっているのか、今後の見通しも含めて、どのような先行きを持っていらっしゃるのかお願いします。
(答)民間平均予測との差があります。この点の質問が出ると思ったのでありますけれども、民間が3.4%、今回の1次QEが2.6%、それぞれ年率換算ベースであります。これを見まして、政府がやるべきことがはっきりしてきたということだと思います。民間予測よりもプラスに働いているのは消費であります。毎回申し上げていますとおり、日本経済の回復のパターンがいい意味で今回は変わっている。いつもの景気回復パターンは、輸出が先導するということでありますが、消費が先導するという極めていいパターンで景気回復が進んでいる。民間予測よりも消費が良かったということは、このパターンが非常に力強く進んできているということであります。
 民間予測よりも数字が悪かったのは、設備投資、それから、民間住宅投資、それから、公共投資の3点であります。この三つ、つまり消費が牽引し、投資がまだ力不足というのが総合的な評価でありますけれども、消費が牽引するのは非常にいいパターンである。投資が予測よりもちょっと力が弱いという点について、例えば、公共投資でいいますと、実は、この4-6月期の時期にフォーカスを合わせて補正を組んだつもりであります。しかしながら、この時期にぴったり合っていなかったということであります。
 この統計数値は、出来高ベースなのですけれども、実は、公共事業は請負ベースでは前年同期比で25%とものすごく伸びているのですけれども、請負ベースが出来高ベースにまだ反映されていないということです。ということは、次の期に大きく反映される。公共投資のフォーカスをできるだけこの時期に発現できるようにといったのが、実は、完全にはもくろみどおりできていないという点が一つ。それから、住宅も、これは着工ベースではなくて、出来高ベースであります。実は、4-6月期に反映されているSNAベースの民間住宅投資でありますけれども、これは0.9%です。これは、その前期の着工工事費予定額が反映されるものですので、1-3月期の前期比1.5%が反映して0.9%になっているわけです。4-6月期の着工予定額でいいますと、8.2%です。これは次の期に反映されていきます。
 つまり前期の予定額が今期に反映されるという関係にありますから、1.5%が0.9%に反映されています。次は4-6月期の前期の予定額8.2%が反映されるということになります。これは恐らく大きく伸びるだろうと思います。
 そうしますと、問題は何かと、つまり消費が予想よりも牽引したと、投資が民間予測よりも弱含みだったと、三つの投資のうちの二つの要素は、次の期、かなり強力に改善見込みがある。残っているのは設備投資であります。そうしますと、我々が秋の国会でやるべきは、設備投資を強力に推進させる策が、ピンポイントで、政策としてやるべきことだということが分かってくるということであります。
(問)今回、名目の雇用者報酬が前年同期比で1.0%とプラスになって、ようやく懐の面といいますか、そういったものに明るい兆しが出てきておりますけれども、この状況について、どの程度の強さかという大臣の認識をお願いします。
(答)まだ手放しで喜んではいけないと思います。
 好循環の歯車が回り始めているということだと思います。そこで同じく、今後の政策としては、企業収益が雇用者報酬あるいは下請け代金に跳ね返ってくるような好循環を後押ししていく政策が必要だというふうに思っております。
(問)今の設備投資の関係でいいますと、秋以降、補正予算、税制だけではなく予算面での後押しも必要とお考えでしょうか。
(答)私個人は、税制、予算、金融、あらゆる手段を使って設備投資が堅調に推移していく、拡大していくことを期待いたします。

(以上)