甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年7月26日

(平成25年7月26日(金) 10:35~10:55  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 私は特にありません。どうぞ。

2.質疑応答

(問)今日の消費者物価指数についてお伺いいたします。デフレ脱却を最優先に掲げる安倍政権にとって、今日の消費者物価指数、プラス圏に浮上しましたけれども、そのことを率直にどう受け止めていらっしゃるか、教えてください。
(答)総合とコア指数ではプラスになっています。コアコアが一部、若干まだマイナスが残っているということですが、物価は日銀の物価目標に向かって緩やかに上昇を始めているということでありますから、これは、政府として掲げている目標が、実現に向けてスタートを切っているというふうに理解していいのではないかと思っています。
(問)ただ、実際に上昇している品目を見ると、エネルギー関係の品目が多くて、原油価格の上昇であるとか、円安の進行といったもので押し上げられている要素も強いのかなと思います。要は、国内の需要が伸びることで物価が上がるというシナリオにはまだいっていないという指摘も多いですけれども、そこについてはどういうふうに見ていらっしゃいますか。
(答)経済財政白書でもお示ししたとおり、今回の日本の景気回復は、従来のパターンとは違います。つまり、他力本願の外需頼みではない。消費が引っ張っているいうことでありますから、これは従来型の貿易による物価の上昇と一概には言えず、消費が牽引をする回復の過程の中で物価が上昇しつつあるというふうに理解する方が素直かなと思っています。
(問)社会保障制度改革についてお伺いいたします。社会保障制度改革国民会議で、報告書をまとめる段階に差しかかっていますけれども、報告書がまとまった後、自民、公明と、あるいは民主も含めた3党かもしれませんけれども、どのような対応をとることになるのか。改めて今後の流れの説明をお願いいたします。
(答)法律で規定をされております8月21日に向かって、今、起草委員会で起草作業をしていただいております。あわせて三党協議がございます。三党協議に、起草委員会の取りまとめと並行しつつ、情報共有をしていただくということもあろうかと思います。まとまりましたら、政府手続それから与党内手続が並行して図っていかれるであろうというふうに思っております。
(問)中期財政計画についてですけれども、一部の報道で、来月、概算要求基準とあわせて決めるということだったと思うのですけれども、消費税の秋の引上げの判断を縛らないために、来月は閣議決定ではなくて閣議了解にとどめるという方針を政府が決めているような報道が一部ありましたけれども、事実関係をお願いします。
(答)まだ全てをコンクリートしているわけではありませんが、中期財政計画が最終的に詳細で決まってくるのは、やはりどうしても消費税判断と同じ時期になってくるのだと思います。つまり、そこの判断がなされないと明確な具体的な数字の設定ができないわけであります。法律からいっても、あるいは総理のたびたびの方針御発言からも、秋に判断を法律にのっとっていたしますという表現をされています。その時点で確定をするということですから、閣議決定は、大体こんなものですという閣議決定ではなくて、きちんとしたものになると思いますから、それは消費税判断がしっかり出た時になると思います。その前にどういうふうにしていくかというのは、いろいろとこれから工夫をしていくところだと思います。
(問)CPIについて、先程、貿易に引っ張られているものではなくて、内需に引っ張られている物価上昇と見るのが素直と大臣はおっしゃっていましたが、やはり電気代とかガソリンによる押し上げ効果が大きくて、いわゆる内需による押し上げというのは、なかなかセグメントで見ると見当たらないのですが、どういったところが内需で引っ張られているというふうに大臣は御覧になっていますでしょうか。
(答)賃金が、所定内、所定外、そしてパートの時給もわずかずつ上がりつつあります。一時金も、いい回答が出ている事業者が増えてきているわけであります。それから、資産価値が上がっているということ等を反映して消費が増えています。あるいは、消費動向もプラスに連続して推移しています。そういうことから勘案しますと、消費が拡大しているということは事実であります。
 もちろん、円安による輸入物価の高騰が直接的に消費者物価にはね返ってきているということも紛れもない事実だと思います。ただ、傾向としては、従来の景気回復と違う新しいパターンになってきていると。これは悪いことではないと思います。現時点で比率がどちらが多いかというと、確かに輸入物価はかなり短時間に物価にはね返ってくる点はあると思います。ただ、傾向として、従来にない傾向があるということを申し上げたかったというところであります。
(問)そういった要因は今後、消費者物価指数というのは日銀が一つの目安にしていますけれども、そこにはこれから反映されるだろうというふうにお考えですか。
(答)消費が伸びていくことによる部分は、輸入物価による部分との比率でみれば、消費の部分が次第に増えていくであろうと。また、そうあるべきだというふうに思っております。
(問)選挙終わりました。新潟の泉田知事との面談の日程調整等について、どうなっているか状況を教えてください。
(答)日程は決まったはずです。来週火曜日にお会いします。
(問)大臣は、安全審査申請するに当たって、電力会社による地元の許可が必要だとお考えですか。
(答)泉田知事も、安全性には人一倍慎重に配慮される。これは悪いことではないと思います。
 ただ、恐らく私と泉田知事の思いが若干すれ違っているのは、泉田知事は手続をちゃんと取ってくださいということだと思うのです。私は、それももちろん大事ですけれども、規制委員会がこういう措置が必要だということを指示して、それに対する回答を持ってくるわけであります。これは、ベントフィルター以外の部分で指摘されることがあるかもしれません。いろいろ補強策、ほかの部分もいっぱいやっているわけですから。その全体を国際基準でチェックするわけですから、もし至らない点があるとしたらチェックを受けて、直ぐに追加措置にかかるということもあるかもしれません。
 ですから、そういう手続は、安全に係る手続はできるだけ早く進めた方がいいと。これは、知事にも多分御理解いただけるのだと思います。恐らく手順・手続のところでいろんなお考えがあるのだと思いますし、安全を迅速に図っていくという点については知事も全く賛成なのだというふうに思っております。
(問)先程の質問で出た中期財政計画について、ちょっと確認でお伺いしますが、すると、中期財政計画は、きちんとした形になるのは消費税の引上げの判断とほぼ時期がリンクすると。ただ、概算要求とかを行うに当たって、中期財政計画の大まかな考え方みたいなものは、8月の概算要求基準、あるいはサンクトペテルブルクのサミットもありますけれども、その前にある程度形が出て、確定したものはもうちょっと後になると、そういうイメージでよろしいのでしょうか。
(答)できるだけ政府としての財政再建の方向性はきちんと出していきたいというふうに思います。どういうツールをどういうふうに配置するかということは、やはり確定しないときちっと表現ができません。そこら辺の工夫が必要だというふうに思っているというふうに御理解いただきたいと思います。
(問)今日も一部の報道で、国家戦略特区で解雇とかの雇用規制について緩和することを検討しているという報道があるのですけれども、労働大臣も経験された大臣として、雇用という人の生き方に関わるような問題について、特区に限定して導入するという考え方については、どのようにお考えでしょうか。
(答)これ、特区といえども、使用者側の都合で勝手に首を切ったり入れ替えたりというのはできないのではないですか。そこはやはり労働法制に従ってやっていくと。その中でどういうアローアンスがあるかということであって、労働法制を無視していろんなことができるというふうには私は考えづらいのですけれども。
 そういう議論、アメリカはどうか知りませんけれども、それ以外の国で全くとっていないようなことを、好き勝手にやっていくというつもりは私はありませんけれども。
(問)ちょっと先程の質問でもあったのですけれども、新潟の泉田知事と来週の火曜日にお会いになるということで、先程お話にもあったのですが、やはり大臣からは、東京電力の柏崎刈羽原発については、なるべく早目に審査を受けた方がいい、受けるべきだというようなことでお話しになるお考えなのでしょうか。
(答)安全、規制委員会がいろいろ指摘をして、指示をしているわけですね。宿題を出しているわけです。宿題の回答は、しなければならないと思います。宿題の提出期限というのは、いつまでも引っ張るわけにもいきませんし、宿題の提出で添削をして、更に追加指示が出るかもしれません。これは柏崎刈羽に限らず、日本全国の原発はいろいろ指示をされていると。それに対して宿題を与えられて、それに対して回答するというのは、できるだけ早くやった方が普通の感覚ではいいと思うのです。そこに住んでいらっしゃる方々も、いろいろ課題を与えられて、その回答をいつまでもしないということでいいと思っていらっしゃる方はいないと、普通の感覚で言うとですよ。と私は思っています。
(問)TPPに関連して、これまた一部報道で、アメリカが、ジェネリック医薬品の関係で新薬の特許期間を延ばすように、日本に対しても事前協議の中で要求していたし、それは各国に対してもアメリカから要求をしているという報道がありました。それと、漁業補助金に絡む要求もアメリカから見られたという話が一部報道されていますけれども、事実関係をお願いします。
(答)知財の分野と環境の分野でいろいろ議論がされているということはよく承知をいたしております。事実、議論がされているのでしょう。ただ、中身で、どこの国がどう言ったとか、それにどう答えたかということは、秘密保持義務がかけられていますから、お話はしないということになっています。
 もろもろの問題について、日本も日本の立場、それから国際的なあらまほしき姿、それらを勘案しながら、適宜適切に主張をして、議論をしていきたいと思っています。
(問)ちょっとお言葉ではあるのですが、柏崎刈羽の話なのですけれども、逆に、普通の感覚で言うと、安全審査を受けるというのは再稼働が前提ではないかと考えるのも一方で普通の感覚であるからこそ、泉田さんも心配していると思うのですけれども、そこはどう説明なさるのでしょうか。
(答)再稼働を判断するのは政府です。規制委員会の委員長が国会答弁でも、我々は安全の審査をするというだけで、以上でも以下でもありませんと言われています。日本の安全基準は、一番最新の基準のはずです。それで、その物差しを使ってはかっていくということは、私は、普通の感覚から言えば、早くした方がいいと思います。
 それ以降、地域運動として知事がどういう主張をされるか。それはもちろん地域住民の皆さんの思いを受けた為政者としての仕事だと思います。ただ、国際基準ではかるということについて、それをしてはいけないという理屈は立たないと思うのですね。
 では、その対応がなされていなくて、何かあった時に責任は誰がとるのでしょうということになるのだと思うのです。だから、そこはいろいろな思い、感情論もあると思いますけれども、科学的な見地から、やるべきことはやるべきだと。これはけしからんと言う人は、私はいないと思うのです。やはり国民の安全は、いろんな政治論とか情緒論は持ち込まないで、安全は科学的に冷静に、きちんと対処した方がいいと私は思います。

(以上)